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2012年9月29日土曜日

UFC on Fuel TV: Struve vs. Miocic

September 29, 2012 at Capital FM Arena in Nottingham, England
  
 若い才能がどんどん萌芽してくるUFCは新興のプロ・スポーツとしてまっさかり成長中という感じ だ。
総合格闘技の試合はかなり高等な運動技術の応酬であるからして,野人のようにただ勇猛なだけでは通用しない世界である。ずばぬけて強い選手というのは身体能力がズバ抜けているのみならず,頭がよく,慎重で,とほうもない勇気がある。 

Heavyweight: Stefan Struve vs Stipe Miocic
 ステファン・ストルーヴは身長 213cm で,リーチが 215cm。これは Jon Jones (身長 193cm)と同じ長さであり,ともにUFCでは最大リーチ。いかにジョン・ジョーンズのリーチが長いかがうかがえる。
 さて若きストルーヴ,背がひょろ高くて細身だが,ねばりづよくあきらめず小さな打撃の出せる良い選手でもある。 Lavar Johnson を腕ひしぎ逆十字で破っている。また,Dave Herman を右アッパーで破っている。右アッパーがハーマンのアゴに見事に入ったけど,その前に左足で小さなインローを入れており,ダンヘンの得意な右に似たタイミングであった。
 かたやクロコップもどきのミオシッチは9戦全勝7KO。強力なパンチがある。

 予想としてはありきたりだが,ミオシッチの強打をストルーブがどういなすかだろう。ただ,振り回してくるミオチッチ相手に下がってばっかりでなしに,足 を止めて中から真直ぐを当てていく勇気がないとストルーブは勝てないんじゃないかな。私は若きストルーヴを応援したいし,ストルーヴが打撃をいなしつつ小さな一発を当てて勝つのではないかと思う。
 ただストルーヴはドス・サントスに既に負けているだけに,ミオチッチに挑戦権を与えたいようにも思う。打撃のミオチッチをドス・サントスにぶつけて壮絶な撃ち合いをさせた方が興行としては面白いかもしれない。

 序盤はミオシッチのスピードが勝り,パンチもよく当たっていた。一方のストルーヴは反応が鈍く,打撃もスローモーであった。バランスもあまりよくない。手足の長い選手にとって,転ばされやすいというのは致命的である。序盤を見た限りでは,私はミオチッチが勝つだろう,と思った。
 だけど上背があり体の柔軟な選手というのは,打撃をあまりまともにうけないものらしい。中盤から上背を生かしたアッパーカットがタイミングよく入り,それから形勢が逆転した。さすがヘビー級,不用意な一発をもらっただけで状況はガラリと一転する。
 最後はストルーブがおどるようにプレッシャーをかけて猛攻。上背ある選手があんなふうに迫ってくると,すごい圧力なのだろう。ミオシッチをノックアウトした。
 ストルーブは,勝つには勝ったが,序盤にだいぶ打撃をもらっていたことをおもえば課題満載であろう。あれではまだまだチャンピオンにはなれない。
Welterweight: Dan Hardy vs Amir Sadollah
 一応英国紳士のダン・ハーディは地元だけにすごい人気。それにしても彼はとても嬉しそうに試合をする。闘うことが自分の存在の証明なわけで,そういう仕事にめぐりあえた人というのは何よりのことだ。

Bantamweight: Brad Pickett vs Haiti Yves Jabouin
 ピケットのアッパカットがカウンターできれいに入って一発であった。バンタム級とは思えない見事なノックアウトだった。

Lightweight: Paul Sass vs Matt Wiman
 24歳と若いポール・サスは13戦全勝,12サブミッション勝ち。格闘家とは思えない端整な顔立ち,細く通った鼻筋のすごいイギリス人顔というか,ようするにハンサムである。 若く端整な美男子だけれども,なかなかすごいラフ・ファイトを好む。
 かととおもいきや,一瞬のすきをついたマット・ワイマンが腕ひしぎ逆十字で決めた。サスに黒星がついて少し残念だが,とても面白い試合であった。

Welterweight: John Hathaway vs John Maguire
 格闘家でも本当につよいのになると,とても端整な顔立ちをしてるものだが,ジョン・ハサウェイはまさにそんな感じの選手である。 サウスポーのマグワイヤは右フックを当てるのがうまいが,反面ハサウェイの長~いリーチの右のまっすぐをもらいやすい。ずんぐりしたマグワイヤよりも手足の長いハサウェイの方が優位に打撃戦を進め ているかんじであった。ハサウェイの判定勝ち。
 
