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2015年5月24日日曜日

UFC 187: Johnson vs. Cormier 感想

Light Heavyweight Anthony Johnson vs. Daniel Cormier
 やはりコーミエの方がつよかった。開始早々いきなりジョンソンの右が当たり、コーミエがつんのめるようにして倒れる場面があったのだが、コーミエはよくしのいだ。予想どおりコーミエは徹底して前に出て組みに行き、組めば体重をうまく相手に乗せてジョンソンのスタミナをどんどん奪っていった。
 初回の終了間際に、コーミエは肘でジョンソンの目の横のあたりを割った。そこからジョンソンの戦意がどんどん減衰していったのがわかった。打撃によるダメージというより、精神的な脆さのようなものが見て取れた。セコンドに「深呼吸をしろ!」と怒鳴られて、はっと我に返るほど、気持ちが動転していたかんじだった。
 ジョンソンのような選手は超人的な瞬発力で上り調子で来ればとほうもなく強いが、壁にぶつかったとき、わりあいとあっさり闘志がゆらぐところがある。2R開始のブザーが鳴ったときのジョンソンの表情をみて、コーミエは勝利を確信しただろう。
 コーミエが勝つべくして勝った、という感じであった。

 緊迫して実に面白い、格闘ファン冥利につきる試合であったが、さらに絞め技で決まっただけに脳震盪など後遺症として残りやすい頭部へのダメージが少なかったことも付け加えておきたい。コーミエの防衛戦、あるいはリマッチにしても、またベストなコンディションで試合が出来るだろう。


Middleweight Chris Weidman vs. Vitor Belfort
 ベウフォートの皮膚のたるみが気になった。急激な減量のせいなのだろう。あるいはテストステロン投与を止めたせいなのか、よくわからないが、見た感じ良い状態とは思えなかった。
 初回から両者全開でぶつかり合い、最初に当てたのはベウフォートの方だった。右のフックがワイドマンの顔面に当たり、ワイドマンが後退するという場面があった。そこで一気に勝負がつくかとおもったが、ワイドマンはよくしのいだ。
 両者熱くなったところで、もう一丁ぶつかるか!というところで、レスラーは絶妙なテイクダウンに行き見事に決まる。そこからは体格とパワーで勝るワイドマンの独壇場であった。
 終わってみればワイドマンが圧倒したが、あのワイドマンがぐらついて後退した場面があったのが印象に残った。

 ワイドマンは次にロックホールドと対戦するのだろう。両者体格的に五分五分だし、打撃の破壊力をもった選手どうし、これは相当なぶつかり合いになるんだろう。負けた方が壊されるのは目に見えている。できればやらせたくない試合であるが、すごく楽しみである


Lightweight Donald Cerrone vs. John Makdessi
 序盤からマクデッシがよく足をつかって攻め、左のジャブ、フックがタイミングよく当たり、いい感じであった。百戦錬磨の猛禽のように相手を見据えるセローニはあわてる様子もなかったが、なかなかやるな、とはおもっていたのではなかろうか。あのまま判定になればマクデッシだったかもしれない。が、セローニの攻めは変化に富んでおり、パンチの後に半身で突き出した肘など見事にマクデッシのアゴをとらえ、蹴りもだんだん当たるようになっていった。セローニのパンチも、ボクシングや空手ではあり得ないような前進しながら拳を連続で出すような攻めをみせ、マクデッシはカウンターを合わせきれずに後退していた。
 最後は左のまわしげりだったか、マクデッシの顔の側面にあたり、マクデッシはたまらずタイムのポーズをする。アゴが折れたらしい。どの部分が折れたかにもよるが、顎関節部分だと治癒が厄介である。これからが期待できるすぐれた格闘家であるだけに、早期の回復を祈りたい。


Heavyweight Travis Browne vs. Andrei Arlovski
 異常人のブラウンが打撃専門家のアロフスキを圧倒するのではないかとおもっていたが、蓋を開けてみれば、打撃の専門家がきれいなフォームで繰り出すパンチの破壊力はすごかった。バスン、バスンと突き抜けるように、アロフスキのパンチがことごとく当たり、ブラウンは棒立ちで足がもつれっぱなしであった。
 倒れなかったとはいえ、ブラウンの受けた脳震盪はかなり重そうであり、今後打撃に対する反応と抵抗力はさらに低下してしまうのではなかろうか。


