Featherweight José Aldo vs. Conor McGregor
待ちに待った対戦である。
アルドーといえばスピードで群を抜いており、打撃よし、バランス良し、組んでよし、反応よしで、王者のなかの王者、まったく穴のない選手の一人だろう。マッグレガーがメンデズと対戦するまではアルドーの方がつよいのではないかとおもっていた。
しかし蓋を開けてみたらメンデズをまったく寄せつけなかったマッグリガーのつよさであった。あれを観てしまったいま、アルドーでも敵わないのではないかという気もしてしまう。
まず、身長ならびに四肢の長さにおいて両者の間に段違いな差がある。
マッグリガーが身長において5㎝高く、リーチにおいては10㎝ちかい差がある。ストライカーどうしの試合において、これは決定的なものになるのではないか。
マッグリガー独特の広いスタンスに対して、アルドーはローキックを執拗に狙っていくのではないかという予想がされている。
しかしサウスポーのマッグリガーの前足にアルドーの右足を当てるのは難しいのではないか。また、ぐいぐい前に出てくるマッグリガーのプレッシャーのなかで、アルドーは相手の拳を恐れずにローキックを出せるであろうか。マッグリガーも当然それは念頭にあるであろうし、ローを釣ってそれに合わせてよく伸びる左のパンチを合わせていくのではないか。
というわけで、アルドーがローキックにこだわりローから入ってゆくようだと、マッグリガーががぜん有利になってゆくのではないかとおもう。
マッグレガーよりもアルドーが勝る点はローキックよりもむしろ出入りの速さであり、上下のコンボの回転の速さだろう。どこを見ているんだかわからないような見開いた目で相手のうごきの全体を眺めつつ、フェイントの応酬、といういつものアルドーの得意な駆け引きのなかで、相手の虚に反応して電撃のように踏みこんで思い切ってパンチを放ち、そして蹴りがつづく。アルドーに勝機があるとすればそこだろう。思い切りのよい踏み込みと、回転の速いコンビネーション、そして、そこでローキック。こういう展開になれば、アルドーががぜん有利になるのではないか。
前回メンデズの強打がまったく不発だったが、メンデズが準備不足だったというのもかなり大きく、考えれば考えるほど、あまり参考にならないように感じられてくる。トップクラスになると、ほんのわずかな差が大きな差となって露われてくるものだ。どちらがつよい、というのは愚問だろう。
マッグリガー対アルドーも、ほんのわずかな作戦のかみ合い、どちらの先手が当たったかどうかが、試合を決定づける大きなカギとなるのだろう。
私はアルドーが速いコンビネーションを当てることで序盤において圧倒して、マッグリガーがアルドーを見切る暇を与えずに勝負を決めてしまうとおもう。
よってアルドーによるノックアウト予想。
Middleweight Chris Weidman vs. Luke Rockhold
これも目の離せない一戦である。両者31歳、同い年である。
マチダと試合した後のコメントで、ロックホールドがいやなやつ、という印象を抱いてしまっただけに、私としてはワイドマンに勝ってほしいところだ。
前回、マチダを圧倒したロックホールドのつよさが印象ぶかく、一方マチダとは判定になっていたワイドマンは苦戦するのではないかという予想もある。
私は、ワイドマンをひいきするわけではないが、蓋を開けてみれば『ワイドマンの方が明らかにつよかった』という試合になるのではないかとおもう。
理由は以下のとおり。
どちらも強力な打撃をもっており、相撲もつよい。
レスリングがうまく、パンチも肘も斬れるワイドマンに対し、ロックホールドには蹴りがあり柔術もうまい。
しかし、ロックホールドのスタイルには、はっきりとしたクセがあるのは否めない。
古典的ボクサーのような後傾したベタ足の構えでじわりじわりと前に出てくるロックホールドは、自らパンチで入ってゆくことはまずなく、多彩な蹴りで先制してゆく選手だ。相手が出てくればカウンターのパンチを上手に当てることもできるが、自ら踏みこんでパンチの交錯というのを嫌う。このため、下がる一方のマチダをよく見ることができ、彼のパターン化した踏み込みに対してカウンターを当てて、終わってみれば圧倒した形となった。
しかるに一方、いつでも出てくるぞというプレッシャーを与えてくるベウフォートに対しては攻めあぐね、内容的にも明らかに敵わないという様子であった。
ワイドマンは前に出てくる選手であり、マチダのように一か八かの神風的な踏み込みはしない。ワイドマンが前に押して出て、相撃ちで打ち勝ち、ロックホールドを圧倒するのではないかとおもう。
ワイドマンによる判定勝ち。
Middleweight Ronaldo Souza vs. Yoel Romero
これも待ちに待った試合である。マチダを完膚なきまでに破壊したロメロであったが、ロックホールドに破壊されあきらかに下降の一途であったマチダに勝ったことは、さほど参考にはならないようにおもわれる。
高齢のロメロの反応はさほど機敏とはいえず、相手との距離をうまくとりつつ、豪快なレスリング能力で相手を圧倒する選手である。打撃も速いジャブのようなものが出せるわけでなく、アッパーから入ったり相撃ち狙いであったりで、足のあるジャッカレの積極的でスピードある攻めに敵うとはおもえない。
ジャッカレによるノックアウト予想。
ジャッカレはこれに快勝して王者に挑戦したいところだろう。
Welterweight Demian Maia vs. Gunnar Nelson
柔術の玄人だが柔術しかできないマイアが、ケンカ上手なガンナーに勝てるとは思えない。
ガンナーによるノックアウト予想。
Featherweight Max Holloway vs. Jeremy Stephens
いつ王座挑戦してもおかしくない実力のホラウェイが、強振屋でムラっ気あるスティーブンスと対戦。
これはどう考えてもホラウェイが勝つだろう。
ホラウェイによるノックアウトもしくは一本勝ち。
2015年12月8日火曜日
2015年11月12日木曜日
UFC 193: Rousey vs. Holm 予想
Women's Bantamweight Ronda Rousey vs. Holly Holm
まずまちがいなくロンダ・ラウジーが圧勝するであろうという大方の予想だろう。
しかし私はホームが勝つのではないかとおもう。
まず、上背である。
骨太い印象のロンダ・ラウジーであるが、実は意外と背が高く、170cm ある。これまで対戦してきた相手のほとんどがロンダより小柄である。ホームは 173cm あり、女子バンタムでいちばん背が高い。
そしてリーチ。
上背のあるロンダであるが、リーチ(66")はさほどではなく、ホーム(69”)よりも 8cm 短い。ストライカーのホームに対してリーチにおいてこれだけ差があるということは、打撃戦においてはかなり不利でではなかろうか。
ホームは長い足をもっており、蹴りも華麗というだけでなく、フットワークも速いだろう。
そしてハートである。
ホームは元ボクシング王者であり、また実に負けん気のつよそうな、プライドの高そうな風貌をしている。
絶対に勝ちたいであろう。好試合を演じるのよりも、どんな姑息な手を使ってでも勝ちたいのではないか。
ホームに対して、ロンダが勝つにはどうするかと言えば、答えは簡単だろう。
おそらく組んで柔道技で倒しにくるだろう。いちばん確実な勝ち方である。寝かせてさえしまえば、元ボクサーのホームなどどうとでもできる。
あるいは、ディビス戦やベッチ戦でのように、相撃ち上等で闘牛のように猛進して打撃でぶつかりかって、力でねじふせるように打ち勝つ、ということも考えられる。ロンダの打撃は女子のなかでもとびぬけて強く、当たれば一発で倒せることは、前の二試合で証明済みである。アマチュアボクシングのホームよりも、一発のちからはラウジーの方が明らかにありそうである。
つまりロンダがどう出ててくるかは、わりと予想しやすい。このことはホームにとっても対策を立てやすい。ロンダ対策をこの二点にしぼり、あとはいかに自分の土俵で闘うか、ということに集中すればいい。ロンダに猛烈な前進と、組んだら終わるという重圧の下で、どう突破口を見出せるのかちょっと想像がつかないが、きっとフットワークが重要なカギになってくるのではなかろうか。
ホームはフックやまわし蹴りのような間のある打撃でなく、出てくるラウジーに対してコンパクトな真っ直ぐのパンチと前蹴りでもって落ち着いて丁寧に攻めれば、きっと勝てるであろう。
ということで、私はホームによる判定勝ち予想である。
Women's Strawweight Joanna Jędrzejczyk vs. Valérie Létourneau
ロンダと同様圧倒的なつよさを誇るヨアナであるが、全体的にレベルの高いストロー級であるだけに私はロンダよりもヨアナの方が技術的にずば抜けているとおもう。
相手の選手のことはあまりよくわからないが、戦績的にも年齢的にもヨアナがボクシングで圧倒するのではないか。
ヨアナによるノックアウト予想
Heavyweight Mark Hunt vs. Antônio Silva
前回ミオチッチによって完膚なきまでに壊されたマーク・ハントなのだが、ほんとにまだやれるのか?