Welterweight: Che Mills vs Duane Ludwig
  ルドウィグは膝を傷めたらしい。まったく歩けない様子をみると,どこか靱帯を断裂したようだ。

Light Heavyweight: Kyle Kingsbury vs Jimi Manuwa
 ナイジェリアの怪物ジミ・マヌワは11戦全勝10KOという,とほうもない強打の選手。これは楽しみな選手である。ライトヘビー級だけに近 いうちに Jon Jones との対戦があるかもしれず,これは注目したいところ。
 しかし蓋を開けてみたら,マヌワは打撃がめっぽう強いのだが,重心が高く,立ち相撲が異常に弱い。ちょっとした足技ですぐ転でしまう。これではいくら強打があってもUFCでは上位には行けないだろう。
 キングスベリの左目が完全にふさがってしまったために試合終了。予想どおりマヌワの打撃が圧倒したけれど,マヌワは足腰のねばりが無く課題山積み。もう 32歳であることも考えると,ことさらに期待できる選手というわけでもなさそうに感じた。
 
Featherweight: Andy Ogle vs Akira Corassani
 スウェーデン人のくせして私と同じ名前とは何事だ,とおもいきや,本名はアキラでなくて Hamid だそうな。イエテボリ出身。ラストネームの Corassani がなんとなく黒澤みたいだから,ニックネームがアキラなのかも。彫りの深い濃い顔で肌が茶色く,北欧人というよりむしろアイヌとかイヌイットっぽい風貌をしている。

Middleweight: Tom Watson vs Brad Tavares
 ブラッド・タヴォーレスはハワイ出身で8勝1敗の24歳。ゴルファーみたいな名前のトム・ワトソンは30歳,ショーグンの兄のニンジャをノックアウトしたことがあるらしい。 
 タヴォーレスは打撃が的確で上体もやわらかい,とてもクレバーな選手だ。一方のワトソンはアグレッシブで力強いけど,序盤からエキサイトして肩で息してる。こういう選手は,あんまり強くない。呼吸のしかたでだいたいどういうレベルの選手かわかる。
 タヴォーレスが勝ったが,ワトソンもよく頑張り,前座とは思えない好試合となった。
 
Catchweight (183 lbs.): DaMarques Johnson vs Gunnar Nelson
 ガナー・ネルソンはグラップリング世界選手権で銀メダリスト。総合格闘では今のところ無敗。ウェルター級で,まだ24歳。これはホープ選手。珍しいアイスランドの選手だ。町田のような空手風な構えをする。非常に面白い選手。相手の出鼻によく反応するし,グラップリングだけでなく,立ち相撲も強い。これはウェルター級の上位陣に対してもかなりの脅威の選手になるとみた。

Featherweight: Jason Young vs Robbie Peralta
 ともに26歳。ジェイソンはロンドン出身で大歓声だが,ロビー・ペラルタの方が戦績はいい(三敗のみ)しKO率も高い。
 すごい試合だった。予感どおりロビーの秒殺ノックアウト。両者打ち合いで,たまたま先に右フックが当たったから勝った,というかんじ。やはり一発あたりさえすれば必ず倒せるという打撃をもった選手は,待って狙って打つよりも,思い切ってさっさと距離に入ってめちゃくちゃ振り回した方が観客もよろこぶし,良い結果につながるようだ。

2012年9月23日日曜日

UFC 152

 UFC 152 September 22, 2012 at the Air Canada Centre in Toronto, Ontario, Canada.

 Jon Jones vs Vitor Belfort
<試合前>
 もう結果は見えてるけど,ベウフォートのパンチが万に一つにでも当たれば面白いのだけど,まあ,まず無理だろうね。 盛り上げようとして る解説が実にそらぞらしい。ダメージによってはベウフォートはこれで引退を決定づけられるだろうね。ジョーンズは自身満々な顔。
 <試合中>
 さっきのジョーンズのサイド・キックで,ヴィトーのあばらは折れてるのではなかろうか。ジョーンズはレスリング出身ながら空手家顔負けのいやらしい関節蹴りしてくる。よかったよ,最後は顔面トマトじゃなくサブミッションで。
 <試合後>
 つよい! Jon Bones Jones
 彼の強さが本物らしいのは,試合後も正確に相手の強さと自分が勝った理由を分析してる点だろうかね。にくたらしいくらいに強いね。私が彼を応援するとしたらプレデターみたいな宇宙人と対戦するときだけだろうね。
かたや,ベウフォート。さすが一瞬だけど大きな見せ場をつくってくれたね。久しぶりに観てた私までエキサイトして拳が空を切った。雲のジュウザが拳王ラオウに腕ひしぎをしかけた場面を思い出したよ http://mmajunkie.com/news/30768/ufc-152s-jones-belfort-head...
 ダナ氏がジョーンズにベルトを巻かなかったが,これは応募したファンにやらせなくてはならなかったかららしい。


