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2013年10月23日水曜日

UFC Fight Night: Machida vs. Munoz 予想

Middleweight Lyoto Machida vs. Mark Muñoz
 ライトヘビーにおいては王座にいつでも挑戦できるところにいた町田と,強い相手にはなかなか勝てない壁があり中堅どころに定着しつつあるムニョスとでは,明らかなレベルの差があるんではなかろうか。
 一流の元アマチュアレスラーであるムニョスであるが,町田の相撲の強さも一級品であり,そう簡単にテイクダウンはとれないと思う。打撃戦となれば町田は空手家であり,カウンターの天才である。ムニョスが勝てるとは思えない。

 不動の町田予想。


Lightweight Ross Pearson vs. Melvin Guillard
 ライアン・クトアとステロポロスを豪快にノックアウトしたピアソンの印象は強い。
 ギラードは外見とは裏腹に意外と弱い。ピアソンがギラードを倒してしまうのではないか。

 ピアソン予想


Light Heavyweight Jimi Manuwa vs. Ryan Jimmo
 13戦全勝12KOというとほうもない戦績のジミー・マヌワ,突進してものすごいハンマー・パンチを振ってくるのだが,パンチを振ったときのバランスが悪いのが気になる。また距離のとり方も雑なようにおもわれる。彼の華々しい戦績は単にこれまでの相手が弱かったからではなかろうか。私はまだ彼のつよさには疑いをもっている。
 一方,18勝2敗の空手家ライアン・ジモ,こちらも強打の選手だが,やや重々しく動きに機敏さが足りないという印象。
 打撃戦になるであろうし,先に当てた方が勝つのであろう。倒し方によっては,王座挑戦も視野に見えてくるのかもしれないが,いずれの選手もさほど強くもないのではないか,と私は見てる。

 マヌワ予想。


Lightweight Norman Parke vs. Jon Tuck
 徳留を手玉にとった北アイルランドのノーマン・パークが,プロ柔術で7戦全勝中のジョン・タックと当たる。タックは前に中国の選手となかなか見ごたえのある試合をしていた。どちらもいい選手であり,好試合になると思われる。

 パーク予想 


Preliminary card
Middleweight Luke Barnatt vs. Andrew Craig
 テキサス野郎アンドリュー・クレイグはエンジンがかかるのにやや時間がかかるタイプだが,クレバーな選手である。接近戦でも真っ直ぐのパンチがよく出せる選手である。
 一方,イギリスの長身ルーク・バーネットは6戦全勝中の25歳。やや不器用でバランスもくずされやすいという印象。体格で恵まれるも格闘技という点においてはクレイグの方がはるかに高いところに到達している感じである。
 
 よってクレイグ予想。


Women's bantamweight Rosi Sexton vs. Jessica Andrade
 頭脳明晰でぽっちゃり丸顔,つぶらな瞳のセクストンは私の好みのタイプだが,そんなことは言ってられない。これは格闘の試合である。
 まだ無知であるために女子選手の予想は難しいが,ここは当然セクストンを応援したいところ。

 セックストン予想。

2013年10月20日日曜日

UFC 166: Velasquez vs. Dos Santos 3

Heavyweight Cain Velasquez vs Junior dos Santos
 この試合にかけるシガーノの意気込みは相当なものであると思ったが,それ以上にヴェラスケスが燃えていた。
 場内コールのときにドスサントスは前に出て相手をマットに倒すしぐさをするのだが,なんとヴェラスケスもそれにあわせて前進,立ちはだかるようにしてシガーノを睨みつけていた。昔の北天佑と千代の富士の睨み合いのようであった。観ている方が怖くなるほどの壮絶な試合になるであろうことが,始まる前から見て取れた。両者ともコンディションは万全である。

 開始早々に突進して相打ち,かと思いきや,どうやらシガーノのフックが先に当たったようであった。シガーノが優位に立つかと思いきや,ヴェラスケスは引かずにぐいぐい前進して,近距離から真っ直ぐのワンツーを出してくる。テイクダウン狙いで足をとったかと思えば,上へワンツー。ケージに寄せても休むことなく相手の膝を膝で攻め,離れ際にパンチ。開始早々の一発でどうなるかと思ったが,ラウンド終盤にはもう完全にヴェラスケスのペースとなっていた。

