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2013年12月29日日曜日

UFC 168: Weidman vs. Silva 2

Middleweight Chris Weidman vs. Anderson Silva
 とんでもない結末となってしまった。アンデウソンの脛がポッキリと折れてしまった。

 初回からワイドマンの方がよかった。常にプレッシャーを与え,テイクダウンもとった。
 アンデウソンが得意のタイ・クリンチに強引にもっていって膝を出したところへ,ワイドマンが待ってましたとばかりに右のフックを相手の耳の部分に当てて,アンデウソンが一瞬意識を失う,という場面もあった。
 グランドでもワイドマンが上になると,やはりワイドマンには上背があり,下から攻めるアンデウソンの手が届かないという場面があった。
 初回だけを観るにこのままワイドマンが圧倒するかにみえた。
 
 ところが二回になってアンデウソンの動きがとたんに良くなった。ローキックをよく出して,頭をよく動かし,距離も自ら狭めプレッシャーをかけ始めた。これはやはりアンデウソンか,という気がした。
 その矢先であった。
 アンデウソンの左のローキックをワイドマンが左足でチェックした際に,当たり所が悪かったらしい。アンデウソンの脛がぽっきりと折れて,まるでゴム人形のようになってしまった。
 身をよじりたくなるような痛々しい光景。不運といえば不運であり,ある意味とても残念な結果であった。
 
 思うにアンデウソンはつくづくワイドマンとは相性が悪いようである。
 前回の対戦でも,2Rはアンデウソンの方がいい動きをしていた。さあアンデウソンのペースかと思った矢先に,ワイドマンの長い手がアンデウソンの顎まで届いてしまった。
 また従来の試合ではアンデウソンがタイクリンチから膝を出せば,大概そこで試合が決まってしまうものだったが,今回の試合ではそうはならなかった。タイクリンチするアンデウソンに対して,ワイドマンが右のフックを耳に当てて,一瞬だがノックアウトしかけた。
 アンデウソンの鞭のようなローキックも,多くの選手が苦しめられてきたものであるが,ワイドマンが膝をあわせるようにチェックすることで,あっさり破ってしまった。
 これまでアンデウソンの独壇場だった場面が,ことごとくワイドマンによって破られていた。

 やはりアンデウソンは今回も負けるべくして負けたように思う。 


Women's Bantamweight Ronda Rousey vs Miesha Tate
 ミーシャが腕ひしぎを脱したりしてずいぶん善戦したが,やはりオリンピック級の柔道選手相手と組んでは大人と子供であった。ほとんど歯が立たず,定石どおり腕ひしぎで終った。
 
 最後,ミーシャが手を差し伸べたのに,ロンダはシカトしたのが衝撃だった。男子格闘で試合終了後までジトジトした感情が続くことはまずありえないだけに,驚きであった。
 ミーシャがロンダの家族について何か言ったことがわだかまりになっているようだが,たぶんロンダの屈折した性格についてとか,親がどうの育ちがどうのとか言ったのだろうかね。あんまりそこらへん読んでないから,憶測しかできないが。
 せっかくの好試合だったのに,冷や水をかけられたような気分であった。


Heavyweight Josh Barnett vs Travis Browne
 予想ではブラウンはバランスが悪いと書いたが,今日はそれが上体の柔らかさ懐の深さとして見えた。序盤は腰をしっかり落とした構えであった。相手に掴まれれば無造作にいなすようにして距離をとり,ジョシュは攻めあぐねていた。
 最後は馬場さんのココナッツ・クラッシュとブッチャーの毒針エルボーを組み合わせたような技だった。以前,ガブリエル・ゴンザガを倒したのと全く同じ体勢で,相手の側頭部に肘を落とす。長身で胴の長いブラウンならではの技といえようか。
 ジョシュ・バーネットの今後が心配だ。
 

Lightweight Jim Miller vs. Fabrício Camões
 カモイの方が試合開始早々からパンチをよく当てて押し気味であったが,寝技の展開になってから下になったミラーが一瞬の隙をついてアームバーで極めた。


Featherweight Dustin Poirier vs. Diego Brandao
 リミットを大幅にオーバーしたブランダオ,まったく精彩を欠いた試合であった。大振りが目立ち,組んでもいまひとつ,時計を見てる間にパンチをもらったり。
 好試合を期待していたのだが,残念であった。


Preliminary card
Middleweight Chris Leben vs. Uriah Hall
 ユライヤの独壇場であった。リーベンはユライヤの足に追いつくことが出来ず,パンチのキレにおいても明らかに両者に差があった。クリス・リーベンはもはや格闘家の終焉を迎えたというかんじであった。
 最後はチョンとカウンターで当てた右のストレートがリーベンの人中に当たり,尻餅。ブザーに救われたが,重篤なダメージを受けたリーベンはそのまま試合放棄した。本人による賢明な判断だとおもう。


Lightweight Gleison Tibau vs. Michael Johnson
 あいかわらず力強いが当たらない倒せないのティボウと,足は速いが打撃の力がいまひとつ足りないかんじのジョンソン。
 交錯時にジョンソンの左がティボウの耳に当たり,ティボウはバランスを崩しダウン。すかさずパウンドでジョンソンが一気に試合を決めた。


Featherweight Dennis Siver vs. Manny Gamburyan
 タイプこそ違えど実力的によくつり合った好試合であった。
 シーバは四肢が短いために,序盤攻勢でも相手が距離をつかみだすととたんに劣勢になってしまう。


Welterweight William Patolino vs. Bobby Voelker
 パトリーノは22歳の新星7勝1敗である。どこを観てるのかわからないような小さな目で相手をよく観ている。おもむろに出す右がよく当たるかとおもえば,接近しての交錯時には左の肘を出してくる。かとおもえば,回転しての肘,膝への関節蹴りなど,ジョン・ジョーンズのような攻めをみせる。


Featherweight Robbie Peralta vs. Estevan Payan
 ペラルタは力もつよく強引に攻めてくるため,それに押されて後退していまったりすると危険な相手だが,あまり頭の良い格闘家ではないという印象。攻めも守りもがむしゃらな力まかせであり,攻めではつよいが劣勢になるとわりと脆い選手である。疲れてしまうと何のみどころも無い選手である。

 一方のパヤンはこれといった特徴のない地味な選手という印象。背中に天使の羽のような刺青がある。ペラルタとは対照的に頭の良さそうな選手である。
 
 ペラルタの爆発をまともに受け止めてしまうとやられてしまう。ペラルタが3Rに見事に爆発力をみせてノックアウトした。

2013年12月25日水曜日

UFC 168: Weidman vs. Silva 2 予想

Middleweight Chris Weidman vs. Anderson Silva
  ワイドマンに敗れて以降も相変わらず注目されるスパイダーであるが,カメラに映る表情など見るに,なにやら雰囲気に丸みの出たかんじさえする。完全に牙をもがれてし まったのか,あるいは前回の敗戦で一皮剥けてさらに高い領域へレベルアップしているのか,この試合を観てみないことにはわからない。
 ワイドマンはワイドマンで王者の風格とともに円熟した感じが出てきているが,初防衛戦は王座挑戦よりも難しいと言われるだけに,どうであろう。

 この試合の予想は,初戦よりも難しいかもしれない。
 なんだかアンデウソンが圧倒するのではないかという気もするし,そうでないような気もする。
 負けて以降,アンデウソンがどういうふうに変化して,どういう練習をしているかなど,気になるところであるが,勉強不足でよくわからない。
 
 というわけで,初回と同様にワイドマン予想。

 アンデウソンが勝てばボクシングの元世界チャンピオンであるロイ・ジョーンズと対戦という話もある。ボクシングの試合をしたら一流のボクサーには敵わないのではなかろうか。


Women's Bantamweight Ronda Rousey vs Miesha Tate
 一発当たれば倒れる,というような打撃を持たない女子では,とにかく相撲とか柔道がつよくて,必殺の関節技を持つ者が強いという印象。
 骨太で頑丈そうなラウジーと比べるとテイトは線が細く,力も弱い。ということでラウジーの勝利予想は揺るがないように思う。

 ラウジー予想。


Heavyweight Josh Barnett vs Travis Browne
 アリスター・オフレイムを前蹴りでノックアウトしたブラウン,ゴンザガを倒した試合をみるにケンカ上手という印象だけれども,腰高で重心が高く,バランスも悪い。
 百戦錬磨の北斗バーネットに敵うとはとても思えない。
 
 不動の北斗バーネット予想
 

Lightweight Jim Miller vs. Fabrício Camões
 寝技対決になるのであろう。
 
 ミラー予想。


Featherweight Dustin Poirier vs. Diego Brandao
 24歳のポエリエと,26歳老け顔のブランダオ。
 メインに次いで面白い試合になるのであないか。

 ブランダオ予想。


Preliminary card
Middleweight Chris Leben vs. Uriah Hall
 ケンカ屋クリス・リーベンが全盛期であれば,リーベン予想!と言いたいところだけど,めっきり下降線上にある今,彼の無防備で距離をどんどん狭めてくるスタイルでは,強い打撃をもったユライヤ・ホールに勝てるとは思えない。

 ホール予想。


Lightweight Gleison Tibau vs. Michael Johnson
 力強い打撃があるようでいてなかなか相手を倒せないティボウと,こないだローゾン相手にいい試合をしてみせたマイケル・ジョンソン。
 ジョンソンはガラスの顎だという印象であるが,ティボウが相手ならば持ち前のスピードを生かして勝てるんでないか。

 ジョンソン予想


2013年12月13日金曜日

UFC on Fox: Johnson vs. Benavidez 2 予想

Flyweight Demetrious Johnson vs. Joseph Benavidez
 どちらも積極的に前に出て突破口を開くタイプであり,スピードもおそらく今の格闘界でトップクラスの選手どうしなのではないか。とてつもなくハイレベルな試合になるだろう。
 この両者とドッドソンの三者でフライ級は三つ巴状態だが,やはりマイティ・マウスが頭ひとつ抜きん出ている印象である。攻撃面における積極性においてベナヴィデスの方が上まわるだろうけど,防御力の高さでマイティ・マウスの方が上か。
 何にせよ楽しみな一戦である。

 判定でマイティ・マウスになるのだろうけど,私としてはベナヴィデズに頑張ってジョンソンを攻略してもらいたい。
 

Bantamweight Urijah Faber vs. Michael McDonald
 これも面白い対戦。
 若いマクドナルドはバラオにこそ勝てなかったものの,打撃主体で思い切って振ってくる,私のお気に入りの選手である。笑顔が少年のように可愛い。はたしてマクドナルドの打撃がベテランで巧者で身体能力に長けたユライヤに通用するかどうか,大いに見物である。

 ユライヤ予想であるが,マクドナルドに思い切って行ってほしいところ。 
 ユライヤに勝てたら,大したものである。


Featherweight Chad Mendes vs. Nik Lentz
 ぐいぐいと積極的に距離を縮めて攻めてくるレンツであるが,メンデスのようなどこからでも強打を出せる選手にとってはやりやすい相手なのではないか。
 
 メンデス予想


Lightweight Joe Lauzon vs. Mac Danzig
 動物愛護の菜食主義者であるダンジグと,ファイト・オブ・ザ・ナイト常連のローゾン。
 ローゾンは前回のジョンソン戦では出来が悪く,キャリアとして下降線に入ったかというような悪い内容の試合をしていた。この試合の内容で今後どうするのかおよその目安になるように思われる。

 期待をこめてローゾン予想。


Preliminary card
Lightweight Danny Castillo vs. Edson Barboza
 ローキックが冴え,反応のよいバルボザが圧倒するのではなかろうか。

 バルボザ予想。



2013年12月7日土曜日

UFC Fight Night: Hunt vs. Bigfoot

Heavyweight Mark Hunt vs. Antonio Silva
 やれハントがパンチ当てるだとか,ビッグフットは足が遅いだとか,くだらぬ予想ゴッコなぞしてた自分が恥ずかしくなるような,まったく今年一番の壮絶な一戦であった。男二匹のオクタゴンの中でのやりとり,黙ってみてろ,というかんじであった。語ろうとすれば語るほど何も伝わらない。
 プロの格闘家の心意気をとことん観させてもらった,という感じである。

 序盤はビッグフットの方がよかった。ガードをしっかり上げ,足をよくつかって距離をとり,パンチは小さくで,明らかにシウバのペースで試合が進んだ。
 ただ中盤にハントの右のストレートが人中に入り,ビッグフットは尻餅をついた。
 そこから試合の流れが変わった。

 今日のマーク・ハントは,肘を多用していたのが印象的であった。しかし肘は相手の皮膚を切り裂くのには有効だが,モーメントが小さいために相手を倒すというふうにはならない。ハントは何度もビッグフットを追いつめたが,ここぞというところで肘を出していた。重量級では肘の一発で相手を倒すことは出来ないようだ。それで判定にもつれたという感じでもあった。ビッグフットはフラフラであり,ガードの上からでも力のあるパンチが一発でも入れば倒れていたんじゃなかろうか。私が悔やんでも仕方がない。
 素晴らしい試合であった。
 
 心配なのは,両者が頭部に受けたダメージである。
 いくら体が頑丈でも,脳が頑丈とはかぎらない。脳障害というのは個人差も大きい。
 ゆっくり静養してほしいものだ。


Light Heavyweight Maurício Rua vs. James Te Huna
 ソネンに破れた後,ショーグンの兄弟のニンジャのインタビューを読んだりしたが,周囲は今のボクシング・コーチにはあまり好意を抱いていないようであった。
 きっとショーグンは周囲からボクシング・レッスンなんてやめろやめろと言われてきたのではなかろうか。それでも志を変えずにボクシングの練習を続けたのではなかろうか。そんなかんじの,待ってましたと言わんばかりの,ショーグンによる渾身の左の一発であった。
 私は馬力のあるテフナが圧倒するのではないかと予想していたが,見事に覆された。

 しかし今日のショーグンはパンチだけでなく,試合開始から動きはとてもよかった。テフナが鈍重に見えた。これがどこまで続くかと思っていたが,続くまでもなかった。ショーグンの見事なカウンターの一発であった。

 ショーグンもマチダの後を追うようにしてミドル級に移るようだ。
 しばらくはミドル級が一番面白い階級になりそうである。


Light Heavyweight Ryan Bader vs. Anthony Perosh
 ぺロシュはまるでちょっと格闘をかじったことのある素人のオッサンのようであった。
 ベイダーといえば一流のレスラーでありアスリートである。総合格闘という舞台ではちょっとした武術家が敵う相手ではないのは,試合を観る前からわかりきったことであった。
 顔面をぐちゃぐちゃにされて,反撃すらできないぺロシュであったが,それでも止めないレフリーは全くどうかしている。


Heavyweight Pat Barry vs. Soa Palelei
 湿気た試合が続いて,ここらでパット・バリーが前時代の格闘試合みたいな玉砕劇でもみせてくれるかと期待したら,なんとフルマウントからのパウンドで失神負けという,予想どおりというか予想以上に前時代的な試合であった。体格差もかつてのPRIDEの興行のようであった。
 はっきりいって観るべきものは何一つなかった。その点でも予想的中。


Middleweight Dylan Andrews vs. Clint Hester
 クリント・へスターはパンチと肘の斬れ味がすばらしい選手であるが,相撲がてんでダメであった。いくら打撃があってもこれでは上へはあがれない。
 
 パンチが交錯した際に不運にもアンドルーズの肩が脱臼してしまった。よくボクシングのコーチが総合格闘の選手をコーチしてて「パンチの打ち方がナッテない」とか言うが,自己流で強振してるとこういう事故にもつながるのだろうか。


Preliminary card
Bantamweight Takeya Mizugaki vs. Nam Phan
 水垣のパンチが妙に遅いように見えたが,序盤からクリーンに当てて判定を制した。しかし今日はバランスの悪さ,スタミナの無さが目立った試合となった。
 ナム・ファンは打たれ強い選手のようで,後半はケロっとしていたが,いかんせん決め手に欠ける選手であったという印象。 


Middleweight Nick Ring vs. Caio Magalhaes
 頭の良し悪しがそのままケンカの強弱に反映しているかのような試合であったが,それでもリングは決め手をもっておらず,こんな相手にも負けてしまう。こんな試合ばかりしていてUFCで闘っていられるのがふしぎなくらいだ。この試合で契約切られるのではなかろうか。

 どっちが勝ったにせよ,つまらない試合であった。
 ニック・リングもつまらない試合の名人だが,マガイェスもそれに輪をかけてつまらない試合をする,あまり頭のよくない選手だという印象。


Flyweight Richie Vaculik vs. Justin Scoggins
 スコギンスは21歳で7戦全勝5KO中の新鋭。ヴァキュリクは9勝1敗の30歳で主にサブミッションで勝ってきてる選手。打撃対寝技の対決になるのであろうか。

 空手家スコギンスは半身サウスポのかまえから横蹴り中段まわし蹴りなど多くだしてきたが,どれもスピードがあった。組んでも腰がつよく相撲がつよくケンカもつよい。
 これはあっという間に上位へ躍り上がるであろう期待の新人だ。

 日本期待の堀口選手も同じ空手家でしかも同じ階級だが,正直ちょっとレベルが違いすぎる感じだ。もちろんスコギンスがはるかに上だろう。


Welterweight Ben Wall vs. Alex Garcia
 ガルシアのアッパーが初回に当たってノックアウト。
 実力差がありすぎてよくわからない試合であった。

2013年12月3日火曜日

UFC Fight Night: Hunt vs. Bigfoot 予想

Heavyweight Mark Hunt vs. Antonio Silva
 強打のマーク・ハントと,要所でダークホースを演ずる意外性男ビッグフットの対戦。
 両者が上位に来れない致命的な欠点はスピードの無さにあるとおもうのだが,この試合においてはお互いに自分の力を存分に出せる,いい試合になるのではなかろうか。
 ハントは足は遅いが反応は悪くないし,踏み込むのも巧い。もちろんパンチは当たれば相手は倒れる。私はハントの一発が当たるのではないかと思う。彼らしい豪快なノックアウトを期待したい。

 マーク・ハント予想。


Light Heavyweight Maurício Rua vs. James Te Huna
 ここのところ思ったように自分の試合ができておらず,負けが続いているショーグンであるが,この試合も私は悲観的である。
 
 ニュージーランドのテフナは,ものすごい強打をもっている。リラックスした自然体の構えから突然に爆発するのが特徴的だが,持久力もある選手である。試合が長引けは長引いたでテフナが有利だとおもう。
 しかしこの試合が長引くとも思えず,ショーグンはテフナの連続した強打につかまってしまうのではなかろうか。早い段階でテフナがショーグンをノックアウトしてしまうのではないかと思う。
 負け方次第では,ショーグンは引退すべきではなかろうか。

 テフナ予想。 


Light Heavyweight Ryan Bader vs. Anthony Perosh
 何なのだろうこのカードは。ベイダーに勝たせようという試合なのか。

 ベイダーはこのところ負けが続いているとはいえ第一級の選手である。
 ぺロシュはもう42歳になる選手であり,パンチへの反応も鈍い。彼が全米を代表するアスリートのベイダーに敵うとはおもえない。

 ベイダー予想。


Heavyweight Pat Barry vs. Soa Palelei
 不器用なスラッガー同士の対戦,前時代の殴り合いのような試合で,一発先に当てた方が勝つのだろう。あんまり興味がない。

 どうでもいいが,パレレイ予想。



Preliminary card
Bantamweight Takeya Mizugaki vs. Nam Phan
 もはやUFC常連でありかつ連勝している水垣選手であるが,いまだに前座での試合というは残念である。
 ヴェトナム系アメリカ人のナム・ファンであるが,柔術や柔道など一通りやっているようだが,格闘ではよく伸びるパンチを主体に攻め,ふしぎな当て勘をもった選手である。

 水垣選手の方が足も速く,思い切りもよいので,圧倒できるのではないかと思うが,このナム・ファンという選手も不気味である。不用意なパンチをもらうと苦しくなるのでは。

 水垣予想 


2013年11月17日日曜日

UFC 167: St-Pierre vs. Hendricks

Welterweight Georges St-Pierre vs. Johny Hendricks
 当初二つのシナリオを考えていた。
 ひとつは,強打と爆発力,そしてレスリングに長けたヘンドリクスが,勢いでGSPを圧倒してしまうだろうというもの。そしてもうひとつは,総合力と体格差そして経験で勝るGSPが終始優位に試合を進めるであろうという予想。
 どちらの予想も見事に外れた。僅差の判定であったが,この勝負を決定付けたのはGSPの強い闘志と,最後まであきらめぬ精神力だったといえるのではなかろうか。
 
 採点で割れていたのは初回であり,どうやら二人の審判が打撃攻勢よりテイクダウンを高評価したようであった。私は,正直いってどちらでもよいと思った。判定なんてそんなものだろう。

