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2015年4月26日日曜日

UFC 186: Johnson vs. Horiguchi 感想

 今回はロンバードのドーピングやディラショーの怪我のせいで二試合つぶれ、興行的にも難しい大会だったろう。

Flyweight Demetrious Johnson vs. Kyoji Horiguchi
 堀口がとてもよく頑張って、膝がデメトリアスの顔面をとらえあわやという場面もあった。が、大方の予想どおり、マイティマウスの引き出しの多さであった。
 堀口はキックボクシングでは相手をよく研究してきたし、逃げ足の速さも、出鼻にあわせるタイミングも申し分なかった。しかし、テイクダウン防御はどうしても弱点であり、弱点とわかれば王者は当然そこを攻める。ジョンソンに腰をつかまれると足の力が抜けてゆくように、いとも簡単に尻もちをつかされていた。それでも最終ラウンドの最後の最後までよく動きよく耐えよく闘ったとおもう。

 最後はグランドで堀口の右腕を股に挟んだデメトリウスが堀口の顔面を嫌というほど叩き、「セコンドが十字十字とうるさいから仕方なく」十字固めに移行、堀口からタップアウトをとった。5Rの4分59秒だったそうな。
 
 堀口は明らかな完敗であったが、とくに頭部に大きなダメージを負ったわけでなく、まだ24歳である。ブラジルのアルメイダが若い若いと騒いでしまっていたが、堀口も同じくらい若いのだ。
 またさらに強くなって戻ってくるであろう。


Catchweight (215 lbs) Quinton Jackson vs. Fábio Maldonado
 ランペイジのちょっとわざとらしい表情や大げさなスピーチなど、観衆をつねに意識していたのはよくわかったし、自分が試合をするのは観客のため、というサービス精神を明確にもった、優れたファイターだとは思うが、相手も自分も練習で研ぎ澄まされた状態には程遠く、試合そのものはさほど面白くなかった。予想どおりといえばそれまでだが、興行的にも苦しい本大会を少しでも盛り上げてやろうという彼の心意気に、ファンはもっと敬意を示すべきだとおもう。


Middleweight Michael Bisping vs. C.B. Dollaway
 強振するダラウェイのパンチが何度かビスピンの鼻や頭部をとらえ、あわやという場面があったが、ビスピンはいつも一生懸命であり、つねに相手にアジャストし続け、最後まで休むことなく動いていた。それが彼の持ち味であり、強みだろう。決して悪い試合ではなく、みごとなビスピンの勝利であった。


Catchweight (160 lbs) John Makdessi vs. Shane Campbell
 キックボクサーで鳴らしたキャンベルであったが、いざ蓋を開けてみたらマクデッシの方が相撲も打撃も上手だった。ていうか、キャンベルがあまりにも弱かった。バランスが悪いし、パンチのキレもいまひとつ。
 キャンベルがキックボクシングでどれだけの強さだったのかは詳しく調べたわけではないのだが、キックボクシングはキックボクシングが好きな人が参加するスポーツであるのに対し、総合格闘はレスリングや柔道などより競争の激しいスポーツを勝ち抜いた一流のアスリートが多く参加するだけに、やはりスポーツとしての技術・才能のレベルは総合格闘の方が高いように感じる。

 もともとマクデッシという選手はカウンターが上手く、パンチの切れ味は抜群なのだが、今回はとくにそれが顕著で、ズバッズバッと小気味よくパンチが当たっていた。会心のノックアウトであったろう。
  

Bantamweight Yves Jabouin vs. Thomas Almeida
 アルメイダというオシャレな髪型をした少年、いや格闘家は、まだ23歳だという。実に生意気げな顔をしているが、試合になると、とても精悍な闘う男の顔になる。
 パンチが速く、真っ直ぐに伸び、また的確で、相手の血の匂いを嗅ぎとるやいなや、一気に猛攻する獰猛さも申し分なかった。才能はホンモノっぽい。はやくこの坊やの次の試合が観てみたい。


Women's Bantamweight Alexis Davis vs. Sarah Kaufman
 序盤からコーフマンが良かった。デイヴィスが出てくれば、タイミングよく、力強いパンチを当て、予想どおり立ち技において圧倒していた。また、スタンスも従来のような腰高なものでなく、腰をしっかり落とし、より重心を前に置いて、踏ん張りの効く構えで、ぐいぐいプレッシャーをかけていた。また頭もよく動いていて序盤はコーフマンが実に良かった。
 これは予想通りコーフマンが打ち勝つか、とおもっていたが、引き出しの多さをみせようとしたのか、相手と組んでしまい、それが失敗だった。デイヴィスのズブなトラップにかかり、腕ひしぎ十字固めにやられてしまった。
 打撃で圧倒していたのと、全身にみなぎる力強さのようなものがコーフマンにみられただけに、ここで打撃がからっきし弱かったデイヴィスに対してああいう逆転負けを喫してしまったのは、やや残念である。


