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Twitter 全身凶器

2012年12月31日月曜日

Satoshi Ishii vs. Tim Sylvia in Inoki Bom-Ba-Ye

 日本の石井選手には,期待とため息の入り混じったふしぎな思いで注目している。

 この大晦日の石井慧選手の試合なぞ観るに,シルビアは練習など何もしていない,ただのデブだ。
 尻のすぼんだエックス脚で,こういう類のデブはアメリカによくいる。尻が根付いたかのようにカウチにどっかり座りこんでビール飲みながら毎日テレビなんか観呆けてるような体つきである。

 そんな相手と見世物的に対戦させられる石井慧,格闘デビューした頃は彫り込んだような肉体美であったのだが,今みるに体に締まりがなく,精細さに欠けた表情。とてもきびしい練習を積んできたようには見えない。

 そしてアナウンサーと解説者のワカッテなさっぷり。
 本当にワカッテナイのかどうか知らないが,テレビ放送なのでなんとか盛り上げなければならないのだろうけど, それにしても聴いていて不快になってくるような,そらぞらしい解説。

 レコード大賞で日本の音楽界の現状云々という話があったが,この試合を観てつくづく日本の格闘界の実情がよくわかったかんじである。

 

2012年12月30日日曜日

UFC 155: Dos Santos vs. Velasquez II

Heavyweight Junior dos Santos vs. Cain Velasquez
 一年を締めくくるにふさわしい,すばらしい試合であった。今回は予想的中で,多彩な攻めをみせたヴェラスケスがJDSを圧倒した。
 
 JDSを入念に研究した 上でそれを徹底的に実行したことがヴェラスケス・サイドの勝因だろう。強打で知られるJDSの大きなパンチを怖れず,序盤からジャブを出しつつ前へ前へと出て行ったこと,そして執拗なまでのテイクダウン・アテンプト。どんなに疲労してもガードが下がることはなく,いつも頭を振りながら入ってゆく。これらは練習の賜物だろう。一方のJDSは中盤以降ガードは下がりっぱなしで,足がそろって棒立ちな場面も何度かあった。そこらへんにも両者の勝敗の分かれ目が見えた。

 初回にヴェラスケスが放ったジャブがJDSの鼻柱に入り,その後に人中あたりにワンツーがまともに入った。さらにオーバーハンドの右のストレートがアゴにまともに当たり,これが試合の流れを決定づけた。そして何度も何度も繰り返されたテイクダウン・アテンプト。ヴェラスケスはレスリングの専門家である。当然いくつかは成功するわけで,それがJDSを疲弊させ,一貫してヴェラスケスのペースとなった。
  
 顔を大きく腫らしたJDSの敗因はパンチの振りが大きいことと,寝技からは逃げるしか出来ないことの二点であったろう。どんなに強打の選手でも,フックや アッパーなど大降りばかりでは勝てない。やはり本当につよい選手は,真っ直ぐがいいのである。これはボクシングや格闘にかぎらない。それでもJDSのパンチと裏肘は最後まで斬れがあり,何度かタイミングよく当たっていた。そのたびにヴェラスケスはテイクダ ウン・アテンプトもしくはクリンチすることで誤魔化しきった。これも練習の賜物であろう。メンタルが弱い選手だったら下がってしまったろうという場面は何度もあっ たが,ヴェラスケスはどんな場面でも絶対に下がることなく終始前へ前へと出ていた。

 選手だけでなくセコンドの違いも勝敗に大きく関与すると感じた。ヴェラスケスのセコンドの指示は,常にプレッシャーを与えろ,ジャブから入れ,など簡潔明快であったのに対し,JDSサイドのセコンドの指示は細やかなテクニカルな指示が多く,あれだけのダメージを負い疲労困憊な選手本人の耳に入っているかは疑問であった。
 

Lightweight Joe Lauzon vs. Jim Miller
 野蛮人と新人類の対戦のようであったが,これもファイトあふれる大流血戦となった。パンチと肘をよく当てていたジム・ミラーが判定で勝ったが,ロウザンも最後に足をとってあわやという場面があり,セミファイナルにふさわしい好試合であった。


Middleweight Tim Boetsch vs. Costa Philippou
  ティム・ボウチといえば岡見勇信から金星をあげた選手だが,さほど器用でない。今回もそのとおりの試合であった。はっきりいって,つまらない試合。残念ながらこれも予想どおりであった。