Flyweight Joseph Benavidez vs. John Moraga
 くりくり坊主頭で高度経済成長期の日本の地方の少年のような風貌のモラガ、外見だけでなくたたかいぶりにも負けん気が出ていて、積極的に前に出ての打ち合い、とてもよかった。組んだ状態からフロント・スープレクスのような強引な投げ技もみせていたが、これはベナヴィデズがよく対処した。
 試合が膠着すれば、変化に富んだベナヴィデズの方がやはり上手であった。結果、つねにベナヴィデズが一歩先んじる形で試合が進み、おわってみれば3-0の判定であった。



Flyweight John Dodson vs. Zach Makovsky
 速い出入りのドドソンに対し、マコフスキの左がよく反応してドドソンの顔面によく当たり、意外にもドドソンを苦戦させていた。
 ストリーミングが不安定となり、勝敗を決した3Rをよく観戦できなかったのが残念であった。


Welterweight Dong Hyun Kim vs. Josh Burkman
 バークマンの豪快なスウィングが当たってキムの足がもつれ、あわやという場面もあったが、キムはよくピンチをしのいだ。組めばキムの方が明らかにうまく、というよりバークマンが下手だった。キムは徹底的に組んで寝技で仕留めた。
 これと似た対戦で、岡見=ボウチ戦を思いだしながら見ていた。岡見も明らかにボウチよりうまかったのだが、ジャブでポイントは取れても決め手に欠け、それでもって相手を仕留められるわけでなし、結局ボウチのケンカ式連打を当てられてマットに沈んだ。キムは徹底して相手の下手な土俵で闘って、それをしっかり仕留めにつなげた。キムをほめるべきだろう。


Middleweight Uriah Hall vs. Rafael Natal
 ユライヤ・ホールは斬れ味のある打撃主体の全身凶器であるけれど、スパッとした一発を狙ってなのか、攻めが単調で工夫がみられなかった。一方、サポの方が相手との距離をなくそうと積極的に出入りし工夫し変化していた。
 最終ラウンドは判定では自分が有利と踏んだのだろうか、ホールはとたんに消極的になり、さらに距離をとるようになった。ああいう一撃をもったオフェンス力ある選手が、カッコばっかりつけたり、あるいは判定勝ちにこだわってセコい試合をすると、実に興ざめである。
 割れた判定でサポが勝ったが、ユライヤにとっていいクスリだろう。メイウェザーのこないだの試合がいかに世間で不評だったのか、よく考えるべきだろう。


Lightweight Islam Makhachev vs. Leo Kuntz
 クンツもよかったが、マカチェフが圧倒した。マカチェフはサンボの達人らしく、この日も払い腰のような投げ技を見事に決めていた。サウスポのスタンスで踏み込みざまにお辞儀するように大きなオーバーハンドの左を出していた。ストレートより振り回すパンチが多く、どれもナックルが返っていないオープンブロー気味で、むき出しの指関節部分を相手の頭部に当てていたのが気になった。厳密にはあれは反則になるのではないか。


Flyweight Justin Scoggins vs. Josh Sampo
  23歳のスコギンスは半身の構えで頻繁にスタンスを変えていたが、中盤以降はサウスポで定着、右足をジャブのように使うために足の位置がかなり極端な半身であった。リーチのある多彩な蹴りがかなり相手にとって煩わしかったようではあるが、それが決め手になったり突破口を開くほどのものでもなかった。
 若くして打撃のうまい選手であったが、私の好きな豪傑というより、ちょっとした小細工上手という印象であった。


2015年5月19日火曜日

UFC 187: Johnson vs. Cormier 予想

Light Heavyweight Anthony Johnson vs. Daniel Cormier
 上り調子だったアンソニー・ジョンソン、その実力はどうかとおもっている間にフィル・デイヴィスを圧倒し、ノゲイラを倒し、あれよあれよとガスタフソンまでノックアウトしてしまった。まさに波に乗っている選手である。
 無敵のジョン・ジョーンズに対しても「この暴れん坊ジョンソンならば」という期待が込められていたわけだが、ジョーンズが交通事故現場でとった軽率な行動は実に残念であった。
 で、コーミエである。大変期待のもてる、面白そうな一戦になるだろう。