先にパンチが当たった方が勝つのはあきらかな試合である。
こないだパレレイに格のちがいをみせつけたビッグフットであるが、一発をもったハントに対しては前蹴りを多用して距離をとろうとするのではなかろうか。
ハントは距離を取られたら勝ち目は無いので、猛烈に踏みこんでくるだろう。ビッグフットの甘い蹴りに合わせて思い切り踏みこんで、一発を狙ってゆこうとするのではないか。
ハントのするどい踏み込みに対して、ビッグフットが反応できるかとなると、怪しい。
ハントによるノックアウト予想。
Middleweight Robert Whittaker vs. Uriah Hall
この試合も興味ぶかいストライカー同士の一戦である。
どちらも打撃に斬れがあるが、ホールのとくいな突飛ながら破壊力ある蹴り技とくらべると、ウィテカのタイミングがよく切れ味の鋭いソリッドな打撃の方が私は好きだ。
ホールのようにさほど踏み込まず遠距離から斬れる打撃を放ってくる相手に対して、カウンターのうまいウィテカはどうつけ入るのか、興味深い。
が、いかんせんウィテカは小柄であり、きわどいタイミングで相撃ちを狙うために、しばしば相手の打撃をまともにもらってしまうことがある。
ウィテカの切れ味に期待するが、ホールの破壊力もあなどりがたい。
ホールによるノックアウト予想。
ホールはこれで波にのって、ワイドマンへの挑戦権を得るのではないか。
Heavyweight Stefan Struve vs. Jared Rosholt
ロショルトは戦績だけは良さそうなかんじだが、レベル的には一段も二段も低い選手という印象である。
ストルーヴは前回ノゲイラ相手にかなり内容の悪い試合をしてしまったが、ここらで快勝してまた上位への梯子を登り始めたいところだろう。
ストルーヴの絞め技による一本勝ち予想。
まずまちがいなくロンダ・ラウジーが圧勝するであろうという大方の予想だろう。
しかし私はホームが勝つのではないかとおもう。
まず、上背である。
骨太い印象のロンダ・ラウジーであるが、実は意外と背が高く、170cm ある。これまで対戦してきた相手のほとんどがロンダより小柄である。ホームは 173cm あり、女子バンタムでいちばん背が高い。
そしてリーチ。
上背のあるロンダであるが、リーチ(66")はさほどではなく、ホーム(69”)よりも 8cm 短い。ストライカーのホームに対してリーチにおいてこれだけ差があるということは、打撃戦においてはかなり不利でではなかろうか。
ホームは長い足をもっており、蹴りも華麗というだけでなく、フットワークも速いだろう。
そしてハートである。
ホームは元ボクシング王者であり、また実に負けん気のつよそうな、プライドの高そうな風貌をしている。
絶対に勝ちたいであろう。好試合を演じるのよりも、どんな姑息な手を使ってでも勝ちたいのではないか。
ホームに対して、ロンダが勝つにはどうするかと言えば、答えは簡単だろう。
おそらく組んで柔道技で倒しにくるだろう。いちばん確実な勝ち方である。寝かせてさえしまえば、元ボクサーのホームなどどうとでもできる。
あるいは、ディビス戦やベッチ戦でのように、相撃ち上等で闘牛のように猛進して打撃でぶつかりかって、力でねじふせるように打ち勝つ、ということも考えられる。ロンダの打撃は女子のなかでもとびぬけて強く、当たれば一発で倒せることは、前の二試合で証明済みである。アマチュアボクシングのホームよりも、一発のちからはラウジーの方が明らかにありそうである。
つまりロンダがどう出ててくるかは、わりと予想しやすい。このことはホームにとっても対策を立てやすい。ロンダ対策をこの二点にしぼり、あとはいかに自分の土俵で闘うか、ということに集中すればいい。ロンダに猛烈な前進と、組んだら終わるという重圧の下で、どう突破口を見出せるのかちょっと想像がつかないが、きっとフットワークが重要なカギになってくるのではなかろうか。
ホームはフックやまわし蹴りのような間のある打撃でなく、出てくるラウジーに対してコンパクトな真っ直ぐのパンチと前蹴りでもって落ち着いて丁寧に攻めれば、きっと勝てるであろう。
ということで、私はホームによる判定勝ち予想である。
Women's Strawweight Joanna Jędrzejczyk vs. Valérie Létourneau
ロンダと同様圧倒的なつよさを誇るヨアナであるが、全体的にレベルの高いストロー級であるだけに私はロンダよりもヨアナの方が技術的にずば抜けているとおもう。
相手の選手のことはあまりよくわからないが、戦績的にも年齢的にもヨアナがボクシングで圧倒するのではないか。
ヨアナによるノックアウト予想
Heavyweight Mark Hunt vs. Antônio Silva
前回ミオチッチによって完膚なきまでに壊されたマーク・ハントなのだが、ほんとにまだやれるのか?