Middleweight Yushin Okami vs. Alan Belcher
 わりとまともにベルチャーのパンチをもらう場面があったのが気にはなったが,前回同様に岡見が相手を封じ込め相撲をとらせずに勝った感じであった。

 岡見の上手いのはわかるのだが,一体どういうふうに試合を終らせたいのかよくわからない。パウンドするでもなく肘を当てるでもなく単に柔道のおさえ込みを狙っているかのようで,何をもって勝利につなげようとしているのかいまひとつよくわからなかった。

 また岡見には,いまひとつ観客を湧かせる攻撃の斬れ味というか,見せ場が無いのも大きな欠点だろう。彼の試合は勝つための試合はこびというより,負けないための試合はこびであり,こういう試合ばかりする岡見に対し興行者側としてはまたタイトル挑戦権をぜひ与えたい,とは思わないのではなかろうか。


Middleweight Chris Leben vs. Derek Brunson
 これも実につまらない試合であった。

 明らかな体力差で序盤にダメージを与えたブランソンが判定で勝つには勝ったが,攻めのつめが甘く,また持久力が足りず,まるで練習不足のようであった。しかも,こんなつまらないダレた試合をしておいて,試合終了は勝利を確信して喜びの絶叫などしていた。頑張って勝てて嬉しいのはわかるけど,これはアマチュアでなくプロの試合である。観客に選手のガッツが伝わってこないような試合をやっているようでは,プロとして失格だろう。


Bantamweight Brad Pickett  vs. Eddie Wineland
 ブラッド・ピケットはマイク・タイソンのようなピーかブースタイルで踏み込んでくるが,ワインランドの方がよく相手が見えてるようで,アッパーがいいタイミングで入ってる。ただし,まるでボクシングの試合のようでもあり,総合格闘の試合としてはいまひとつであった。


Featherweight Leonard Garcia vs. Max Holloway
 ホラウェイは期待の若手21歳。ローリングソバットみたいな後ろまわし蹴りがよく相手のボディーに入るし,パンチもタイミングよくソリッドに入るのだが,やや非力である。
 判定が割れたが,ホラウェイが勝利した。

2012年12月24日月曜日

UFC 155: Dos Santos vs. Velasquez II 予想

Heavyweight Junior dos Santos vs. Cain Velasquez
 世界最強を決める一戦ともいえる,とても楽しみな試合。 前回はドス・サントスによる右の一発がヴェラスケスの側頭部に当たって試合を決めてしまったが,あのときはヴェラスケスは肩の手術後で明らかな練習不足であったようにみえた。肩が本調子でなければ得意のタックルも腰が引けてしまう。気持ちに迷いがあったように思えてならない。今回は違う。私はヴェラスケスが勝つだろうと思う。

 ヴェラスケスの強さは,反応の速さにあると思う。5月にアントニオ・シウバのローキックに対してすばやく反応して突破口を開いたし,ブロック・レスナー戦においてもパワーに押され倒され危ないと思わせる場面があったが,一挙動で立ち上がった。全身の運動能力の高さはヴェラスケスの大きな武器のひとつだろう。またヴェラスケスといえばカーディオ,つまり心肺機能の強さである。 5Rまでペースダウンすることなく闘える。そしてレスリング力である。全米ジュニアカレッジのチャンピオン であり,全米学生ランキングでもトップ5の実力である。グラウンドでパウンドやエルボーを当てるのが上手い。JDSを寝かせることが出来れば,ヴェラスケスががぜん有利になるにちがいない。

 JDS の最大の武器は高いボクシング技術とその破壊力だろう。グラウンド技術はよくわからない。最近ブラジリアン柔術で黒帯を獲得したらしいが,それが試合に生かせるかどうか。中途半端にグラウンドに自信をもつと,それがかえって付け入られる隙になる場合もある。心肺機能がどれだけ優れているかもまた未知数でもある。JDSがテイクダウン防御が上手いことだけは確かであるが,これもヴェラスケスのような一流レスラー相手にどこまで通用するか見物である。

 おそらくヴェラスケスは打撃戦に応じるとみせてテイクダウンをとりに来るであろうし,JDSは相手が出てくれば迎え撃つように前に出て強力なパンチ,とくにアッパーをあわせてくるのではないか。