 どちらが勝つにしても、スパッと剃刀で切ったようなハッキリとした決着がつくのではなかろうか。
 打撃ではジョンソンの方が殺傷力は大きいだろう。ジョンソンのパンチが一発でも当たり、そこでコーミエが下がってしまえば、一気にジョンソンがたたみかけて勝負を決めてしまいそうだ。
 が、おそらくコーミエは強打を恐れて距離をとったりなどせず、積極的に前へ前へと出てゆくだろう。そうすれば私はコーミエの方がつよいのではないかとおもう。組めばどちらもレスリングの実力者であるが、それがとくに格闘の試合で光っているのはコーミエの方だろう。

 よって、私はダニエル・コーミエによる判定勝ち予想。


Middleweight Chris Weidman vs. Vitor Belfort
 両者長いブランクの末、待ちに待った対戦である。
 百戦練磨のベウフォートであるが、ここ数年のキレのよいうごきは薬物によるものだったのではなかろうか、という疑惑がぬぐいきれない。年齢的な衰えも出てきているであろう。

 リーチもあり、反応もよく、大きく強いプレッシャーをかけてゆくワイドマンが、ベウフォートを完全に食ってしまうのではないかとおもう。

 ワイドマンによるノックアウト勝ち予想。


Lightweight Donald Cerrone vs. John Makdessi
 ついこないだ見事な踏み込みで痛快にノックアウトを決めたマクデッシであるが、今回はちょっと相手が悪い、これまた百戦錬磨のケンカ職人、ライト級の門番長セローニである。
 組みにくるセローニに対しタイミングよく硬い打撃を当てられればマクデッシにも勝機は大いにあるだろうけど、いくら切れ味あるカウンターが武器とはいえ、セローニのような相手には自分から突破口を開いて行けないと、これまでのように鮮やかには勝つことはできないだろう。

 絞め技でセローニ予想。


Heavyweight Travis Browne vs. Andrei Arlovski
 前回みごとにビッグ・フットをノックアウトしてみせたアーロフスキーであるが、ビッグ・フットは脳腫瘍をわずらっており、ツワモノらの強打を何度も頭部に受けている。相手のうごきに対する反応はかなり低下しているのが目に見えてわかり、よって彼に勝ったことはあまり参考にならない。
 キックボクシングという型にややはまっているアーロフスキーに対して、単につよい異常人であるブラウンの攻めは自然体であり、型にはまっていない。だからどんな試合になるのか予想が難しいのだが、私はブラウンがつかまえ、何かしらの方法でアーロフスキーを破壊するとおもう。

 ブラウン予想。


Flyweight Joseph Benavidez vs. John Moraga
 私の好きな選手ベナヴィデズが、こんな下にきてしまうほど、この興行はスター選手ばかりである。
 ベナヴィデズは格闘の教科書に書いてあるような高いガードで正攻法の攻めをみせる選手であったが、前回のオーティズ戦ではやや強引に行き過ぎたせいか内容はさして良くもなかった。今回の相手モラガは、ライバルであるドドソンにノックアウトされているだけに、負けるわけにはいかないだろう。

 ベナヴィデズによる一本勝ち予想。


Flyweight John Dodson vs. Zach Makovsky
 デメトリアス・ジョンソンに対する本命対抗馬といえばこの人ドドソンであろう。
 いつも陽気に楽しそうに試合をする、私のもっとも好きな選手の一人である。
 ちょっとしたブランクがあるものの、超人的なスピードの猿人ドドソンが圧倒して勝つであろう。

 ドドソンによるノックアウト予想。


Welterweight Dong Hyun Kim vs. Josh Burkman
 韓国のサラブレッド、キム・ドンヒュンが久しぶりに登場する。
 相手は根性あれどヘクター・ロンバードにまるで歯が立たなかったバークマンである。
 キムがレッスンつけるような形で優位に試合を進め圧倒するとおもう。

 キム・ドンヒュンによる判定勝ち予想。


Middleweight Uriah Hall vs. Rafael Natal
 一時期は脆さもあったユライヤ・ホールであるが、このごろは完全な全身凶器として波に乗っている。この試合も剃刀のような打撃を当てて圧倒するであろう。