先にパンチが当たった方が勝つのはあきらかな試合である。
こないだパレレイに格のちがいをみせつけたビッグフットであるが、一発をもったハントに対しては前蹴りを多用して距離をとろうとするのではなかろうか。
ハントは距離を取られたら勝ち目は無いので、猛烈に踏みこんでくるだろう。ビッグフットの甘い蹴りに合わせて思い切り踏みこんで、一発を狙ってゆこうとするのではないか。
ハントのするどい踏み込みに対して、ビッグフットが反応できるかとなると、怪しい。
ハントによるノックアウト予想。
Middleweight Robert Whittaker vs. Uriah Hall
この試合も興味ぶかいストライカー同士の一戦である。
どちらも打撃に斬れがあるが、ホールのとくいな突飛ながら破壊力ある蹴り技とくらべると、ウィテカのタイミングがよく切れ味の鋭いソリッドな打撃の方が私は好きだ。
ホールのようにさほど踏み込まず遠距離から斬れる打撃を放ってくる相手に対して、カウンターのうまいウィテカはどうつけ入るのか、興味深い。
が、いかんせんウィテカは小柄であり、きわどいタイミングで相撃ちを狙うために、しばしば相手の打撃をまともにもらってしまうことがある。
ウィテカの切れ味に期待するが、ホールの破壊力もあなどりがたい。
ホールによるノックアウト予想。
ホールはこれで波にのって、ワイドマンへの挑戦権を得るのではないか。
Heavyweight Stefan Struve vs. Jared Rosholt
ロショルトは戦績だけは良さそうなかんじだが、レベル的には一段も二段も低い選手という印象である。
ストルーヴは前回ノゲイラ相手にかなり内容の悪い試合をしてしまったが、ここらで快勝してまた上位への梯子を登り始めたいところだろう。
ストルーヴの絞め技による一本勝ち予想。
ラベル:
HallU,
HolmH,
HuntM,
JędrzejczykJ,
LétourneauV,
RosholtJ,
RouseyR,
SilvaA,
StruveS,
WhittakerR
2015年10月2日金曜日
UFC 192: Cormier vs. Gustafsson 予想
Light Heavyweight Daniel Cormier vs. Alexander Gustafsson
両者ともジョン・ジョーンズと対戦しており,あわやと思わせるいい勝負をしたのはガスタフソンの方であった。コーミエの方はおそらくジョーンズを上まわるレスリング力であろうと評され,ガスタフソン以上に期待されたが,ふたを開けてみればジョーンズによってほとんど封じられしまった。
一方,アンソニー・ジョンソンとの対戦では,ガスタフソンは初回に一発を浴びてノックアウトされてしまったが,コーミエは見事に自分の長所を生かしてジョンソンを完封した。
ジョンソン戦でみせたコーミエの柔軟な対応と安定感をみるに,私はコーミエがこの試合も制するのではないかとおもう。
ガスタフソンの四肢の長さもタフネスさもLHでは群を抜いているが,パンチも踏み込みもさほど速いというわけではなく,スピードのあるコーミエには当たらないのではないか。むしろ自身のタフネフさに頼るところがあり,速いパンチはわりともらってしまう方だ。コーミエの速いパンチは当然よく当たるであろうし,組んでもコーミエが体重を預けるようにしてガスタフソンのスタミナを奪い,内容で圧倒するのではなかろうか。
判定でコーミエ予想。
Light Heavyweight Ryan Bader vs. Rashad Evans
いちおう身体能力も高く,いちおうここのところ連勝がつづいているベイダーであるが,相手を倒すということがまったくできない選手であり,この階級では一番見ていてつまらない選手だ。パンチも,声だけはやたら大きいが腰が入っておらず,ポイントしか狙っていない。王座に挑戦させろ,とか言っているらしいが,とんでもない話だ。
一方,エヴァンスの方は一発もあり,スピードもあり,これまでも一流の強豪と闘っている経験がある。
まちがいなくエヴァンスだろう。
判定でエヴァンス予想
Heavyweight Shawn Jordan vs. Ruslan Magomedov
Twitter ではフォローしていただいているヘビー級のマゴメドフだが,以前試合をみたかんじでは,まるで素人のようなナマクラパンチで,さほど光るものがほとんど感じられなかった。
一方,ジョーダンの方は,ついこないだも強打で巨躯のルイスに対して実にうまい攻めをみせ,連打を当て,さらに突拍子も無い後ろ回し蹴りを当て,みごとな勝利をみせている。また試合後の自己分析も的確で,とても頭のいい選手という印象である。
この試合もジョーダンがノックアウトで勝つだろう。
Flyweight Joseph Benavidez vs. Ali Bagautinov
この試合が一番楽しみな一戦である。
打てよし,組んでよしで,いつも積極的な攻めをみせるベナヴィデスは,この階級で屈指の選手である。
一方,イチローに似た風貌のバガウチノフは,コンバット・サンボの元世界チャンピオンであり,打撃は変則的で左右にスタンスを変えつつ下がりながら出鼻に強い相打ちを当ててくる。出てくるベナヴィデスとは相性がよさそうだ。ベナヴィデスは苦戦するのでないか。
また,ベナヴィデスはいつも体幹に力のこもったかんじがするが,バガウチノフはいかにも上体がやわらかそうであり,これまた対照的である。
バガウチノフのへんなパンチが当たって,一気にたたみかけるようにノックアウトしてしまうような気がする。
バガウチノフによるKO予想。
Heavyweight Derrick Lewis vs. Viktor Pešta
25歳のペスタに注目してみたい。
両者ともジョン・ジョーンズと対戦しており,あわやと思わせるいい勝負をしたのはガスタフソンの方であった。コーミエの方はおそらくジョーンズを上まわるレスリング力であろうと評され,ガスタフソン以上に期待されたが,ふたを開けてみればジョーンズによってほとんど封じられしまった。
一方,アンソニー・ジョンソンとの対戦では,ガスタフソンは初回に一発を浴びてノックアウトされてしまったが,コーミエは見事に自分の長所を生かしてジョンソンを完封した。
ジョンソン戦でみせたコーミエの柔軟な対応と安定感をみるに,私はコーミエがこの試合も制するのではないかとおもう。
ガスタフソンの四肢の長さもタフネスさもLHでは群を抜いているが,パンチも踏み込みもさほど速いというわけではなく,スピードのあるコーミエには当たらないのではないか。むしろ自身のタフネフさに頼るところがあり,速いパンチはわりともらってしまう方だ。コーミエの速いパンチは当然よく当たるであろうし,組んでもコーミエが体重を預けるようにしてガスタフソンのスタミナを奪い,内容で圧倒するのではなかろうか。
判定でコーミエ予想。
Light Heavyweight Ryan Bader vs. Rashad Evans
いちおう身体能力も高く,いちおうここのところ連勝がつづいているベイダーであるが,相手を倒すということがまったくできない選手であり,この階級では一番見ていてつまらない選手だ。パンチも,声だけはやたら大きいが腰が入っておらず,ポイントしか狙っていない。王座に挑戦させろ,とか言っているらしいが,とんでもない話だ。
一方,エヴァンスの方は一発もあり,スピードもあり,これまでも一流の強豪と闘っている経験がある。
まちがいなくエヴァンスだろう。
判定でエヴァンス予想
Heavyweight Shawn Jordan vs. Ruslan Magomedov
Twitter ではフォローしていただいているヘビー級のマゴメドフだが,以前試合をみたかんじでは,まるで素人のようなナマクラパンチで,さほど光るものがほとんど感じられなかった。
