Featherweight José Aldo vs. Conor McGregor
待ちに待った対戦である。
アルドーといえばスピードで群を抜いており、打撃よし、バランス良し、組んでよし、反応よしで、王者のなかの王者、まったく穴のない選手の一人だろう。マッグレガーがメンデズと対戦するまではアルドーの方がつよいのではないかとおもっていた。
しかし蓋を開けてみたらメンデズをまったく寄せつけなかったマッグリガーのつよさであった。あれを観てしまったいま、アルドーでも敵わないのではないかという気もしてしまう。
まず、身長ならびに四肢の長さにおいて両者の間に段違いな差がある。
マッグリガーが身長において5㎝高く、リーチにおいては10㎝ちかい差がある。ストライカーどうしの試合において、これは決定的なものになるのではないか。
マッグリガー独特の広いスタンスに対して、アルドーはローキックを執拗に狙っていくのではないかという予想がされている。
しかしサウスポーのマッグリガーの前足にアルドーの右足を当てるのは難しいのではないか。また、ぐいぐい前に出てくるマッグリガーのプレッシャーのなかで、アルドーは相手の拳を恐れずにローキックを出せるであろうか。マッグリガーも当然それは念頭にあるであろうし、ローを釣ってそれに合わせてよく伸びる左のパンチを合わせていくのではないか。
というわけで、アルドーがローキックにこだわりローから入ってゆくようだと、マッグリガーががぜん有利になってゆくのではないかとおもう。
マッグレガーよりもアルドーが勝る点はローキックよりもむしろ出入りの速さであり、上下のコンボの回転の速さだろう。どこを見ているんだかわからないような見開いた目で相手のうごきの全体を眺めつつ、フェイントの応酬、といういつものアルドーの得意な駆け引きのなかで、相手の虚に反応して電撃のように踏みこんで思い切ってパンチを放ち、そして蹴りがつづく。アルドーに勝機があるとすればそこだろう。思い切りのよい踏み込みと、回転の速いコンビネーション、そして、そこでローキック。こういう展開になれば、アルドーががぜん有利になるのではないか。
前回メンデズの強打がまったく不発だったが、メンデズが準備不足だったというのもかなり大きく、考えれば考えるほど、あまり参考にならないように感じられてくる。トップクラスになると、ほんのわずかな差が大きな差となって露われてくるものだ。どちらがつよい、というのは愚問だろう。
マッグリガー対アルドーも、ほんのわずかな作戦のかみ合い、どちらの先手が当たったかどうかが、試合を決定づける大きなカギとなるのだろう。
私はアルドーが速いコンビネーションを当てることで序盤において圧倒して、マッグリガーがアルドーを見切る暇を与えずに勝負を決めてしまうとおもう。
よってアルドーによるノックアウト予想。
Middleweight Chris Weidman vs. Luke Rockhold
これも目の離せない一戦である。両者31歳、同い年である。
マチダと試合した後のコメントで、ロックホールドがいやなやつ、という印象を抱いてしまっただけに、私としてはワイドマンに勝ってほしいところだ。
前回、マチダを圧倒したロックホールドのつよさが印象ぶかく、一方マチダとは判定になっていたワイドマンは苦戦するのではないかという予想もある。
私は、ワイドマンをひいきするわけではないが、蓋を開けてみれば『ワイドマンの方が明らかにつよかった』という試合になるのではないかとおもう。
理由は以下のとおり。
どちらも強力な打撃をもっており、相撲もつよい。
レスリングがうまく、パンチも肘も斬れるワイドマンに対し、ロックホールドには蹴りがあり柔術もうまい。
しかし、ロックホールドのスタイルには、はっきりとしたクセがあるのは否めない。
古典的ボクサーのような後傾したベタ足の構えでじわりじわりと前に出てくるロックホールドは、自らパンチで入ってゆくことはまずなく、多彩な蹴りで先制してゆく選手だ。相手が出てくればカウンターのパンチを上手に当てることもできるが、自ら踏みこんでパンチの交錯というのを嫌う。このため、下がる一方のマチダをよく見ることができ、彼のパターン化した踏み込みに対してカウンターを当てて、終わってみれば圧倒した形となった。
しかるに一方、いつでも出てくるぞというプレッシャーを与えてくるベウフォートに対しては攻めあぐね、内容的にも明らかに敵わないという様子であった。
ワイドマンは前に出てくる選手であり、マチダのように一か八かの神風的な踏み込みはしない。ワイドマンが前に押して出て、相撃ちで打ち勝ち、ロックホールドを圧倒するのではないかとおもう。
ワイドマンによる判定勝ち。
Middleweight Ronaldo Souza vs. Yoel Romero
これも待ちに待った試合である。マチダを完膚なきまでに破壊したロメロであったが、ロックホールドに破壊されあきらかに下降の一途であったマチダに勝ったことは、さほど参考にはならないようにおもわれる。
高齢のロメロの反応はさほど機敏とはいえず、相手との距離をうまくとりつつ、豪快なレスリング能力で相手を圧倒する選手である。打撃も速いジャブのようなものが出せるわけでなく、アッパーから入ったり相撃ち狙いであったりで、足のあるジャッカレの積極的でスピードある攻めに敵うとはおもえない。
ジャッカレによるノックアウト予想。
ジャッカレはこれに快勝して王者に挑戦したいところだろう。
Welterweight Demian Maia vs. Gunnar Nelson
柔術の玄人だが柔術しかできないマイアが、ケンカ上手なガンナーに勝てるとは思えない。
ガンナーによるノックアウト予想。
Featherweight Max Holloway vs. Jeremy Stephens
いつ王座挑戦してもおかしくない実力のホラウェイが、強振屋でムラっ気あるスティーブンスと対戦。
これはどう考えてもホラウェイが勝つだろう。
ホラウェイによるノックアウトもしくは一本勝ち。