 ホールによるノックアウト予想。


Lightweight Islam Makhachev vs. Leo Kuntz
 23歳で11戦全勝、ロシアのマカチェフに注目してみたい。

2015年5月18日月曜日

UFC Fight Night: Edgar vs. Faber 感想

Featherweight Frankie Edgar vs. Urijah Faber
 かなり拮抗した試合になるが体格差でエドガー有利か、と予想していた。しかし、蓋をあけてみると、予想が当たったとはいえ、その内容は全然違ったものであった。
 まず、フェイバーの打撃がまったくエドガーに通用しなかった。エドガーの方が足も速く、動きも多彩であり、フェイバーのパンチはまったく届かなかった。
 組んでからも、エドガーの方がレスリング上手であった。これは体格差もあるのかもしれないが、フェイバーがまったく普通の中堅どころの選手にしかみえないようなエドガーのうまさであった。

 エドガーはこれまで過去の試合でわりと顔面に多くの打撃をうけてきた選手だけど、その反応のよさにはまったくかげりが見られない。
 実に頑丈な選手である。
 
 彼がアルドーに勝てるかとなると、また難しいところであるが、マッグリガーにならば勝てるのではないか。チャド・メンデズとやらせても面白い試合になるだろう。


Middleweight Gegard Mousasi vs. Costas Philippou
 フィリプーには強打があるとはいえ、それが百戦錬磨のムサシにあたるともおもえず、また寝技がからっきしダメというのはわかっていたので、この試合、見る前から結果が見えていたようなものだった。
 そして実に予想どおりフィリプーはムサシに倒され床ですりつぶされ、まったくいいところがなかった。終盤はボクシングでもムサシがフィリプーにレッスンつけているような格好になった。
 ムサシとしてももっとつよい相手と対戦したいところだろう。


Middleweight Mark Muñoz vs. Luke Barnatt
 ムニョスの引退試合であり、彼に勝たせるためのようなカードであった。
 バーネットのなかなかやっかいな肘や膝に悩まされる場面がみられたが、ほぼ問題なくムニョスが勝利をものにした。


Welterweight Hyun Gyu Lim vs. Neil Magny
 序盤、イムが積極的に強打を当てていき主導権を握りかけたが、マグニーはよくしのいだ。
 強打しかとりえのないイムに対し、マグニーは長いリーチを生かしてボクシングもうまく、また寝技もからみつくように上手い。
 イムを寝かせて以降は完全にマグニーの試合となり、最後は締め技で一本極めた。


Featherweight Phillipe Nover vs. Yui Chul Nam
 序盤ノウヴァが良かったようにみえたが、ナムはよくアジャストして自分のペースをつかんでいき、拮抗した試合となった。が、内容的には特筆すべき点も少なく、ある意味退屈な試合でもあった。
 判定に疑問の声もあったが、ノウヴァが僅差で勝った。


Featherweight Mark Eddiva vs. Levan Makashvili
 前座の他の試合とくらべて格段にレベルの高い好試合であった。エディヴァもいい選手だが、マカシュヴィルが常にポイントを稼いでいたようにみえたし、結果そのとおりになった。マカシュヴィルは老獪げな試合をするがまだ26歳なのか。中東の選手かとおもったが、レスリングが堂に入っていていかにもアメリカ人らしいかんじであった。
 エディヴァはぱっと見が混血のアジア人というかんじで、まるで日本の選手のようだった。


Lightweight Tae Hyun Bang vs. Jon Tuck
 随所でカウンターを上手に当てていたタックが最後はかかと落としからパンチのコンボという連続技でみごとにヒョアンバンをノックアウトしてみせた。勝利者インタビューでも「おれはスーパーサイヤ人だ、今日の試合ではさらに進化してみせた ( Super Saiyan level 2)。自分は少なくとも世界のトップ10に入る逸材だ」と意気揚々と自賛してた。
 タックはグアムのネイティブという珍しい血筋の格闘家である。

 かかとを受けてしたりとばかりにとび込んだヒョアンバンが不用意だったか。
 


Lightweight Zhang Lipeng vs. Kajan Johnson
 つよさ比べでなく、よわさ比べのような試合であった。

2015年5月14日木曜日

UFC Fight Night: Edgar vs. Faber 予想

Featherweight Frankie Edgar vs. Urijah Faber
 これはきわめて予想の難しい一戦であろう。両者ともにレスリングを知っており、両者ともに高いカーディオ能力をもっている。
 両者の違いというと、力強く直線的なうごきの多い印象のフェイバーに対し、より左右の動きが多く上体のやわらかいエドガー。
 かなり微妙な判定になるとおもうが、私は尻上がりに感触をつかんでゆくエドガーに分があるのではないかとおもう。