一方,ジョーダンの方は,ついこないだも強打で巨躯のルイスに対して実にうまい攻めをみせ,連打を当て,さらに突拍子も無い後ろ回し蹴りを当て,みごとな勝利をみせている。また試合後の自己分析も的確で,とても頭のいい選手という印象である。
この試合もジョーダンがノックアウトで勝つだろう。
Flyweight Joseph Benavidez vs. Ali Bagautinov
この試合が一番楽しみな一戦である。
打てよし,組んでよしで,いつも積極的な攻めをみせるベナヴィデスは,この階級で屈指の選手である。
一方,イチローに似た風貌のバガウチノフは,コンバット・サンボの元世界チャンピオンであり,打撃は変則的で左右にスタンスを変えつつ下がりながら出鼻に強い相打ちを当ててくる。出てくるベナヴィデスとは相性がよさそうだ。ベナヴィデスは苦戦するのでないか。
また,ベナヴィデスはいつも体幹に力のこもったかんじがするが,バガウチノフはいかにも上体がやわらかそうであり,これまた対照的である。
バガウチノフのへんなパンチが当たって,一気にたたみかけるようにノックアウトしてしまうような気がする。
バガウチノフによるKO予想。
Heavyweight Derrick Lewis vs. Viktor Pešta
25歳のペスタに注目してみたい。
ラベル:
BaderR,
BagautinovA,
BenavidezJ,
CormierD,
EvansR,
GustafssonA,
JordanS,
LewisD,
MagomedovRu,
PeštaV
2015年8月8日土曜日
UFC Fight Night: Teixeira vs. Saint Preux 予想
Light Heavyweight Glover Teixeira vs. Ovince Saint Preux
テシーラはジョン・ジョーンズとの対戦以降,いまひとつぱっとしない印象であったが,フィル・デイヴィスという相手が悪かったのかもしれない。自身のタフネスさを頼りにぐりぐりと前に出て相打ち上等で重くて硬い石のようなパンチを撃ってくる選手である。
ショーグンを屠って名を挙げたセイントプルーであるが,ライアン・ベイダーのように慎重なレスラーと塩試合をして判定で負けたりしており,どうも打撃を誤魔化されると決め手にかける選手のようである。
テシーラはベイダーとはちがってがっつりと前に出てくる選手であり,かみ合った撃ち合いになるのではないか。予想は難しいが,私はテシーラの方が実力は一枚上なのではないかとおもう。
テシーラ予想。
Lightweight Michael Johnson vs. Beneil Dariush
イランの貴族格闘家ダリウーシは格闘のうまい選手である。スロースターターであるが,相手に合わせて自分を変化させ,いつのまにか自分のペースに引きずり込んでしまうような,そういう強さをもっている。
マイケル・ジョンソンは速いジャブをもっておりパンチの交錯時に的確に相手に当てる目のよさをもった選手という印象があるが,ダリウーシ相手に立ち技打撃だけでは勝てないだろう。グラウンドになると長い四肢をもてあましていたという印象がある。
ダリウーシ予想。
Women's Bantamweight Sara McMann vs. Amanda Nunes
ミーシャをとことん追い詰めながら,まさかの逆転負けを喫してしまったマックマンであるが,実力ある選手だけに再起を期待したいところ。
ヌーンというとズィンガノとの対戦がおもいうかぶが,さほど瞠目するほどの試合ではなかった。なら問題なくマクマンが勝つであろう。
マクマン予想。
テシーラはジョン・ジョーンズとの対戦以降,いまひとつぱっとしない印象であったが,フィル・デイヴィスという相手が悪かったのかもしれない。自身のタフネスさを頼りにぐりぐりと前に出て相打ち上等で重くて硬い石のようなパンチを撃ってくる選手である。
ショーグンを屠って名を挙げたセイントプルーであるが,ライアン・ベイダーのように慎重なレスラーと塩試合をして判定で負けたりしており,どうも打撃を誤魔化されると決め手にかける選手のようである。
テシーラはベイダーとはちがってがっつりと前に出てくる選手であり,かみ合った撃ち合いになるのではないか。予想は難しいが,私はテシーラの方が実力は一枚上なのではないかとおもう。
テシーラ予想。
Lightweight Michael Johnson vs. Beneil Dariush
イランの貴族格闘家ダリウーシは格闘のうまい選手である。スロースターターであるが,相手に合わせて自分を変化させ,いつのまにか自分のペースに引きずり込んでしまうような,そういう強さをもっている。
マイケル・ジョンソンは速いジャブをもっておりパンチの交錯時に的確に相手に当てる目のよさをもった選手という印象があるが,ダリウーシ相手に立ち技打撃だけでは勝てないだろう。グラウンドになると長い四肢をもてあましていたという印象がある。
ダリウーシ予想。
Women's Bantamweight Sara McMann vs. Amanda Nunes
ミーシャをとことん追い詰めながら,まさかの逆転負けを喫してしまったマックマンであるが,実力ある選手だけに再起を期待したいところ。
ヌーンというとズィンガノとの対戦がおもいうかぶが,さほど瞠目するほどの試合ではなかった。なら問題なくマクマンが勝つであろう。
マクマン予想。
2015年8月2日日曜日
UFC 190: Rousey vs. Correia 感想
Women's Bantamweight Ronda Rousey vs. Bethe Correia
予想どおりといえば予想どおりであったが,まさかこれほどまでとはおもわなかった。
これほどまで,というのはラウジーのつよさのことではなく,女子バンタムのレベルの低さという意味である。コヘイヤのパンチのお粗末さはもちろんであるが,ラウジーのパンチだって,たしかに力強いパンチではあったが,ボクシングはお世辞にも上手いというかんじではなかった。もちろんバンタム級では飛びぬけているのだろうが,女子ストロー級のボクシングのレベルと比較すると,バンタムの立ち打撃はまだまだ前時代の女子格闘のレベルをそのまま引きずっている観がある。
ラウジーの強さが賛美され,女子スポーツのスーパースターの誕生であるかのように喧伝されればされるほど,私はなんだかしらけてしまう。ラウジーがつよいのでなく,周りが弱いのだろう。女子バンタムのレベルが低いからだろう。
ミーシャ・テイトとの再戦が囁かれているが,そんな試合,だれが見たいと思うのか。ミーシャとロンダでは明らかに実力にひらきがあるし,他の選手などミーシャ以下のレベルである。正直つまらない。
サイボーグが衰える前になんとか対戦させて欲しいところだが,それも簡単には話は進まないであろう。というのは,興行者側としては,できるだけロンダでもって総合格闘技の認知度を高めたいわけであり,それと同時に儲けたいわけである。早々とサイボーグと対戦させてロンダが負けてしまっては,興行者としては儲けを失ってしまう。
つまり,ロンダに比類するスター選手が現れるまでは,ロンダとサイボーグの試合はお預けだろう。
なんだかやるせない気持ちになってしまう。
Light Heavyweight Maurício Rua vs. Antônio Rogério Nogueira
ショーグンとリトル・ノグの『戦争だ! (it was a war!)』,とやたら騒がれてはいたが,私はこの試合もしらけた気分で見ていた。なじみある選手の引退間際の試合であり,往年をなつかしみつつ感傷に浸りつつ観戦する,という見方もあるのだろうが,私にはそれができない。最盛期をとうに過ぎ下降しつくした両者による,どうにも見栄えのしない,チャンネルをまわしてNHK紅白でも見たくなるような,そんな試合であった。