2015年4月22日水曜日

UFC 186: Johnson vs. Horiguchi 予想

 UFCの番号シリーズはタイトルマッチがあるだけでなく興行カードも粒ぞろいという印象であったのだが、今回注目すべき試合はあんまりない、という印象。
 堀口がマイティマウス相手にどこまで頑張れるかというのと、ブラジルの若武者アルメイダがどれだけの選手かという、この二試合に注目してみたい。
 が、そのために高いペーパービュー料金を払うのかとおもうと、ちょっともったいないような気になってしまう。


Flyweight Demetrious Johnson vs. Kyoji Horiguchi
 広いスタンスでぴょんぴょんと跳びはねるようなフットワークの堀口は、ジョー・ローガン氏に言わせると「速い!」とか宣伝されているけれども、実際この階級の他の上位選手、ドドソンやベナヴィデズらと比較しても、お世辞にも速い方だとはいえない。ジョンソンはその中でもぬきん出ている。足の速さも、手の速さも、タックルの鋭さも、すべてにおいてジョンソンの方が精錬されており、一枚どころか二枚三枚は上手なのではなかろうか。
 堀口に勝機があるとすれば、相撃ち狙いしかないとおもうのだが、目のいいマイティマウス相手では相撃ちすらできないのではないかとおもう。初回もてば、それだけで拍手だ。

 マイティマウスによる初回ノックアウト予想。


Catchweight (215 lbs) Quinton Jackson vs. Fábio Maldonado
 今さらどうして36歳のランペイジを呼びもどすのか意味がよくわからない。そしてなんでこんなOB戦みたいな試合がセミファイナルなのか、全くわからない。マルドナドはヘビー級で試合をしたりしたが、前回はライトヘビーであった。キャッチウェイトなのは、減量ぎらいのランペイジのためだろう。
 両者とも強振していくので見ごたえのある試合にはなるのかもしれないが、一時代前の格闘試合のようになるのではないか。

 どっちが勝とうとあまり興味ない。


Middleweight Michael Bisping vs. C.B. Dollaway
 両者ともに昇ってゆく選手というより、ここで落ちずに踏みとどまるための試合というかんじである。ダラウェイという選手は一生懸命に試合をする姿には好感がもてるが、いまいちバランスの悪さが気になるところ。攻め方も工夫があまりなくいまひとつガツガツしたイヤラシさが足りないという印象の選手。
 ビスピンはついこのあいだ解説していたのを観た気がするが、顔が丸々としていた印象があった。きっちりウェイトを落としてくるだろうとはおもうが、日頃からガツガツと練習をしているような感じではなかったが、これも試合を観てみないとわからない。

 ビスピンの方がつよいのではないかとおもう。


Catchweight (160 lbs) John Makdessi vs. Shane Campbell
 キックボクサーのキャンベルという選手の戦績をみると、打撃だけでなくサブミッションで勝っている試合もわりと多いのが印象的である。
 カウンターのうまい空手家マケデッシと打撃戦になるのであろうかとおもうが、試合を決めるのは案外キャンベルの寝技なのではないかという気がする。

 キャンベル予想。


Bantamweight Yves Jabouin vs. Thomas Almeida
 ブラジルの23歳アルメイダは18戦全勝で13KOという、戦績だけ見るととほうもない選手のようであり、注目である。
 ジャボインは、ノックアウトされた試合しか観たことがないだけに、印象的にこの若い強豪に勝てるとはおもえない。

 アルメイダによるノックアウト予想。


Women's Bantamweight Alexis Davis vs. Sarah Kaufman
 柔術の達人とストライカーの対戦だが、両者顔つきがなんとなく似ていて、ときどき間違えてしまう。コーフマンは Twitter でもフォローさせてもらっていて、実に的を得た格闘解説がすごく参考になるのだが、試合はというと、ストレートがきれいに真っ直ぐ伸びる印象で、実際KO率も高い。
 女子ストロー級選手らの速い打撃や、ロンダ・ラウジーの猛烈な試合を見た後では、両者ともレベル的にガクッと落ちる感じが否めず、どうしても見劣りしてしまう。わるいんだけど。
 