 エドガーによる判定勝ち予想。


 追記(5/15/2015)
 両者の体格差を考慮に入れていなかった。エドガーはライト級から落としてフェザーに、一方フェイバーはバンタムから上げてフェザーにであり、計量の両者を比較すると体格差がかなり顕著である。
 となるとやはりエドガーが断然有利であろう。
 

Middleweight Gegard Mousasi vs. Costas Philippou
 強打のフィリプーであるが、相撲はよわいし、倒されると何もできないという大きな弱点をもっている。オールラウンドなムサシに敵うとはおもえない。

 ムサシによる絞め一本勝ち予想。


Middleweight Mark Muñoz vs. Luke Barnatt
 若いバーナットであるが、打撃がナマクラという印象であった。
 テコンドが黄帯というので、始めたばかりなのかとおもいきや、少年時代にちょっとかじって辞めたんだそうな。
 ムニョスがタックルを決めて、久しぶりに快勝するのではないか。
 
 ムニョスによる判定勝ちもしくは絞め一本勝ち予想。


Welterweight Hyun Gyu Lim vs. Neil Magny
 ファイティング・スピリッツあふれる韓国のリムは、とにかく前に出て打ちあい観客を喜ばせてくれるタイプである。根性も申し分なく、かなり劣勢でも盛り返すことがある。が、疲れてくると目に見えて攻めも防御も雑になってゆくのがわかり、課題も多い。
 対するマグニーはリーチを生かした長いジャブ、ストレートがとても有効で、試合の組み立てもゆるぎないクレバーな選手である

 マグニーの距離で彼にとって有利に試合が進むだろうけれど、リムもあわやという場面をつくるだろう。そこをしのいだ方が勝つわけで、私はマグニーをとる。

 マグニーによる判定勝ち予想。


2015年5月10日日曜日

UFC Fight Night: Miocic vs. Hunt 感想

Heavyweight Stipe Miocic vs. Mark Hunt
  大方の予想どおり、ミオチェチがボクシングでよくパンチを当て、またテイクダウンをいともあっさりと簡単にとり、グランドでは文字通りハントをすりつぶすように破壊した。
 ハントはよく最後まで頑張ったが、ときどき思い出したように強振するパンチが風を切るだけで、現役の総合格闘家としてはあまりに鈍重すぎた。
 大方の予想どおりといえばそれまでだが、ミオチェチが立っていてもグランドでも圧倒した。
 ハントのがんばりは観ていて感動的ではあったが、総合格闘のメイン試合としては残念ながらかなり見どころの少ない試合であった。

 ハントは頭部にかなりの数の打撃を受け、顔面がむくんで変形し別人のようであった。
 レフリーの判断にかなり問題があったようにおもう。 ハントはこれで引退だろう。いくら彼が頑丈な人間でも、重量級の渾身のパンチや肘を側頭部に受けつづければ、確実に後遺症が残ることになるのではないかと心配である。


Middleweight Brad Tavares vs. Robert Whittaker
 タヴォーレスの上手さを予想したが、試合開始早々からウィテカの速く多彩な左がよくポンポンと当たり、感触を得たところで一気に踏み込んで猛烈な左をタヴォーレスの顔面に当てた。尻もちをついたタヴォーレスもよく立ち上がったが、ウィテカはさらに強い左を当てて、一気に連打、圧倒してしまった。
 巧者タヴォーレスがあんなふうに失神するほどの負け方をするとはおもっていなかった。衝撃のウィテカの快勝であった。
 ずっと期待のホープで上り調子であったタヴォーレス であったが、ボウチに破壊され、今日また破壊され、で、今後どの程度停滞するのか、復調できるのか、注目したい。



Light Heavyweight Anthony Perosh vs. Sean O'Connell
 ペロシのパンチも当たってはいたが、ぐいぐい前進したオコネルが猛打を連発して、ペロシは立ったままグロッキーであった。
 これは大方の予想どおりであったろう。