 私の目には,ヘンドリクスが終始攻勢に見えた。
 彼の強いパンチが何度か当たりもしたし,かなり効いたものもあった。相撲でもグラウンドでも常にいいポジションをとり,内容的にもGSPを圧倒した感じさえあった。ただし詰めが完全ではなかった。5Rという長丁場を意識してか,体力を一気に使い果たさぬようペース配分に気を遣っているという様子であった。
 最終ラウンドにもっと闘志をアピールして,その回を割れた判定にまでもっていっておれば,ヘンドリクスが勝っていたかもしれない。それが出来なかったのであれば,やはり彼の負けなのではないか。

 一方,GSPは劣勢ながらも常に休むことなく手を出し続け,また軽いパンチながらよく当てていた。何度か危ない場面もあり,満身創痍であったが,最後の最後まで試合を投げることなく,あきらめず,最終ラウンドでは自分のラウンドにしていた。とてつもない精神力である。
 ヘンドリクスの攻勢は攻勢として評価したいけれども,3Rで力を抜いていたのが目に見えてわかった。5Rでは明らかにダレていた。初めから最後まで闘志むき出しで闘うことに集中していたGSPの表情の方がつよく記憶に残った。GSPの闘う様を観ているだけで十分すぎる感動であった。
  
 GSPは満身創痍で顔面を何針も縫う大怪我をしてたというのに,それでもちゃんと正装して,記者会見の席についた。質問に対する回答も真摯であり誠実なものだった。それなのに誰も彼を褒め称え賞賛の声すら無かったというのは,まったくどうかしてる。二言目にはネバダ州のコミッションがどうのこうの。
 糞くらえ,である。

 ヘンドリクスは言う。
「誰が相手だろうが関係無い,とにかくあのベルトが欲しい。絶対自分のものにする」
 それはそうだろうし,彼の再起には期待はしているし,いつかきっと獲るであろう。
 でも私に言わせりゃ,ベルトなんて誰が持っていようがどうでもいい。私は試合で素晴らしいファイティング・スピリットが観たい。昨日のGSPの最後まで諦めない不屈の闘志,それだけで十分に大感動であった。
 審判の採点なんて,全くもって,どうだっていい。
 勝ち負けや採点についていつまでもぶつぶつ言っている格闘ツゥの気分というのは,私にはあまりよく理解できない。


Light Heavyweight Rashad Evans vs. Chael Sonnen
 二人とも試合がやりづらそうであった。
 ミドル級の頃は彫り込んだような体をしていたソネンであったが,今夜は腹部の肉が弛んでいた。エヴァンスの方がはるかに充実しているふうだった。
 
 終ってみれば,あっけなかった。エヴァンスのラッシュでソネンは戦意喪失。
 試合前からソネンは影が薄かったようにさえ感じたが,やはりやりにくかったのであろうか。


Welterweight Rory MacDonald vs. Robbie Lawler
 距離のとり方も打撃もレスリングもうまい天才肌のマクドナルドを私は予想をしていたが,やや危険に対して慎重すぎるところがあった。一方のローラーはどんどん前に出てしっかり確実に打撃を当ててきた。マクドナルドは華奢な顔立ちであり,そこへローラーの強打である。当たれば当然効く。
 マクドナルドも最後まで諦めずに頑張り判定にまで持ち込んだが,はっきりとローラーが勝っていた試合であった。


Welterweight Josh Koscheck vs. Tyron Woodley
 速い打撃に対して反応が鈍いコスチェックに対して,ウッドレイの強打が面白いように当たった。それでも勝負師コスチェックは前に出て行った。勇士であった。
 最後はウッドレイのこれでもかという渾身の右が顎にまともにあたり,完全なノックアウトであった。

 コスチェックはこれで引退だろう。


Flyweight Tim Elliott vs. Ali Bagautinov
 イチロー選手によくにたバガウチノフは,つねに後ろに下がりながら相手の出鼻を狙って強打を放つ選手。打撃は速く相撲もつよい好選手である。今回は相手が悪かったかんじであった。
 ノーガードで変則的なスタイルのエリオットは最後までバガウチノフを苦しめていた。好試合であった。
 

Preliminary card
Lightweight Donald Cerrone vs. Evan Dunham
 スピードで勝るセローニが序盤から攻勢に。組み合ってもセローニは実にねばりづよい腰をもっており簡単には倒れない。カウンターでボディーでの膝がよく当たり,セローニのペースで試合が進む。最後は得意の三角締めで,セローニの独壇場であった。ダナムはまったく良いところが無かった。


Middleweight Ed Herman vs. Thales Leites
 大した試合内容でもないのに2回終了あたりでもう両者の息があがってしまい,まったく面白くない試合であった。


Welterweight Brian Ebersole vs. Rick Story
 サウスポーながら優等生のようなスタイルのリック・ストーリーとは対照的に60戦以上の戦績をもつエバーソウルは変則的なスタイルである。
 エバーソウルは誰よりも格闘が好きなのだろうし,タフネフも,ショーマンシップにおいても一流なんだろうけど,アスリートという資質において既に前時代の選手になりつつある感じであった。


Bantamweight Erik Perez vs. Edwin Figueroa
 前回水垣選手に敗れたペレズは,相打ちをよく狙う選手で相手の懐に潜りこむようにして大胆なパンチを出す,なかなか見ごたえのある試合をする23歳の若い選手である。
 見せ所をつくるのも巧く,打撃だけでなく豪快なスラムなども見せた。
 

Bantamweight Will Campuzano vs. Sergio Pettis
 才能あふれる若き20歳ペティスのUFCデビュー戦であったが,判定ながら見事に勝利をものにした。
 わりとマットを背にする場面が多かったが,よほど寝技にも自信があるのだろう。
 ノックアウトにはならなかったが,打撃に隠された斬れ味は抜群であり,これからもっともっと強くなってゆく選手だろう。

2013年11月13日水曜日

UFC 167: St-Pierre vs. Hendricks 予想

Welterweight Georges St-Pierre vs. Johny Hendricks
 待ちに待った久しぶりのGSPの登場である。相手は強打のレスラー,ヘンドリクス。
 GSPは靱帯断裂で長い間欠場していたが,コンディット戦ディアズ戦で彼の実力も根性も遜色ないということが示された。
 一方のヘンドリクスは,得意の左の強打と過去のアマチュアレスリングの実績が強調されがちだけど,これまでの試合ぶりを観るに一流アスリートらしく実に眼がよくて,反応の速い選手であることがわかる。相手のわずかな一挙一動に必ず反応している。彼の強さの秘密はそこらへんにもあるように思う。ヘンドリクスは顎が頑丈だと言われるが,打たれ強いというのは,とくに首や顎が丈夫であったり三半規管がつよいとかいうのでなく,相手の打撃がよく見えているということであり。パンチが思いもよらぬところから飛んできたとき人はノックアウトされる。

 GSPとヘンドリクス,両者ともに打撃をもった選手だが,いずれも相手の出方を待ってカウンターを狙うタイプではなく,先手先手と積極的に攻めて突破口を開いていくタイプである。
 ヘンドリクスの一番の武器といえば何といっても左の強打だろう。左を出すとわかっていても,左,左,そして左,と連続して出してくる。その爆発力で相手を圧倒してしまえる強みがある。
 打撃といえば,GSPの方がはるかに多彩である。左右のパンチ,蹴りと,どれもフェイントを交えて出てきて,どれがどのタイミングで出てくるかわかりにくく,それがまるでチェスの攻めのように流れるような組み立てで一気に出てくる。
 この両者が打撃戦をした場合,当然先手をとった方が有利になるのだろう。ヘンドリクスが勝つためには,捨て身でも先手を取って前に出てゆくことであり,フェイントの応酬でうごきが止まって相手の出方をうかがってしまうようだとGSPのペースとなり翻弄されてしまうだろう。
 一方,GSPが打撃で主導権を握るには,真っ直ぐのパンチを小刻みに出してヘンドリクスを前に出させないことだろう。強打に圧されて下がったり,あるいはつけ入る隙を与えるモーションの大きな捨て蹴りなどは禁物である。

 組んでグラウンドになったらどうであろう。テイクダウン能力は五分五分か。
 ゴリラのような背筋をもつヘンドリクスのはパワーあふれる感じだが,必ずしも力任せという感じでもなく,タイミングよく実に巧い。が,テイクダウンをとろうとする時の動きにややクセがある。やはりGSPの方が相手の出鼻にタイミングよく決める斬れ味があるように感じる。
 ヘンドリクスはグランドで良いポジションを取るのも上手な選手だが,四肢が短いがために,ねちっこく相手を虐められるタイプではない。寝技の展開になればGSPの方がはるかに意地悪であり,虐待テクニックも一枚も二枚も上手であることは間違いないようにおもう。
 よってヘンドリクスとしてはグラウンドで長居はしたくないであろうし,逆にGSPとすれば相手を寝かしてしまえばぐんと自分に有利な展開になるであろう。

 というわけで,私は以前ツィターにおいてヘンドリクス予想,と何度も書いてきたが,じっくり考えれば考えるほどGSPが有利であると言わざるを得ない。
 ヘンドリクスの方がイキオイがあるかもしれないし,ヘンドリクスが勝つとしたらそのイキオイに乗った場合であろう。だけどイキオイなんてのでは予想にならない。

 よって,これまでの発言を覆して私はGSP予想...
 と言いたいところだが,しかし,考えこんで最初の直感予想を撤回してかえって予想をはずす場合も多く,それはクヤシイので,ここは初志貫徹でヘンドリクスでいってみたい。
 ヘンドリクス予想。
  

Light Heavyweight Rashad Evans vs. Chael Sonnen
 ともに解説などで一緒になる二人であるが,どちらもレスリングの強い選手である。
 ラシャドはリョートにやられて以降,距離をとるようになり,思い切って踏み込むということをあまりしなくなった。
 ラシャドが離れて弱いパンチを出し,ソネンは執拗に組みに行き,で膠着した試合になるのではなかろうか。ただレスリング試合になればまだ下半身に力のあるラシャドの方に分があるように思う。

 判定でラシャド予想。
 

Welterweight Rory MacDonald vs. Robbie Lawler
 若い強打者どうしの対戦,これは見ごたえのある一戦になるであろう。
 いま一番王者に近い存在は私はヘンドリクスでなくて,この若いマクドナルドだと思っている。左のリードブローがよく伸びるし,距離が近ければそれが肘となり,ボディーへのアッパーとなる。相撲もつよい。

 よってマクドナルド予想。


Welterweight Josh Koscheck vs. Tyron Woodley
 前回ローラーの強打をまともにもらったコスチェックだが,今回の相手も似たような強打者である。

 ウッドレイ予想。
 

Flyweight Tim Elliott vs. Ali Bagautinov
 コンバット・サンボの世界チャンピオンであるバガウチノフは28歳。総合格闘で活躍する他のコンバット・サンボの選手をおもうに,これまた強そうな選手がロシアからやってきたものだ。
 ティム・エリオットもドドソンに判定で敗れはしたものの,次の試合でファイト・オブ・ザ・ナイトを獲得したこともある好選手である。これは楽しみな一戦となりそうだ。
 
 バガウチノフ予想。
 

Preliminary card
Bantamweight Will Campuzano vs. Sergio Pettis
 まだ20歳ながら全勝中のペティスに期待したい。一方のキャンプザノは日本の所英男選手といい勝負をしたらしい。

 ペティス予想。

2013年11月9日土曜日

UFC Fight Night: Belfort vs. Henderson

Light Heavyweight Vitor Belfort vs. Dan Henderson
 ヴィトーは相変わらずヘンな髪型であった。ヘンドーの方が背が高いような印象であったが,意外にもヴィトーの方が背が高かった。
 始まってみればあっけなかった。ヘンドは小さな右から入るのはよかったが,接近したときに相手を見ていなかった。一方のヴィトーはよく見えていた。顔を伏せていたヘンドにヴィトーの左のアッパーがまともに入り,ダウン。その後もつれるも,ヘンドの立ち上がりざまにヴィトーの左のまわし蹴り,アゴにまともに入った。ヘンドは大の字で倒れるも失神したわけではなかったようだ。が,そこで終了。妥当なストップでしょう。

 最初のアッパーをもらう前,どうしてあそこでヘンドが固まってしまったのかよくわからないが,経験上ここでは相手の強いパンチは飛んでこない,というふうに見越していたかのか,あるいは左へ行くとおもってたベウフォートが右へ回ったために戸惑ったのか。
 いずれにせよヒョードルがヘンドにやられたときのアッパーとやや似た角度でもあったのが皮肉であった。

 ヘンドはこれで引退だろう。
 長い間いいファイトを見せてくれてありがとう。


Middleweight Cezar Ferreira vs. Daniel Sarafian
 ずんぐりしたサラフィアンと手足の長いファフェイラの対戦,ともにブラジリアン。
 テイクダウンの多かったフェレイラがポイントを稼いだが,どちらも決め手に欠ける試合であった。
 


Light Heavyweight Rafael Cavalcante vs. Igor Pokrajac
 重々しいライト・ヘビー級の試合であったが,フェジャオが膝を当てて試合を決めてしまった。
 膝のとくいな選手にタイ・クリンチをさせてしまうと,どんなにガードしてももう成す術がないという感じである。
 

Welterweight Brandon Thatch vs. Paulo Thiago
 キックボクサーのブランドン・ザッチは11勝1敗の新星28歳。勝ち星のすべてが1Rという,文字通りの全身凶器という感じであった。この試合を決めたのも強烈な膝の一撃,チアゴの肝臓であった。
 打撃主体の選手だけれども,バランスがよく相撲もつよい。これは面白い選手である。ウェルター級上位を脅かす存在になるのではないか。


Middleweight Omari Akhmedov vs. Thiago Perpétuo
 パペトゥオのパンチが開始早々に当たり,早い段階で勝負がつくかとおもったが,アクメドフがむしゃぶりついてうやむやにして組み合いに。それでも終始パペトゥオが攻勢にみえたが,ふらふらで下がりながらアクメドフがカウンターをあて,顔を伏せた相手にさらにアッパーを当てての逆転ノックアウトであった。全勝中のロシアのアクメドフ,大変タフな選手である。
 

2013年11月7日木曜日

UFC: Fight for the Troops 3

Middleweight Tim Kennedy vs. Rafael Natal
 開始早々はナタールの方がよかったとおもった。うまく距離をとっていたし,ケネディーがでてくればタイミングをうまくはずしていた。またケネディーが硬いようにも思われた。現役軍人の前で必勝を期待され緊張してたのかもしれない。
 そしたら初回終盤,ケネディーが踏み込んで,そこからさらに伸びるような左フック一閃。その一発であった。
 どうやら練習してきたパンチだったらしい。距離をつかんだとおもっていたナタールだったが,背後がケージで下がりきれず,ガードする間もなく,まともに頬げたにもらってしまった。
 もっと血みどろなグリーンベレーらしい試合になるかと思っていたが,なんだか意外な結末であった。


Women's Bantamweight Liz Carmouche vs. Alexis Davis
 カームーシュは体幹にちからがみなぎっており強そうに見え,一方のデイヴィスはふにゃふにゃしたパンチで体もなよなよとしていたため,これはカームーシュで決まりだろう,と思って観ていた。
 が,柔よく剛を制すといった感じというか,デイヴィスが独特のスタンスからじわじわとプレッシャーをかけ続け,膝の内側を狙った蹴りでもってコツコツとカームーシュを攻略しては,随所でパンチも当て,見事に判定を自分のものにした。
 非常に勉強になる,とても良い試合であった。


Middleweight Ronny Markes vs. Yoel Romero
 足腰がしっかりして全身バネのようなロメロが速いジャブをよく当てて,マーケスを圧倒したかたちとなった。筋肉質なパンチで,さほどにスピードが感じられないものもあったが,下半身の土台のしっかりした打撃というのは当たれば効く。
 元五輪選手だけにタックルにくるかと思ったが,相手のうごきを見切ったかんじのロメロは打撃で攻めた方が有利と悟ったのだろうか,最後までパンチ主体で攻め,またよく当て,最後はノックアウトした。見事であった。
 これまで沢山の大一番を経験してきた選手だけに大きな会場でも終始落ち着いて試合を進めていたのも印象的だった。こういう下半身のしっかりして,かつ運動神経もよく,精神も安定した選手を倒すのはなかなか容易ではなさそうだ。ロメロの参入でミドル級がますます面白くなってきた。
 

Lightweight Jorge Masvidal vs. Rustam Khabilov
 前回のスープレクス三連発の印象がつよかったために私は不動のラスタム・カービロフ予想であったが,マスヴィダルもとても良い選手であった。とても内容の良い試合となった。ファイト・オブ・ザ・ナイトをとった試合である。
 序盤からカービロフが右のオーバーハンドをよく当てており,これは早い段階でいいのが当たって決着がつくかなと思って観ていたが,マスヴィダルは相手の強いパンチを恐れず前へ前へとプレッシャーをかけ続け,またパンチもよく見えてきて,試合は面白くなっていった。
 マスヴィダルは打撃に対して勇敢だったが,相手にバックを取られたときのスープレクスを恐れてのあわてぶりは印象が悪かく,やや残念であったかもしれない。判定で得点差がついたのはそういう部分があったからかもしれない。
 最終回にカービノフが見せた後ろ回し蹴りで勝負が決定的になった感じであった。あれはあてずっぽうの蹴りでなく,体を回転させた後で当てんとする標的をしっかり見さだめて狙って蹴っていた。しかしその後のラッシュでカービロフが疲弊してフラフラになってしまったのがやや残念であり今度の課題かと。
 

Lightweight Colton Smith vs. Michael Chiesa
 組めば体格で勝るキエサがやはりつよい。
 ケージ際でもつれたところからキエサが体をあずけつつ強引な小手投げをみせ,スミスは受身をとれずに脳天から着地。それが効いてしまったようだ。
 その後すかさずスリーパーに極めたキエサが安定した強さをみせた。
 対照的な両者の見ごたえある試合だった。

Preliminary card
Lightweight James Krause vs. Bobby Green
 全般的にうごきの速いグリーンが優勢であった。何度か金的に蹴りが入ってしまいそれで中断し,最後もベルトラインへの蹴り,クラウスが低いとアピールしたけれどもキックによるダウンととられ,試合終了。
 なんともつまらない終り方であった。


Middleweight Chris Camozzi vs. Lorenz Larkin
 キックボクシングのような試合であったが,ラーキンのよくのびる右ストレート,ジャブ,伸び上がるような右のアッパーが良かった。蹴りも回転しての後ろまわしげりを下段に放ったりする。ジョン・ジョーンズのような回転しての肘なども。打撃中心だがクリエイティブで瞬発力のある好選手である。
 一方,ニック・リングに勝ったこともあるカモジは,内股への蹴りが良かった程度で,あまり特筆すべき点は見当たらなかった。

 
 

2013年11月5日火曜日

UFC Fight Night: Belfort vs. Henderson 予想

Light Heavyweight Vitor Belfort vs. Dan Henderson
 どちらも強いパンチをもった選手だが,ボクシングの上手さにおいてはベウフォートの方が一枚も二枚も上手だろう。ヘンドが右の一発はまず当たらないであろうし,打撃主体の試合になればベウフォートに分があるのではなかろうか。老いて反応の鈍くなってきてるヘンドとくらべれば,パンチが速くて柔術もできるベウフォートの方が強いように思う。

 ヘンドが早い回からタックルに行ってレスリングで挑めば有利な展開に持ち込めるかもしれない。でも彼は年齢的にも判定試合は不利であろうし,やはり彼が勝つとしたら得意の強打が当たったときではなかろうか。H-Bomb こと得意の右を狙ってくるとしたらベウフォートの速いパンチでなく,蹴りを出してきたときに合わせて出すべきか。しかしベウフォートは当然ヘンドの右を一番に警戒してくるであろうし,なかなか難しいように思う。
 打撃でヘンドが勝てるとしたら,タメのこもった強い一発パンチによるものでなく,フョードルを倒したときのような虚をつく一発,あるいは接近して足を止めての意地の張り合いパンチの応酬のようなケンカ・ファイトによるものではなかろうか。

 てなわけで私は判定でベウフォート予想。


2013年11月4日月曜日

UFC: Fight for the Troops 3 予想

Middleweight Tim Kennedy vs. Rafael Natal
 いかにもケンカ慣れした元職業軍人グリーンベレーのティム・ケネディーが圧倒するのではなかろうか。
 ネイタルは柔術がかなり出来るようだが,ケネディーは前回ホジャー・グレイシーを見事に攻略している。

 ここは不動のケネディー予想。


Women's Bantamweight Liz Carmouche vs. Alexis Davis
 ロンダ・ラウジーをあわやという所まで追いつめたカームーシュとデイビス,いずれもボクシングのうまいコーフマンに敗れている。女子はまだまだ混沌としており正直よくわからない。

