link

ツィッタ―始めました。
Twitter 全身凶器

2015年1月31日土曜日

UFC 183: Silva vs. Diaz 予想

Middleweight Anderson Silva vs. Nick Diaz
 昨年に足を文字通り折ってしまったアンデウソンの復帰戦であり、下馬評では彼の華麗な復活が予想されているが、どうであろう。
 試合中の不運な怪我のせいでワイドマンに敗れたかのような言い方もされがちであるが、内容的にも明らかにあの試合はワイドマンが攻勢であったし、アンデウソンは明らかな劣勢に立っていた。以前のようにアンデウソンが伝説的に強い選手だとは思えなかった。ましてアンデウソンはもうじき40歳である。療養を兼ねた長い休養を経て、全盛期のような体のキレや反応の良さが持続されているとは、とてもおもえない。

 アンデウソンに完勝しているのは唯一クリス・ワイドマンだけであるとおもうが、リーチや上背でアンデウソンより上回っているのもワイドマンだけであったことも考えると、やはり総合格闘において体格差というのは大きいようにおもう。
 その点、ニック・ディアズはやはりどうしても体がアンデウソンよりも一回り小さい。リーチでは10㎝ぐらいの差があり、ただでさえ打撃が正確なアンデウソンに対して、ディアズにはもはや勝ち目すら無いようにさえおもわれる。

 ニック・ディアズは、前に出て相撃ちを狙ってゆく選手である。打撃の正確なアンデウソンに対して前へ前へと出てゆくとなると、かなりの被弾が予想されるし、岡見のように出鼻にタイミングのいい打撃を当てられて沈んでしまうことも大いに考えられる。
 しかし、さほど撃たれ強いとはいえないアンデウソンの側からみれば、相手に執拗なまでに相撃ちを狙ってこられるというのは、かなり嫌なはずである。ディアズの前進に対してタイクリンチから膝を出すなど自身の独壇場へともってゆければアンデウソンが圧倒する展開になるとおもうが、万が一に嫌がって後退したりすれば、ノッたディアズが一気に破ってしまうかもしれない。

 私は後者に期待して、ニック・ディアズを予想してみたい。



Catchweight (180 lbs) Tyron Woodley vs. Kelvin Gastelum
 ガステラムは計量前にインフルエンザか何かを発症したらしく、かなり体調は悪そうである。計量もミスしており、はげしく嘔吐したらしい。

 本来なら総合力の高いガステラム予想といいたいところであるが、これはウッドレイが勝つのではないか。


Women's Bantamweight Miesha Tate vs. Sara McMann
 ミーシャの方が格闘家としての経験は豊富だがマクマンはレスリングで五輪メダリストであり、化け物のような上腕をしている。前回ラウジーの強烈な打撃に沈んだが、ミーシャは一発で相手を沈めるほどの強力な打撃はもっておらず、組み合になるであろうし、そうなればおそらくマクマンが勝るのではないか。

 判定でマクマン予想

2015年1月4日日曜日

UFC 182: Jones vs. Cormier 感想

Light Heavyweight Jon Jones vs. Daniel Cormier
 細長い体を縮めるようにして小さくやや消極的な構えのジョーンズに対して、コーミエが序盤からぐいぐい前に出て積極的大胆に攻め、これは、と思わせる場面もあったが、さすがは巧者のジョーンズ、上に下にと打ちわけて、徐々に徐々にと試合を自分のペースにもっていった。
 テイクダウンにこだわり、立てば接近してからの右に頼りがちなコーミエに対して、一方のジョーンズは、パンチありの、上下蹴りありの、肘ありの、ヒザありので、攻めも断然多彩だった。クリンチでコーミエのうごきを完全に封じてしまう上手さもあった。終盤にはコーミエから二度も完璧なテイクダウンをとってみせた。やはりつよい、ジョーンズ。

 最終ラウンドの試合終了前なのにジョーンズはおもむろに両手を挙げてみせたかとおもうと、急にコーミエにむかってパンチを出したりしていた。怒ったコーミエが応戦しかけて、試合終了。そこでジョーンズはコーミエに何やら小馬鹿にしたようなしぐさをみせた。インタビューでも「コーミエが大嫌いだ」と言っていた。
 なんとも後味の悪い幕切れであった。

 ジョーンズはジーザスがどうしただのロードがどうのだのやたら敬虔なこと言うけれど、なんだか人間としてだいぶ問題アリなかんじがする。まあ格闘がつよければ人間性なぞどうだっていいんだが、しかしこの選手が好きか嫌いかと言われたら、はっきりと嫌いになった。

 ジョーンズは次にヘビーのウェルドゥムとのスーパーファイトを考えているらしいが、この後味の悪さからして、俄然ウェルドゥムを応援したくなった。

 追記:ジョーンズの次はガスタフソンとジョンソンの勝者に照準を合わせているようで、記者会見でウェルドゥムの名前は一切出なかった。コーミエとジョーンズの気分は当人同士にしかわからず、相手を尊敬どうの以前にこれは戦いなんだ、と言っていた。二人の態度だけで安易にどうこうなど言うべきでないとおもった。