  当たり前すぎる予想だがそこでパンチが当たればJDS,テイクダウンが決まればヴェラスケスが勝つのではないかと思う。
  また,打撃戦になった場合,大きなパンチを振ってくるJDSに対し,ヴェラスケスが下がればJDSが勝つであろうし,下がらずに中から速い真っ直ぐを出して迎い撃つことが出来ればヴェラスケスが勝つのではなかろうか。


Lightweight Joe Lauzon vs. Jim Miller
 寝業師ジム・ミラーと,打撃もあるジョー・ラウゾンの対決。どちらが勝つか予想がつかないが,ラウゾンの試合は大概面白いので,格闘見物を楽しもう。



Middleweight Tim Boetsch vs. Costa Philippou
  ティム・ボウチといえば岡見勇信から金星をあげた試合が記憶にある。岡見に完全に見切られレッスンつけられてるような試合であったが,終盤のワンチャンスをものにして強引にパンチを連続して当てて大逆転した。勝負強い選手であるが,技術的にはさほど特筆するものはもっていないようにみえた。

 一方のフィリポーは福田力選手に判定で勝っている。

 ボウチが破壊力のあるパンチを当ててくれれば面白いが,よくかみ合わなかったりすると案外つまらない試合になるのではないか。



Middleweight Yushin Okami vs. Alan Belcher
 岡見勇信といえば最近の日本人格闘家の中でいちばんUFC王座に近かった選手である。速いジャブもよし,相撲も強しで,安定感のある戦い方をする,安心して観ていられる選手の一人である。ただし,前々回の試合で頭部にかなりの強打を連続して浴びた点,そして前の試合でもわりと相手のパンチをまともにもらっていた点が気になる。だいぶ目が悪くなっているのではなかろうか。

 かたやアラン・ベルチャーといえば秋山成勲選手のUFCデビュー戦で大いに接戦をした選手である。撃ってよし,寝技もよしの,これもバランスのとれた選手。秋山に惜しくも敗れて以降ますます安定感を増した感じがする。これはいい試合になるにちがいない。
 
 私はベルチャーの打撃がよく当たって判定,もしくはパウンドによるTKOで勝利するのではないかと思う。



Middleweight Chris Leben vs. Derek Brunson
 ケンカ屋クリス・リーベンの登場である。相手のブランソンがどういう選手か私はよく知らないが,ストライクフォースで二敗した後,UFCに参戦してくるようだ。

 数々の名勝負をしてきたクリス・リーベン,今回も面白い試合にしてくれると期待している。

2012年12月16日日曜日

The Ultimate Fighter: Team Carwin vs. Team Nelson Finale

Heavyweight Roy Nelson vs. Matt Mitrione
 どちらもケンカ屋キンボ・スライスをノックアウトで倒してる打撃主体の選手。これは壮絶な試合になりそうである。豆タンクなビッグ・カントリーの方が人気 があるが,私はリーチのあるサウスポーのミトリオーネが勝つだろうというセオリーどおりの予想。

  しかし,ふたを開けてみれば,ビッグ・カントリーによる豪快なノックアウトであった。試合後のスローで観るに,ネルソンのアッパーは単発でなくコンボのつもりだったらしい。
  ミトリオーネの渾身の左にあわせて,右のアッパカットをくり出すネルソン,闘牛みたいに相手が出てくれば自分も出ていって当たり前のように相打ちを狙ってゆく。どっちかが当たってどっちかが倒れるという試合であった。
  
 ビッグ・カントリーのロイ・ネルソンは打撃主体の選手と書いたが,意外にももともとは柔術の専門家なのだそうである。ブラジリアン柔術は黒帯で,それからロイ・カン・ドーとかいうよくわからない格闘技の八段だそうな。2009年からパンチを本格的に習い始めて,それがしっくりきて,すっかり自分のものにしたらしい。
 パンチというのはいくら練習してもダメな選手もいれば,すんなりと覚えてしまう選手もいて,どうやら天分によるものが大きいようだ。


Welterweight Colton Smith vs Mike Ricci
  25歳のコールトン・スミスは兵隊で二児の父とのこと。海兵隊の宣伝そのまんまなかんじの選手。私は職業軍人などよりもリーチで上まわる26歳の職業格闘家マイク・リッシの方が勝つだろうと予想。