 カームーシュの前回の試合の印象が良かったので,ここはカームーシュを予想したい。


Middleweight Ronny Markes vs. Yoel Romero
 オリンピアンと若いブラジリアンの対戦で,ある意味面白い一戦かと思う。
 ヨエル・ロメロはキューバ出身のレスリング・フリースタイルの元世界チャンピオンで,シドニー五輪の銀メダリストである。見事な大胸筋が印象的であるが,すでに36歳でもある。
 一方は25歳で14勝1敗のロニー・マーケスは,力任せなやや雑な攻めをする選手であるが,膝への攻め方などみてると実にイヤラシいところもある。ブラジル選手にありがちでスタミナにやや懸念あり。

 どちらの力量もあまりよくわからないのだが,発達した大胸筋をした格闘選手にはあんまり強いのはいない,という私の自説をとってここは若く荒削りなマーケスを予想したい。


Lightweight Jorge Masvidal vs. Rustam Khabilov
 コンバット・サンボの達人カービロフは注目の選手である。ピチェル戦ではジャーマン・スープレクスを三発も放って相手を完全にグロッキー状態にしていた怖ろしい選手である。打撃もなかなかするどいリードブロウを放つし,相撲も強い。王座を十分に狙える選手であると思う。

 不動のラスタム・カービロフ予想


Lightweight Colton Smith vs. Michael Chiesa
 25歳で9勝1敗,ライト級では長身,アメリカのなすびもしくは麻原彰晃ことマイケル・キエサに注目したいところ。天性の慎重さで達観した素人のオッサンが血気にはやる若者をたしなめるようなそんな闘い方をする。
 一方,海兵隊あがりのコールトン・スミスはキエザとは対照的な「がむしゃら男」なスタイルで,ぐいぐいと前に出てくる選手。これは面白い試合になるだろう。

 キエザの巧さに期待してキエザと予想したいところだが,前回わりとあっさり絞め落とされている。
 正直わからない。
 しかしキエザ予想としておく。
 

Preliminary card
Lightweight James Krause vs. Bobby Green
 クラウスは頻繁にスタンスをスイッチさせ,変化に富んだパンチと蹴りをもった選手。カポエラのような変則的なキックを出してきたりもする面白い選手である。
 一方のグリーンも頻繁にスタンスをスイッチしたり,足をそろえたまま相手と対峙したりするが,変則的なのは表面だけで,中身はいまひとつという前回の印象。ただ戦績は豊富でありその経験は十分評価に値する。

 試合の面白いクラウスの勝ちに期待


2013年10月23日水曜日

UFC Fight Night: Machida vs. Munoz 予想

Middleweight Lyoto Machida vs. Mark Muñoz
 ライトヘビーにおいては王座にいつでも挑戦できるところにいた町田と,強い相手にはなかなか勝てない壁があり中堅どころに定着しつつあるムニョスとでは,明らかなレベルの差があるんではなかろうか。
 一流の元アマチュアレスラーであるムニョスであるが,町田の相撲の強さも一級品であり,そう簡単にテイクダウンはとれないと思う。打撃戦となれば町田は空手家であり,カウンターの天才である。ムニョスが勝てるとは思えない。

 不動の町田予想。


Lightweight Ross Pearson vs. Melvin Guillard
 ライアン・クトアとステロポロスを豪快にノックアウトしたピアソンの印象は強い。
 ギラードは外見とは裏腹に意外と弱い。ピアソンがギラードを倒してしまうのではないか。

 ピアソン予想


Light Heavyweight Jimi Manuwa vs. Ryan Jimmo
 13戦全勝12KOというとほうもない戦績のジミー・マヌワ,突進してものすごいハンマー・パンチを振ってくるのだが,パンチを振ったときのバランスが悪いのが気になる。また距離のとり方も雑なようにおもわれる。彼の華々しい戦績は単にこれまでの相手が弱かったからではなかろうか。私はまだ彼のつよさには疑いをもっている。
 一方,18勝2敗の空手家ライアン・ジモ,こちらも強打の選手だが,やや重々しく動きに機敏さが足りないという印象。
 打撃戦になるであろうし,先に当てた方が勝つのであろう。倒し方によっては,王座挑戦も視野に見えてくるのかもしれないが,いずれの選手もさほど強くもないのではないか,と私は見てる。

 マヌワ予想。


Lightweight Norman Parke vs. Jon Tuck
 徳留を手玉にとった北アイルランドのノーマン・パークが,プロ柔術で7戦全勝中のジョン・タックと当たる。タックは前に中国の選手となかなか見ごたえのある試合をしていた。どちらもいい選手であり,好試合になると思われる。

 パーク予想 


Preliminary card
Middleweight Luke Barnatt vs. Andrew Craig
 テキサス野郎アンドリュー・クレイグはエンジンがかかるのにやや時間がかかるタイプだが,クレバーな選手である。接近戦でも真っ直ぐのパンチがよく出せる選手である。
 一方,イギリスの長身ルーク・バーネットは6戦全勝中の25歳。やや不器用でバランスもくずされやすいという印象。体格で恵まれるも格闘技という点においてはクレイグの方がはるかに高いところに到達している感じである。
 
 よってクレイグ予想。


Women's bantamweight Rosi Sexton vs. Jessica Andrade
 頭脳明晰でぽっちゃり丸顔,つぶらな瞳のセクストンは私の好みのタイプだが,そんなことは言ってられない。これは格闘の試合である。
 まだ無知であるために女子選手の予想は難しいが,ここは当然セクストンを応援したいところ。

 セックストン予想。

2013年10月20日日曜日

UFC 166: Velasquez vs. Dos Santos 3

Heavyweight Cain Velasquez vs Junior dos Santos
 この試合にかけるシガーノの意気込みは相当なものであると思ったが,それ以上にヴェラスケスが燃えていた。
 場内コールのときにドスサントスは前に出て相手をマットに倒すしぐさをするのだが,なんとヴェラスケスもそれにあわせて前進,立ちはだかるようにしてシガーノを睨みつけていた。昔の北天佑と千代の富士の睨み合いのようであった。観ている方が怖くなるほどの壮絶な試合になるであろうことが,始まる前から見て取れた。両者ともコンディションは万全である。

 開始早々に突進して相打ち,かと思いきや,どうやらシガーノのフックが先に当たったようであった。シガーノが優位に立つかと思いきや,ヴェラスケスは引かずにぐいぐい前進して,近距離から真っ直ぐのワンツーを出してくる。テイクダウン狙いで足をとったかと思えば,上へワンツー。ケージに寄せても休むことなく相手の膝を膝で攻め,離れ際にパンチ。開始早々の一発でどうなるかと思ったが,ラウンド終盤にはもう完全にヴェラスケスのペースとなっていた。

 回が進むごとに,両者の実力差は歴然としていった感じであった。所々でシガーノもタイミングのいいパンチや肘を当てるのだけど,ヴェラスケスはそこで下がらずに,もたれかかるようにして前へ前へと出て,休まず攻めてゆく。全くすごい勝利への執念である。

 三回に山場が訪れた,ヴェラスケスのいいパンチが当たり,シガーノは棒立ちのままノックアウトされる格好となり,ヴェラスケスがさらに追撃して,パンチがまともに顔面に入っていた。あきらかに決着がついていた。
 そこで試合を止めて欲しかった。
 レフリーのハーブ・ディーンは,止めようとして手を挙げかけたのだが,もみ消した。これは好判断ともいえるし,あるいは最悪の判断ともいえる。
 シガーノは立ってはいるものの完全にふらふらであった。それでも試合は続行された。
 
 シガーノに対するドクターのチェックも実にいいかげんだったようにみえた。医師の質問や指示をシガーノはまったく理解していなかった。それにもかかわらず,最後に「Are you OK?」と訊かれて「OK」と言い,それで結局続行。一体何のためのドクター・チェックなのか。
 シガーノもヴェラスケスも,稀有の才能をもった選手であり,こんなふうな潰しあいをさせるべきではなかったのではないか。

 試合後,シガーノは「What can I say? He just beat me up」と笑いながらあっけらかんと語ってた。最高の試合といえば最高の試合だったかもしれないが,私は単純には喜べず,むしろ悲しいような,複雑な気持ちになってしまった。

 勝因はヴェラスケスの前進力と回転力,そしてなにより高い心肺能力だったろう。


Heavyweight Daniel Cormier vs. Roy Nelson
 予想どおりの試合展開であった。コーミエはネルソンの危険な距離には長居せず,出入りを工夫してネルソンからは有効な打撃は一発ももらわずに最後まで丁寧に試合を進めた。
 組み合いでも,コーミエは相手の側面にぶらさがるように体重をかけて,自身の体力を節約しつつ相手の動きを封じ,実に上手に相手の体力を奪っていた。地味な試合であったけど,見るべき所は沢山あった。

 メレンデズとサンチェスの壮絶な死闘の直後だっただけに,やや退屈に感じたファンも多かったようだけど,コーミエはしっかり自分の明日へつなげる仕事をしたといえるだろう。
 一方,ネルソンは,いくら一発があったとしても,あんな垂れ下がった腹をしていては,まず上へは上がれない。ローブローでも何でもないコーミエの膝を,急所に当たったかのようにアピールして時間を稼いで休んたりしていた。こういうことを始めたら,もうそろそろ引退を考えるべきであろう。


Lightweight Gilbert Melendez vs. Diego Sanchez
 誰もが予想したとおり打撃技術においてメレンデズが歴然と上まわっていたが,サンチェズが歯を食いしばっての鬼神のような頑張りをみせ,血みどろの大死闘となった。サンチェスの根性はハッタリでも何でもなく本格的にすさまじい闘魂であった。
 メレンデスの打撃技術の高さは一級品であり,序盤にボディーを狙って打っていたストレートが有効であった。一方,サンチェスの序盤のミドルへのキックもまた強烈であった。  
 終始メレンデズが攻勢であったが,要所要所でサンチェズのアッパーや相打ちがまともに入り,あわやという場面もあり,最後まで目が離せない死闘であった。
 

Heavyweight Gabriel Gonzaga vs. Shawn Jordan
 試合前はジョーダンがとてもいい表情をしており,どちらが勝つかまったくわからなくなった。
 が,ふたを開けてみれば,予想したとおり歴然とした実力差があった。ゴンザガが相手のパンチをもらいながらも,冷静に次のパンチにカウンターをあわせ,見事にジョーダンを倒した。
 

Flyweight John Dodson vs. Darrell Montague
 ドドソンの顔つきは試合前後と試合中とでまるで別人のようである。試合中は眉目が別人のようにりりしく,理知的である。

 スピードと打撃力でドドソンが圧倒した。予想は的中である。
 序盤モンテギューもドドソンの出鼻にタイミングよくパンチを出していた。しかしスピードでワンランク上のドドソンは,捨てパンチを出して相手の反応を誘いそこを迎え打つなど,まったく別次元の速さであった。

 序盤からドドソンの強力なパンチが当たり,もう勝負が決まるかという場面があった。が,落ち着いて相手の顔をじっと冷静に観察しつづけ,決してあわてて攻めることをしなかった。デメトリアス・ジョンソンとの対戦で敗れて以降,またさらにもうひと回り強く成長したかんじである。
 ドドソンのこの次が楽しみである。また近いうちに王座に挑戦するのだろう。


Preliminary card
Middleweight Tim Boetsch vs. C.B. Dollaway
 ボウチの方は序盤からパンチのたびに体が流れ,あまり良くなかった。
 一方のダラウェイはとても慎重に闘っており,いいかんじであった。しかし挑発行為までしてみせるとは意外であった。
 
 残念ながら,ダラウェイの指がボウチの目に入るアクシデントが二回連続して減点があった。この減点が大きく判定に響いたようである。
 判定で私の予想どおりボウチ勝利であったが,内容的には私の予想は外れダラウェイの方が良かったように思えた。


Welterweight Nate Marquardt vs. Hector Lombard
 マーコートは最近どうしちゃったのだろう,という感じである。こないだストライクフォースで王座から陥落して以降,試合するたびに弱くなっていってる感じである。
 今日も,相手の打撃から逃げるようにして身をかがめ際に側頭部に力強いフックをもらい,そのまま一気にパンチでたたみかけられ勝負がついた。

 ここのところ冴えない試合の多かった両者であったが,ロンバードの方は得意の強打が見事に当たり,今後につながる会心の勝ち方であったろう。
 マーコートはこれで引退ではなかろうか。


Women's Bantamweight Sarah Kaufman vs. Jessica Eye
 コーフマンは体重のよく乗った綺麗なストレートを放つ選手である。
 が,アイが終始丁寧で慎重に闘っていた。距離を上手にとり,柔軟な体を生かしてコーフマンの強打を不発にしていた。
 きわどい試合であったが,私の予想ははずれ,アイが勝った。


Lightweight George Sotiropoulos vs. KJ Noons
 ヌーンズは左ジャブのボディーを序盤によく当てていたし,打ち合いになればヌーンズの方が勝気であった。一方,ソティロポロスはやや打たれ弱いところがあるという印象であった。最後までヌーンズの土俵であるボクシングで勝負させられたのは,ヌーンズのテイクダウン防御が優れていたからだろう。
 
 かといってヌーンズの出来が良かったかといえば,必ずしもそうでもなく,パンチを打った後に体が流れる場面が多かった。私はソティロポロスの方が上手だったように思えたが,当てた手数で上まわったのだろう。ヌーンズが勝った。

 
Welterweight TJ Waldburger vs. Adlan Amagov
 アマゴフという選手,力あり,打撃よし,バランスよしで,かなりの好選手である。
 至近距離で回転しての後ろ蹴りを腹部に当てていたが,その回転は並みの速さではなかった。そこから組んで膠着かと思いきや,組んだ状態からの左フック,手打ちのようでいて,スロー再生でみると足を踏んばり体を小さく回転させて,しっかり全身の力を拳に伝えていた。その一発でウォルドバーガーの意識は飛んでいた。
 倒されたウォルドバーガーはしばらく立ち上がれず,担架に乗せられて病院直行だったらしい。

 おそろしくケンカのつよいロシア人,アドラン・アマゴフ27歳,今後のウェルター級が楽しみになるような面白そうな選手である。


Bantamweight Dustin Pague vs. Kyoji Horiguchi
 期待の堀口恭司選手が見事にUFC初戦を制した。相手から距離をとって回りつつ,おもむろに入ってきて捨て身で強いパンチを当てるスタイル。
 初回では相手にそのまま捕まってしまった。まともに投げられてしまう場面もあり,今後に課題があるとしたらそこらへんだろう。
 
 二回には開始早々から距離をとるかと思いきや,すぐに積極的に入ってきて,右から入るワンツー。左の強いパンチをまともにペイグの顔面に入れて,それが勝負を決めていた。初回にやや懸念された相撲力も,二回では別人のように強くなっており,文句のつけようもなかった。初回はさすがに緊張していたのであろう。

 グラウンドでのパウンドを当てるセンスも抜群であった。膠着したグラウンドから執拗なパウンドで勝負が決まるケースというのは最近では珍しいのではなかろうか。
 堀口選手にとって次につながるとてもいい勝ち方であったと思う。

 相手のペイグは11勝9敗という,いわばかませ犬的な選手である。堀口選手がこれからもっと強い選手と闘うのが楽しみである。


 

2013年10月16日水曜日

UFC 166: Velasquez vs. Dos Santos 3 予想

Heavyweight Cain Velasquez vs Junior dos Santos
 反応のよさ,連打の速さ,レスリング力,バランス,どれをとってもヴェラスケスが有利だと思う。
 ドス・サントスのテイク・ダウン防御は一級品だけど,それでもグラウンドの展開になればヴェラスケスが有利であろう。パンチもフックやアッパー主体で強打のドス・サントスに対して,ヴェラスケスは小さな真っ直ぐが主体であり,それもワン・ツー・スリー・フォーと一気にくり出して回転が速いのが特徴である。

 ドス・サントスは,前回マーク・ハント相手に接戦して最後に見事なKOをしたことが話題になるが,私はあの試合はドス・サントスがもっと圧倒的な強さをみせてくれるかと思っていたし,彼としては不本意な試合内容だったのではないかとさえ感じている。
 一方,ビッグ・フットに対してタイミングよく踏み込んでワンツーを当て,一気に試合を決めたヴェラスケスの勝ち方は,彼らしいまさに会心の勝利と言えるだろう。
 ビッグフットとハントを比較することは出来ないが,これら二試合での内容を比べると,やはりヴェラスケスの方がドス・サントスよりも格闘力は高いと感じざるをえない。

 というわけで私は不動のヴェラスケス予想。
 今回はわりあいと早い回に決着がつくのではないか。

 はやくヴェラスケス対ジョン・ジョーンズの試合が観たいものだ。


Heavyweight Daniel Cormier vs. Roy Nelson
 どちらも一発のある選手だけど,体重のあるネルソンの一発は脅威であり,コーミエとしては相打ちというわけにはいかない相手である。また体重あるネルソンは柔術の達人でもあり,寝技の応酬も危険である。コーミエとしてはスピードでもってポジショニングを工夫してネルソンを攻略したいところだろう。
 高いレベルの試合になればなるほど勝敗を決するのはスピードである。コーミエが本当に高いレベルの選手であれば,ネルソンを圧倒するであろうし,また,しなくてはならない。
 逆にビッグ・カントリーのパンチに捕まってしまうようだと,コーミエは階級をライト・ヘビーに落としたしても上位には通用しえないのではなかろうか。そういった意味でこの試合はコーミエの試金石であり,ぜひ綺麗に勝って王座挑戦を果たしてほしいところ。 

 期待をこめてコーミエ予想。
 おそらく判定であろうし,ノックアウトならばグラウンドでの背後からのパンチ連打によるレフリーストップか。


Lightweight Gilbert Melendez vs. Diego Sanchez
 強豪同士の興味ぶかい一線。
 メレンデスは切れるパンチをもっており,ベンソン・ヘンダーソンの王座に挑戦して僅差の判定で敗れたのに対し,一方のサンチェスは五味戦では体重リミットをオーバーし,試合では僅差で勝ったものの内容は決して良いものではなかった。メレンデスの一発が当たるのではなかろうか。

 不動のメレンデス予想。


Heavyweight Gabriel Gonzaga vs. Shawn Jordan
 こないだパット・バリーに一発を当てて倒したジョーダンだけど,殴り合いの打撃戦だったとはいえ試合内容はかなりお粗末なレベルだった。
 打撃も寝技ももっており安定した実力をもつゴンザガが,ほぼ間違いなくジョーダンを圧倒するだろう。

 不動のゴンザガ予想。


Flyweight John Dodson vs. Darrell Montague
 モンテイグという選手は知らないのだが,戦績はいいようだ。マッコールに捕まっている。
 ここは身体能力の高いドドソンが圧倒するのではなかろうか。

 ドドソン予想。


Preliminary card
Middleweight Tim Boetsch vs. C.B. Dollaway
 ボウチはタフで打撃も強く,不器用だが勝機をつかむのが上手い選手。一方のダラウェイは真面目で練習熱心そうな選手であり,タイプ的に正反対の両者,案外面白い試合になるかもしれない。
 ダラウェイという選手は攻め方にいまひとつイヤラシさが足りない選手であり,立ち技でバランスが悪く体が流れ気味になるのが気になるところ。

 ボウチ予想。


Welterweight Nate Marquardt vs. Hector Lombard
 もっとも期待はずれな選手の一人とされるヘクター・ロンバードだが,安定した実力をもつネート・マーコートと対戦。
 ロンバードは元柔道家なのだが,とにかく格闘が下手だなという印象。打撃も強力そうなのだが滅多にミートしない。やはり百戦錬磨のマーコートが一枚も二枚も上なのではないか。

 マーコート予想。
 

Women's Bantamweight Sarah Kaufman vs. Jessica Eye
 サラ・コーフマンは女子選手のなかではわりと珍しくパンチ力のある選手で,高いKO率を誇る選手である。ロンダ・ラウジーと対戦して破れてはいるものの,また対戦させてみたい選手の一人である。
 ジェシカ・アイはフライ級から上げてきた選手であり,だからといって強い打撃をもっているというわけでもない。幼少時の交通事故を克服したドラマをもった選手である。
 
 もともと打撃力あるコーフマンが元軽量級のアイを打撃で圧倒するのではなかろうか。
 コーフマン予想。
 

Bantamweight Dustin Pague vs. Kyoji Horiguchi
 さて我らが期待の堀口恭司23歳の登場である。
 師はあの神の子こと,山本 "KID" 徳郁であり,したがって神の子の子である堀口は「神の孫」つまり天孫か。相打ち上等で打ち合いに出る彼のスタイルはまるで神風を思わせ,打撃でもって大きな見せ場をつくれる稀有の才能をもった選手である。
 ここは堀口の一発でもって壮絶なノックアウト・オブ・ザ・ナイトを期待したいところ。