結局ショーグンが勝ったらしいが,UFCは次もペイパービュー試合枠をひとつショーグンに進呈して,こんな試合をさせるのだろうか。ファンあっての興行であるからして,それでファンがよろこぶのならそうするのだろう。
Heavyweight Stefan Struve vs. Antônio Rodrigo Nogueira
この試合は,もっとひどい試合であった。語るのすら面倒だ。
ミノタウロはこれで引退だろうが,総合格闘に敬意を示すのなら,そしてどうせ引退するのなら,むしろこんな試合などせずに引退した方がずっと良かったのではないか。
まあ,しかし彼を尊敬するファンの多くがこの試合をよろこんで観たのなら,そういうものなのだろう。ここに書くのは私の私見であるからして。
Heavyweight Antônio Silva vs. Soa Palelei
わりと柔軟でそれなりに反応できるパレレイが勝つのではないかとおもったが,彼のうごきがスローであったことが致命的だったのだろう。ビッグフットは速い打撃には反応しないが,遅いのなら反応できる。
ビッグフットが,格のちがいで勝ってみせた,というかんじであった。
Welterweight Demian Maia vs. Neil Magny
ブラジルの柔術の専門家がまったく寄つけず,レッスンをつけるようであった。リーチのあるマグニーに対して序盤から積極的にぐいぐいと距離をつめ,マグニーは何もすることができなかった。
Women's Strawweight Cláudia Gadelha vs. Jessica Aguilar
かわいい顔をしたクラウディアは王者ヨアナと僅差の試合をしてみせた選手であるが,踏み込みが鋭く,思い切りもよく,非常にキレのあるパンチを出せる選手であった。序盤から実力差があきらかで,それゆえに攻め急いだ観があったが,ジェシカもよく耐えコツコツとクラウディアの右足にローキックを当て,それが中盤以降のクラウディアの攻撃力を削ぐかたちとなり,結局判定になった。
メインイベントの女子バンタムと比して猶の事ストロー級の層の厚さを実感させられる試合であったが,クラウディアのつめの甘さをみるにやはり王者ヨアナの方が一枚上かな,という印象であった。
予想どおりといえば予想どおりであったが,まさかこれほどまでとはおもわなかった。
これほどまで,というのはラウジーのつよさのことではなく,女子バンタムのレベルの低さという意味である。コヘイヤのパンチのお粗末さはもちろんであるが,ラウジーのパンチだって,たしかに力強いパンチではあったが,ボクシングはお世辞にも上手いというかんじではなかった。もちろんバンタム級では飛びぬけているのだろうが,女子ストロー級のボクシングのレベルと比較すると,バンタムの立ち打撃はまだまだ前時代の女子格闘のレベルをそのまま引きずっている観がある。
ラウジーの強さが賛美され,女子スポーツのスーパースターの誕生であるかのように喧伝されればされるほど,私はなんだかしらけてしまう。ラウジーがつよいのでなく,周りが弱いのだろう。女子バンタムのレベルが低いからだろう。
ミーシャ・テイトとの再戦が囁かれているが,そんな試合,だれが見たいと思うのか。ミーシャとロンダでは明らかに実力にひらきがあるし,他の選手などミーシャ以下のレベルである。正直つまらない。
サイボーグが衰える前になんとか対戦させて欲しいところだが,それも簡単には話は進まないであろう。というのは,興行者側としては,できるだけロンダでもって総合格闘技の認知度を高めたいわけであり,それと同時に儲けたいわけである。早々とサイボーグと対戦させてロンダが負けてしまっては,興行者としては儲けを失ってしまう。
つまり,ロンダに比類するスター選手が現れるまでは,ロンダとサイボーグの試合はお預けだろう。
なんだかやるせない気持ちになってしまう。
Light Heavyweight Maurício Rua vs. Antônio Rogério Nogueira
ショーグンとリトル・ノグの『戦争だ! (it was a war!)』,とやたら騒がれてはいたが,私はこの試合もしらけた気分で見ていた。なじみある選手の引退間際の試合であり,往年をなつかしみつつ感傷に浸りつつ観戦する,という見方もあるのだろうが,私にはそれができない。最盛期をとうに過ぎ下降しつくした両者による,どうにも見栄えのしない,チャンネルをまわしてNHK紅白でも見たくなるような,そんな試合であった。
結局ショーグンが勝ったらしいが,UFCは次もペイパービュー試合枠をひとつショーグンに進呈して,こんな試合をさせるのだろうか。ファンあっての興行であるからして,それでファンがよろこぶのならそうするのだろう。
Heavyweight Stefan Struve vs. Antônio Rodrigo Nogueira
この試合は,もっとひどい試合であった。語るのすら面倒だ。
ミノタウロはこれで引退だろうが,総合格闘に敬意を示すのなら,そしてどうせ引退するのなら,むしろこんな試合などせずに引退した方がずっと良かったのではないか。
まあ,しかし彼を尊敬するファンの多くがこの試合をよろこんで観たのなら,そういうものなのだろう。ここに書くのは私の私見であるからして。
Heavyweight Antônio Silva vs. Soa Palelei
わりと柔軟でそれなりに反応できるパレレイが勝つのではないかとおもったが,彼のうごきがスローであったことが致命的だったのだろう。ビッグフットは速い打撃には反応しないが,遅いのなら反応できる。
ビッグフットが,格のちがいで勝ってみせた,というかんじであった。
Welterweight Demian Maia vs. Neil Magny
ブラジルの柔術の専門家がまったく寄つけず,レッスンをつけるようであった。リーチのあるマグニーに対して序盤から積極的にぐいぐいと距離をつめ,マグニーは何もすることができなかった。
Women's Strawweight Cláudia Gadelha vs. Jessica Aguilar
かわいい顔をしたクラウディアは王者ヨアナと僅差の試合をしてみせた選手であるが,踏み込みが鋭く,思い切りもよく,非常にキレのあるパンチを出せる選手であった。序盤から実力差があきらかで,それゆえに攻め急いだ観があったが,ジェシカもよく耐えコツコツとクラウディアの右足にローキックを当て,それが中盤以降のクラウディアの攻撃力を削ぐかたちとなり,結局判定になった。
メインイベントの女子バンタムと比して猶の事ストロー級の層の厚さを実感させられる試合であったが,クラウディアのつめの甘さをみるにやはり王者ヨアナの方が一枚上かな,という印象であった。
2015年7月28日火曜日
UFC 190: Rousey vs. Correia 予想
Women's Bantamweight Ronda Rousey vs. Bethe Correia
いくらコレイアが無敗とはいえ、ラウジーとは実力にかなりのひらきがあるだろう。ボクシングの上手い選手のようであるが、それでも一発の力強さにおいてはラウジーの方が上のように感じる。そして何よりコレイアは相撲が弱い。ラウジーと組んだらそれで終わりだろう。
ラウジーによるパウンド、ノックアウト予想。
Light Heavyweight Maurício Rua vs. Antônio Rogério Nogueira
ショーグンは大好きな選手であるが、ここのところツイてない負け方が多く、このまま尻すぼみに終わってしまうのではないかという気がしてしまう。ノゲイラもボクシングが上手いと言われても、もはやトップクラスとは言えないレベルに成り下がっている。両選手とももはや過去の選手であり、現代格闘に置き去りにされてしまった観がある。