Lightweight Donald Cerrone vs. Myles Jury
 打撃に切れ味のあるジューリがパンチを当ててセローニを圧倒するのでないかとおもっていたが、ふたを開けてみればセローニの強いプレッシャーで手が出せず、逃げてばかりいる場面が目立った。見たかんじセローニの顔が怖くてビビったかのようであった。
 セローニは逃げてばかりいるジューリに対戦相手として不満をかんじたのか、最後は寝そべったジューリの下半身に、まるで「男なら立って向かってこい」でも言わんかのようにサッカーボールキックを無造作に何度も何度も入れていた。
 
 
Middleweight Brad Tavares vs. Nate Marquardt
 タヴォーレスの左のジャブが実によく当たり、またキックも速く、打撃戦でマーコートを圧倒していた。ボウチ戦と似た展開であったが、今回のタヴォーレスは油断せず最後まで慎重であった。
 マーコートは後半になってやや疲れがでてふらつく場面も多かった。


Flyweight Kyoji Horiguchi vs. Louis Gaudinot
 堀口が速さで圧倒した。フットワークもよく、踏み込みも速く、パンチもよく当たっていた。惜しむらくは、あまり見栄えのしない試合であったことか。あれだけのスピード差があれば倒して存在感をアピールしてほしかった。


Welterweight Hector Lombard vs. Josh Burkman
 ロンバードが圧倒すべき試合であったし、実際圧倒したけれど、私は不本意な試合だったのではないかとおもう。なかばグロッキー状態のバークマンに対して、手が出せずにらめっこをするような不器用な場面が目立った。これでは上位にあがるのは難しいのではないか、という気がした。


Lightweight Danny Castillo vs. Paul Felder
 テコンドー二段のフェルダーは、下から上へ突き上げるように実にいやらしいタイミングで膝を出す。蹴りもパンチより速くみえた。流れるようなパンチ蹴りヒザの多彩なコンボで、まるで格闘ゲームをみてるかのような面白さがあった。
 最後はめずらしくバックブローがまともに入り、カスティロは完全にのびてしまった。
 

Bantamweight Marcus Brimage vs. Cody Garbrandt
 レスリングで実績があって、天性ともいえる打撃センスもった選手というのは無敵だと常々おもうが、このオハイオ出身の23歳ガーブラントなど、まさにその典型だろう。とても23歳とはおもえない落ち着いた構えで対峙していた。パンチの交錯時に頭をさほどに動かさないのがやや気になったが、ふしぎとブリメジのパンチが当たらない。ブリメジが悪いのか、ガーブラントがよく見えてるのか、よくわからない。また、蹴った後で相手がつけ入ろうとすると、それを迎え撃つパンチが自然に出てくる。
 初回にブリメジの前頭部に強烈なの当てており、ちょっと心配したが、案の定あれで右手を骨折してたそうな。でもブリメジをぐらつかせたのも、その後のフィニッシュブローも右で、しかも渾身の振りでもって何度も何度も出していた。闘争心、文句のつけようがない。格闘のために生まれてきたような天才坊やの登場である。


Heavyweight Shawn Jordan vs. Jared Cannonier
 見るからに鈍重そうな関取ジョーダンに対して、キャノニエはフットワークも軽快で力を抜いたパンチにキックもよい感じであったが、接近したときの打撃の交換ではジョーダンの方が反応もよく上手であった。決め手はジョーダンの右のクロスで、軽く出したようなパンチであったがキャノニエの耳の後ろにかすめるようにあたって、それが勝負がついた。


Welterweight Omari Akhmedov vs. Mats Nilsson
 ニルソンはグラップリングの達人らしいが、どうしても柔術とかグラップリングの専門家と聞くと打撃のない選手という先入観を抱いてしまう。かつてグレイシー一族が一世を風靡してた時代とちがって現代格闘では打撃のない選手はまず勝てない。

 ニルセンのパンチは細かく軽快で決して悪くなかったが、なにせ効かなかった。一方のアクメの方がガードの上からたたく強振気味ながら見栄えはよく、それで稼いだポイントは大きい。しかし、いくらパンチ力があろうと、振り回すようなパンチしか出せない選手はダメである。
 ふたを開けてみれば強振家のアクメの方がテイクダウンが確実で、打撃よりむしろそっちが勝因となったようだ。


Women's Bantamweight Alexis Dufresne vs. Marion Reneau
 37歳のレノー、格闘家としてはかなり高齢なんだけど、フットワークも軽く、パンチはまっすぐソリッドで速かった。体のキレはすばらしかったね。ただ、相手のデュフレインがまるで素人すぎたために、評価が難しいところ