 不動の堀口予想。

 ところで彼のUFCでのニックネームはまだ未定のようだが,KAMIKAZE なんてのはどうだろう。

2013年10月9日水曜日

UFC Fight Night: Maia vs. Shields

Welterweight Demian Maia vs. Jake Shields
 予想どおり組んず解れずの難戦だったが,予想どおり序盤にジェイク・シールズがいいポジションをとって攻めたのが勝因だったのだろう。まるでフェレットかカワウソみたいに懐が深く腰がやわらかいシールズには,柔術の達人のマイアも思うようにあつかえず苦労していた。
 終盤になってマイアが打撃に切り替えて,パンチをよく当てていた。もっと早くにグラウンドをあきらめ立ち技打撃で積極的に攻めていれば,案外シールズをノックアウトできたかもしれない。マイアにとっての敗因は自身の柔術への自信とこだわりだったのかもしれない。彼にとって悔いの残る試合だったのではなかろうか。


Welterweight Erick Silva vs. Dong Hyun Kim
 キムが鞭のようなジャブを放って距離をとるかと思いきや,意外にも前へ前へと積極的に出てきた。その序盤のやりとりで疲れたのか早い段階から両選手ともアゴあげて肩で息していた。両手をぶらつかせふらふらとバランスを崩しながら闘う場面が目立ち,いちばん期待していた試合だったのだがとても好試合とは呼べるものではなかった。

 たまたま相打ちでキムの左のパンチがシウバのアゴに入って試合が決まったが,あれは交錯時にキムが相手を観ずに放った,いわばめくら打ちのパンチであって,斬れ味抜群のカウンターと呼べるようなものではなかった。
 決して見ごたえのある試合ではなかった。
 

Light Heavyweight Thiago Silva vs. Matt Hamill
 これも序盤からダレにダレまくった試合であった。どっちが勝ったところで,どうでもよく,両者ともに確実にこれがUFC最後の試合となるだろう。
 それほどお粗末な試合だった。
 
 何度かシウバがいいパンチを当てて,ここぞという場面があったにもかかわらず,何もすることが出来なかった。ドタンドタンとマットを踏み鳴らす音ばかり響き,あきらかに下半身の鍛錬不足であろう。体が重すぎてまるで腰をかがめることすらしんどい老人のようであった。何も語るべきもの無しという見苦しい試合であった。

 他の優れた選手達がせっかく高いレベルの試合をしているのに,自身の体重管理すらできない選手がこういうレベルの低い試合をしているようだと,興行者としても困ってしまうだろう。
 総合格闘の将来のためにも,こういう選手は追い出した方がいいように思う。


Light Heavyweight Fabio Maldonado vs. Joey Beltran
 テシーラに打ち負けたマウドナドとベルトランどっちもガンガン打撃を出してくる選手で壮絶な打ち合いが予想された。
 が,大変ダレた見苦しい試合となり,メインにもってくる試合としては質的に物足りなかった。


Welterweight Rousimar Palhares vs. Mike Pierce
 顎のもろさが懸念されるパルヤレスに対し,ピアスががむしゃらに闘って優位に立つかと私は思っていたが,パルヤレスが地元ブラジルの期待のなか見事に職人芸的なヒールホールドで勝利をおさめた。
 やや古臭い決まり方であったが,他の試合と比べるとかなり良い試合だったといえるだろう。

 ピアスがしきりにタップしていたのにパリャーレスがすぐ放さなかったことで,関節技賞はもらえなかったという。しかし柔道などでは審判が声をかけるまでは絶対に技を止めるなという話を聞いたりするだけにパリャーレスにとって酷な気もするが,膝を完全に破壊しかねない危険な技だっただけに難しいところだ。そこらへんしっかりとしたルールの徹底が必要だろう。


Bantamweight Raphael Assunção vs. T.J. Dillashaw
 いずれも田村一聖をノックアウトして勝っている,打撃のうまい選手どうしの対戦。
 予想どおりの面白い試合であり,アサンカオは頻繁にスタンスをスイッチさせながら相手の出鼻にタイミングよくパンチを当てるのが上手かった。一方,ディラショーも変則的なアッパーを積極的に振ってきて序盤から目をはなせない展開であった。

 中盤以降,正確さとタイミングのよさでアサンサオのパンチの方がよく当たるようになり,それが勝負の決め手となったかんじである。
 
 割れた判定ながらアサンサオが勝った。

 
Welterweight Ildemar Alcantara vs. Igor Araujo
 アルカンタラは地味なうごきながら隙の無い,まるで柔道の師範のような老獪な闘い方をする燻し銀のような選手である。上体の力のよく抜けた構えから放つ打撃も地味ながら正確であり,バランスもよく,相手を倒すのもうまい,技巧派の面白い選手である。しかしブラジルの選手らしくカーディオの弱さが課題か。

 一方のアラウージョも関節技を得意とする選手のようで,積極的に組みに行きさかんにダブルのテイクダウンを狙うが,アルカンタラことごとく防がれていた。
 
 終始攻めて攻めまくったアラウージョが判定で勝った。
 玄人好みな格闘技術も大事であるが,それ以前にいかに体力というものが大事かということであろう。


Welterweight Yan Cabral vs. David Mitchell
 カブラルは10戦全勝,全てサブミッション勝ちの30歳。一方,ミッチェルは腰の引けたパンチしか出せない選手のようで,あまり歯切れのよい攻めは見られなかった。
 カブラルも打撃でフィニッシュできない選手のようで,いいカウンターを当てておきながら仕留めきれず,もつれてそのままウヤムヤにされてしまう場面もあった。カーディオにも問題があり,詰めも甘く,戦績ほどの選手では無さそうだ。
 ダレた判定で,カブラルが勝った。 

 

2013年10月8日火曜日

UFC Fight Night: Maia vs. Shields 予想

Welterweight Demian Maia vs. Jake Shields
 柔術の達人で力もあるデミアン・マイアと,誤魔化しのうまいジェイク・シールズ。
 どちらも打撃を持っておらず,終始グラップリングの試合になるのであろう。
 スタイルがかみ合えば面白い試合になるのかもしれないが,そうなるとマイアが有利だろう。
 しかし私はむしろシールズがマイアの出鼻に小さなパンチや上段キックをタイミングよく出して誤魔化し切るのではなかろうかという気がする。誤魔化しつつ随所でテイクダウンをとるシールズが判定勝つのではないかと思う。
 試合内容は,かなりつまらないものになると思う。 
 シールズ予想。

Welterweight Erick Silva vs. Dong Hyun Kim
 韓国のサラブレット,ドンヒュン・キムが,柔術柔道黒帯のエリック・シウバと対戦する。これは興味深い一戦。
 キムは序盤から鞭のようなジャブを出して牽制してゆくのだろうが,それにシウバがどう対応できるかがポイントだろう。キムの打撃がテンポよく当たるようだとキムが攻勢に試合を進めるだろうし,シウバに簡単に距離をつめて来られてしまうようだと,シウバが有利かと。

 身体能力に優れたシウバががむしゃらに組んできて,強引に勝ちをもぎとるのではないかという気がする。
 エリック・シウバ予想。

Light Heavyweight Thiago Silva vs. Matt Hamill
 ケンカ屋チアゴ・シウバが問題なくハミルを下して,ライト・ヘビー級での存在感をアピールするのではなかろうか。
 いつも強そうで弱いマット・ハミル,このブラジルの問題児に勝てるとは思えない。
 チアゴ・シウバ予想

2013年9月22日日曜日

UFC 165: Jones vs. Gustafsson

Light Heavyweight Jon Jones vs. Alexander Gustafsson
 よほどのまちがいでも無いかぎりジョン・ジョーンズが圧倒するであろうと思っていたが,リーチのあるガスタフソンはジョーンズの肘の距離に踏み込まずともパンチがよく届き,ジョーンズはかなりの苦戦を強いられた。
 ガスタフソンが善戦したもうひとつの要因は,なんと言ってもテイクダウン防御だろう。ジョーンズのアテンプトをことごとく防いだばかりか,最初にジョーンズからテイクダウンを奪ったというのも大きかったろう。ジョーンズの肘とテイクダウンを封じてしまったために,パンチとローキック主体のキックボクシングのような展開となり,そうなると一日の長があるガスタフソンの土俵であった。
 そしてガスタフソンが善戦した三つめの要因は,彼のタフネフさではなかろうか。予想ではタフネフさゆえに攻めも守りも雑だと評したが,この試合をここまで面白くしたのも彼のタフネフさであったろう。ジョーンズの肘やハイキックなどをかなりまともに頭部に受けていたが,最後まで闘っていた。とほうもないタフネフさである。 

 ガスタフソンの善戦が話題になるのだろうけど,チャンピオンもよく頑張ったとおもう。ガスタフソンに先手をとられ流血もして八方塞に近い状況になった場面もあったが,よく頑張っていた。善戦したガスタフソンも褒めたいが,見事に試合を自分のものにしたジョーンズも大したものだろう。一週間前に見事な防衛戦を演じたメイウェザーとことごとく比較されたり,人気の無いチャンピオンと評されたりと,試合前の重圧も大きかったのではなかろうか。その中でよく責任を果たしたものだと思う。
 今年いちばんの好試合だったのではなかろうか。


Bantamweight Renan Barão vs. Eddie Wineland
 バラオのような駒数の多い選手には,ボクサー格闘家では勝てないだろうと予想していたが,結果的にそのとおりになった。
 ワインランドのパンチも斬れ味があってタイミングもよく,試合として決して申し分の無いものであったが,離れ際にバラオがくり出した回転後ろ蹴りがワインランドの頬桁にまともに当たって,それが決まり手になった。

 
Heavyweight Brendan Schaub vs. Matt Mitrione
 不動のミトリオーネ予想であったが,ブランダンが見事に絞めて決めた。会心の勝利で実に嬉しそうであった。
 ブランダンの打撃が大したことがないと見切ったあたりで,ミトリオーネのうごきがやや緩慢になったようにも思えたが,それでもチャンスを見事にモノにしたブランダンを褒めるべきだろう。ナイス・ファイトであった。


Middleweight Costa Philippou vs. Francis Carmont
 両者の実力的にもこの試合が本興行いちばんの好試合なるだろうとおもっていたが,テイクダウンを狙ってたカーモントに対して,グラウンドではからっきしのフィリッポウはまるで話にならなかった。


Lightweight Pat Healy vs. Khabib Nurmagomedov
 こんにゃくみたいにふにゃふにゃと下がっては,おもむろに変則的な打撃をまるで拳を放りなげるようにしてくり出してくるヌマゴメドフ。一見するとさほどに強そうにも見えないのだけど,きわめてねちっこく,きわめてパズルの解読しにくい選手だろう。テイクダウンも上手であり戦績を伸ばしてきている。ただし,ロシア選手らしい破壊力抜群というタイプではない。

 タイトル挑戦をアピールしていたが,ベンドーやペティスと張り合えるほどの実力かどうかは,まだよくわからない。


Lightweight Mike Ricci vs. Myles Jury
 序盤,あれこれ試してくるリッチに対して,ジューリが地味な構えから電光石火のカウンターを当て,組んでからもジューリがリッチを高々と抱え上げてスラム。これは早期の決着を予想させた。
 しかし,寝技で両者膠着した際にリッチがジューリの側頭部に肘をコツコツ当てていた。それでなんだか流れが変わった感じであった。格闘てのは立ち技で主導権を握っていても膠着したときのこういうセコイ技でがらっと流れが変わったりするから怖ろしい。

 ジューリは二回以降は焦ったようなかんじで打撃も大振りで雑になり,組めば執拗に相手の足をつかんで膠着する攻め方をしており,紙一重の攻防ながら試合そのものは見ていて面白くなくなってしまった。


Bantamweight Ivan Menjivar vs. Wilson Reis
 序盤から小さな打撃をタイミングよく当てていたメンジバーに対し,明らかに届かない距離で大振りしてみせるヘイス,打撃に関してヘイスは面構えほどの選手でもなさそうである。
 ヘイスはテイクダウンをよく取っていたが,メンジバーも上手に脱出していた。上手さという点においてもメンジバーが上まわっているように見えた。

 このヘイスという選手,ブラジリアンで筋肉も多い選手だけど,いいカーディオをもってるのが彼の大きな長所のようだ。淡々としたメンジバーよりもガツガツとしていて,勝負にかける執念は強そうな,そういう意味ではいい選手っである。
 テイクダウンをほぼ全部決めて,判定勝ちした。
 
 打撃の無い選手がひたすらテイクダウンを狙って勝ってしまうという試合は,ある意味面白味に欠けるところがあるが,判定になった以上は仕方が無い。


Welterweight Chris Clements vs. Stephen Thompson
 トンプソンが打撃戦を制したが,グランドでの展開も無かったわけではなかった。フルマウントになった場面があったのだが,せっかくのチャンスをフイにしてしまっていた。他にもツメの甘さを感じさせる場面が何度かあった。打撃をあてて格好よく勝ったけどツメの甘い選手であり上位には来れないではなかろうか。

 レスリングとか柔道で全米ないし世界選手権レベルでやってきた選手ってのは総合格闘にきてもかなり上位まで来るけど,ケンポーカラテみたいなマーシャルアーツへの憧憬から入ってきたような選手というのは紙一重の攻防において勝負のツメが甘いところがあるように思う。


Bantamweight Mitch Gagnon vs. Dustin Kimura
 ギャグノンが序盤から顔面とボディーへのパンチをよく当てて主導権を握っていた。
 キムラもよく応戦して,いいボディーブローであわや逆転かという場面があったが,すかさず組みにきたギャグノンが上手かった。
 
 最後はギロチン・チョークによりキムラは失神。
 なかなかスピーディーで見ごたえのある試合であった。
 ギャグノンは勝利の全てがサブミッションによるものとなったが,打撃もいいものをもっており好選手である。
 

Bantamweight Alex Caceres vs. Roland Delorme
 ブルース・リロイことアレックス・カセレスの試合は,カラテ・キッドみたいでなんだか危なっかしくて,わりと楽しめてしまう。

 

2013年9月15日日曜日

Floyd Mayweather, Jr. vs. Saúl "Canelo" Álvarez

 メキシコの独立記念日の週末で,試合を観戦した映画館はメキシカンの人達でいっぱいだった。
 しかし,前座の二試合目あたりから,ちらりほらりと黒人勢がやってきて劇場を埋め尽くし始めた。
 カネロ応援とメイウェザー応援,およそ半々,すごい盛り上がりであった。
 試合よりもそっちの方が面白かった。

 二年ぐらい前だったか格闘のヴェラスケスとレスナーが対戦したときも劇場で観戦したが,まだ空席がけっこうあった。しかし今日のメイウェザーとカネロ戦は完全満席。やっぱり知名度においても集客力においてもボクシングの方がまだまだ上なかんじである。


 終ってみれば,メイウェザーが圧倒的な強さ,というか巧さであった。

 さんざ盛り上がっといてこう言っちゃなんだが,ボクシングもあんまり面白くなくなったという感じであった。観客を見てた方がよっぽど面白かった。
 もちろん,メイウェザーの技能はたっぷり堪能させてもらった。だけど,もう何べんも観てるからね彼の巧さなんてのは。 たぶん今夜のは現在のボクシング界の最高技能選手の試合で、人類の宝的な才能と巧さなんだろうけど,しかしなんだか名人将棋を見てるよなかんじで,血が騒いだのはほんとに試合前だけだった。

 試合前の観客インタビューで,著名なセレブ女性が 「ボクシングはまだ終わってないところを見せてほしい!」 みたいなこと言ってた。そういうことをあえて言うということは,裏を返せばボクシング人気に陰りが出始めてる,ということなんだろう。
 総合格闘の人気が急成長してるからね。

2013年9月14日土曜日

UFC 165: Jones vs. Gustafsson 予想

Light Heavyweight Jon Jones vs. Alexander Gustafsson
 よほどのまちがいでも無いかぎり,ジョン・ジョーンズが圧倒するであろうと思う。
 ガスタフソンはズシンズシンという打撃は力強いけれどもテシーラ以上に攻めが雑であり,防御に関してはバイキングの末裔である自身のタフネスさに頼りきったようなところがある。
 一方,ジョーンズは手数は少ないながらも,一発二発でも当たれば確実に相手に重篤なダメージを与える必殺のタイミングでくり出される。レスリング技術は言うまでも無く雲泥の差。あらゆる面においてジョーンズが一回りも二回りも上まわっている。勝敗は火を見るより明らかである。
 
 よって,つまらないけど不動のJJ予想。
 

Bantamweight Renan Barão vs. Eddie Wineland
 バラオのような駒数の多い選手には,ボクサー格闘家では勝てない。
 これもよほどのまちがいでも無い限りバラオの勝利だと思う。

 不動のバラオ予想。


Heavyweight Brendan Schaub vs. Matt Mitrione
 ハイブリッドとか言われる長身シャウブだけど,打撃も関節も一流とはいえない。一発の破壊力も,試合の面白さにおいても,ミトリオーネが一枚も二枚も上手だと思う。
 これまたよほどのまちがいでもないかぎり,ミトリオーネがシャウブをノックアウトするであろうと思う。

 これまた不動のミトリオーネ予想。


Middleweight Costa Philippou vs. Francis Carmont
 ようやく好選手どうしのマトモなカードがきた。
 両選手ともに連勝中の登り調子であり負けられない一戦,好試合になるとみた。

 カーモント予想。


Lightweight Pat Healy vs. Khabib Nurmagomedov
 24歳で20戦全勝,ロシアのヌマゴメドフに注目したい。戦績だけ見ると輝かしいのであるが,最近の数試合をみるかぎりではさほど猛烈に強いという印象では無く,私にとってまだよくわからない選手。
 しかし相手のパット・ヒーリーは一流というほどでもないがストライクフォースでずっとやってきた中堅であり,ナーマゴメドフの実力を測る上でも申し分のない選手だろう。

 ナーマゴメドフの実力がいまひとつ不透明だが,彼の勝負運の強さからここはナーマゴメドフ予想。
 

Lightweight Mike Ricci vs. Myles Jury
 美男子マイク・リッチは豊かな肩幅をもつサウスポで,よく伸びる右のリードに左のストレートがよろしい。また相撲もつよいね。バランスもよく,寝技も上手く,悪くない選手。
 一方のジューリーは24歳で無敗,一発があるし,寝技でもよく勝っている。

 予想は難しいが,ここはジューリーが勝って全勝街道を突き進むのではなかろうか,というかんじで。

 
Bantamweight Ivan Menjivar vs. Wilson Reis
 エルサルバドルのメンジバーはおなじみだが,レイスはべレターの方が主戦場だったようで,見事な戦績であるがUFCは初参戦である。
 
 ここはUFCに熟達した巧者メンジバーが勝つのではなかろうか。



2013年9月12日木曜日

Floyd Mayweather, Jr. vs. Saúl "Canelo" Álvarez 予想

 天才メイウェザーがメキシコの若いチャンピオンアルヴァレスを迎え撃つ。
 WBCのチャンピオンであるアルヴァレスは,23歳にして43戦42勝1分というとてつもない戦績。KO率は7割以上だ。
 メキシカンらしい強烈な左のボディーブローをもっている。わりとスロー・スターターだけど,相手を見切るとガードを高くかかげつつ前へ前へとじわじわ出てくる,往年のチャベスを思わせるようなスタイル。 
 もちろん上手さにおいてメイウェザーが一枚も二枚も上手だろうし,絶対に勝てるという自信があるからこそ試合に臨むのだろうけれど,彼ももう36歳,そろそろ何が起こってもおかしくない時期である。

 というわけで,私はメィウェザーが圧倒的に有利とおもいつつも,あえてここはアルヴァレス予想としてみる。

2013年9月4日水曜日

UFC Fight Night: Teixeira vs. Bader

Light Heavyweight Glover Teixeira vs. Ryan Bader
 予想するまでもなくテシーラだと思っていたが,ベイダーが思いのほか善戦したといえよう。それでも初回で決着がついたが。

 いつもどおりどんどん前に出てプレッシャーをかけて行ったテシーラだったが,いくらタフでもさすがに上位の力のある選手が相手となると荒削りな攻めでは危険である。ベイダーのパンチが出鼻に顔面のどこかに当たって,あわやという場面があった。
 そこで一気にラッシュをかけて攻めるベイダーだったが,あまりにも動きが単調すぎた。同じうごきの反復運動をすれば,当然カウンターを狙い打ちされる。逆に返り討ちにあったかんじであった。

 テシーラがいくら頑丈とはいえ,ジョーンズと対戦するにはあまりに攻めが雑すぎるように思う。
 前座でやっているうちなら打撃防御など雑な方が面白い試合になって客は喜ぶのだろうけど,今回の相手のように力のある選手が相手だと,一発でもパンチが当たればいくらタフとはいえ危い。
 ジョーンズは他の誰よりもリーチがあり,スピードがあり,眼も良く,ケンカも上手い。テシーラが今日のような荒削りな攻撃をしていては,とてもジョーンズには敵わないのではないか。
 