Lightweight Jake Matthews vs. James Vick
 少年の顔をした弱冠20歳のマシューズのかまえの雰囲気がいかにもつよそうであり、速いパンチもシャーッとカメレオンの舌のように異様に遠くにまで伸び、また有効であり、また目もよく反応も速く、これは相当な選手だろうという感じがした。
 しかしいくら優勢でも同じ攻めが有効でも、それで勝負のつかなかった技を何度も何度もくり返していては、ゲームでは勝てても、人間が相手ではそう簡単には勝てない。
 辛抱づよく慎重に勝機をうかがい、上に下に多彩な技を出して変化しつづけたヴィックの方がつよかった。


Preliminary Card Featherweight Hatsu Hioki vs. Dan Hooker
 入場する日沖は表情もよく、調子も良さそうであったし、実際動きもよかったようにみえた。序盤のパンチもよく当たり、明らかに試合の主導権をとりつつあり、打撃戦が続いた後のタックルから寝技戦でも相手を明らかに圧倒していた。

 が、序盤は相手の打撃に対して慎重な心くばりであったのに、中盤になり相撲や寝技が多くなるにつれて打撃への細心さがみられなくなり、ガードがら空きで棒立ちのまま相手との距離をつめたりと、傍から観ていて実に危なっかしい場面が多くなった。
  そして、あろうことか相手のフェイントに対して目をつぶってしまい、その直後の左の上段まわし蹴りをまともに側頭部に受けた。初回からフカーが再三くり出していた蹴りである。それをまともにもらってしまい、ぐらついたところをパンチの連打で、勝負がついた。

  相手のフカーは日沖に対してあきらかな格下であり、寝技でもジャブの応酬でも日沖の方が一枚上手であったが、それでもフカーは最後まで工夫し続け、変化し続け、みごとに日沖から勝利をもぎとった。大したものである。
 勝負を決めたのは、日沖の側頭部をとらえた上段蹴り一閃のようだが、むしろ注目すべきはその後のパンチの連打だろう。ああいう、勝機と見るやなりふりかまわぬガムシャラな攻めが、クリーンすぎる日沖からは一切みられなかった。日沖は練習したとおりに寝技を攻め、絵に描いたようにパンチを出していた。
 
 日沖の完敗であり、フカーは見事であった。 
 日沖はおそらくこれでUFCはおわりだろう。


Middleweight Dan Kelly vs. Sam Alvey
 サム・アルヴィーの強打がさく裂といったかんじであった。
 相手の出鼻に合わせてであったが、決して大振りでなく大変コンパクトな連続パンチであったのが印象的であった。
 

2015年5月7日木曜日

UFC Fight Night: Miocic vs. Hunt 予想

Heavyweight Stipe Miocic vs. Mark Hunt
 こないだドス・サントスといい試合をしてトップ選手としての実力を証明したミオチェチが、強打のマーク・ハントを迎え撃つ。
 ハントとしては距離を一気に詰め豪快な一発でもってノックアウト、といきたいところであろうが、ミオチェチは足があり、速いジャブが打てるし、キックもある。これまでハントが対峙した中堅重量級のようにはいかないだろう。
 私はミオチェチが足とジャブを巧みにつかってハントを翻弄し、最終的には連打を当ててノックアウトするのではないかとおもう。
 ていうか、しなくてはならないだろう。
 壮齢で脂ののったミオチェチのような本格派が、強打しか決め手のない老齢なハント相手に微妙な判定勝ちなどしてしまうようだと、せっかく盛り上がった総合格闘の熱が最重量級から冷めていってしまうのではないか。

 ミオチェチによるノックアウト予想。
 ハントはこれで大敗すれば引退するのではなかろうか。
 

Middleweight Brad Tavares vs. Robert Whittaker
 24歳というわかさのウィテカは空手とハプキ道の達人という打撃に切れ味のある選手で、なかなか緊張感のある試合をみせてくれる。が、やや一発を浴びやすい選手であり、浴びれば効いてしまう脆さのある選手でもある。いぶし銀のうまさをもったタヴォーレス相手にどこまで通用するか。