お互いに突飛なことはせず練習どおりの試合をするであろうし、試合そのものは見ごたえあって面白いかもしれないが、あるいみ意外性の無いつまらない試合になるような気がしなくもない。
負けた方はこれで引退か、すくなくともUFCからは姿を消すだろう。
Heavyweight Stefan Struve vs. Antônio Rodrigo Nogueira
ハントに下顎を折られてから打撃に対してトラウマになっているかもしれぬストルーヴであるが、もしそうだとすれば今回は相手が著名な柔術家ということで気分的にラクなのではなかろうか。ノゲイラのボクシングも上手いと言われるが、一発のあるパンチでは決してない。案外ストルーヴが極めて勝つのではないかという気もする。
ストルーヴによる一本勝ち。
Heavyweight Antônio Silva vs. Soa Palelei
ビッグフットに対して体格的にも負けていないパレレイであるが、とにかく見た目からして鈍重そうであり、いまいち試合の面白味のない選手である。ただし、このところ連勝しており気分的にも上り調子であるからして、ここは名の知れたビッグフットを倒して勢いをつけたいところだろう。
このところ不本意なノックアウト負けが続いているビッグフットだが、忘れたころに大勝するのもまたビッグフットである。そろそろ勝つのではないか、という気もしなくもない。
が、ビッグフットは、脳手術のせいなのか、これまでの脳震盪の蓄積なのか、速いパンチに対してめっきり反応が鈍く、またちょっと当たっただけで倒れてしまうようになった。パレレイは速い打撃こそないが、上体がやわらかく、それなりに反応はできる。パレレイが何かしらカウンターを当てて流れをつかみ、ビッグフットをノックアウトしてしまうのであはなかろうか。
パレレイによるノックアウト予想。
Welterweight Demian Maia vs. Neil Magny
マグニーはボクシングもうまく、倒せば蜘蛛のように相手を絡めとるという印象。寝技しかできぬマイアを圧倒するのではないか。
マグニー予想。
いくらコレイアが無敗とはいえ、ラウジーとは実力にかなりのひらきがあるだろう。ボクシングの上手い選手のようであるが、それでも一発の力強さにおいてはラウジーの方が上のように感じる。そして何よりコレイアは相撲が弱い。ラウジーと組んだらそれで終わりだろう。
ラウジーによるパウンド、ノックアウト予想。
Light Heavyweight Maurício Rua vs. Antônio Rogério Nogueira
ショーグンは大好きな選手であるが、ここのところツイてない負け方が多く、このまま尻すぼみに終わってしまうのではないかという気がしてしまう。ノゲイラもボクシングが上手いと言われても、もはやトップクラスとは言えないレベルに成り下がっている。両選手とももはや過去の選手であり、現代格闘に置き去りにされてしまった観がある。
お互いに突飛なことはせず練習どおりの試合をするであろうし、試合そのものは見ごたえあって面白いかもしれないが、あるいみ意外性の無いつまらない試合になるような気がしなくもない。
負けた方はこれで引退か、すくなくともUFCからは姿を消すだろう。
Heavyweight Stefan Struve vs. Antônio Rodrigo Nogueira
ハントに下顎を折られてから打撃に対してトラウマになっているかもしれぬストルーヴであるが、もしそうだとすれば今回は相手が著名な柔術家ということで気分的にラクなのではなかろうか。ノゲイラのボクシングも上手いと言われるが、一発のあるパンチでは決してない。案外ストルーヴが極めて勝つのではないかという気もする。
ストルーヴによる一本勝ち。
Heavyweight Antônio Silva vs. Soa Palelei
ビッグフットに対して体格的にも負けていないパレレイであるが、とにかく見た目からして鈍重そうであり、いまいち試合の面白味のない選手である。ただし、このところ連勝しており気分的にも上り調子であるからして、ここは名の知れたビッグフットを倒して勢いをつけたいところだろう。
このところ不本意なノックアウト負けが続いているビッグフットだが、忘れたころに大勝するのもまたビッグフットである。そろそろ勝つのではないか、という気もしなくもない。
が、ビッグフットは、脳手術のせいなのか、これまでの脳震盪の蓄積なのか、速いパンチに対してめっきり反応が鈍く、またちょっと当たっただけで倒れてしまうようになった。パレレイは速い打撃こそないが、上体がやわらかく、それなりに反応はできる。パレレイが何かしらカウンターを当てて流れをつかみ、ビッグフットをノックアウトしてしまうのであはなかろうか。
パレレイによるノックアウト予想。
Welterweight Demian Maia vs. Neil Magny
マグニーはボクシングもうまく、倒せば蜘蛛のように相手を絡めとるという印象。寝技しかできぬマイアを圧倒するのではないか。
マグニー予想。
2015年7月11日土曜日
UFC 189: Mendes vs. McGregor 予想
Featherweight Chad Mendes vs. Conor McGregor
両者ともにわりとはっきりとした独自の格闘スタイルをもっているが、どちらの力量が上回るのかを考えると、これはやらせてみないとわからない。
メンデスのアスレティシズムか、マッグリガーの天才性か、という感じになるのではなかろうか。もちろんマッグリガーのようなリーチをもった選手はフェザー級はおろかひとつ上のライト級でも珍しく、身体的にメンデスが不利なのではなかろうかというのが第一印象であった。
マッグリガーの実力を過去の戦跡から推し測るのは、かなり難しいように思う。というのは、第一に彼はまだトップクラスの選手とは実はさほど対戦しておらず、いちばん参考になる試合といえば二年前にマックス・ホラウェイを内容で圧倒していた試合だろう。しかし当時はホラウェイも成長途上であったことから、今のホラウェイとの単純比較も難しい。
では、なぜマックリガー選手がそんなに高く評価されるのかといえば、もちろんオクタゴンの外でのマウス・パフォーマンスも大きいが、やはり勝利のほとんどがノックアウトであるという点であり、天才めいた圧倒的つよさを見せてくるところであろう。遠くからしゅーっと真っ直ぐ伸びてくるあの左手は脅威的であり、またよく当たる。そのつよさがメンデスやアルドーのような一流にも通用するのか、という点が見どころだろう。
メンデスはアルドーと同様にスピードと抜群の反応の良さが同階級のなかでも群を抜いており,明らかにつよいことがわかる。レスリングでは全米トップの選手であり、一発のパンチの破壊力も充分すぎるほどにある。アルドーとも競った試合をしてみせた。メンデスの強さは本物であるし、証明済みともいえる。
ところがマッグリガーとなると、格闘スタイルがかなり独特であり、身体のサイズ的にも同階級の他の選手との比較を難しくしている。とくにリーチがとほうもなく長く、接近すれば肘もよく出るわけで、まるでライトヘビーで敵なしだったジョン・ジョーンズのようである。こういう選手はどこまでつよいのか、本当によくわからない。ズバ抜けてつよいのかもしれず,あるいは案外もろいのかもしれない。
ひとついえることは,メンデスは学生レスリングという長い競技経験があるのに対し、マッグリガーの本格的な競技経験はプロ格闘からである。私はメンデスの高い身体能力と、メンタルにおけるアスレティシズムを評価して,判定によるメンデス予想としたい。
よって判定でメンデス予想。
もしマッグレガーがメンデスを圧倒してしまった場合,おそらくアルドーにも勝てるであろう。そうなれば彼は階級を上げて二階級,三階級制覇と狙っていくのではないか。