 Middleweight Yushin Okami vs. Ronaldo Souza
 ワンツーでの右のオーバーハンド気味のストレート一発で決着がついた。
 序盤からキックボクシングとフットワークで,明らかにソウザの方が上手だった。
 岡見はジャブをだしつつ前に出るという自分のイメージどおりの動きをさせてくれる相手だと滅法強いが,相手がプレッシャーをかけてきて押され下がってしまうと,つまり自分のイメージどおりに試合が進まなくなると,とても脆いところがある。
 また相手が猛攻してきたときに,岡見は頭を抱えて固まるだけであった。ああいう負け方は見ていてとても印象が悪い。
 一方,ソウザは今日はとてもいい勝ち方をした。今夜のノックアウト賞はソウザがもらうべきではなかったかと思う。
 

Flyweight Joseph Benavidez vs. Jussier Formiga
 これまた予想どおり,高いレベルの試合。
 フォーミガもキレのいいパンチを相手の出鼻に合わせて放ってきていたが,ベナヴィデズは常に積極的で先手先手と攻めていた。
 ベナヴィデスの攻めは常に連打であったし,連打の打ち終わりの頃にさらにもう一発,という感じでパンチを出していて,それが相手が反撃に出ようとするところにタイミングよく入っていた。
 相手がぐらついたと見るや,ラッシュに出て,チャンスをすぐに勝敗に結びつけた。
 勝ち方の見本のような,素晴らしい試合であった。
 


2013年9月3日火曜日

UFC Fight Night: Teixeira vs. Bader 予想

Light Heavyweight Glover Teixeira vs. Ryan Bader
 どんどん前に出て,ずしんずしんと力強いパンチを真っ直ぐ出してゆくテシーラ,海賊みたいな顔をしている。顎も強靭であり,荒っぽい攻め方をしていても安心して観ていられる頑丈な選手である。テフナ戦では打撃だけでなくグラウンドの攻防も意外な上手さをみせていた。
 ベイダーもいい選手だけれど,テシーラと比べてしまうと格が違いすぎる観がある。

 文句無しでテシーラだろう。パンチで決まるか絞めで極まるかわからないが,判定にはならず一本勝ちするのではないかとおもう。


 Middleweight Yushin Okami vs. Ronaldo Souza
 我らが日本のエース岡見が,ジャッカル・ソウザと対戦する。これは興味深い一番。
 ソウザは打撃も足もいいものを持っているが,何より特筆すべきは柔術の上手さか。一方の岡見は力づよく相撲も強く,立ち技でも組んでもソツなく上手いが,相手のパンチに対して相打ちでもって合わせてゆくタイプではない。
 おそらくソウザは序盤はリーチを生かした速い打撃とフットワークでもって距離を支配し,ある時点で突然タックルに移行するんでないかとおもう。
 距離の出入りが頻繁なジャッカルに対して,岡見がジャブを当てつつ相手のタックルにどう備えるのかが,この勝負の決め手になるのでは。
 
 予想は難しい。 トップを目指す両者,ともに負けられない一戦。
 ソウザはリーチのとても長い選手でもある。 一方,岡見は身長のわりにリーチが短い,胴長である。
 岡見がこの試合をどうイメージして臨むかはわからないが,岡見が勝つにしても彼が一方的に圧倒してしまう,ということはおそらくないと思う。逆に,ソウザが圧倒してしまうことは,それはありうると思う。

 ということで,その二点から私はソウザを予想。


Flyweight Joseph Benavidez vs. Jussier Formiga
  実力者どうしの対戦で,とても興味深い。
 終始前へ前へと積極的に出るベナヴィデスはサウスポー。パンチだけでなく短い足ながら上段へのまわし蹴りなども突然出したりする選手で,蹴りとパンチのコンボがよく出るのがいい。
  フォルミガは技巧派であり,手足のスピードもある,頭の良い選手である。
 この興行で一番高いレベルの試合になるのではなかろうか。
 
 私は積極性を買ってベナヴィデスと予想。

2013年9月1日日曜日

UFC 164: Henderson vs. Pettis

Lightweight Benson Henderson vs. Anthony Pettis
 テコンドー対決かと思っていたが,意外にも勝敗を決めたのは腕ひしぎ十字がためであった。
 ベンドーの前髪を懸念していたらドレッドに固めてきていた。そこらへんにこの試合にかける意気込みが感じられ,これはやはりベンドー有利かと感じた。
 が,しかし蓋を開けてみれば,一瞬の隙をついた腕ひしぎでペティスが勝った。
 観客だけでなく当の本人も意外な結末であったのではなかろうか。


Heavyweight Frank Mir vs. Josh Barnett
 ミアは打撃に対して反応の悪い選手で,やはり序盤からジョシュの打撃がよく当たっていた。最後はケージ際で打撃をまともにもらって,倒れてしまう。
 ああいう倒れ方をしてしまったら,止められても仕方ないだろう。もうちょっとやらせても良かったようにもおもうが,いずれにしてもジョシュの方が明らかに強かったと思う。


Featherweight Chad Mendes vs Clay Guida
 メンデスがパンチをよく当てるだろうとおもっていたが,序盤はレスリングでメンデスが上手であった。
 レスリングだけでなくやはり打撃でもメンデスが上まわっていたので,勝敗はハッキリしていたが,まさかノックアウトになるとは思わなかった。


Heavyweight Ben Rothwell vs. Brandon Vera
 ヴェラが序盤からパンチをコンボで当てて優位に試合を進めていくかに見えてたが,重量級ではポイントとるだけのような打撃では勝てないのである。結局,後半にガツンとしたのを当てられて帳消し,沈没。力で上まわるロズウェルが勝った。


Featherweight Erik Koch vs. Dustin Poirier
 サウスポー対決であったが,ポエリエのパンチの方がタイミングよく当たり,序盤から主導権を握っていた。私はコークを予想していたが,実力的にもはっきりとポエリエが上まわっていた

2013年8月29日木曜日

UFC Fight Night: Condit vs. Kampmann 2

Welterweight Carlos Condit vs. Martin Kampmann
 これも予想どおりメインらしい好試合で,ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞していたかと。
 打撃主体で来ると思われていたケンプマンが,序盤からいきなりタックルから入ってきたのが意外であった。結果,コンディットは距離感がうまくつかめないまま中盤へともつれ込んでいった感じであった。
 しかし中盤から前のめりにバランスを崩しぎみに放つコンディットの連打がよく当たるようになり,徐々に徐々にコンディットのペースになっていった。最後は裸締めで一本であった。
 文句なしに強かった,コンディット。


Lightweight Donald Cerrone vs. Rafael dos Anjos
 ドス・アンジョスが序盤から圧倒するかに見えたが,セローニもバランスが抜群で相撲では負けず,後半は完全に盛り返していた。
 ブラジリアンらしい,と言っていいのかどうか,ドス・アンジョスは最終回は急に失速してしまっていた。後半盛り返されて試合終了ガッツポーズというのは,どうもあまり見栄えは良くない。
 
 
Welterweight Kelvin Gastelum vs. Brian Melancon
 パンチの応酬ではメランソンが圧倒するだろうと予想していたのだが,蓋を開けてみるとガステラムが強打を放ってくる相手に対して臆することなくぐいぐい前に出て打ち勝っていた。
 強打の相手には臆せず前に出ろ,という鉄則どおりだが,とほうもない勇気である。
 強振してくる相手に対して,真っ直ぐとアッパーを交えたコンボでぶつかっていた。ガステラムは打撃のセンスも勇気もあり,かなりいい選手である。いずれ必ずや王者になるであろう。


Welterweight Court McGee vs. Robert Whittaker 
 序盤の打撃戦では明らかにウィテカーの方が上手く,主導権をとりつつあるかにみえた。
 しかし, いくら相手が上手くても,マギーはあの手この手と工夫をこらしながら,諦めずにごりごり押して押して押しまくっていた。さすれば必ずチャンスが到来するものである。
 いいところで何発かパンチを当てたマギーが徐々に盛り返し,最終的には判定で勝利した。マギーの見事なパフォーマンスであった。

 ウィテカは立ち姿勢で,相手の出鼻に合わせておもむろに肘を出したりしていた。そういうえげつない攻めなのかもしれないが,もしかしたら試合中に拳を傷めていたのかもしれない。たしかに中盤以降パンチに力がなかった。


Bantamweight Takeya Mizugaki vs. Erik Perez
 ペレスは身体能力でもスピードでも水垣選手を上回るであろうと思われ,水垣ファンの私としては悲鳴の連発になりそうな予想であったが,なかなかどうして水垣選手が見事な試合をみせてくれた。
  相手が出てくれば自分も絶対に下がらずに前に出て,相打ちをねらって迎え撃って出ていた。反応もよく,相手の出鼻に古武術みたいなオーバーハンドを何度か当てていたのが印象的であった。タックルにもよく耐え,無駄にポイントを奪われるのを防いでいた。
 ぶつかるときはぶつかり合い,組むときは組みの,誰が見ても文句のない好試合を見事制したわけで,水垣選手にとってとても価値ある大きな一勝だったのではないだろうか。


Middleweight Brad Tavares vs. Robert McDaniel
 タヴォーレスが安定感をみせた試合であった。
 序盤は相手をしっかり観て,初回の終わりごろから自分の流れを作り出す選手である。
 左のローキックで,マクダニエルの右の太ももが真っ赤に腫れあがっていた。
 マクダニエルが後半よく頑張り盛り返した場面もあったりして,面白い試合であった。
 

Featherweight Darren Elkins vs. Hatsu Hioki
 序盤から日沖はとてもいい感じで距離を支配して,優位に試合を進めていった。初回に何度か当てた前蹴りも,つま先がいいところに入り,かなり効いていた。あのボディーへのトゥ・キックが効いていたために,その後エルキンスの強打が完全に封じられたかんじであった。序盤は明らかに日沖の思惑どおりの試合展開だったのではなかろうか。

 しかし,結果は残念ながら私の予想したとおりになってしまった。
 日沖としては,初回のあの蹴りが効いたときに,もっと積極的に前に出てラッシュをして終わらせるべきだったのではなかろうか。
 つま先が相手の腹にめり込んで相手が悶絶しかかっているというのに,日沖選手は淡々としていた。そういう日沖選手の姿を観るたびに,一体何をしたいんだこの格闘家は,と歯がゆく思ってしまう。

 いくらツゥ好みな格闘が出来たとしても,相手を倒すことへの貪欲さをアピールできないとアメリカでは食ってはいけないようにおもう。
 そしてそれは格闘にかぎらない。何をするにしてもそうである。

 アジア進出をねらうUFCとしては,日本人選手に勝ってもらいたいようなカードを組んできているように見受けられるのだが,そのたびに日本人選手が試合を落としてしまっている。
 日沖のような玄人ごのみ(?)の地味な闘い方はUFCではあまり評価されないだろうし,勝てない戦法ならそれは玄人ごのみではなく,ただの独りよがりである。 判定に不服があったとしても,前回も今回と似たような試合内容で負けていた日沖選手が今後UFCに残れるのかは疑問である。
 

UFC 164: Henderson vs. Pettis 予想

Lightweight Benson Henderson vs. Anthony Pettis
 とても興味深いテコンドー対決。いわばノックアウト・アーチストともいえるペティスの変幻自在な蹴り技空中殺法と,ベンドの総合力の対戦ともいえようか。

 いろんなシナリオが考えられるが,私は実力伯仲の対戦のばあい,飛んだり跳ねたりする選手よりも,どっしりとした下半身をもった選手の方がつよいだろうという格闘観なので,ここはベンソンを予想。
 ベンソンが相手との距離の出入り巧みに試合を進めて判定で勝つのではないか。

 あと大事なことひとつ。
 ベンソンは試合前に前髪を短く切っておくべきだ。
 ペティスのような相手だと,視界の確保はとても大事である。前回の試合のように試合中に前髪を気にしなくてはならないようだと,ペティスにはとても勝てないとおもう。
 

Heavyweight Frank Mir vs. Josh Barnett
 ミアとジョシュの巨漢柔術対決。
 拮抗した試合になるのだろうとはおもうが,どちらも大した打撃を持っておらず,ごろごろと寝技の応酬になるんじゃないかとおもう。そうなると投げ技のうまいジョシュの方が優位か。いずれが勝つにせよ上位を脅かす存在にはならないとおもう。

 両者の決定的な差は,相手の打撃に対する反応じゃなかろうか。ミアは速いパンチに対して反応が遅いか反応しないかだが,ジョシュはコーミエのパンチを完全に殺してしまうことができた。そういう点をおもうとやはりジョシュが勝つんではなかろうか。



Featherweight Chad Mendes vs Clay Guida
 これは面白そうな試合。
 一発をもつメンデスと,蒸気機関車みたいなギダとの対戦。
 ギダはつかまえに行き試合を泥沼化にしようとするであろうし,メンデスはタイミングよくパンチを当てたいところだろう。ギダはまだ一度もノックアウトされたことが無い。

 メンデスのパンチが何度か当たって流れができ,判定でメンデスではないかとおもう。


Heavyweight Ben Rothwell vs. Brandon Vera
 両者,力があるがケンカ下手。格闘の試合としては,あんまり興味がない。
 ヴェラがいい人なんで応援するかな,という感じである。


Featherweight Erik Koch vs. Dustin Poirier
 ポエリエはサウスポーで,コンボをよく出してくるがやや決定打に欠ける。だが関節技はなかなか上手い。一方のコークは以前ラマスと対戦して大流血していたのが記憶に新しい。積極的に手数も出し関節技も得意の選手である。チャド・メンデスと判定まで持ち込んでいる。

 私は戦績的にコークが有利なのではないかという気がするが,正直わからない。どちらも24歳でこれからの選手である。

2013年8月26日月曜日

UFC Fight Night: Condit vs. Kampmann 2 予想

Welterweight Carlos Condit vs. Martin Kampmann
 どちらも好選手であり,見ごたえのある面白い一戦になるのではなかろうか。
 どちらが勝つかといえば,やはりコンディットではなかろうかと思う。
 ケンプマンは打撃主体の選手であるが,寝技の防御も器用で,何でもソツなくこなす上手い選手であるけれど,やはりコンディットの方が勝利にかける気迫で上まわっているように感じるし,攻撃技術と攻めのパタンにおいて柔軟性が高く持ち駒も多いように思う。何よりケンプマンはヘンドリクスの一発で沈没してしまったという印象が,どうしてもぬぐえない。

 ということで,私はコンディット予想。
 

Lightweight Donald Cerrone vs. Rafael dos Anjos
 いつもガッツあふれるファイトを楽しませてくれるセローニだけど,トップレベルになると,どうしても壁があるのは否めない。そいういう点で今回の相手には大いに苦戦するのではなかろうかと思う。
 ドス・アニョスはうなじに「福」の刺青の,ブラジリアンらしい陽気な選手である。頭と手を動かしながらアグレッシブに打撃から入ってくるし,相手が出てくれば膝とアッパーカットがとてもいいタイミングで出る。下半身も安定しており,まるでチラノサウルスのような力強い足である。テイクダウン防御も第一等であり,もちろん相撲もつよい。
 
 私はドス・アニョスがおそらくノックアウトかタップアウトで勝つだろうと思うし,たとえ判定だったとしても内容で圧倒するのではないかと思う。


Welterweight Kelvin Gastelum vs. Brian Melancon
 注目の若手,6戦全勝3KOのケルビン・ガステラムが登場する。
 対するはブライアン・メランソン。足が極端に短く,まるで小人プロレスみたいだが,踏み込んでからのものすごい強力な打撃を持つ,見ていてとても面白い選手。弱点を挙げるとしたら,上体のわりに下半身がやや貧弱であり,バランスを崩されたときどれだけ粘れるかという点だろう。こういう選手は倒してしまえば案外簡単にやっつけられるのではないかと思う。
 若いガステラム選手の試合は,私はまだ観たことがないのだが,メランソン相手の撃ち合いはいくら駿馬といえどもかなり危険だろう。よほど自信があるのでなければ,打ちあいに行くべきではないと思う。

 あまり自信がないが,積極的に組みに行けばガステラム,打ち合いになればメランソンが有利かと思う。


Welterweight Court McGee vs. Robert Whittaker 
 マギーのうごきには派手さが無く,教科書のように基本に忠実である。脇を絞め,顎を引いて,常に小さな真っ直ぐを中から中からと出し,下がるときは必ずジグザグ。ガードはつねに高く掲げている。
 一方のロバート・ウィテカーは元職業軍人のコールトン・スミスを強打で屠っている選手である。半身で左腕をだらりと垂らした独特のスタイルで,出てくる相手に対してカウンターを狙ってゆく。

 マギーのように脇をしめガードと高く上げ基本に忠実な選手に対して,ウィテカーのようなやや変則的な選手がどういう攻めをみせるか興味深い。
 
 判定ならマギー,ノックアウトがあればウィテカーかと思う。


Bantamweight Takeya Mizugaki vs. Erik Perez
 我らが水垣選手の相手はメキシコの若き暴れん坊22歳のエリック・ペレス。
 これは水垣にとって,かなりの強敵である。
 身体能力でもスピードでも水垣選手を上回るであろうと思われ,こういう野性味ある選手に対して水垣がどこまで頑張れるかに期待したい。

 水垣が勝てれば本当に大したものだと感心するし,私は水垣選手の大ファンなのでパソコンの前で応援するが,やはりペレスが負けるとは思えない。予想はペレスによるノックアウト。


Middleweight Brad Tavares vs. Robert McDaniel
 前回福田力を破ったタヴォーレスは,相手をよく観て機におよんで変に応ずるクレバー闘い方をする選手である。
 UFCデビューの30歳マクダニエルが対戦する。マクダニエルがどういう選手かよくわからないが,20戦を超えるなかなかの戦績である。25歳のタヴォーレスがどう闘って今後のキャリアにつなげるか注目してみたい。

 私は判定でタヴォーレスと予想
 

Featherweight Darren Elkins vs. Hatsu Hioki
 日本期待の日沖発選手が前座で登場である。
 相手は強打のダレン・エルキンス,右のクロスは驚異的である。

  かつて強打のマーロン・サンドロを制したように距離をうまくつかってエルキンスの強打を殺して寝技に持ち込んでしまえば日沖に大いにチャンスがあると思 う。が,サンドロは日本人相手では圧倒的に強かったが,はたして世界的にみてどれだけの強豪かというと,やや首をかしげたくなる部分もある。勝敗は日沖が 相手の打撃をどう殺すかがカギではなかろうか。
 日沖が出てくる相手に対して下がってしまえばつけ入られるであろうし,足を止めて打ち合いに応じたらエルキンスが相打ちをどんどん放ってぐいぐい打撃で押して撃ち勝つのではないかと思う。

 日沖が勝つ可能性も大いにあるとおもうが,日沖の攻めは打撃で押しまくるスタイルでもなく,寝技はやや定型的な面あり,一見どういう攻めをしたいのかよくわからないところがある。
 UFCのような興行では攻勢スタイルを評価されエルキンスが判定勝ちするのではないかと思う。

2013年8月17日土曜日

UFC on Fox Sports 1: Shogun vs. Sonnen

Light Heavyweight Mauricio Rua vs. Chael Sonnen
 まるでプロレスラーのような作り怒りガオして入場してきたソネンとは対照的に緊張した面持ちのショーグン。緊張するのは練習量の裏づけであり,これは私の予想を覆してショーグンが勝つのではないかとさえ思った。
 しかしソネンは相手の相撲(ボクシング)を一切とらせずに,最初からいきなり組み付いてグラウンドに。初回の終盤にギロチン・チョークで極めた。
 ボクシングの練習を入念にしていたショーグンであったが,皮肉にも練習したパンチを一発もふるうことなく終ってしまった。おそらく悔しくて今夜は眠れないだろう。
 ある意味とても考えさせられる一戦であった。


Heavyweight Alistair Overeem vs. Travis Browne
 重心の安定したアリスターと比べると,ブラウンのうごきは手足がちぐはぐで,まるで操り人形のようにみえた。序盤からオフレイムが膝を当てて,完全に優位な展開をつくっていった。
  私の予想は外れ,このままアリスターが押して勝つだろうと思っていたら,ブラウンが再三しつこく出していた前蹴りが顔面に当たりダウン。そのまま勝負がついた。
 同じ技を何度も何度も出すというのは,ときとして功を奏すこともあるようだ。


Bantamweight Urijah Faber vs. Yuri Alcantara
 序盤に投げを返されて窮地に陥ったユライヤだったが,終ってみらばいつもどおりの泥試合に引き込んでユライヤが圧倒したかんじであった。

 ユライヤ・フェイバーが序盤に完全に抑えこまれかけた時,中空で足をジタバタさせていた場面があった。ちょっとぶざまにも見えるしぐさだったけど,どんな状況でも諦めずもがいてあがいてとにかく活路を見出そうとする姿には,少なからず感動した。あれがこの興行で一番印象深い場面であった。
 