 回が進むごとに,両者の実力差は歴然としていった感じであった。所々でシガーノもタイミングのいいパンチや肘を当てるのだけど,ヴェラスケスはそこで下がらずに,もたれかかるようにして前へ前へと出て,休まず攻めてゆく。全くすごい勝利への執念である。

 三回に山場が訪れた,ヴェラスケスのいいパンチが当たり,シガーノは棒立ちのままノックアウトされる格好となり,ヴェラスケスがさらに追撃して,パンチがまともに顔面に入っていた。あきらかに決着がついていた。
 そこで試合を止めて欲しかった。
 レフリーのハーブ・ディーンは,止めようとして手を挙げかけたのだが,もみ消した。これは好判断ともいえるし,あるいは最悪の判断ともいえる。
 シガーノは立ってはいるものの完全にふらふらであった。それでも試合は続行された。
 
 シガーノに対するドクターのチェックも実にいいかげんだったようにみえた。医師の質問や指示をシガーノはまったく理解していなかった。それにもかかわらず,最後に「Are you OK?」と訊かれて「OK」と言い,それで結局続行。一体何のためのドクター・チェックなのか。
 シガーノもヴェラスケスも,稀有の才能をもった選手であり,こんなふうな潰しあいをさせるべきではなかったのではないか。

 試合後,シガーノは「What can I say? He just beat me up」と笑いながらあっけらかんと語ってた。最高の試合といえば最高の試合だったかもしれないが,私は単純には喜べず,むしろ悲しいような,複雑な気持ちになってしまった。

 勝因はヴェラスケスの前進力と回転力,そしてなにより高い心肺能力だったろう。


Heavyweight Daniel Cormier vs. Roy Nelson
 予想どおりの試合展開であった。コーミエはネルソンの危険な距離には長居せず,出入りを工夫してネルソンからは有効な打撃は一発ももらわずに最後まで丁寧に試合を進めた。
 組み合いでも,コーミエは相手の側面にぶらさがるように体重をかけて,自身の体力を節約しつつ相手の動きを封じ,実に上手に相手の体力を奪っていた。地味な試合であったけど,見るべき所は沢山あった。

 メレンデズとサンチェスの壮絶な死闘の直後だっただけに,やや退屈に感じたファンも多かったようだけど,コーミエはしっかり自分の明日へつなげる仕事をしたといえるだろう。
 一方,ネルソンは,いくら一発があったとしても,あんな垂れ下がった腹をしていては,まず上へは上がれない。ローブローでも何でもないコーミエの膝を,急所に当たったかのようにアピールして時間を稼いで休んたりしていた。こういうことを始めたら,もうそろそろ引退を考えるべきであろう。


Lightweight Gilbert Melendez vs. Diego Sanchez
 誰もが予想したとおり打撃技術においてメレンデズが歴然と上まわっていたが,サンチェズが歯を食いしばっての鬼神のような頑張りをみせ,血みどろの大死闘となった。サンチェスの根性はハッタリでも何でもなく本格的にすさまじい闘魂であった。
 メレンデスの打撃技術の高さは一級品であり,序盤にボディーを狙って打っていたストレートが有効であった。一方,サンチェスの序盤のミドルへのキックもまた強烈であった。  
 終始メレンデズが攻勢であったが,要所要所でサンチェズのアッパーや相打ちがまともに入り,あわやという場面もあり,最後まで目が離せない死闘であった。
 

Heavyweight Gabriel Gonzaga vs. Shawn Jordan
 試合前はジョーダンがとてもいい表情をしており,どちらが勝つかまったくわからなくなった。
 が,ふたを開けてみれば,予想したとおり歴然とした実力差があった。ゴンザガが相手のパンチをもらいながらも,冷静に次のパンチにカウンターをあわせ,見事にジョーダンを倒した。
 

Flyweight John Dodson vs. Darrell Montague
 ドドソンの顔つきは試合前後と試合中とでまるで別人のようである。試合中は眉目が別人のようにりりしく,理知的である。

 スピードと打撃力でドドソンが圧倒した。予想は的中である。
 序盤モンテギューもドドソンの出鼻にタイミングよくパンチを出していた。しかしスピードでワンランク上のドドソンは,捨てパンチを出して相手の反応を誘いそこを迎え打つなど,まったく別次元の速さであった。

 序盤からドドソンの強力なパンチが当たり,もう勝負が決まるかという場面があった。が,落ち着いて相手の顔をじっと冷静に観察しつづけ,決してあわてて攻めることをしなかった。デメトリアス・ジョンソンとの対戦で敗れて以降,またさらにもうひと回り強く成長したかんじである。
 ドドソンのこの次が楽しみである。また近いうちに王座に挑戦するのだろう。