 ところが予想に反して職業軍人が職業格闘家を圧倒した。スミスの判定勝ちであった。
 軍人スミスの方がはるかに殺気を感じる闘い方をしていた。技術云々というより,すごい活力というか,朝鮮人参でも食ってきたかのようなエネルギーである。やはり命のやりとりをしたことある人間は一味違う。
 ミッチはセオリーどおりの格闘技をしようとしてるのに対し,軍人スミスはがむしゃらなケンカファイトで出来ることをとにかくやる,というエネルギッシュな闘い方であった。

Heavyweight Pat Barry vs. Shane del Rosario
 元キックボクサー同士のヘビー級の対戦だがパット・バリーによる,ヘビー級らしい荒っぽいパンチで相手の顔が完全にのけぞるようなノックアウト勝ちであった。

 両者相撲っとりみたいな体型だが,ふたりとも相撲は下手であり,試合としてはいまひとつ見どころのあまり無い試合であった。


Featherweight Dustin Poirier vs. Jonathan Brookins
 押しつ押されつの壮絶な打撃戦であったが,最後はポイエーがダース・チョークで極めた。


Preliminary Card
Welterweight Mike Pyle vs. James Head
 37歳でまだ闘うマイク・パイル。最後は膝を入れて大逆転して勝ったけど,序盤は相手の速いパンチをまともに顔面にもらって危なかった。やはり歳とってまず衰えるのは動体視力と,速い打撃に対する防御反射のようだ。


Bantamweight Johnny Bedford vs. Marcos Vinicius 
 ヴィニシアスはブラジル柔術の黒帯だそうで,それだけで強そうな先入観を持ってしまう。
 しかし,なんとも華奢げな外見のヒゲをたくわえた白人ベッドフォードが 実に鋭いパンチを出して圧倒した。これだから格闘は面白い。


Lightweight Rustam Khabilov vs. Vinc Pichel
 ロシアのカービロフはコンバット・サンボの達人だそうな。ジャーマン・スープレクスを三発も放って,相手を完全にグロッキー状態にしていた。
 カービロフはなかなかするどいリードブロウを放つ。相撲も強い,26歳。これは面白い選手。ベン・ヘンダーソンに新しい脅威か。


Bantamweight Hugo Viana vs. Reuben Duran
 ヴィエナはスタンスの広い独特な構えから,ストレートともフックとも言いがたい左右のハンマーパンチを強引に振り回してくる。今回は見事にノックアウトしたが,もうすこしコンパクトな真っ直ぐをおぼえないと上にあがってくれば大振りにカウンターを合わせられてしまうのではないかな。

 

2012年12月9日日曜日

Manny Pacquiao vs. Juan Manuel Marquez あのパッキャオが失神負けを喫す


 これが四度目の対戦となる,フィリピンの,いやアジアの英雄マニー・パッキャオと,彼の最大のライバルであるメキシコのフアン・マヌエル・マルケスの試合。
 UFCの試合が終った後で始まったわけだが,UFCでブルース・バッファーのアナウンスを聞いた後で,ボクシングでマイケル・バッファーのアナウンスを聞くという,実に充実した一日となった。ミット・ロムニー氏も観客席で観戦だったそうだ。
  
 総合格闘以上に壮絶な結末の試合となった。
 1R,2Rともにパッキャオが攻勢であり,マルケスは年齢による衰えを感じさせた。
 ところが,3Rにマルケスの右がわりとまともにパッキャオの頬をとらえ,パッキャオはダウン。
 すぐ起き上がったものの,そこから形勢が逆転した感じがした。マルケスは自信をもってぐいぐいと前に出るようになり,試合の流れが明らかに変わった。

 ところが,5R,こんどはパッキャオの左がマルケスの出鼻に当たり,マルケスはバランスを崩してダウンとなった。
 これでいよいよ面白い試合になったぞと,そう思った矢先であったか。
 コーナー付近で両者が激しく相打ちのようになったときに,マルケスの右がパッキャオの人中にまともに入った。パッキャオは前のめりに倒れ,失神。
 まったく衝撃的な結末であった。
 