2015年1月1日木曜日

UFC 182: Jones vs. Cormier 予想

Light Heavyweight Jon Jones vs. Daniel Cormier
 因縁の対決である。
 盟友ヴェラスケスとの対戦を避け、階級をひとつ下げてきたコーミエだが、元ヘビー級とはいえ体格はライトヘビーでも小さい方だろう。それでもヘビー級では向かうところ敵なしであったし、あの巨漢アントニオ・シウバを右一発で沈めるだけの破壊力もある。レスリングのうまさは群を抜いており、元五輪代表だったヘンドや、柔術の専門家で重量のあるロイ・ネルソンなど手玉にとってみせまったく寄せ付けない強さをみせた。
 そのコーミエならばジョン・ジョーンズを倒せるのではないか、という期待は大きい。

 ジョン・ジョーンズは実にクリエイティブな選手であり、練習してきてないような実にいやらしいことをその場その場で臨機応変で繰り出せる頭の柔軟さがあり、おそらく格闘界随一のケンカ上手であろう。
 ジョーンズの視力と反応のよさも群を抜いている。マチダのカウンターを誘ってそれにカウンターを当てられる打撃センスは天才的である。そして何よりの武器は格闘界でいちばん長いリーチだろう。相手が懐にとび込むなどして距離が狭まれば、戦慄の肘が待っている。ジョーンズには全く穴が無いようにさえおもえる。

 超一流の両選手だけに、勝敗の決め手は、両者が相手を攻略する上でどういう対策を練り、どういう作戦を立ててきたかによるのではないかとおもう。

 レスリングに絶大な自信をもっているコーミエが勝つとしたら、まずテイクダウンをとることだろう。肘撃ちのうまいジョーンズが上になってしまうとかなりヤバいので大きな賭けだけど、ジョーンズの四肢の長さを逆手ににとって横四方から十字架のようにして封じてしまったばあい、そのままパウンドないし肩固めで勝負が決まってしまうかもしれない。
 あるいは、テイクダウンにいくと見せかけるフェイントで上へ強いパンチを出すなどしてくるかもしれない。渾身の右がジョーンズの顔面を一発でもとらえれば、それで決着がつくだろう。

 ジョーンズにとっての勝機はその長いリーチを生かせた場合ではなかろうか。調子づいたコーミエの出鼻にチョン!とタイミングのいいパンチが当たれば、それが効いてしまい、そこで流れが一方的にジョーンズ優勢になってしまうかもしれない。あるいはコーミエのテイクダウン狙いに対して、膝ないし肘を合わせる練習をしてきているのかもしれない。

 やや気になるのは、ジョーンズは踏み込みの速い選手に対して手のひらを前に出して牽制するしぐさをよくすることである。テシーラを悩ませたあのポーズである。最悪の場合、ジョーンズの指がコーミエの眼窩に入ってしまい、それで試合続行不能などになってしまう可能性もあるとおもう。
 レフリーが早め早めに注意して、オープンハンドを相手の眼前に置くのはやめさせてほしい。

 私はコーミエによるTKO予想で行ってみたい。

 
Lightweight Donald Cerrone vs. Myles Jury
 次期チャンピオン候補の筆頭であるマイルズ・ジューリは目下15戦全勝中。ごく自然体な構えから、相手のうごきによく反応してまさに電光石火のカウンターで、これまでにバッタバッタと相手を倒してきた選手である。相撲もレスリングもつよく、力もある。
 ただ、防御が雑なところがあり、不用意な小技をまともに何度ももらい続け、スローダウンしてしまう場合がある。

 百戦錬磨で勝負強いセローニが、ジューリのような切れ味ある打撃をもった選手をどう攻略するのか楽しみであり、あるいは天才ジューリがセローニという壁をどう打ち破るか、大変興味ある一戦である。

 私はジューリ予想。おそらく判定になるのではないか。


Middleweight Brad Tavares vs. Nate Marquardt
 前回、キューバの怪人ロメロに翻弄されたタヴォーレスだが、距離も立ち位置もバランスもよく、打撃のタイミングもいい。格闘センスは群を抜いている。
 マーコートが老獪とはいえ、私は間違いなく若き秀才タヴォーレスが勝つとおもう。

 タヴォーレスによるTKO予想。


Flyweight Kyoji Horiguchi vs. Louis Gaudinot
 注目の空手家対決である。
 我らが日本期待の神風小僧、神の子の子、堀口恭司選手がメインに登場できたのは、一重に彼のスタイル、「肉を斬らせて骨を断つ」ようなスリルある面白さがあるからだろう。一発でも当たれば試合の流れが変わる強打も大きな魅力である。
 堀口の弱点として相撲が弱いところがおもいつく。
 
 対するルイス・ゴーディノットは空手四段という。
 これは見ごたえのある打撃戦になるのではなかろうか。

 ゴーディノットが空手を捨てて組んでいけば、相撲の弱い堀口に対して優位な立場となり、案外コーディノットが絞め技で勝ってしまうかもしれない。
 が、私は神風野郎の堀口恭司24歳によるノックアウトを期待。


Welterweight Hector Lombard vs. Josh Burkman
 UFCでいちばんの嫌われ者だと自嘲するヘクター・ロンバートは上体も見事であるが、柔道の専門家だけあってややガニ股気味な下半身が特徴的である。
 草刈機のようなパンチの殺傷能力も高い。

 これは問題なくロンバードによるノックアウト予想。