Preliminary card
Middleweight Tim Boetsch vs. C.B. Dollaway
 ボウチの方は序盤からパンチのたびに体が流れ,あまり良くなかった。
 一方のダラウェイはとても慎重に闘っており,いいかんじであった。しかし挑発行為までしてみせるとは意外であった。
 
 残念ながら,ダラウェイの指がボウチの目に入るアクシデントが二回連続して減点があった。この減点が大きく判定に響いたようである。
 判定で私の予想どおりボウチ勝利であったが,内容的には私の予想は外れダラウェイの方が良かったように思えた。


Welterweight Nate Marquardt vs. Hector Lombard
 マーコートは最近どうしちゃったのだろう,という感じである。こないだストライクフォースで王座から陥落して以降,試合するたびに弱くなっていってる感じである。
 今日も,相手の打撃から逃げるようにして身をかがめ際に側頭部に力強いフックをもらい,そのまま一気にパンチでたたみかけられ勝負がついた。

 ここのところ冴えない試合の多かった両者であったが,ロンバードの方は得意の強打が見事に当たり,今後につながる会心の勝ち方であったろう。
 マーコートはこれで引退ではなかろうか。


Women's Bantamweight Sarah Kaufman vs. Jessica Eye
 コーフマンは体重のよく乗った綺麗なストレートを放つ選手である。
 が,アイが終始丁寧で慎重に闘っていた。距離を上手にとり,柔軟な体を生かしてコーフマンの強打を不発にしていた。
 きわどい試合であったが,私の予想ははずれ,アイが勝った。


Lightweight George Sotiropoulos vs. KJ Noons
 ヌーンズは左ジャブのボディーを序盤によく当てていたし,打ち合いになればヌーンズの方が勝気であった。一方,ソティロポロスはやや打たれ弱いところがあるという印象であった。最後までヌーンズの土俵であるボクシングで勝負させられたのは,ヌーンズのテイクダウン防御が優れていたからだろう。
 
 かといってヌーンズの出来が良かったかといえば,必ずしもそうでもなく,パンチを打った後に体が流れる場面が多かった。私はソティロポロスの方が上手だったように思えたが,当てた手数で上まわったのだろう。ヌーンズが勝った。

 
Welterweight TJ Waldburger vs. Adlan Amagov
 アマゴフという選手,力あり,打撃よし,バランスよしで,かなりの好選手である。
 至近距離で回転しての後ろ蹴りを腹部に当てていたが,その回転は並みの速さではなかった。そこから組んで膠着かと思いきや,組んだ状態からの左フック,手打ちのようでいて,スロー再生でみると足を踏んばり体を小さく回転させて,しっかり全身の力を拳に伝えていた。その一発でウォルドバーガーの意識は飛んでいた。
 倒されたウォルドバーガーはしばらく立ち上がれず,担架に乗せられて病院直行だったらしい。

 おそろしくケンカのつよいロシア人,アドラン・アマゴフ27歳,今後のウェルター級が楽しみになるような面白そうな選手である。


Bantamweight Dustin Pague vs. Kyoji Horiguchi
 期待の堀口恭司選手が見事にUFC初戦を制した。相手から距離をとって回りつつ,おもむろに入ってきて捨て身で強いパンチを当てるスタイル。
 初回では相手にそのまま捕まってしまった。まともに投げられてしまう場面もあり,今後に課題があるとしたらそこらへんだろう。
 
 二回には開始早々から距離をとるかと思いきや,すぐに積極的に入ってきて,右から入るワンツー。左の強いパンチをまともにペイグの顔面に入れて,それが勝負を決めていた。初回にやや懸念された相撲力も,二回では別人のように強くなっており,文句のつけようもなかった。初回はさすがに緊張していたのであろう。

 グラウンドでのパウンドを当てるセンスも抜群であった。膠着したグラウンドから執拗なパウンドで勝負が決まるケースというのは最近では珍しいのではなかろうか。
 堀口選手にとって次につながるとてもいい勝ち方であったと思う。

 相手のペイグは11勝9敗という,いわばかませ犬的な選手である。堀口選手がこれからもっと強い選手と闘うのが楽しみである。


 