 コーフマンの打撃をとって、コーフマン予想。

2015年4月18日土曜日

UFC on Fox: Machida vs. Rockhold 感想

 メインイベントのマチダ対ロックホールド以外はすべての予想が当たり、ある意味わかりやすい大会だったわけだが、内容的にも実に良い試合の多かった興行であった。
 ダナ・ホワイト氏も実に満足げな顔をしていた。とくにロックホールドとジャッカレという二人の好選手が実に素晴らしい試合をしたことは、次の挑戦者を決める上でも嬉しい悲鳴であったろう。
 ここでジャッカレイに次の王座挑戦権を与えたとしたら、ホワイト氏は選手おもいの信頼できるボスだとおもうし、口達者なロックホールドを贔屓して彼に挑戦権を与えるようだと、私はあまり彼のことを好きにはなれないだろう。
 
 試合後の会見ではロックホールドに質問が集まり、置き忘れられたかのようであったジャッカレは口を真一文字に結んで仏頂面であった。
 が、ある時点でふっ切れたさわやかな表情になっていた。
「相手が誰だろうと、何度でも勝てばいい、さすれば結果は必ずついてくる」
 と、自分自身に言い聞かせたかのようであった。


 
Middleweight Lyoto Machida vs. Luke Rockhold
 ロックホールドのつよさもであるが、私的にはむしろマチダの脆さが出たという印象であった。
 試合を決めたのは初回のロックホールドの右のクロスのフックだったろう。ショーグンがマチダを倒したときと似たカウンターのパンチであったが、ショーグンのほど絶妙なタイミング、というわけではなく、マチダの踏み込みをよく見たロックホールドがやや遅れ気味にオーバーハンド気味にかぶせるように出した右のフックが頭部のどこかに当たり、それでマチダがバランスを崩してあっさり転んでしまった。そこでロックホールドがすかさず攻め勝敗を決定的なものにした。初回終了時点で、もはや勝負があったようにみえた。

 マチダにはガラスのような脆さがあり、劣勢から奮起してがむしゃらに勝つということは少ない選手である。序盤にタイミングよく入っていたマチダの打撃に対して、ロックホールドはまったく慌てることがなかった。また、マチダの打撃がほとんど効いてなかった、というのもあるだろう。そういえばワイドマンにも効いてなかった。私の予想は大きくはずれ、マチダの完敗であった。

 試合前に気合いの入った顔をしていたマチダに対し、ロックホールドは不敵なほどに落ち着いていたようにみえた。自信があったのだろう。また、「マチダがおもったほど速くなかった」としきりに言っていた。ここまで完敗してしまうと、もう36歳のマチダは引退を考えるのではなかろうか。
 初回終了間際、ロックホールドの全体重ののった肘がマチダの側頭部に当たり、ものすごい音をたてていた。マチダの頭蓋は大丈夫であろうか。試合後、病院に直行したそうである。ダメージが心配である。
 

Middleweight Ronaldo Souza vs. Chris Camozzi
 まず予想通り、ソウザがあっさりと勝負を決めた。
 言うまでもなくジャッカレの圧倒的な強さであったが、次の試合のロックホールドの勝ちっぷりの方があまりに見事で印象ぶかく、また興行的にも魅力的なだけに、ジャッカレが順番をすっとばされることになりそうである。となると、かなりジャカレかわいそうである


Featherweight Cub Swanson vs. Max Holloway
 予想通り本大会一番の好試合になったわけだが、強振を狙ってくるスワンソンに対し、ホラウェイの距離の取り方に出入りのタイミングが絶妙で、相手に最後まで強振させなかった。
 
 二十代前半のとろんとした目のかわいい顔したホラウェイだったが、歳とともに殺気ある脂ののった強い格闘家の顔になってきた、というのが最初の印象だった。
 強打のスワンソンに対して恐れることなく積極的に踏み込み、また攻めも上に下にと多彩で、まさに殊勲の勝利だった。


Women's Strawweight Felice Herrig vs. Paige VanZant
 ペイジ・ヴァンザントは単純につよい、という印象であった。この選手も上位に登ってくるだろう。最後までペースがまったく落ちぬカーディオに、ケンカ流のがむしゃらな首投げ。華奢な上体に比してしっかりした足腰。手足は終始休むことなくいつも何かしらをして攻めていた。実にケンカのつよい選手である。
 ロンダ・ラウジーひとりが抜きんでた女子バンタム級とはちがい、女子ストロー級は粒ぞろいで面白い。


Lightweight Jim Miller vs. Beneil Dariush
 接近してのぶつかり合いではやはり力強いミラーに分があるようにみえたが、ダリウーシも誤魔化すどころか負けることなくよく打ちあい、耐えしのぎ、みるみると自分の土俵に引きずり込んでいた。25歳とは思えない老獪な闘い方をする選手である。