Welterweight Matt Brown vs. Mike Pyle
 こんなに一方的になるとはおもわなかった,32歳のマット・ブラウン。まさに脂がのった旬な時期という感じ。
 このまま上昇して王座挑戦までこぎつけられるかもしれない。


Middleweight Uriah Hall vs. John Howard
 ユライア・ホールは空手マンだけど,間合いのとり方が下手で,ハワードのローキックを何度ももらっていた。また蹴り技を頻繁に出していたが,モーションの大きすぎて効果はあまり無かった。両者ともにケンカが上手でなく,この階級では上に行くのは難しいだろうね。
 また,対戦者どうし憎悪むきだしというのもよくないが,ナカヨシすぎる試合というのも観ていて腰くだけの感じがするね。


Lightweight Joe Lauzon vs. Michael Johnson
 前に踏み込まない弱虫パンチを遠くからだしてるとおもったら,わりとよく当たってきて終始ジョンソン優位の試合展開だった。ジョーダンの足腰にねばりなしと私は書いたけど,この試合では相撲でも負けず,テイクダウンも良くとっていた。
 ジョンソンが良かったのか,ローゾンが悪かったのかといえば,私は後者だと思う。今日のローゾンは反応も鈍く,体のキレも悪く,いつものガッツが感じられなかった。壮絶な試合の多い選手なだけに,いよいよ下降が始まったのかもしれない。


Bantamweight Brad Pickett vs. Michael McDonald
 予想どおりの好試合であった。
 序盤から火がついたような予想どおりの壮絶な殴り合い。マクドナルドが打ち勝ってたけど,ピケットもかなりいいのを当てていた。
 どっちにしても,二人の将来が心配になるようなクリーンヒットの連発だった。
 
 最後は意外にもグラウンドで決着がついた。マクドナルドの三角絞め。
 そしてインタビューではマクドナルドのとろける笑顔。彼は人気者になるだろう。


Featherweight Conor McGregor vs. Max Holloway
 アイリッシュのサウスポのマッグレガーが変則的アッパーとよく伸びる左のストレートを序盤からよく当てて優勢に試合を進めた。右の間接蹴り,浴びせ蹴りまで出し,クリエイティブさにおいてもホラウェイを圧倒したかんじであった。また打撃だけなく,後半はテイクダウンも狙っていき,相手の転ばし方倒し方ももなかなかのものだった。
 これは確実に上位にあがってくる選手であろう。

 

2013年8月10日土曜日

UFC on Fox Sports 1: Shogun vs. Sonnen 予想

Light Heavyweight Mauricio Rua vs. Chael Sonnen
 明らかにピークを過ぎ下降線にある両者,どちらが勝ち残れるかというところだろう。ボクシングの練習に余念がないショーグンがスタンドでのパンチの応酬では有利であろうし,組めば膝の悪いショーグンには不利で,レスリング専門家で力のあるソネンが有利かと思われる。
 正直,階級を上げてきた選手というのは戦果を予想するのが難しい。
 これまで頭部に受けてきたダメージの累積もあり,ショーグンは速い打撃に対する反応が明らかに鈍っている。ソネンが先制パンチを出しながらタックルに行けば,案外あっさりとグラウンドに持ち込めて,彼に有利な試合展開になるのではなかろうか。ただしそれはソネンが入念に練習して体を仕上げてきた場合の話だ。既に高齢であり,階級を上げて減量苦が軽減するのと,このところのテレビ解説などで多忙な中,どれだけ練習を積んできたか,やや疑問がある。ショーグンは練習不足で倒せる相手ではない。

 というわけで,ソネンが万全の状態ならば判定でソネンと予想するけれど,直前の計量の様子を観てみないと正直わからない。


Heavyweight Alistair Overeem vs. Travis Browne
 ブラウンは前々回の試合でビッグフットに敗れてはいるが,これは試合中に足を傷めたことが原因であり,あまり参考にならない。万全のコンディションならばむしろブラウンが勝っていただろうと思っている。14勝のうちの10KOであり,ケンカ上手でいろんな場面で打撃を的確に当てるのが上手い選手である。

 一方,よく盛り上がった筋肉をもつアリスターは,力こそあれどパンチはさほどに速くもなく,うごきも型にはまっており,さほどにクリエイティブな好選手ではない。また根性もあるとはいえず,相手が強かったり,逆境に立つととたんに弱くなる選手である。私はこういう選手は大嫌いである。
 
 よって私はブラウンによるノックアウトと予想。

   

Bantamweight Urijah Faber vs. Yuri Alcantara
 カリフォルニア小僧のユライヤ・フェイバーが,ブラジルの新星アルカンタラと対戦。この試合が本興行で一番興味ぶかい一戦かもしれない。
 アルカンタラはムエタイの構えのサウスポーで打撃力もあり,もつれればすぐ関節技にもっていける選手であり,相手を倒すのもうまい,かなりケンカ上手な強豪である。ただし,攻撃力がある半面,防御がさほど細心でなく,不用意な打撃をもらうことがある。顎もさほど頑丈でなさそうである。
 総合力とずば抜けた身体能力をもち,安定した強さのフェイバーが,こういう選手に対してどう対応するのか,とても興味ぶかい。

 総合的に勝るフェイバーが負けるのは,ちょっと想像しにくいので,私は判定でフェイバー予想。


Welterweight Matt Brown vs. Mike Pyle
 ベテラン同士の一戦。いかにもその辺でジョギングでもしてそうなマット・ブラウンは,30を過ぎてまたひとつ強くなった感じのする選手である。パンチを当てるのが上手で見事なワンツーをカウンターで当ててノックアウトしたかとおもえば,ラフ・ファイトもできる。
 一方のマイク・パイルは37歳。タフであるが,序盤から相手のパンチをまともにもらいやすい選手。

 私はブラウン予想。
 おそらくブラウンが序盤からパンチを当てて優位に立ち,消耗しないペース配分でじっくり攻めてパイルに反撃させず,一方的な判定もしくはノックアウトで勝つのではないかとおもう。


Middleweight Uriah Hall vs. John Howard
 ユライア・ホールはジャマイカの選手であり,極真空手のタイガー・シュルマンの薫陶を受けた選手。打撃に注目したい。一方,ジョン・ハワードは地元ボストンの選手。
 両者ともにこれがUFCデビューとなる一戦。

 私はユライア・ホールによるKOと予想。


Lightweight Joe Lauzon vs. Michael Johnson
 若いサウスポーのマイケル・ジョンソンだが,顎がもろく,足腰にもねばりが無く,せっかくの長い四肢をもてあましてる感じさえする。
 対するは色白でいかにも現代風な顔つきに似合わずいつもガッツあふれる好試合をみせてくれるラウゾン。この試合はラウゾンが勝つだろうとおもう。

 
Bantamweight Brad Pickett vs. Michael McDonald
 格闘のブラピ,ブラッド・ピケット34歳はマイクタイソンのようなスタイルで頭を振りながら思い切りよく踏み込んでくる選手である。
 前回王者バラオに破れたマクドナルドであるが,まだ22歳で15勝2敗という戦績。真っ向からぶつかってノックアウトを狙ってくる。そして笑顔がとろけるようにかわいい。私の大好きな若き豪傑である。

 真っ向からぶつかり合いの壮絶な試合になるのは必至だが,私は打撃力と若さを買ってマクドナルドを予想。


Featherweight Conor McGregor vs. Max Holloway
 これまた若い21歳のマックス・ホラウェイと25歳のコナー・マッグレガーの対戦。ホラウェイはローリグソバットなどなかなか奇抜でクリエイティブな戦い方をする面白い選手だが,残念ながら打撃の斬れ味がいまひとつなところがある。
 一方のマッグレガーは正真正銘のストライカーであり,この試合もマッグレガーが打ち勝つのではなかろうか。

 というわけで,私はマッグレガー予想。

2013年7月28日日曜日

UFC 163: Aldo vs. Korean Zombie 予想

Featherweight Jose Aldo vs. Chan Sung Jung
 どちらも日本人ではないのだけど,まるでガダルカナルあたりから生還した旧日本兵のような雰囲気の両者。 とても面白く見ごたえのある試合になるのは間違いなく,期待の一戦である。
 コリアン・ゾンビの『肉を斬らせて骨を断つ 』ようなファイティング・スタイルは観ていてとても面白く,私の最も好きな選手の一人である。しかし,さすがにホセ・アルドーの方が持ち駒が多く,反応もよく,足も速く,実力的に一枚も二枚も上なのではなかろうか。

 私は韓国ゾンビはアルドーを最後まで捕まえきれず,アルドーによる判定勝ち,もしくは3R以降のノックアウトと 予想。

コリアンゾンビとアルドこれはとても楽しみな一戦。私はアルド有利と思うが韓国ゾンビも平気な顔して前へ出てくるろうし,韓国選手らしいスタミナがある。得意の相打ちが一発でも当たれば面白い。メインにふさわしい好試合になるとみた http://www.youtube.com/watch?v=ozVFN0Vr3I&list=PL9m3-_Hv6qNi3HazlQ9N6_WqMrpiTMmFb… #MMAJP


Light Heavyweight Lyoto Machida vs. Phil Davis
 さて,ドラゴン・マチダと,全身バネの塊のようなフィル・デイビスの対戦。
 大方の予想(?)は,というか期待は,トップ・コンテンダーのマチダがいかにデイビスを倒してタイトル挑戦につなげるか,というところではないかろうか。リョートのファンとして私もそうなることに期待したい。
 でも予想となると話は別である。私は,フィル・デイビスがマチダを距離と足で翻弄し,マチダのカウンターにもよく反応してテイクダウンを何度か決めて,判定で勝ってしまうのではないかと思う。

 マチダが判定で勝つことも大いにありうるだろうが,だとすれば相当な湿気た試合になるのは必至で,そうなるとタイトル挑戦はまた遠のいてしまうのではなかろうか。
 逆にもしもマチダがデイビスをノックアウトするようであれば,これはジョン・ジョーンズとの対戦が大いに期待できる。が,フィル・デイビスのような全身にバネがあり動きの柔らかい選手だと,それはかなり難しいのではないかと思う。
 
町田ファンの私だけど,デイビス予想。彼は一発は無いけど一流アスリートで全身が柔らかくバネのよう。力もありバランスもよく反応もよい。町田は苦戦すると思うよ Davis vs. Boetsch: http://youtu.be/0gUoWd8qHwc  #MMAJP #UFC #UFC163

今JJとやって一番競った試合が出来そうなのは,デイビスかテシーラか,ぐらいにおもってる。それくらい私はフィル・デイビスを買ってる #MMAJP #UFC


Middleweight Cezar Ferreira vs. Thiago Santos
 サントスはベラトールのヘビー級で活躍してた選手と同一であろうか,だとしたら柔術も打撃もできる。
 一方のフェレイラもブラジル人であるが,メインカードにもってこれるような実力なのかどうか,よくわからない。地元だからという観客動員を狙っての興行よりも,能力を最優先した興行をして欲しいように思う。


Middleweight Thales Leites vs. Tom Watson
 UFCデビューとなるブラジルのレイチェスと,イギリスの頑張り屋ワトソンの対戦。打撃と柔術の対決になるとおもうが,どっちが勝つにしても意外とあっけない終り方になりそうな予感。
 レイチェスが寝技しか狙ってこないような選手だと,今の総合格闘では通用しないと思うのだが,どうであろうか。
 私は寝技ばっかりの選手はあまり好みでないので,ワトソンの爆発力に期待。


Flyweight John Lineker vs. Jose Tome
 23歳の強打者リネカーは,前回漆谷選手を圧倒していた。試合の流れを決定的にしたのは,ミゾオチへのボディーブロー,そして後半からがらりと雰囲気を変えて右を出してきたのが印象的であった。作戦はおそらくセコンドの指示であろうと思うが,若くてなかなか将来性のある選手である。
 今回いきなりのメイン・カード登場は,地元ブラジル開催というだけでなく,彼の将来性とソリッドな強打をふるう試合スタイルの面白さを買われたんだろう。






2013年7月7日日曜日

UFC 162: Silva vs Weidman

Middleweight Anderson Silva vs Chris Weidman
 私はかなり早い時期からワイドマン予想をしていた一人であり,「初回か早いラウンドでワイドマンによるKO」と考えていたのだけれど,しかしまさかこんなふうな終り方になるとは予想だにしていなかった。
 アンデウソンがワイドマンをノーガードで挑発したのだが,そこでまともにパンチをもらってしまい,まさかの失神ノックアウト。

 この試合,いろんな受け取り方があるだろうけど,私にはいつものアンデウソンの催眠術が今回の相手には効かず,初回の終盤から少しやぶれかぶれになったようにも思えた。ワイドマンに対してしきりに軽率な挑発的そぶりを見せていたが,デミアン・マイアのときのそれとは明らかに違っていた。ちょっと顔がひきつっていたのが見てとれたし,彼の余裕から出た挑発でないのはなんとなくわかった。

 そこで翻弄されたらワイドマンは勝てなかっただろうけど,彼は最後まで相手に呑まれず,自分を失わず落ち着いていた。それが何よりの勝因ではなかろうか。アンデウソンの変なうごきにとまどいを見せつつもも,危険な打撃に大してはしっかり体が反応していた。

 そして,ワイドマンのリーチ。
 これまでの対戦相手なら届かない距離だったろうけれど,ワイドマンの左手はゆうに届いた。棒出ししたジャブのような左フック。それが当たっただけでアンデウソンは意識が飛んでしまい,すぐにパウンドの連打を受けて完全なノックアウトになってしまった。


 いまだに信じられない結末。
 試合開始前に,アンデウソンはいつものように汗びっしょりであったけど,顔の表情は涙ぐんでいるように見えた。それがどういう意味なのかはよくわからなかったが,今になっておもえばなんとも暗示的であったのかもしれない。
 ワイドマンの王座がどれくらい長続きするのかはわからないが,明らかに総合格闘の新しい時代の幕開けを感じさせる試合であった。

 

Featherweight Frankie Edgar vs. Charles Oliveira
 まだ若くて,総合力の高いオリヴェラだが,前回の試合から打撃の防御カンがいまひとつという印象をもっていた。だからフランキーのパンチがよく当たるだろう,と予想。

 で,フランキーの試合らしく押しつ押されつの面白い試合となり,予想どおりフランキーの速いパンチがよく当たり,彼のペースで試合が進んだ。
 組んでも元レスラーのフランキーは,慎重だった。グラウンドでも深追いはせず,最後まで上手に対処して,判定勝利。
 これまた予想的中。



Middleweight Tim Kennedy vs. Roger Gracie
 柔術しかもっていないような選手というのは,ボクシングしかない選手と一緒である。
 ようするに,ケンカが弱い。

 グレイシーの場合,それに輪をかけてスタミナ不足であった。
 相手をやっつけることのみ考えていたケネディーの方が,やっぱりケンカはつよかった。
 これまた予想どおりケネディーの判定勝ち。



Middleweight Mark Muñoz vs. Tim Boetsch
 はじめはムニョスのテクニックに期待してムニョス予想をしていたが,昨年から今年にかけて激太りしていたという話を聞いて,急遽バウチ予想に変更。

 しかし蓋を開けてみればムニョスの調子がすごく良くて,快勝といった感じであった。
 


Featherweight Cub Swanson vs. Dennis Siver
 私は単純にスワンソンの方が持ち駒を多く持っているからスワンソン有利だと思ったが,いざ蓋を開けてみると,打撃の正確さと防御カンのよさで,スワンソンが圧倒していた。序盤はシヴァの強い打撃があったがじわじわと自分のペースにもっていき,最後は連打を当ててノックアウト。見事な試合であった。



Middleweight Chris Leben vs. Andrew Craig
 私はクレイグが自分のペースで試合を進めて,判定でリーベンを破ると予想。
 そして結果は予想どおり。

 強いパンチをかぶせるよに外から撃つ選手と,大きな強打を恐れずに中から小さくまっすぐ出せる選手が対戦したら,かならず後者が勝つ。

 この試合もまさにそのとおりであった。
 


Lightweight Norman Parke vs. Kazuki Tokudome
 徳留選手の欠点は前の試合でも指摘していたが,とにかく打撃防御に大きな課題がある。そのことは前の試合でも指摘していたのだが,今回,まったくそれは全く改善されていなかった。頭が止まる,顎が出る,だらだらとまっすぐ下がる。最悪である。
 一体トレーナーは何を彼に教えているのか,ふしぎでならない。
 結論から言わせてもらえば,序盤からああいう不用意なパンチのもらい方を二試合連続でしているようでは,徳留は岡見のようにはなれっこない。

 徳留は,組んだときのねちっこさは一級品だけど,相手のパンチに対して体が全く反応していない。タダで打撃点とダメージをだらだらと献上してる。
 まるで彼の頭の中は自分の攻めの流れにもってくことしかないようで,相手の動きが全然見えていない様子であった。日本人にありがちで彼も練習しすぎなんじゃなかろうか。格闘で相手のうごきにしっかり反応することは,試合の流れを組み立てることなどよりもはるかに重要だと思うのだが。
 たとえば相手が木人ならばこの選手は滅法強いのかもしれないが,しかし相手は木人でなく自分のうごきにあわせて攻め方をどんどん変えてくる人間である。いっそのことくだらぬパターン化した練習などやめて,自身のケンカのカンを養った方が賢明なんじゃないかな。
 
 

Heavyweight Gabriel Gonzaga vs. Dave Herman
 右の一発が顎に当たって17秒でKO。まさにねじ伏せるように勝利した。

 ハーマンはあの前蹴りで何がしたかったのだろうか。
 攻撃は最大の防御というけれど,高いレベルの試合になるとああいう無意味な攻撃はむしろ相手に突破口を与えることの方が多い。
 
 

Lightweight Edson Barboza vs. Rafaello Oliveira
 12勝1敗のバルボザ,のローキックがよくあたり,オリヴィエラは立てない状態に。
 テイクダウン防御も絶対に相手を寄せつけない反応の良さがある。
 これは上位に来る選手だろう。
 


Welterweight Seth Baczynski vs. Brian Melancon
 ブライアン・メランソンという選手は足が極端に短くまるで小人プロレスの選手みたいだが,ものすごい打撃を持った面白い選手。
 牧草刈りとり機みたいな強打強振する選手の試合てな,やっぱ観てて面白い。
 上体のわりに下半身がやや貧弱なメランソン,バランス悪さが弱点になるかもね。


2013年6月26日水曜日

UFC 162: Silva vs Weidman 予想

Middleweight Anderson Silva vs Chris Weidman
 さて,怪人蜘蛛男アンデウソン・シウヴァの登場。相手はミドル級のホープ9戦全勝29歳のクリス・ワイドマン。
  ワイドマンはレスリングにおいて高校大学と全米トップクラスの実績があり,よって必勝のテイクダウンをもつ。また,いろんな局面で一番欲しいところに適切な打撃を躊躇なくえげつなく出せる選手でもあり,つまり,ケンカがつよい。
 またこのクラスでは珍しくリーチも上背もアンデウソンを上まわっている。メンタル面もアメリカ人らしく楽観的で,まだ恐いものを知らない。臆することなくアンデウソンに向かっていけるであろう。今のミドル級でアンデウソンを破れる可能性の最も高い男である。
  というわけで,私はセオリーどおりのワイドマン予想。
 
 アンデウソンが勝つとしたら,初回二回と相手の動きをじっくり見切れるだけの時間を与えられた場合だろう。裏を返せば,ワイドマンが勝つためにはアンデウソンに自分のうごきをじっくり観察させる時間を与えてはダメであり,試合開始と同時にもたつかずに全開で攻めて行くべきだろう。

 私はアンデウソン・シウバという選手はどうもあまり好きになれないので,この試合ワイドマン選手を応援しながら観戦するつもりだ。  
 
 
Featherweight Frankie Edgar vs. Charles Oliveira
 フランキーがオリヴィェラと対戦。
 ブラジルの若きホープオリヴィエラはバランスがよく,組めばかなり強いかんじがするのだが,わりと相手の打撃をポンポンもらってしまう選手という印象。

 ここはフランキーの速いパンチがよく当たり,彼のペースで試合が進むのではなかろうか。
 組んで相撲になっても,元レスラーのフランキーが負けるとも思えない。


Middleweight Tim Kennedy vs. Roger Gracie
 元グリーンベレー33歳のケネディ(14勝4敗)が,ブラジリアン柔術のホジャー・グレイシーに挑む。
 ケネディは日本の柔術の達人だそうで,柔術対決としてみても面白い。

 私は元軍人でケンカのうまいケネディーが,えげつない攻め方をしてホジャーを圧倒するだろうと予想。


Middleweight Mark Muñoz vs. Tim Boetsch
 前回,ワイドマンのえげつない肘のカウンターでマットに沈んだマーク・ ムニョスが,強打のボウチと対戦。