2013年10月16日水曜日

UFC 166: Velasquez vs. Dos Santos 3 予想

Heavyweight Cain Velasquez vs Junior dos Santos
 反応のよさ,連打の速さ,レスリング力,バランス,どれをとってもヴェラスケスが有利だと思う。
 ドス・サントスのテイク・ダウン防御は一級品だけど,それでもグラウンドの展開になればヴェラスケスが有利であろう。パンチもフックやアッパー主体で強打のドス・サントスに対して,ヴェラスケスは小さな真っ直ぐが主体であり,それもワン・ツー・スリー・フォーと一気にくり出して回転が速いのが特徴である。

 ドス・サントスは,前回マーク・ハント相手に接戦して最後に見事なKOをしたことが話題になるが,私はあの試合はドス・サントスがもっと圧倒的な強さをみせてくれるかと思っていたし,彼としては不本意な試合内容だったのではないかとさえ感じている。
 一方,ビッグ・フットに対してタイミングよく踏み込んでワンツーを当て,一気に試合を決めたヴェラスケスの勝ち方は,彼らしいまさに会心の勝利と言えるだろう。
 ビッグフットとハントを比較することは出来ないが,これら二試合での内容を比べると,やはりヴェラスケスの方がドス・サントスよりも格闘力は高いと感じざるをえない。

 というわけで私は不動のヴェラスケス予想。
 今回はわりあいと早い回に決着がつくのではないか。

 はやくヴェラスケス対ジョン・ジョーンズの試合が観たいものだ。


Heavyweight Daniel Cormier vs. Roy Nelson
 どちらも一発のある選手だけど,体重のあるネルソンの一発は脅威であり,コーミエとしては相打ちというわけにはいかない相手である。また体重あるネルソンは柔術の達人でもあり,寝技の応酬も危険である。コーミエとしてはスピードでもってポジショニングを工夫してネルソンを攻略したいところだろう。
 高いレベルの試合になればなるほど勝敗を決するのはスピードである。コーミエが本当に高いレベルの選手であれば,ネルソンを圧倒するであろうし,また,しなくてはならない。
 逆にビッグ・カントリーのパンチに捕まってしまうようだと,コーミエは階級をライト・ヘビーに落としたしても上位には通用しえないのではなかろうか。そういった意味でこの試合はコーミエの試金石であり,ぜひ綺麗に勝って王座挑戦を果たしてほしいところ。 

 期待をこめてコーミエ予想。
 おそらく判定であろうし,ノックアウトならばグラウンドでの背後からのパンチ連打によるレフリーストップか。


Lightweight Gilbert Melendez vs. Diego Sanchez
 強豪同士の興味ぶかい一線。
 メレンデスは切れるパンチをもっており,ベンソン・ヘンダーソンの王座に挑戦して僅差の判定で敗れたのに対し,一方のサンチェスは五味戦では体重リミットをオーバーし,試合では僅差で勝ったものの内容は決して良いものではなかった。メレンデスの一発が当たるのではなかろうか。

 不動のメレンデス予想。


Heavyweight Gabriel Gonzaga vs. Shawn Jordan
 こないだパット・バリーに一発を当てて倒したジョーダンだけど,殴り合いの打撃戦だったとはいえ試合内容はかなりお粗末なレベルだった。
 打撃も寝技ももっており安定した実力をもつゴンザガが,ほぼ間違いなくジョーダンを圧倒するだろう。

 不動のゴンザガ予想。


Flyweight John Dodson vs. Darrell Montague
 モンテイグという選手は知らないのだが,戦績はいいようだ。マッコールに捕まっている。
 ここは身体能力の高いドドソンが圧倒するのではなかろうか。

 ドドソン予想。


Preliminary card
Middleweight Tim Boetsch vs. C.B. Dollaway
 ボウチはタフで打撃も強く,不器用だが勝機をつかむのが上手い選手。一方のダラウェイは真面目で練習熱心そうな選手であり,タイプ的に正反対の両者,案外面白い試合になるかもしれない。
 ダラウェイという選手は攻め方にいまひとつイヤラシさが足りない選手であり,立ち技でバランスが悪く体が流れ気味になるのが気になるところ。

 ボウチ予想。


Welterweight Nate Marquardt vs. Hector Lombard
 もっとも期待はずれな選手の一人とされるヘクター・ロンバードだが,安定した実力をもつネート・マーコートと対戦。
 ロンバードは元柔道家なのだが,とにかく格闘が下手だなという印象。打撃も強力そうなのだが滅多にミートしない。やはり百戦錬磨のマーコートが一枚も二枚も上なのではないか。