Light Heavyweight Ovince Saint Preux vs. Patrick Cummins
 型にはまらないセイントプルーが、ボールをトスするような無造作なアッパーをカミンスの出鼻に当て、それが突破口となり見事にノックアウトした。
 が、内容的には必ずしもよくなかった。初回の見事な体のキレは二回から見られなくなり、バランスも悪く、カーディオに懸念アリな選手というのがよくわかった。


Light Heavyweight Corey Anderson vs. Gian Villante
 ヴィランテのローキックが序盤からよく当たっていたが、距離のとり方もパンチのタイミングと的確さもアンダーソンの方がうまく。私はアンダーソンが勝つのではないかと思って観ていた。
 が、あれだけローキックをもらっていながら、まったく対応せず、もらい続け、最後にパンチの交錯で沈んだのはアンダーソンの方だった。相手の攻めに対して全く学習せずに同じ蹴り技を何度も何度ももらってた。いくら敏捷でいい攻めをしていても、頭を使えずアジャストできない選手はよわいということだ。

2015年4月16日木曜日

UFC on Fox: Machida vs. Rockhold 予想

Middleweight Lyoto Machida vs. Luke Rockhold
 体を絞ったマチダはスピードもスタミナも申し分ないのだが、ロックホールドもベウフォートに敗れて以降は安定したつよさをみせているわけで、これを実力的にほぼ互角とみるか、やはり戦績的にマチダが一枚上とみるかで予想も分かれるところではなかろうか。

 ロックホールドがマチダを明らかに上回っている点はリーチと上背であるが、マチダはこれまで自分より大きな選手と何度も対戦しており、独自の距離感覚をもっているために、あまり体格差は参考にはならない。リーチのあるムサシを完全に圧倒したことは記憶に新しい。またマチダは36歳とやや高齢ではあり、Lヘビー時代はややもすればカーディオに懸念ありなところもあったが、ミドルに落として以降はカーディオも反応の速さもまだまだ大丈夫という印象である。

 かなりの好勝負になるとおもうが、これまでの試合結果から類推するに、やはりマチダが距離を支配して試合経験のわりと浅いロックホールドを終始翻弄して勝つ公算の方が高いのではなかろうか。
 よって判定によるマチダ予想。
 

Middleweight Ronaldo Souza vs. Chris Camozzi
 カモジはニック・リングに僅差の判定で勝った試合をみた印象しかないが、これといって特筆すべきものをもっているという印象のない選手。
 
 ジャッカレがノックアウトか絞め技であっさり決めるだろう。


Featherweight Cub Swanson vs. Max Holloway
 本大会一番の好試合になるのではないか。おもいきり強振してくるスワンソンに対し若き巧者のホラウェイがどうクレバーに攻略するか。
 スワンソンのパンチが一発でもあたれば、線の細いホラウェイは窮地に陥るであろうけれど、私は成長中のホラウェイが距離を上手につかって相手にパンチを打たせずに勝つのではないかとおもう。

 判定でホラウェイ予想。


Women's Strawweight Felice Herrig vs. Paige VanZant
 わりと注目されているペイジ・ヴァンザントの試合である。彼女は美人というわけではないが、コケティッシュな独特の魅力をもった選手である。ロンダ・ラウジーが抜きんでた女子バンタム級にくらべると、女子のストロー級は粒ぞろいといった印象である。ヴァンザントが上位グループの一人としてカウントされうる逸材かどうか、この試合で注目してみたい。


Lightweight Jim Miller vs. Beneil Dariush
 イランの貴族格闘家ダリウーシュに、ベテランのジム・ミラーが立ちはだかる。
 前回の試合では、ダリウーシュの玄人めいたつよさが印象的であった。
 この試合でも、新鋭ダリウーシュが圧倒するのではなかろうか。

 ダリウーシュによる一本勝ち予想。


Light Heavyweight Ovince Saint Preux vs. Patrick Cummins
 ショーグンをノックアウトしているセイント・プルーは本格的なアスリートである。
 カミンスは、エヴァンスに代わってコーミエと対戦したことが話題になってはいたが、実力的にトップクラスからはかなりの開きがあるようにみえた、

 セイント・プルーが圧倒するのではないか。
 セイントプルーによるノックアウト予想。


Bantamweight Takeya Mizugaki vs. Aljamain Sterling
 我らが水垣が前座で登場するわけだが、これは相手が悪いようにおもう。スターリングは四肢が長く、実に独創的なクレバーな攻めをしてくる選手である。飛び込んでは相撃ち、飛び込んでは撃ち、という、やや単調な攻めの水垣は、スターリングの餌食にされてしまうのではないか。