 ボウチは荒削りなところのある選手であるからして,ムニョスがあわてず冷静に攻め続ければムニョスが勝つのではなかろうか。

 追記(7月1日)
 去年,ムニョスは激太りして,今年になって大減量したらしい。
Mark Munoz shows off slimmed down physique for UFC 162 after ‘turning to food for comfort
 35歳にもなってこんなことをしていては,勝てるわけがない。
 ボウチ予想に変更。


Featherweight Cub Swanson vs. Dennis Siver
  スワンソンもシヴァーもともに打撃に自信をもっており,強打の打ち合い対決になるのではなかろうか。

 スワンソンはブラジリアン柔術も達人であるからして,単純に持ち駒の多さでスワンソン有利だろうとおもう。


Middleweight Chris Leben vs. Andrew Craig
 ミノル,ことクリス・リーベンの登場。対するはテキサス野郎のアンドリュー・クレイグ 。クレイグは前回マルケスに惜しくも敗れたが,なかなかクレバーな選手という印象。

 私はクレイグが自分のペースで試合を進めて,判定でリーベンを破るのではないかと思う。


Lightweight Norman Parke vs. Kazuki Tokudome
 まだ26歳の日本の期待のホープ徳留一樹選手が登場する。
 徳留選手の前の試合をみるに,なかなか強そうなハートと雰囲気をもったサウスポーで,相撲も強く,ケンカも上手い印象。
 前回の試合を観た感想を述べさせてもらえば,コンボが交錯すると頭が止まりがちなのと,押されるとまっすぐ下がってしまう悪癖が気になる。これは日本人選手全般にいえることだ が,顔面への速いパンチに対する反応がどうも鈍い。鈍いなら鈍いでガードを高く掲げるとか,頭をつねに動かすとか,それなりの対策があろうに,そういうことをしないでまるで天才ボクサーみたいにガード下げてじっと静止して構えてたりする。それはパンチのおそい日本人相手なら通用するかもしれないが,世界のトップレベルには通用しない。世界の上に行くためには速い打撃に丁寧に対処してできるだけパンチを顔面にもらわないようにもっと工夫をこらすべきだ。

 相手は北アイルランドの強豪ノーマン・パーク選手,16勝2敗。初めて名前を聞くが戦績からしてかなり強そうな相手だ。柔道とレスリングの達人らしい。これは徳留選手にとって試練になりそうだ。
 
 徳留を応援したいところだが,私はパークを予想


Heavyweight Gabriel Gonzaga vs. Dave Herman
 中堅実力者のゴンザガがハーマンを問題なくパウンドか何かで退けるのではないかな。
 ハーマンは美しい筋肉をもっているが, 勝利への貪欲さが希薄でやや決め手に欠ける印象。
 

Lightweight Edson Barboza vs. Rafaello Oliveira
 11勝1敗のバルボザはマーチンス戦では左のジャブを出鼻に入れて突破口を開いていた。この試合でもバルボサの速いタイミングのいいパンチが先に当たり,それが勝敗の決め手になるのではなかろうか。

 

2013年6月16日日曜日

UFC 161: Evans vs. Henderson

Light Heavyweight Rashad Evans vs. Dan Henderson
 過去のリョート戦,ショーグン戦を見るかぎり,ヘンドは右手にさえ気をつけてじっくり疲弊を待っていれば決して恐くない選手ともいえ,ラシャド・エヴァンスが距離を上手にとって優位に試合を展開していくんじゃなかろうかと予想していた。

 しかし予想以上にラシャドが慎重であった。
 ヘンドは本腰を入れた右の布石としてか,序盤からわりと変則的な右を出してきていたが,その後,左の踏み込んだジャブがラシャドの出鼻にカウンターで入った。リョートに受けたカウンターのような見事なタイミングで,ラシャドは膝をついていたが,当てたヘンドの方もびっくりしていたようでもあった。あれは狙って当てたというよりたまたま入ったかのようであった。
 序盤はラシャドは明らかに翻弄されていた感じであった。回を追うごとにラシャドの顔には迷いの色が濃くなっていったようにみえた。

 むかしはもっと大胆に踏み込んでパンチを出していたラシャドであるが,このごろは距離をうまく使うようになった感じで,安定感が増した反面,臆病になったようにも感じられる。どうしても勝ちたいというのはわかるし,結果的に勝てて嬉しかろうが,第一級のプロとしてもっと大胆な攻めを見せて欲しいものである。



Heavyweight Roy Nelson vs. Stipe Miocic
 ミオチッチも強い打撃をもっているが自分より強い打撃をもった選手に対してどう対処するかが見所であった。
 一方のビッグ・カントリー,ロイ・ネルソンの右がまた今日も当たるんではなかろうか,という期待をこめて観戦。
 
 試合開始前の自信に満ちたミオチッチの顔を見ていたら,ミオチッチが勝つような気がしてきた。
 野球でも格闘でも,強打者の一発ほどアテにならないものはない。頭のいい選手によってちょっと研究され攻略されれば完全に不発に終ってしまう。今日のロイ・ネルソンの不発っぷりもまさにそんな感じであった。ミオチッチの身体能力と比べると,はんぺんのように太ったロイ・ネルソンは,レベルが一つ二つ下の選手のようにもみえたし,結果もそのとおりとなってしまった。

 打撃を何度もまともに顔面にもらっていたネルソンのダメージが心配である。 
 100kg を超える選手が放つ渾身の打撃を,頭部に百発以上も受け続ければ,脳に後遺症が残らない方がおかしい。この試合以降はどんどん下降していくのではなかろうか。



Light Heavyweight Ryan Jimmo vs. Igor Pokrajac
 カナダの空手家ジモは17勝2敗という華々しい戦績。全体的に筋肉がよく発達しており,ふくらはぎなど卓球選手のようであるが,全体的に動きがなんだか重いかんじがする。

 いくら馬力があっても,ギヤがローで固定されたような選手は速さに欠け,攻撃にキレがない。今日は勝てたが,こんなスピードではLH級の上位にはまず通用しえないのではなかろうか。



Women's Bantamweight Alexis Davis vs. Rosi Sexton
 おふらんす出身でエギリスで学んだロジー・セクストンは頭脳明晰な秀才選手らしい。
 一方のアレクサス・デイビスも日本柔術とブラジリアン柔術の両方を学んだそうで,生粋の格闘家とのこと。

 女子の試合は身体が柔らかいせいで,打撃も関節技もスパっと決まらず,また根性は男子以上で滅多なことではタップしない。時として眼を覆いたくなるような展開になったりする。この試合もそんな展開であった。
 


Heavyweight Pat Barry vs. Shawn Jordan
 相撲っとりみたいな体型の両者だけど,相撲の下手っぴな,ただのぶん殴りあい対決。はっきりいって,前時代の総合格闘であり,暇つぶしにはいいが,面白みはナシかも。
 
 ノックアウトされたパット・バリーは,相手の打撃を受けたあと頭を抱えたまま後ろによたよた歩くだけであった。今時そんな素人みたいな防御反応をしてるのはヘビー級ぐらいなものだろう。
 ノックアウトとはいえ,ブーイングしたくなる最悪の試合であった。
 


Welterweight Jake Shields vs. Tyron Woodley
 ウッドレイの一発に期待したいが,いなし上手なジェイクがまた誤魔化して勝つんじゃないかな,という予想。
 そして予想どおりの結果。つまらん。
 


Lightweight Sam Stout vs. James Krause
 クラウスは頻繁にスタンスをスイッチさせ,長い手足でもって変幻自在のパンチと蹴りをもった選手。カポエラのような変則的なキックを出してきたりもする,面白い選手。
 特徴的なクラウスと比較すると,スタウトの方は真っ正直であまり面白みのない選手になってしまうが,どんなときも下がらずに前へ前へと出てゆく不屈の闘志をもっており,決して悪い選手ではない。
 


Welterweight Sean Pierson vs. Kenny Robertson
 ショーン・ピアソンはもう37歳というベテラン。強い打撃を持つ選手だが,打たれやすい面もあり,ノックアウトによる勝ち負けが多い。見ていて面白い選手ではある。
 ケニー・ロバートソンは前回股裂きという珍しい技で勝っていた。自称レスリング黒帯だそうな。

 ピアソンはサウスポで,右のフックにクロスがソリッドで,見ていて気分がいいが,やはり最大の敵は自身の年齢のようであり,どうしても混戦になれば相手の打撃をもらってしまう。
 一方のロバートソンは,レスリング黒帯と自称しているが,あんましケンカ上手というわけでもなく,さほど将来が楽しみというかんじでもなかった。負けてるし。



Bantamweight Roland Delorme vs. Edwin Figueroa
 11戦して9勝2敗,28歳のムエタイ・キックボクサー,フィガロアと,10戦して8勝1敗1無効試合,地元ウィニペグ出身のカナダ人デロームの対戦。
 デロームは寝技のうまい選手という印象だが,打撃が苦手というのが見ていてわかるところが大きな欠点か。
 フィガロアはマウントから皮膚をかすめるようなエルボーを出してくる,どうやったら人間の皮膚を切り裂けるか熟知しているかのように打撃をくり出す選手である。

 デロームのようにはじめから組みいくことしか考えていないような選手の試合は,私はあんまり好きでない。

2013年5月21日火曜日

UFC 160: Velasquez vs. Bigfoot 2 予想

Heavyweight Cain Velasquez vs. Antonio Silva
 前回アリスター・オフレイムを豪快にノックアウトしたビッグフットことアントニオ・シウバがチャンピオンのケイン・ヴェラスケスに挑戦する。
 圧倒的にスピードと身体能力,反応のよさで,ヴェラスケスが有利だと思う。
 ビッグフットのパンチが当たればだが,ヴェラスケスはオフレイムのような臆病者ではない。ビッグフットのパンチが当たる前にヴェラスケスの速いストレートが何発か当たり,形勢がどんどんヴェラスケス有利となり,わりと速いラウンドで決着がついてしまうのではないか。
 
 私は2RTKOでヴェラスケス。


Heavyweight Junior Dos Santos vs. Mark Hunt
 元チャンピオンのドス・サントスと,スーパー・サモアンのマーク・ハントという,興味深い試合。
 おそらく立っての打撃戦になると思われるが,いくらハントに強打があるとはいえ,ドス・サントスの方が足も速く,ボクシング技術は上ではなかろうか。

 リーチの短いハントとしては相打ちを狙ってくるだろうし,おそらくドス・サントスのアッパーに合わせて左フックを叩き込んでくるであろう。それが当たればハントにもチャンスはあるかもしれない。
  
 というわけで私はドス・サントスが判定で勝つのではないかと思う。
 

Light Heavyweight Glover Teixeira vs. James Te-Huna
 日本でもよく試合をしていたテシーラは32歳で20戦19勝,11KO。タフで打たれ強く,どんどん前に出て相打ちをねらってヘビー級のようなパンチを叩き込んでくる選手。
 テフナも強打をもつが,やや荒っぽすぎるところがある。
 テシーラの一発が先に当たって,テフナをノックアウトするのではないか。


Lightweight Gray Maynard vs. TJ Grant
 フランキーと好勝負をしたメイナードだがグラントも連勝中のいい選手である。どちらも一歩も引かない好勝負になるのではないか。


Lightweight Donald Cerrone vs. KJ Noons
 ヌーンズは変則的な打ち方だが,肩幅を生かした強打の選手,しかし寝技がてんでダメ。
 カウボーイが勝つのではなかろうか。


Featherweight Dennis Bermudez vs. Max Holloway
  21歳のホラウェイに注目。なかなかクリエイティブな戦い方をする選手だが,打撃力がいまひとつ。
 バミューデズも打撃はナマクラで,ともすればつまらない試合になるかもしれない。


Welterweight Colton Smith vs. Robert Whittaker
 25歳の海兵隊男コールトン・スミスは,技術云々以前にとにかく強い選手。すごい馬力でもってがむしゃらなケンカ・ファイトをする選手である。



Lightweight Khabib Nurmagomedov vs. Abel Trujillo
 まだ24歳で19戦全勝中のヌマゴメドフは最注目選手。かなり変則的な打撃を放ってくるが,まだ彼が本当に強いのかどうかはいまひとつ不明。
 

Welterweight Stephen Thompson vs. Nah-Shon Burrell
 23歳のビュレルに注目。


Bantamweight Brian Bowles vs. George Roop
 水垣に勝ってフェイバーに敗れてるバウレスと,水垣に僅差で負けているループ。
 水垣基準で考えればバウレス か。

Featherweight Jeremy Stephens vs. Estevan Payan
 強振してくるスティーブンスの一発ノックアウトに期待
 

2013年4月27日土曜日

UFC 159: Jones vs. Sonnen 予想

Light Heavyweight Jon Jones vs. Chael Sonnen
 チェールは重量を増やすために筋肉をつけてくるであろうから,スタミナは期待できない。
 ジョン・ジョーンズは万全だろう。
 チェールはこの試合で引退するのではないかな。大怪我などせず無事に試合終了になることを祈る。


Middleweight Michael Bisping vs. Alan Belcher
 ミドル級の上位の対決。
 両者ともに決定的なつよさをもっているわけではないが,ともに中堅的実力派である。
 ベルチャーは秋山に敗れ,岡見にも敗れてる。
 一方,ビスピンは秋山に問題なく勝っている。
 単純計算すれば,ビスピンの方が実力は上のようでもある。 

 両者ともに手堅い戦い方をするであろうし,おそらく判定になるだろう

 ベルチャーがどれだけくらいつけるか期待したい。

 
Heavyweight Roy Nelson vs. Cheick Kongo
 今回の興行の娯楽になるのがこのヘビー級の一戦。
 純粋にぶん殴り合いを楽しもう。





2013年4月26日金曜日

UFC on Fox 7

Lightweight Benson Henderson vs. Gilbert Melendez
 ベンドーが圧倒するかと思っていたが,競った内容で,私の目にはメレンデスの方が良かったように見えた。この試合でベンドーの弱点がかなり露呈された観があった。
 少なくともメレンデズのパンチの一発一発にはこちらをハラハラさせる殺気がこもっており,明らかに彼の方が優位だったように私には見えた。ベンドーの得意なローキックも序盤はあまり出せてなかったが,おそらくメレンデズがベンドーの蹴りのタイミングを入念に研究してきたようで,蹴りにあわせたカウンターを狙ったり,足をとったりして,ベンドーの蹴りを封じてしまっていた。初回は確実にメレンデズのラウンドであった。 
 ただ,ベンドーもジャブのような小さな肘をうまく入れたり,ローキック,テイクダウンの数など,ポイント的にはベンドーの方が後半盛り返した感じであった。 しかしベンドーのあの変な小さな肘撃ちは,やめた方がよかったのではないかと思った。あの肘を練習したせいで,この試合内容がいまひとつだったのではないか,とさえ感じた。



Heavyweight Frank Mir vs. Daniel Cormier
 コーミエが問題なく勝つだろうと思っていたが,こんな鈍重な相手に手こずるとは思ってもいなかった。ミアに勝ったことでコーミエの実力が証明された,と考える方も多いかもしれないが,私はむしろかなりネガティブにこの試合を眺めてしまった。明らかに練習不足のミア相手にあんなダレたしているようでは,軽快なライト・ヘビー級の上位と闘って勝てるとは思えない。
 ミアもコーミエも黄昏期だな,という印象であった。 

Lightweight Nate Diaz vs. Josh Thomson
 いくら判定の多い選手であっても,格闘の上位選手ともなれば,打撃がまともにあたればノックアウトできる威力は十分にもっているものだ。 トムソンはまともに打ちあってこないだろうという目算だったのか,ネイトはガードをわざと下げたままぐいぐい前に出た。それが逆に返り討ちにあった感じであった。
 トムソンの右の上段まわし蹴りが,ネイトの前頭部にまともに入り,よろめいたところにトムソンはたたみかけ,一気に決めた。快勝であった。
 ネイトは,頭部にかなりのダメージを負ったであろう。いくら彼がタフとはいえ,ああいう打撃のもらい方をしてしまっては脳におよぼす影響は多大であり,実力は急降下していくだろう。ともすればできるだけ早く引退した方がよいかもしれない。


Welterweight Matt Brown vs. Jordan Mein
 上品げなブラウンに対し,ミエンのケンカ・ファイトが圧倒するだろうと思っていたが,むしろ逆だった。
 マット・ブラウンがこんな荒くれファイターだったとはしらなんだ。
 ミエンも序盤に肝臓にいいパンチを当て優位に立ったかと思われたが,むしろ逆にブラウンの荒くれファイトに火をつけてしまった感じであった。
 ブラウンによるTKO。


Featherweight Chad Mendes vs. Darren Elkins


 右のクロスが当たればエルキンスだが,まずメンデズ有利と予想。
 蓋を開けてみれば,メンデズの右のクロスがエルキンスのテンプルをとらえ,勝負がついた。
 つよい,メンデズ。


Middleweight Francis Carmont vs. Lorenz Larkin

 ラーキンは打撃主体かと思いきや相撲も強くバランスもいいことがよくわかった。隙があればどこからでもクリエイティブに打撃を狙ってくるあたりケンカもつよい良い選手だ。
 私はラーキンが明らかに勝ったと思ったが,カーモンが勝ったそうな。


Lightweight Ramsey Nijem vs. Myles Jury 
 ニジェムは若い選手らしく荒削りで豪快な打撃をおもいきって放ってくる,なかなか見ていて面白い選手。一方のジュリーは目下全勝中。この試合も面白そうであり,注目してみたい。


Flyweight Joseph Benavidez vs. Darren Uyenoyama
 終始前へ前へと出るベナヴィデスが好印象であるのに対し,ウエノヤマの逃げ方,避け方など,後ろ向きになったりであまり印象がよろしくない。
 ベナヴィデスは短い足ながら意外と上段へのまわし蹴りをよく出す選手で,今日も一発ウエノヤマの延髄に当てていた。
 最後は左の中段まわし蹴りと,左のボディーブローを連続して肝臓に入れてノックアウト。
 とてもいい勝ち方であった。
 
Lightweight Anthony Njokuani vs. Roger Bowling
 前座の前座,ナイジェリアのンジョクワニによる一発ノックアウトであった。
 往年の渡辺二郎選手がよく見せたみたいな芸術的な小さなフックのカウンターだった。総合格闘もこういう高いレベルに達したのだね。

2013年4月19日金曜日

UFC on Fox 7 予想

Lightweight Benson Henderson vs. Gilbert Melendez
 注目のこの試合,私はベンドーが丁寧に闘ってメレンデスを圧倒すると思う。
 メレンデスの踏み込んだつよい右のパンチは脅威だが,上体の柔らかいベンドーには簡単に踏み込ませてもらえないだろう。またベンドーの下半身の安定感と比べると,メレンデスは足がドタドタして攻めも雑なところがある。何よりあのガガンボみたいな細い足をベンドーは当然狙ってくるだろうし,メレンデズは下半身を攻められるとわりと簡単にバランスを崩しやすそうでもある。

 というわけで3-0判定でベンソン・ヘンダーソン。
 かわいいお母さんがまた喜ぶ顔が見れるだろう。


Heavyweight Frank Mir vs. Daniel Cormier
 問題なくダニエル・コーミエが勝つだろうと思う。コーミエの全米レスリング六連覇という実績はすごい。レスリングみたいな競争の激しい種目において超一流の才能で,しかもパンチのある選手てのは,強い。
  
 ミアはパンチがあまり見えない選手であり,ともすればコーミエの一発が当たってKOじゃないかな。
 でもおそらく判定でコーミエ。
  

Lightweight Nate Diaz vs. Josh Thomson
 ディアズ兄弟ならではの相打ちを狙っていきたいネイトだろうけど,トムソンはいなし上手。
 しょっぱい判定になるのは確定的。
 
 私としてはカリフォルニアの辰吉ディアズ弟に勝ってほしいところだけど,判定でトムソンか


Welterweight Matt Brown vs. Jordan Mein
 これは面白そうな試合。
 弱冠23歳にして既に三十戦を超える戦歴をもつミエンは,かわいい顔をしてなかなかのケンカ上手である。
 ベテランのブラウンは,前の試合ではなかなかソリッドな斬れのいいワンツーをタイミングよく入れてノックアウトしていた。
 
 ここは若いミエンを応援したい。



Featherweight Chad Mendes vs. Darren Elkins
 これも面白い対戦。
 両者レスリング出身で,ハードパンチャーである。
 どっちが勝つにしても,パンチによるノックアウトだろう。
 
 戦績的にはメンデズかと思うが,右のクロスが当たればエルキンスだろう


Middleweight Francis Carmont vs. Lorenz Larkin
 ストライクフォースで無敗できたラーキンに注目してみたい。
 パリのカーモントも良い選手であり,これは好試合になるだろう。


Lightweight Ramsey Nijem vs. Myles Jury 
 ニジェムは若い選手らしく荒削りで豪快な打撃をおもいきって放ってくる,なかなか見ていて面白い選手。一方のジュリーは目下全勝中。
 この試合も面白そうであり,ぜひ注目してみたい。