 Joseph Benavidez vs Demetrious Johnson 
<試合前>
 軽量級。まったく実力伯仲,どちらもテクニシャン,ノックアウトは無いだろうね。 じっくりとハイレベルのテクニックを鑑賞したい試合。日本の山本KID徳郁がデメトリアス・ジョンソンと対戦したけど,まるで歯がたたなかったっけな。全盛期の山本だったらもっと面白かっただろうけど,もう運動能力が違ってた。
 勝った方がチャンピオンに再挑戦ということかな。いや,バンタム級でなくてフライ級か。デメトリウスはチャンピオンだったか。
<試合中>
 デメトリアスは,山本とやった頃よりはるかに上手くなってる。軽量級らしくナマクラパンチで派手さは無いけど,負けない戦い方を知ってるね。

 無想拳の極意は,相手が自発的行動としてパンチを放とうとするきざしに反応して,どれだけ正確なパンチを反射運動で放てるかだね
 本当に上手い選手というのは,ガードやスウェイでもって派手に打撃をかわすのでなく,相手が打撃を繰り出そうとする矢先に,スッと当たらない場所へ移動するね。もっと上手いのは,相手が打撃を放とうとする矢先に,ちょんと打撃を当てる。軽く当てるだけでも効いてノックアウトになる。
 難しい判定だろうね。まあジョンソンだろうね。
 デメトリウスとベナヴィデズの高いレベルの試合にブーしてたよな人は格闘をまるでワカッテない。見るなとか語るなとか言う気はないが,私は聞く耳もたん。


 Michael Bisping vs Brian Stann
 <試合前>
 これはたのしみな試合。イギリスのビスピンと,アメリカの元GIのスタン。私はビスピンが判定勝ちかな。ビスピンは日本の秋山成勲といい試合して,判定で勝ってる。
 ブライアン・スタン,すごいアメリカ人顔だけど東京生まれ。 おそらく横田基地だろう。てことは親も軍人。かたやビスピンはいかにもブリティッシュ顔。こういうの面白い。どちらも,すごくいい顔していて,肌つやも筋肉もハリもいい。これは面白い試合になるとみた。
 スタンの打撃が当たれば,だけど,それをビスピンがどう誤魔化すかだろう。
 <試合中>
 序盤はスタンが押し気味。いい右が離れ際に入ったりしたが,しかしビスピンが誤魔化しきって,中盤以降は完全に見切ったかんじ。ビスピンの判定勝ち濃厚。
<試合後> 
 泥試合だったけど予想通りビスピンの判定勝ちだな。スタンは悔いが残るだろう。 
 勝ったビスピンを称えるスタン,いい男だなあ~かっちょええなあ~。

 
 Matt Hamill vs Roger Hollett 
 ハミルは Jon Jones にボコボコにやられたけれど,ジョーンズの肘の直下打ちで反則勝ちした選手。ようするにどっちもそんなに強くなくて,あんまり興味ない。Hollett が勝つろう。せいぜい盛大にノックアウトしてくれ。
 しかし,Hollett も下手だな。ちっともチャンスがわかってない。つまらん試合。解説は Hamill が強気で押してると言うけど,私はそれでも Hollett の方が上手いと思うし,彼が勝つとおもう。相手の打撃がよく見えてる。いつも強そで弱い Matt Hamill。


 Charles Oliveira vs Cub Swanson
 ブラジルのホープ,フェザー級の Oliveira は22歳にして 19戦16勝。バランスのよさ。相当デキる感じがひしひしと伝わってくる。と思ったら,眼がさほど良くなかった。打撃をまともにくらって ダウン,KO。スワンソンの右フックがテンプルにもろに入った。ちょっと残念。