 スターリングによる絞め技一本勝ち予想。


Welterweight George Sullivan vs. Tim Means
 強打のジョージ・サリヴァンだが、相手と打撃が交錯し接近したときのガードが甘くややアゴが上がり気味になるのが気になるところ。一方のミーンズはいかにもケンカのつよそうなタイプで、パンチも小刻みで正確である。

 私はミーンズが的確なパンチを当ててサリヴァンをノックアウトするのではないかと思う。


2015年4月11日土曜日

UFC Fight Night: Gonzaga vs. Cro Cop 2 感想

Heavyweight Mirko Filipović vs. Gabriel Gonzaga
 クロコップが見事に起死回生の肘を当てて、ゴンザガを沈めた。見事な試合だった。

 対戦カードを聞いたときは、UFCで勝てなくて外へ出た40歳の選手が今更もどってきて、門番長のゴンザガに再戦したって勝てるわけがないとおもった。でも、ゴンザガとて必ずしも安定した強さをみせているわけでなく、わりと打たれ脆いところがある選手である。クロコップが勝つとすれば丁寧に速い真っ直ぐ主体にボクシングした場合であり、イッパツ大蹴りを狙ったり、組まれたりすればゴンザガに分があるだろう、とおもっていた。

 いざ蓋を開けてみると、序盤クロコップがすごく悪く見えた。前に出るわけでもなく打撃を出すわけでもなく、何がしたいのかよくわからず、ゴンザガのプレッシャーに押され気味だった。ゴンザガにフルマウントも許してしまい、肘をもらって左目のわきを大きくカットしていた。
 後の談話によると、あれは作戦だったらしい。勝負を3R以降に賭け、カーディオに懸念のあるゴンザガの疲労を待つ戦略だったと。
 序盤から終始ぐいぐい押して出て調子も良かったようにおもえたゴンザガであったが、今になっておもえば単調な攻めであったということだろう。相撲をとってケージ際にクロコップを追い詰めた際の離れ際、クロコップの左肘がゴンザガの左こめかみにジャストミートした。それが効いた。 
 勝負師のクロコップがその機を逃すはずもなく、一気に勝負をつけた。まったくもって見事な試合であった。

 近頃のUFCのヘビー級の試合レベルの低下が著しく、正直クロコップのような過去の選手がまた戻ってきて活躍されてるようじゃ困る、というような複雑な気持ちで見ていた。できればゴンザガに圧倒して勝ってもらってUFCの層の厚さをみせてもらいたい、というような気持ちで。
 でも、いざ試合が始まってみると「クロコップがんばれ、クロコップがんばれ!」とクロコップを応援してしまい、流血したときは涙が出そうになってしまった。久しぶりに熱くなれた、感動した試合だった。やはり、そういう魅力をもったスターな選手なんだろう、クロコップという格闘家は。


Light Heavyweight Jimi Manuwa vs. Jan Błachowicz
 ブラハビッチはマヌワの強打対策はしてきたみたいだが、勝つことにおいてはイマイチ決め手のない選手という印象。一方のマヌワも自身の強打頼りだけど、相手と自分の距離が合わないと何も出せずで、結局どっちの選手も二流三流どまりだな、という印象の試合であった。


Heavyweight Anthony Hamilton vs. Daniel Omielańczuk
 古代の鈍重な巨獣がモタモタじゃれあってるよな試合であり、小学校の昼休み体育館の相撲の方がはるかに観ていて面白いと感じた。
 こんな試合を放映してるようではUFCの先が思いやられる。


Women's Strawweight Aleksandra Albu vs. Izabela Badurek 
 顔も体型もスタンスもとてもうつくしいという印象のポーランドのイザベラ・バドゥレクであったが、全身から力のみなぎるようなアレクサンドラ・アルブがつよかった。
 最後はギロチン・チョークとあるが、実際はイザベラの胸部への猛烈なカニ挟みが効いてたようであった。女子のストロー級も粒がそろってきて面白くなってきた。


Lightweight Stevie Ray vs. Marcin Bandel
 スコットランドのスティービー・レイはきびきびとした動きで攻めも多彩でいい選手という印象だが、下の試合を見た直後の試合だからかもしれない。 

Featherweight Taylor Lapilus vs. Rocky Lee
 若いのに柔術しか決め手のないような選手の試合ほどつまらないものはない。かざりのパンチしか出ず、打つべき時に手が出ず、関節を逆に曲げたり首を絞めたりすることしか頭になく、攻めに広がりが感じられない。まったくつまらない試合であった。