 マーコート予想。
 

Women's Bantamweight Sarah Kaufman vs. Jessica Eye
 サラ・コーフマンは女子選手のなかではわりと珍しくパンチ力のある選手で,高いKO率を誇る選手である。ロンダ・ラウジーと対戦して破れてはいるものの,また対戦させてみたい選手の一人である。
 ジェシカ・アイはフライ級から上げてきた選手であり,だからといって強い打撃をもっているというわけでもない。幼少時の交通事故を克服したドラマをもった選手である。
 
 もともと打撃力あるコーフマンが元軽量級のアイを打撃で圧倒するのではなかろうか。
 コーフマン予想。
 

Bantamweight Dustin Pague vs. Kyoji Horiguchi
 さて我らが期待の堀口恭司23歳の登場である。
 師はあの神の子こと,山本 "KID" 徳郁であり,したがって神の子の子である堀口は「神の孫」つまり天孫か。相打ち上等で打ち合いに出る彼のスタイルはまるで神風を思わせ,打撃でもって大きな見せ場をつくれる稀有の才能をもった選手である。
 ここは堀口の一発でもって壮絶なノックアウト・オブ・ザ・ナイトを期待したいところ。

 不動の堀口予想。

 ところで彼のUFCでのニックネームはまだ未定のようだが,KAMIKAZE なんてのはどうだろう。

2013年10月9日水曜日

UFC Fight Night: Maia vs. Shields

Welterweight Demian Maia vs. Jake Shields
 予想どおり組んず解れずの難戦だったが,予想どおり序盤にジェイク・シールズがいいポジションをとって攻めたのが勝因だったのだろう。まるでフェレットかカワウソみたいに懐が深く腰がやわらかいシールズには,柔術の達人のマイアも思うようにあつかえず苦労していた。
 終盤になってマイアが打撃に切り替えて,パンチをよく当てていた。もっと早くにグラウンドをあきらめ立ち技打撃で積極的に攻めていれば,案外シールズをノックアウトできたかもしれない。マイアにとっての敗因は自身の柔術への自信とこだわりだったのかもしれない。彼にとって悔いの残る試合だったのではなかろうか。


Welterweight Erick Silva vs. Dong Hyun Kim
 キムが鞭のようなジャブを放って距離をとるかと思いきや,意外にも前へ前へと積極的に出てきた。その序盤のやりとりで疲れたのか早い段階から両選手ともアゴあげて肩で息していた。両手をぶらつかせふらふらとバランスを崩しながら闘う場面が目立ち,いちばん期待していた試合だったのだがとても好試合とは呼べるものではなかった。

 たまたま相打ちでキムの左のパンチがシウバのアゴに入って試合が決まったが,あれは交錯時にキムが相手を観ずに放った,いわばめくら打ちのパンチであって,斬れ味抜群のカウンターと呼べるようなものではなかった。
 決して見ごたえのある試合ではなかった。
 

Light Heavyweight Thiago Silva vs. Matt Hamill
 これも序盤からダレにダレまくった試合であった。どっちが勝ったところで,どうでもよく,両者ともに確実にこれがUFC最後の試合となるだろう。
 それほどお粗末な試合だった。
 
 何度かシウバがいいパンチを当てて,ここぞという場面があったにもかかわらず,何もすることが出来なかった。ドタンドタンとマットを踏み鳴らす音ばかり響き,あきらかに下半身の鍛錬不足であろう。体が重すぎてまるで腰をかがめることすらしんどい老人のようであった。何も語るべきもの無しという見苦しい試合であった。

 他の優れた選手達がせっかく高いレベルの試合をしているのに,自身の体重管理すらできない選手がこういうレベルの低い試合をしているようだと,興行者としても困ってしまうだろう。
 総合格闘の将来のためにも,こういう選手は追い出した方がいいように思う。


Light Heavyweight Fabio Maldonado vs. Joey Beltran
 テシーラに打ち負けたマウドナドとベルトランどっちもガンガン打撃を出してくる選手で壮絶な打ち合いが予想された。
 が,大変ダレた見苦しい試合となり,メインにもってくる試合としては質的に物足りなかった。


Welterweight Rousimar Palhares vs. Mike Pierce
 顎のもろさが懸念されるパルヤレスに対し,ピアスががむしゃらに闘って優位に立つかと私は思っていたが,パルヤレスが地元ブラジルの期待のなか見事に職人芸的なヒールホールドで勝利をおさめた。
 やや古臭い決まり方であったが,他の試合と比べるとかなり良い試合だったといえるだろう。