 タヴォーレスを高く評価する私としては、今回もタヴォーレスのうまさが勝るのではないかとおもう。
 タヴォーレスによる判定勝ち予想。


Light Heavyweight Anthony Perosh vs. Sean O'Connell
 なぜこういう選手がメインのカードにいるのかよくわからない。
 会場がオジーであるペロシュの地元であるからということだろうが、UFCが将来ボクシングにとってかわろうと考えるならば、興行地選手を優先した見世物的興行よりも実力重視で高いクオリティーの試合をもっと上にもてくるべきだとおもう。
 かつてハーンズやレナード、デュランらがボクシングを牽引してきたのは、なにも地元で試合をしたからではなかろう。歳くって実力のない選手はどんどん下げて、もっと若い選手をメインにもってきた方がよいだろう。


Lightweight Jake Matthews vs. James Vick
 ジェイク・マッシューズのような若い選手を、どんどんメインにもってくるべきだ。
 オーストラリアのマッシューズはなんと20歳で、八戦全勝の注目すべき選手である。どんな選手なのかじっくり観させてもらう
 対するヴィックという選手は派手な技を出すわりによくパンチをもらい、判定で勝っているとおもうと最終ラウンドは露骨に逃げまわるような選手、という印象であった。私はあまり好印象をもっていない。
 
 地元で奮起するであろうマッシューズが勝つのではないか。
 マシュー予想。


Featherweight Hatsu Hioki vs. Dan Hooker
 実力があるのになかなかUFCとは相性の悪い日沖選手であるが、今回の相手フッカーも実力的には格下であろう。すでに31歳中堅どころである日沖にとって絶対に落とせない試合である。
 ただしニュージーランド人のフッカーは25歳と若く、オーストラリア興行は地元のようなものであり、奮起して試合に臨むであろうし、好試合になるのではないか。

 日沖が順当に勝つのではないかと思う。逆にこの試合を落としてしまうようだと今後日沖選手がUFCで試合することは無いだろう。
 日沖による判定勝ち予想。


2015年5月3日日曜日

Floyd Mayweather, Jr. vs. Manny Pacquiao 感想

 メイウェザーはいつものメイウェザーであったが、パッキャオはいつもより馬鹿正直にみえた。それだけメイウェザーの方が上手かったということだろう。

 パッキャオのいつものうごき、おもむろに左から入って、相手の左側面にまわりこむように抜ける動きがこの日は観られなかった。それがメイウェザーによって防がれていたのか、あるいはそれがパッキャオの作戦だったのか、シロウト目にはよくわからない。
 とにかくパッキャオは頭を振って前に前にと出るしかなかった。

 試合前、パッキャオは右の強いフックを何度も何度も確かめるように練習していた。
 それが作戦なのかとおもって観ていたが、たしかに試合中もパッキャオはロープに詰めた後で、メイウェザーが左へ移動するのを迎えるように右を出す場面が多かった。
 が、まともに当たることはほとんどなかった。

 初回はメイウェザーはガードを高くあげて、いつものように王道の慎重さであった。
 初回から三回までメイウェザーのペースである。
 中盤あたりからパッキャオがメイウェザーの王道的な慎重さを見切ってか、パンチが当たるようになる。何度かいいパンチがメイウェザーの顔面をとらえ、後退させるシーンがあった。この試合で一番盛り上がった場面だろう。
 メイウェザーも言っていた。パッキャオが有利になる場面もあるだろうというのは最初からわかっていたことだ、と。

 しかし、それからがメイウェザーのつよさの真骨頂である。
 中盤あたりに対戦相手のパンチがメイウェザーをとらえ始めるのは、ある意味いつものことである。それからメイウェザーがアジャストして、変化してくるのだ。
 そのアジャスト能力こそがメイウェザーの一番のつよさだろう。
 後半になると、歴然とした差が出てくる。
 アジャスト後のメイウェザーのうごきを見切れる選手は、今のところ誰もいないのではなかろうか。
 やはりメイウェザーはつよい。

 もちろん、パッキャオも上手かった。
 ロープ際にメイウェザーを追い詰めた後、不用意に飛び込まず、フェイントでもってメイウェザーのカウンターを誘い、それに合わせる、という場面が、中盤よく見られた。
 あわや、という場面もあった。

 後で聞くところによるとパッキャオは右肩を傷めていたそうな。
 ちょっと残念な話であるが、しかしパッキャオが完全な状態であっても、やはりメイウェザーが勝っていたのではなかろうか。
 それくらい歴然とした差があったようにおもう。