Welterweight Robbie Lawler vs. Rory MacDonald
メンデスとマッグリガー,正直どっちが勝とうが,どっちでもいい。
私の胃を痛くするのは,この試合である。
私的には目の覚めるようなキレのある真っ直ぐをよく出す貴公子のようなマクドナルドのファンであり、ここは若く成長中のマクドナルドに勝ってほしいところであるが、やはりローラーはつよい。
ローラーには強打もあり,レスリングもつよい。おそらくぐいぐいプレッシャーをかけてくるのであろう。また彼の恐るべきところは、後半になってノッてくると鬼神のような表情となり、バーセク状態になって狂ったように振り回してくる。こうなると手がつけられない。
対するマクドナルドは自分の距離を維持して、まっすぐ速いパンチをローラーの出鼻にあてて、相手の距離感を狂わせ苛立たせたいところだろう。しかしどこまでそれを継続できるのか見モノである。ヘンドリクスのようにテイクダウンを組み合わせて上下に攻めわければ大いに勝機があるとおもわれるが、そうなるとローラーの方が一枚上手なのではないかという気がするし、いつかのように距離をとって立ち技打撃一本というスタイルであれば百戦錬磨のローラーには敵わないのではないかという気がする。
判定でローラー予想
Featherweight Dennis Bermudez vs. Jeremy Stephens
スティーブンスの強打が当たれば面白いが、ムラっ気のある選手だけにどうであろう。今回も計量に失敗しており、性格的にやや問題のある選手なのではなかろうか。
判定でバミューデズ予想。
Welterweight Gunnar Nelson vs. Brandon Thatch
アイスランドのネルソンは前回リック・ストーリに僅差の判定で敗れてはいるが、打撃も柔術も上手くてぐいぐい前に出てくる、単純に「つよい」という印象の残る選手である。
一方のキックボクサーのブランドン・ザッチも強力な打撃をもった選手であり、これは負けた方がタダでは済まなそうな試合になるだろう。
ネルソンはよほど自分のアゴのつよさに自信があるのか、ガードを下げた構えのまま強引に前へ出てゆく、という場面が記憶に多く残っている。ザッチのような強打をもった選手に対してあんなふうに無防備のまま前進してしまえば、かなり危険だろう。今回もそんなふうならやはりノックアウトされてしまうのではなかろうか。
寝技も打撃も高いレベルのネルソン、慎重に丁寧に立ち会うのであれば大いに勝機はあるとおもうが、私の印象にもとづけばやはりザッチのパンチがよく当たるのではないかという気がする。
ザッチによるノックアウト予想。
Bantamweight Brad Pickett vs. Thomas Almeida
まだ高校生のような顔だちをしたアルメイダは20戦に届こうという戦績ながら無敗であり,闘争心を絵に描いたような闘い方をする天才的な選手である。この試合,ピケットは咬ませ犬的な役どころでしかなく,アルメイダが問題なくノックアウトするであろう。
アルメイダによるノックアウト予想。
Welterweight Matt Brown vs. Tim Means
若いながら膨大な戦績をもつミーンズであるのだが、攻めも守りもやや荒削りなところが目立つようにおもう。トップランカーのブラウンの敵ではないように思う。ましてブラウンは泥仕合には滅法つよい。
ブラウンによるノックアウト予想。
Bantamweight Cody Garbrandt vs. Henry Briones
24歳で6戦6勝6KOという戦績のガーブラントに注目してみたい。
前の試合ではとても23歳とはおもえない落ち着いた構えで対峙しており、よけカン、あてカンともに天才性を感じさせる選手のようだ。しかも試合中に骨折した右腕でもって渾身の振りを何度みせていた。格闘のために生まれてきたような天才坊やである。
ガーブラントによるノックアウト予想。
両者ともにわりとはっきりとした独自の格闘スタイルをもっているが、どちらの力量が上回るのかを考えると、これはやらせてみないとわからない。
メンデスのアスレティシズムか、マッグリガーの天才性か、という感じになるのではなかろうか。もちろんマッグリガーのようなリーチをもった選手はフェザー級はおろかひとつ上のライト級でも珍しく、身体的にメンデスが不利なのではなかろうかというのが第一印象であった。
マッグリガーの実力を過去の戦跡から推し測るのは、かなり難しいように思う。というのは、第一に彼はまだトップクラスの選手とは実はさほど対戦しておらず、いちばん参考になる試合といえば二年前にマックス・ホラウェイを内容で圧倒していた試合だろう。しかし当時はホラウェイも成長途上であったことから、今のホラウェイとの単純比較も難しい。
では、なぜマックリガー選手がそんなに高く評価されるのかといえば、もちろんオクタゴンの外でのマウス・パフォーマンスも大きいが、やはり勝利のほとんどがノックアウトであるという点であり、天才めいた圧倒的つよさを見せてくるところであろう。遠くからしゅーっと真っ直ぐ伸びてくるあの左手は脅威的であり、またよく当たる。そのつよさがメンデスやアルドーのような一流にも通用するのか、という点が見どころだろう。
メンデスはアルドーと同様にスピードと抜群の反応の良さが同階級のなかでも群を抜いており,明らかにつよいことがわかる。レスリングでは全米トップの選手であり、一発のパンチの破壊力も充分すぎるほどにある。アルドーとも競った試合をしてみせた。メンデスの強さは本物であるし、証明済みともいえる。
ところがマッグリガーとなると、格闘スタイルがかなり独特であり、身体のサイズ的にも同階級の他の選手との比較を難しくしている。とくにリーチがとほうもなく長く、接近すれば肘もよく出るわけで、まるでライトヘビーで敵なしだったジョン・ジョーンズのようである。こういう選手はどこまでつよいのか、本当によくわからない。ズバ抜けてつよいのかもしれず,あるいは案外もろいのかもしれない。
ひとついえることは,メンデスは学生レスリングという長い競技経験があるのに対し、マッグリガーの本格的な競技経験はプロ格闘からである。私はメンデスの高い身体能力と、メンタルにおけるアスレティシズムを評価して,判定によるメンデス予想としたい。
よって判定でメンデス予想。
もしマッグレガーがメンデスを圧倒してしまった場合,おそらくアルドーにも勝てるであろう。そうなれば彼は階級を上げて二階級,三階級制覇と狙っていくのではないか。
Welterweight Robbie Lawler vs. Rory MacDonald
メンデスとマッグリガー,正直どっちが勝とうが,どっちでもいい。
私の胃を痛くするのは,この試合である。
私的には目の覚めるようなキレのある真っ直ぐをよく出す貴公子のようなマクドナルドのファンであり、ここは若く成長中のマクドナルドに勝ってほしいところであるが、やはりローラーはつよい。
ローラーには強打もあり,レスリングもつよい。おそらくぐいぐいプレッシャーをかけてくるのであろう。また彼の恐るべきところは、後半になってノッてくると鬼神のような表情となり、バーセク状態になって狂ったように振り回してくる。こうなると手がつけられない。
対するマクドナルドは自分の距離を維持して、まっすぐ速いパンチをローラーの出鼻にあてて、相手の距離感を狂わせ苛立たせたいところだろう。しかしどこまでそれを継続できるのか見モノである。ヘンドリクスのようにテイクダウンを組み合わせて上下に攻めわければ大いに勝機があるとおもわれるが、そうなるとローラーの方が一枚上手なのではないかという気がするし、いつかのように距離をとって立ち技打撃一本というスタイルであれば百戦錬磨のローラーには敵わないのではないかという気がする。
判定でローラー予想