 ピアスがしきりにタップしていたのにパリャーレスがすぐ放さなかったことで,関節技賞はもらえなかったという。しかし柔道などでは審判が声をかけるまでは絶対に技を止めるなという話を聞いたりするだけにパリャーレスにとって酷な気もするが,膝を完全に破壊しかねない危険な技だっただけに難しいところだ。そこらへんしっかりとしたルールの徹底が必要だろう。


Bantamweight Raphael Assunção vs. T.J. Dillashaw
 いずれも田村一聖をノックアウトして勝っている,打撃のうまい選手どうしの対戦。
 予想どおりの面白い試合であり,アサンカオは頻繁にスタンスをスイッチさせながら相手の出鼻にタイミングよくパンチを当てるのが上手かった。一方,ディラショーも変則的なアッパーを積極的に振ってきて序盤から目をはなせない展開であった。

 中盤以降,正確さとタイミングのよさでアサンサオのパンチの方がよく当たるようになり,それが勝負の決め手となったかんじである。
 
 割れた判定ながらアサンサオが勝った。

 
Welterweight Ildemar Alcantara vs. Igor Araujo
 アルカンタラは地味なうごきながら隙の無い,まるで柔道の師範のような老獪な闘い方をする燻し銀のような選手である。上体の力のよく抜けた構えから放つ打撃も地味ながら正確であり,バランスもよく,相手を倒すのもうまい,技巧派の面白い選手である。しかしブラジルの選手らしくカーディオの弱さが課題か。

 一方のアラウージョも関節技を得意とする選手のようで,積極的に組みに行きさかんにダブルのテイクダウンを狙うが,アルカンタラことごとく防がれていた。
 
 終始攻めて攻めまくったアラウージョが判定で勝った。
 玄人好みな格闘技術も大事であるが,それ以前にいかに体力というものが大事かということであろう。


Welterweight Yan Cabral vs. David Mitchell
 カブラルは10戦全勝,全てサブミッション勝ちの30歳。一方,ミッチェルは腰の引けたパンチしか出せない選手のようで,あまり歯切れのよい攻めは見られなかった。
 カブラルも打撃でフィニッシュできない選手のようで,いいカウンターを当てておきながら仕留めきれず,もつれてそのままウヤムヤにされてしまう場面もあった。カーディオにも問題があり,詰めも甘く,戦績ほどの選手では無さそうだ。
 ダレた判定で,カブラルが勝った。 

 

2013年10月8日火曜日

UFC Fight Night: Maia vs. Shields 予想

Welterweight Demian Maia vs. Jake Shields
 柔術の達人で力もあるデミアン・マイアと,誤魔化しのうまいジェイク・シールズ。
 どちらも打撃を持っておらず,終始グラップリングの試合になるのであろう。
 スタイルがかみ合えば面白い試合になるのかもしれないが,そうなるとマイアが有利だろう。
 しかし私はむしろシールズがマイアの出鼻に小さなパンチや上段キックをタイミングよく出して誤魔化し切るのではなかろうかという気がする。誤魔化しつつ随所でテイクダウンをとるシールズが判定勝つのではないかと思う。
 試合内容は,かなりつまらないものになると思う。 
 シールズ予想。

Welterweight Erick Silva vs. Dong Hyun Kim
 韓国のサラブレット,ドンヒュン・キムが,柔術柔道黒帯のエリック・シウバと対戦する。これは興味深い一戦。
 キムは序盤から鞭のようなジャブを出して牽制してゆくのだろうが,それにシウバがどう対応できるかがポイントだろう。キムの打撃がテンポよく当たるようだとキムが攻勢に試合を進めるだろうし,シウバに簡単に距離をつめて来られてしまうようだと,シウバが有利かと。

 身体能力に優れたシウバががむしゃらに組んできて,強引に勝ちをもぎとるのではないかという気がする。
 エリック・シウバ予想。

Light Heavyweight Thiago Silva vs. Matt Hamill
 ケンカ屋チアゴ・シウバが問題なくハミルを下して,ライト・ヘビー級での存在感をアピールするのではなかろうか。
 いつも強そうで弱いマット・ハミル,このブラジルの問題児に勝てるとは思えない。
 チアゴ・シウバ予想