 序盤は明らかにパッキャオが優勢だと思ってたのだが,3Rのマルケスの一発で明らかに形勢が逆転して,マルケスが優位にたった。パッキャオも決してスピードが落ちたわけでもないのだけど,マルケスからは自信満々な雰囲気が出てくるようになった。
 人間の精神の優位性というのはふしぎなものである。

 試合そのものはすばらしく観ていてとても楽しかった。
 ただ,ちょっと残念なのは,この試合で失神ノックアウト負け方をしてしまったことでマニー・パッキャオ選手の試合の商品価値が下がったであろうことである。
 ああいう負け方をしてしまうようだと,まずメイウェザーには絶対に勝てないんじゃないか,というのが感じが強くしてしまうし,連勝が止まったばかりでなく二連敗してしまったパッキャオと,まだ無敗のメイウェザーとが闘う意義もあまり見出せなくなってしまった。

 しかしマニー・パッキャオはまだまだ闘うそうである。
 やはり拳キチだね。


 

2012年12月8日土曜日

UFC on Fox: Henderson vs. Diaz

Lightweight Benson Henderson (c) vs. Nate Diaz
 下半身が安定し上体が柔らかく蹴りを多用してくるヘンダーソンを相手に,ディアズがどれだけ距離をつめてパンチを当てられるのかが見どころであったが,やはり予想どおりヘンダーソンを攻略することは出来なかった。体格差がかなりあったにもかかわらず,小さなベンヘンが大きなネイトをまったく寄せつけずに圧倒した形となった。

  ベンソンはエドガー戦でも見せた様に序盤から強烈なローキックでもって攻めこんだ。腰高なネイトに対して下半身への攻めはとても有効で,組み合ったときの安定感に大きな差が出た。ときおり相手の腿を狙ってパンチを当てるシーンまであったが,これが意外にも相手のバランスを崩すのにとても有効であった。

 何度かネイトがベンソンの足を取った場面もあったが,まるでチラノサウルスのようなベンソンの足は極めるのが物理的に困難なようで,ベンソンもあわてることもなく脱出していた。また,ベンソンの足が前後に開脚してまるで相撲の股割りのような体勢になった場面もあったが,テコンドーの選手らしく股関節が柔らかいベンソンは平然としていた。

 チャンピオンらしく観客の視線も意識して強引なラフ・ファイトも見せたりして,だいぶ余裕すら感じられた。ベンソンの安定した闘いぶりを見るに,ライト級で長期政権を築くことになりそうなかんじである。



Light Heavyweight Maurício Rua vs. Alexander Gustafsson
 これも予想どおりガスタフソンが圧倒したが,思いのほか斬れ味に欠けたのが残念であった。
 とくに今日は彼の攻撃力よりも,むしろ意外にタフで打たれ強いことの方が目立った試合であった。何度かショーグンのいいパンチ,とくにオーバーハンドの大きな右をまともにもらっていた場面があったが,ガスタフソンはわりとケロッとして何事もなかったかのように攻勢に転じていた。あのオーバーハンドの右でもってリョート・マチダを倒したショーグンとしては,少なからぬ衝撃だったのではなかろうか。

  ショーグンは今回もあまりよくなかった。試合ごとに悪くなっていっているような感じさえする。UFCライトヘビーの王座を獲得した頃は,リョートのカウンターにも実に敏感に反応していたのだけど,今回も,前回の試合でも,自分のおもうように体が動かないようなかんじで相手のパンチをまともに顔面で受け止める場面が数多くみられた。あれだけガスタフソンの打撃をもらってしまうショーグン,今後もどんどん下降してゆくのではなかろうか。心配である。
  

Welterweight B.J. Penn vs. Rory MacDonald
 UFCの古豪が若い選手相手にどう闘うか見物であったが,やはり予想どおりマクドナルドが圧倒した。

 マクドナルド選手は左のリードブローがよく伸びるし,距離が近ければそれが肘となり,ボディーへのアッパーとなる。ボディーブローがミドルキックとあわせてとても有効で,BJは何度か動きが止まるシーンがあった。ただし,彼がときどき出していたまわし蹴りはあまり良いものでなく,もっと反応の良い相手であったらあの蹴りがつけ入られる隙になったかもしれない。

 BJはとても軽量級とは思えない弛んだ腹をしており,きびしい練習メニューを消化してきたトップクラスの選手とはとても思えなかった。UFCのトップ選手としては明らかに下降線の途上であり,この試合で引退してもよいくらいであった。