Flyweight Joseph Benavidez vs. Darren Uyenoyama
 上体を直立させ終始脇をしめて基本に忠実な印象のベナヴィデズと,わりと曲者なウエノヤマ。
  ベナヴィデズが格闘の教科書のような戦いをして,判定で勝つのではないかな。

 
 

2013年4月6日土曜日

UFC on Fuel TV: Mousasi vs. Latifi 予想

 それにしても,この興行はパッとした選手が出ないね。
 ガスタフソンが唯一の希望だったのに,出場できなくて実に残念である。

Light Heavyweight Gegard Mousasi vs. Ilir Latifi
 ガスタフソンの負傷により,急遽練習相手のラティフィが抜擢されたというもの。無名のラティフィにとってはこれは全世界に自分の試合が放映される願ってもない大きなチャンスであり,全力でかかってくるだろう。対するムサシもこれがUFC初参戦であるからして,そこらへんでモチベーションを高めていかないと,案外やられてしまうことも考えられる。
 が,まず間違いなくムサシが勝つのではないかと思う。


Lightweight Ross Pearson vs. Ryan Couture
 Randy Couture の息子の Ryan は既に30歳。父 Randy が19歳のときに生まれた子である。下がらずによく打ち合うタイプだが,これといって特筆するような強打をもっているわけでもない。
 打ち合いになれば強打者ピアソンが勝つのではなかろうか。
  

Heavyweight Matt Mitrione vs. Phil De Fries
 強打のミトリオーネと関節技のデフライズ。
 ミトリオーネはノックアウト・オブ・ザ・ナイトを狙っていくだろうし,デフライズはサブミッション・オブ・ザ・ナイトを狙っていくだろう。面白そうな試合。
 せっかくのヘビー級なのだから,せこい関節技などでなく,豪快なノックアウトが見たい。
 ミトリオーネの一発に期待したいところ。


Bantamweight Brad Pickett vs. Mike Easton
 ピケットはマイク・タイソンのように頭を振って踏み込んでくる選手だが,タイソンのような一発は持っていない。一方のイーストンは柔術とテコンドーの達人であり,下半身が安定しているが,これまた一発はない。
  試合としては,あんまり面白くなさそう。


Featherweight Diego Brandao vs. Pablo Garza
 ブラジルの柔術黒帯ブランダオと,アメリカの力石徹,『案山子』 ことパブロ・ガーザ。
 打撃戦になればガーザが得意の膝を当ててくるだろうし,寝技になればブランダオか。


Featherweight Akira Corassani vs. Robbie Peralta
 黒澤に似てるからアキラと名乗るコラサニは北極圏の人らしくアイヌとかイヌイットっぽい風貌をしている。 一方のペラルタは最初から思い切り振ってくる強打の選手。
 ここはペラルタが一発を当てて豪快にノックアウトを決めてほしいところ。
 

2013年3月17日日曜日

UFC 158: St-Pierre vs. Diaz

Welterweight Georges St-Pierre vs. Nick Diaz
 この試合も,予想どおりといえば予想どおり総合力にてGSPが圧倒,勝つべくして勝ったというような試合となった。ディアズは最後まで自分の距離で闘わせてもらえず,GSPのすばやい出入りとテイクダウン,そしてスーパーマンパンチに翻弄され続けた。中盤GSPにややピンチが訪れた場面があったが,それはGSPが足を止めて撃ち合いに応じたときであった。これも予想どおり。
 
 そしてこれまた予想どおりといえば予想どおりなのだが,ディアズは引退を表明した。今回は試合そのものに対する不平というよりも,自身が総合格闘を続けることに疲れたような感じであった。大麻常習者は物事への執着心や,努力して何か成し遂げようという根気が減退してゆくといわれてるが,大麻を常習していると公言しているようなニック・ディアズも,まさにそんなかんじである。


Welterweight Carlos Condit vs. Johny Hendrickss
 序盤から猛烈な打撃戦の攻防で,大変みごたえのある試合であった。ヘンドリクスが左を狙いすぎれば,それに対して十分な対策を練ってきたコンディトが有利になるのではないか,と思って観ていた。ヘンドリクスが勝つとすれば,左手以外によるものだろう,と。
 勝負を決定づけたのはヘンドリクスの左でなく,彼のレスリング力であった。中盤にヘンドリクスは一番の頼りであった左拳を傷めたらしく,左に頼るのを止めてテイクダウンを狙うようになり,ほとんど全てにおいて成功していた。左拳を傷めたことがかえって勝利を確実にしたといえるかもしれない。
 コンディトの打撃の鋭さは最後まで消えることなく,試合を大変緊迫した面白いものにしてくれていた。この日一番の好試合であったろう。
 

Welterweight Jake Ellenberger vs. Nate Marquardt
 マーコートは序盤から左足に力が入っていなかったように見えた。ついこないだのストライクフォース最終戦でさんざんに左ひざに蹴りを受けていたが,その傷が完全に癒えていなかったのではなかろうか。
 ケージ際でエレンバーガーの強くこすりつけるような右が,マーコートの鼻を折ったようだ。たまらず伏せたマーコートの後頭部をかすめるように強い右があたり,そのまま突っ伏すように倒れた。意識はあったが,後遺症が心配になるような当たり所であった。
 マーコートはこれで引退するのではなかろうか。しないにしても,もう上位レベルへの浮上はなさそうである。しかしこの人は格闘が好きな人なので,そう簡単に「格闘やーめた」などとは言わなそうではあるが。


Middleweight Chris Camozzi vs. Nick Ring
 カルガリーのニック・リングはスピードに自信があってか,ほぼノーガードでフットワークのみで試合に臨んでいた。しかし相手を倒そう,などという色気はさらさら無しで,はっきりいって大変つまらない試合であった。リングの試合というのはいつもこんな感じである。
 たしかに序盤は身体能力の差でもってリングが圧倒してるかんじであったが,彼ももう34歳,長く続くものでもなく,徐々にスピードは落ちていった。また打撃というより相手に触っているだけのニックの消極的な攻めがあまりに印象がわるかった。鈍重ながらひたすら前進していたカモジの方に攻勢点がついた感じであった。


Lightweight Mike Ricci vs. Colin Fletcher 
 地元の美男子マイク・リッチと英国の怪人の対決。リッチーはサウスポで豊かな肩幅をもち,よく伸びる右のリード,左のストレートがよろしい。また,リッチーはボクシングだけでなく相撲もつよいね。バランスいいし。寝技だって上手く,悪くない選手。



Welterweight Patrick Côté vs. Bobby Voelker
 元ストライクフォースの打撃王に対して,コテが強気にラフ・ファイト行っている。うごきもスムーズで調子もよさげで自信もありそうである。審判によく見える攻撃の仕方をよく知っているかんじである。
 序盤はコテが攻めで圧倒しているようなかんじであったが,ヴォルカーも踏ん張りどころしのぎどころをよく知っている選手で,絶対に一方的にやられない。結果,後半はヴォルカーが完全に盛り返し,どっちが勝ってもおかしくない面白い試合となった。
 序盤の攻勢をとってコテが勝ったが,この試合が五回戦であったらヴォルカーが勝ったのではなかろうか。判定基準の採点のことだが,得点配分は各ラウンドごとだけでなく全ラウンドを総合してどうだったか,という得点枠も設けてはどうだろう。私はヴォルカーの方が勝ったような気がしたし,こういうタイプの方が好きだ。


Featherweight Darren Elkins vs. Antonio Carvalho
 エルケンスには右のクロスがあると予想に書いたが,やはり試合を決めたのもその右のクロスだった。カルヴァロの耳のあたりに入って,それが効き,バランスがおかしくなり,それが終わりの始まりだった。ふたたび強い右が入り腰が落ちたところで,レフリーが止めてしまった。賛否あるが私は絶妙なストップだったと思う。
 今日のカルヴァロはガードを高く掲げてパンチ主体の攻撃をしていたが,パンチの得意な相手にパンチで勝負に出るのは見ている側にとっては面白いが,必勝策とは言いがたい。彼の持ち味の多彩な蹴りを主体とした攻めで行ってたら,また違った結末だったのではなかろうか。
 

Welterweight Dan Miller vs. Jordan Mein
 一通りの一流選手と対戦してきたベテランのミラーが無難に勝つかと思っていたが,この少年のような顔をした23歳のミエンという選手は天然につよい若者のようだ。
 突破口を見出しすやいなや,血のにおいをかいだ鮫のように獰猛になり執拗に攻めたてる。これはまた面白い選手がトップに食い込んできそうである。


Lightweight Daron Cruickshank vs. John Makdessi
 カラテ対テコンドーの試合であり,緊迫した打撃戦のいい試合であった。
 予想どおり当てるのが上手く眼の良いマクデシが徐々に主導権を握るようになり,最終ラウンドでは完全に圧倒していた。独特のコンボも出してきてまるで格闘ゲーム『鉄拳』をみているようなかんじであった。
 ただ,やはりあそこまで実力差を見せつけるのであれば,最後はノックアウトで決めて欲しかった。

 

2013年3月13日水曜日

UFC 158: St-Pierre vs. Diaz 予想

Welterweight Georges St-Pierre vs. Nick Diaz
 因縁の対決とでもいうべきか,元ストライクフォースの王者ニック・ディアズと,UFCで長年の無敵王者GSPとの待ちに待った対決である。
 ディアズには蹴りもあるし,寝技は立派にブラジリアン柔術の黒帯である。ひとつひとつの攻撃を見れば決してGSPに見劣りはしない。そして彼のなによりの武器はタフネスさだろう。相手が出るのにあわせるように自分も出て,とにかく相打ちを狙ってくる。お互いに足を止めてサンドバッグを撃ち合うようなパンチの交換をしていれば,当然それはディアズが有利な展開になるだろう。
 しかしGSPはサンドバッグではない。上下の技から技へのつながりの速さとスムーズさ,そしてどこから攻撃が飛んで来るかわからないという攻めの持ち駒が多彩さにおいてGSPは格闘界でずば抜けてる。とくに彼の得意とするスーパーマン・パンチはフェイントのタメが長く右が来るか左から来るか最後の最後までわからない。相手との距離の出入りの速さではディアズを圧倒するだろうし,グラウンドでもGSPの方がうまいだろう。

 以上のことを私なりに考えてみるに,総合力とトータルバランスで満点のGSPが勝つべくして勝つ試合になるだろうとおもわれ,ディアズはコンディット戦以上に苦戦してフラストレーションの溜まる試合になるのではなかろうか。ディアズが勝つとしたら,積年の因縁と意地でGSPが足を止めてディアズの打ち合いに応じたときかと思われる。
 ディアズは負けた腹いせに 「格闘なんか,やめた」 とか言わないで,またいろんな相手と試合をしてほしい。


Welterweight Carlos Condit vs. Johny Hendricks
 メインよりもこちらのセミファイナルの方が興味がある。 
 試合運びのうまさと多彩な蹴をもつコンディットはこないだGSPとすごく良い試合をしていた。
 一方,ヘンドリクスの華々しい戦績を振り返るに,豪快な一発が当たって早い回に試合を終らせてしまったというのが多く,実際どれくらい “強い” のか,まだいまひとつよくわからない。強いのはわかるのだけども,相手が一流の試合巧者で自分の打撃が誤魔化されたとき,そこからどう突破口を切り開けるかなど,まだまだ未知数な点が多い。

 コンディットが巧みに試合の主導権を握り,ヘンドリクスのタイトル挑戦はまたしばらくおあずけ,ということも十分考えられる。
 逆にヘンドリクスがコンディットをも蹴散らす勢いであれば,そのままGSPをも圧倒するかもしれない。しかし野球でも格闘でも一発への期待ほどアテにならないものはない,ということは周知のとおりである。


Welterweight Jake Ellenberger vs. Nate Marquardt
  打撃力のあるエレンバーガーが,ベテランのマーコートとぶつかる。これは楽しみな一戦。

 マーコートはストライクフォース最終日でふがいないメイン・イベントを演じていたが,ああいう試合を観せられるとがぜんエレンバーガーを応援したくなる。どちらが勝つにしても,ここは豪快に一発で決めて欲しいところ。


Middleweight Chris Camozzi vs. Nick Ring
 カルガリーのニック・リングの唯一の敗けはティム・ボウチによるものだが,ずば抜けて強いという感じの選手ではない。日本の福田力にも微妙な判定で勝ってる。

  つまらない試合になればニック・リングが勝つかもしれないが,私としては26歳のカモジの方に期待したい。


Featherweight Darren Elkins vs. Antonio Carvalho
 松涛館空手と柔術で黒帯をもつカルヴァロは多彩な蹴り技が特徴的な選手だ。日本の日沖選手にも判定勝ちをしたことがある。が,攻めにおいてやや慎重すぎるところもある。
 一方のエルケンスは,右のクロスをいいタイミングで入れてきたりする。この試合おそらく打撃の応酬になるのでは。


Welterweight Dan Miller vs. Jordan Mein
 弱冠23歳にして既に三十戦を超える戦歴(26勝8敗)をもつミエンと,いわゆるウェルター中堅どころのダン・ミラー(14勝6敗)の対戦。
 このジョーダン・ミエンという選手は,長い四肢を生かして距離をとって打撃をタイミングよくコツコツ当ててくるタイプであるが,さほどの爆発力や上手さをもった選手というわけではなさそうだ。これまでさほど強い相手と闘っていない。その点においてこの試合は,ミエンの力量を測る上で格好の力試しといったところか。

 この試合に勝った方が上位へ抜け出る道が拓けるといったところであるが,私は一通りの一流選手相手に判定まで持ち込んでいるダン・ミラーが無難に勝つだろうとおもう。


Lightweight Daron Cruickshank vs. John Makdessi
  松濤館空手の黒帯のマクデッシは打撃技術が高い。また眼もよく頭をよく動かして相手の打撃を上手にかわす。しかし,技術にこだわりポンポン当てるだけで,相手をノックアウトしてやろう,という執念があまり感じられない。
 一方のクルックシャンクは学生レスラーでもあり,テコンドーの達人であり,キックによるノックアウトもある面白い選手。

 前座ながらかなり面白い試合になるのではないか。

2013年3月3日日曜日

UFC on Fuel TV: Silva vs. Stann


Light Heavyweight Wanderlei Silva vs. Brian Stann
 全体的にフラストレーションの溜まるような試合の多い興行であったが,この試合がすべて帳消しにしてくれるような一戦であった。とにかく,ものすごい試合であった。
 両者,下がることなく真っ向からの殴り合い。PRIDE 黎明期のような試合であった。打ち合いはすべて相打ちであり,殴り殴られで,それに打ち勝って倒したヴァンダレイもすごいが,端整な顔を血まみれに して真っ向から向かっていったスタンの根性もすごかった。

 こんな試合を見せられると,もう何も言うことはなく,何も言うべきでなく,ただただ拍手するしかない。


Heavyweight Mark Hunt vs. Stefan Struve
 序盤はモタモタした試合展開で,またか,という感じであったが,しだいにマーク・ハントのパンチが当たりだして,最後は見事すぎるほどのノックアウトであった。さすがは K-1,PRIDE の立役者である。最後の渾身の左フックを振るったハント,ストルーヴが崩れるように倒れるのを観るやいなやその場できびすを返し,勝利を確信して両手を挙げていた。いかにもノックアウト・アーチストであった。ストルーヴは下顎骨折したらしい。

 何度か相打ちの場面があったが,最初はリーチのあるストルーヴの真っ直ぐがよく当たっていたのに,しだいにハントのパンチがよく当たるようになっていった。
 どういうトリックなのか知らないが,手の長いストルーブに対してまったくリーチ差を感じさせないようなマーク・ハントの魔法のような踏込みは,今後ジョン・ジョーンズと対戦する選手にとっても大変参考になるのではなかろうか。
 

Lightweight Takanori Gomi vs. Diego Sanchez
 五味と対戦するサンチェスは計量をパスできなかったらしい。プロとして失格である。五味は今回はテイクダウン対策をみっちり練習したらしく防御は良かったが,攻撃面で相手を最後までとらえきれなかった。それ以上にサンチェスが何をやりたいのかよくわからない試合をしていた。

 判定でサンチェスの勝ちであったが,どっちが勝ったとしてもいまひとつの試合内容であった。
 五味にとって,内容は良くても負けは負け。この負けは痛い。


Middleweight Yushin Okami vs. Hector Lombard
  雷 vs 稲妻という対戦であり,サンダー岡見がいかに立ち位置でもって強打ロンバードの稲妻パンチを封じ誤魔化すかが勝敗のカギだろう,と思って観ていた。
 が, しかしふたを開けてみれば,岡見が安定感たっぷりの試合を見せてくれた。ヘクターの速いパンチに対しても先手先手と先読みして,危なげなくさばいていた。きっとイメージどおりだったのだろう。むしろ岡見の速い右のジャブの方が鋭く感じられ,また実際よく当たっていた。最後,混戦から岡見のガードが下がり気味のところに,ロンバードのパンチが一発二発入り,ちょっと危ない展開にもなったりしたが,総じてみれば岡見が圧倒した感じであった。

 まさに,強い岡見が帰ってきた,という印象であった。


Featherweight Mizuto Hirota vs. Rani Yahya
 廣田は残念であったが,あまりにも実力に開きがあった。
 しかし,3Rでガス欠になって逃げまわるようなヤーヤという選手,あんまり好感もてない。


Welterweight Dong Hyun Kim vs. Siyar Bahadurzada
 一発のあるバハデュザダが圧倒するか思ってみていたが,キムが上手さで圧倒した試合であった。
 パンチのタイミングのことしか頭に無いバハデュザダに対し,キムの方が攻めが多彩で,テイクダウンをことごとく成功させていた。グランドの展開になればキムの方がはるかに上手く,まるでレッスンつけてるような試合展開となった。

 キム・ドンヒュンがまた着実に階段を上に登り始めた,という感じであった。


Middleweight Riki Fukuda vs. Brad Tavares
 序盤の福田選手がとても良くて瞠目したが,やはり攻めが単調なのか,しだいにタヴォーレスが見切るようになり,的確な打撃で迎え打たれていた。終ってみればいつものパターンであった。

 福田はまるでとりつかれたように前へ前へと出るのだけれど,それに対して相手が何を考え何を狙ってくるかとかそういうことは考える余裕はみられず,自分自身がくり返し練習したパターンの攻撃のことしか頭にないようであった。それを見切ったタヴォーレスの方が一枚も二枚も上手であった。


Bantamweight Takeya Mizugaki vs. Bryan Caraway
 かなりきわどい接戦であったが水垣選手が見事に判定勝ちをおさめた。中盤にカウンターをまともにもらって腰が落ちた場面があったが,なんとか持ちこたえた。水垣選手は,相手が出てくれば自分も出てゆく選手であり,いつも見ごたえのある試合をしてくれる。

 勝って号泣する水垣選手,ここまで大泣きできるのは,それだけの努力を重ねてきた証拠だろう。


Lightweight Cristiano Marcello vs. Kazuki Tokudome
 徳留一樹選手を観るのはこれが初めてであったが,なかなか強そうな雰囲気をもっている選手であった。格闘も上手く,サウスポーでアテ勘もあり,相撲も強く,いいハートももっているようだ。
 今後の課題を挙げれば,コンボが交錯すると頭が止まりがちなのと,押されるとまっすぐ下がってしまう悪い癖だろう。これは日本人選手全般にいえることだが,顔面への速いパンチに対する反応がどうも鈍い。鈍いなら鈍いでガードを高く掲げるとか,頭をつねに動かすとか対策があろうに,そういうことをしないで,まるで天才ボクサーがそうするみたいにガード下げてじっと静止して構えてたりする。それはパンチのおそい日本人相手なら通用するかもしれないが,世界のトップレベルには通用しない。世界の上に行くためには,速い打撃に丁寧に対処してできるだけパンチを顔面にもらわないように工夫することが大切だろう。
 
 いずれにせよ見事にUFCデビュー戦を勝った徳留選手はまだ25歳。これから日本の格闘界のエース的存在になるのではなかろうか。


Bantamweight Alex Caceres vs. Kyung Ho Kang
 韓国イケメン美男子格闘家のカンは,練習では強そうだけど,ケンカがあまり上手くなく,格闘センスもいまひとつという印象であった。一生懸命さは伝わってきたし,相手はガガンボのように非力なカセレスであったが,結局捕まえることが出来ず,最後まで翻弄された感じであった。


Welterweight Marcelo Guimaraes vs. Hyun Gyu Lim
 いい試合ではあったが,両者とも単発が多く,まるで誰かがコントローラで動かしているような格闘ゲームのキャラみたいなぎこちない動きであった。リムが出てくる相手に対して真っ向から打ち合いを挑むのはよかったが,パンチにキレがなかった。最後はリムがヒザでグィマライスをノックアウト。しかし前座としてどれだけ根性みせてくれるかと秘かに期待していたのだが,両者ともさほどに期待できる選手ではないというかんじであった。