 予想どおりのマクドナルドの圧勝だったが,惜しむらくはノックアウトできなかったことだろう。
 しかしマクドナルドの安定感と慎重さは特筆すべきものであり,もしかしたらGSPにとってヘンドリックスよりも大きな脅威になるかもしれない。しかしながらマクドナルドはGSPと仲良しであり,彼のことを深く尊敬しているそうで,マクドナルドがGSPと対戦することはなさそうである



Welterweight Mike Swick vs. Matt Brown
 スウィックの前回のKO劇が印象的だったしブラウンの戦績もさほどパッとしないことから,今回も豪華なノックアウトが見れるかと思っていたが,ブラウンが左フック右ストレートのワンツーをタイミングよく当てノックアウトした。



Preliminary Card (FX)
Lightweight Yves Edwards vs. Jeremy Stephens
 26歳のジャーミー・スティーブンスはKO率の高い打撃の選手。まるでマサカリでも振り回すようにして大きな右のハンマーパンチを放ってくる。風切り音かここまで聞こえてきそうである。一方,今回が61戦目の大ベテラン,サウスポーのエドワーズがスティーブンスの打撃をどう誤魔化すかが見物だろう。

 と思っていたら,エドワーズがうまくカウンターを当て,あっさりノックアウトした。スティーブンスのような荒削りな打撃主体の選手は,弱い相手には滅法強いけれども,そこそこ経験を積んだ選手が相手だといくらでもつけ入る隙があるということか。


Bantamweight Raphael Assunção vs. Mike Easton
 ブラジリアン柔術とテコンドーで黒帯のマイク・イーストンは全身にバネと力のある選手だけど,あんまり器用でないかんじである。ただしテイクダウン防御はなかなかのものであった。テコンドーの達人というのは概して下半身が安定していてバランスがいい。

 一方のアサンサオはスタンスを頻繁にスイッチして,相手の出鼻にあわせるように当てるのが上手い選手であった。判定でアサンサオが勝った。



Lightweight Ramsey Nijem vs. Joe Proctor
 24歳のニジェムが判定勝ちであったが,若い選手らしく荒削りで豪快な打撃をおもいきって放ってくる,なかなか見ていて面白い選手であった

 

2012年12月3日月曜日

UFC on Fox: Henderson vs. Diaz 予想

Lightweight Benson Henderson (c) vs. Nate Diaz
 サウスポー同士の対戦。カリフォルニアの辰吉丈一郎ことネイト・ディアズがチャンピオンのベンヘンに挑戦する。
 接近して強引に相打ちを狙ってくるスタイルはディアズ兄弟ならではであるが,ベンソンは下半身がしっかりしておりバランスもよく足も速く上体も柔らかい,なかなか距離をつめるのが難しい選手。やや単調な攻めに陥りやすいネイトに攻略が出来るだろうか。
 私はベンソン・ヘンダーソン選手が危なげなく判定で勝つだろうとおもう。


Light Heavyweight Maurício Rua vs. Alexander Gustafsson
 PRIDE時代からの実力派ショーグンと,新進気鋭の若い北欧の選手の対戦。
 ショーグンはジョン・ジョーンズとダン・ヘンダーソンとの対戦でかなり頭部にダメージを負ってきたことが気になる。どうもこのごろは反応が鈍くなってきているようにも見受けられる。 とくに前回のブランドン・ヴェラ戦では油断もあっただろうけれど,どうでもいいようなフックをまともにもらってピンチに陥っていた場面があった。
 若くて上昇気運のガスタフソン相手ではヴェラのようにはいかないだろう。ショーグンは私のいちばんのお気に入り選手でもあり,ぜひとも応援するつもりだが,若いガスタフソンが古豪を圧倒してジョン・ジョーンズを脅かす存在になってほしい気もする。
 というわけで私はガスタフソン予想。
 

Welterweight B.J. Penn vs. Rory MacDonald
  カナダはブリティッシュ・コロンビアの23歳ロリー・マクドナルドに期待している。打撃にしても極め技にしても次から次へと技が出てくる選手であり,上手さとがむしゃらさを兼ねそなえた,いかにもケンカのつよそうな選手である。確実に上位定着が予想される。
 マクドナルドがBJをノックアウトで倒すのではなかろうか。