Featherweight Dennis Bermudez vs. Jeremy Stephens
スティーブンスの強打が当たれば面白いが、ムラっ気のある選手だけにどうであろう。今回も計量に失敗しており、性格的にやや問題のある選手なのではなかろうか。
判定でバミューデズ予想。
Welterweight Gunnar Nelson vs. Brandon Thatch
アイスランドのネルソンは前回リック・ストーリに僅差の判定で敗れてはいるが、打撃も柔術も上手くてぐいぐい前に出てくる、単純に「つよい」という印象の残る選手である。
一方のキックボクサーのブランドン・ザッチも強力な打撃をもった選手であり、これは負けた方がタダでは済まなそうな試合になるだろう。
ネルソンはよほど自分のアゴのつよさに自信があるのか、ガードを下げた構えのまま強引に前へ出てゆく、という場面が記憶に多く残っている。ザッチのような強打をもった選手に対してあんなふうに無防備のまま前進してしまえば、かなり危険だろう。今回もそんなふうならやはりノックアウトされてしまうのではなかろうか。
寝技も打撃も高いレベルのネルソン、慎重に丁寧に立ち会うのであれば大いに勝機はあるとおもうが、私の印象にもとづけばやはりザッチのパンチがよく当たるのではないかという気がする。
ザッチによるノックアウト予想。
Bantamweight Brad Pickett vs. Thomas Almeida
まだ高校生のような顔だちをしたアルメイダは20戦に届こうという戦績ながら無敗であり,闘争心を絵に描いたような闘い方をする天才的な選手である。この試合,ピケットは咬ませ犬的な役どころでしかなく,アルメイダが問題なくノックアウトするであろう。
アルメイダによるノックアウト予想。
Welterweight Matt Brown vs. Tim Means
若いながら膨大な戦績をもつミーンズであるのだが、攻めも守りもやや荒削りなところが目立つようにおもう。トップランカーのブラウンの敵ではないように思う。ましてブラウンは泥仕合には滅法つよい。
ブラウンによるノックアウト予想。
Bantamweight Cody Garbrandt vs. Henry Briones
24歳で6戦6勝6KOという戦績のガーブラントに注目してみたい。
前の試合ではとても23歳とはおもえない落ち着いた構えで対峙しており、よけカン、あてカンともに天才性を感じさせる選手のようだ。しかも試合中に骨折した右腕でもって渾身の振りを何度みせていた。格闘のために生まれてきたような天才坊やである。
ガーブラントによるノックアウト予想。
2015年6月28日日曜日
UFC Fight Night: Machida vs. Romero 感想
Middleweight Lyoto Machida vs. Yoel Romero
懸念していたとおりのことが起こった、という感じであった。
マチダはこの試合も距離を大きくとってよくフェイントを交えつつロメロの出鼻に速いパンチや蹴りを当ててゆこうという、いつもの戦法であった。じりじりと前にでるロメロのプレッシャーを避けるようにして、いつもより狭いオクタゴンのケージ際を周回していたマチダであった。
かつては『うごきを読みにくい(illusive)』と評されていたマチダだが、さすがに何年も変わらずのスタイルではワンパターンであり、研究されれば攻略されてしまうだろう。この日もいつもととくに変わり映えもせず、持ち駒は踏みこんでの打撃のみ。いくら相撲がつよいといっても、それはディフェンスのみにいえることで、組んで攻撃につなげるということをしない。
対するロメロは、レスリングは五輪メダリストのレベルであり、打撃も申し分ない破壊力があり一発で相手を眠らせられる。現代格闘では引き出しの多いロメロのような選手が活躍する時代ということなのだろう。
マチダも空手に柔術に相撲と多種にわたって玄人であるのだが、組み技は防御にのみ使われるだけで、攻撃はどうしても空手流の打撃だけである。マチダのような選手は、少なくとも男子の現代格闘においては、もはや時代遅れなのでろう。
力のあるロメロがマチダを捕まえて力まかせに倒し、ゴリゴリと削って決着がつくのではないかと予想していたが、その展開は予想以上に速かった。ロメロが強引に力まかせに行ったのだとしたら、相撲上手のマチダならしのげただろう。ロメロが組んでからが猛烈に速かった。組んだとおもったら、一瞬でマチダをマットに倒し、寝かしつけた。こういう流れるような動きが瞬時に出せるというのは、トップレベルのレスリング能力が体にしみ込んで初めてできる芸当なのではないか。
また、レスリングの専門家のロメロだが、序盤から最終ラウンドまでずっと打撃戦であり、組みに行くそぶりすら見せなかった。最後の最後で一気に勝負をつけんとするところまで、レスリングを温存してたかのようであった。マチダはあっさり倒された。倒されると、マチダは弱い。結果は見てのとおりである。
ロメロは運動能力が高い反面、筋肉量が多くスタミナに懸念があると以前より指摘されていた。もちろん年齢的なこともあるだろう。しかし意外なことに最終ラウンドでのTKO勝ちが多い選手でもある。
まるで燃料タンクが二つあるかのようだが、これは自身の運動機能の生理的な違いを体験的にしっかり使い分けている、ということだろう。有酸素運動という持久戦においては人並みな消耗疲弊が目に見えてわかるが、勝機をつかむやいなやいつでも無酸素運動に移行できる選手であり、それがあの特徴的な瞬発力、爆発力となって、相手を圧倒するのだろう。まさに、火事場のクソぢから、である。これがロメロのつよさの一つの大きな特徴だろう。
最後に、ロメロの精神性について触れておきたい。
ロメロは自身を『神に選ばれた兵士』と呼んでいる。そういう精神性がないと、あそこまで狂気じみた攻撃はできないのではないか。執拗な肘によって、マチダの顔面はぐちゃぐちゃにされた。常人にはあそこまで人間の顔面を破壊できるものではない。まるで人間性を失った戦場の兵士ような無慈悲なまでの肉体破壊。もちろんトップランクの選手ならばそういう選手はいくらでもいるが、文明圏でぬくぬくと暮らしている常人にはとても出来ない芸当だとおもうし、そういう部分が傑出している点もロメロのつよさの秘密ではなかろうか。倒した相手へ与えたダメージを心配して駆け寄るマチダとは対照的である。
では、ロメロは無敵なのか、ということになるが、私はそんなことはないとおもう。
今回のマチダの敗北のいちばんの原因は、ロメロのつよさ以前に、マチダの劣化にあるとおもうし、それは年齢的なものだけでなく、前の試合で脳にうけたダメージによるものだとおもう。全盛期のマチダ、エヴァンスを倒した頃のマチダならば、ロメロにもじゅうぶん勝てていたのではないか。
ロメロとジャッカレとの対戦がまた注目されるようになり、おそらく今年中には行われるのではなかろうか。そうなれば私は速さにおいても持ち駒の数でもトップレベルにあるジャッカレの方がつよいとおもう。
懸念していたとおりのことが起こった、という感じであった。
マチダはこの試合も距離を大きくとってよくフェイントを交えつつロメロの出鼻に速いパンチや蹴りを当ててゆこうという、いつもの戦法であった。じりじりと前にでるロメロのプレッシャーを避けるようにして、いつもより狭いオクタゴンのケージ際を周回していたマチダであった。
かつては『うごきを読みにくい(illusive)』と評されていたマチダだが、さすがに何年も変わらずのスタイルではワンパターンであり、研究されれば攻略されてしまうだろう。この日もいつもととくに変わり映えもせず、持ち駒は踏みこんでの打撃のみ。いくら相撲がつよいといっても、それはディフェンスのみにいえることで、組んで攻撃につなげるということをしない。
対するロメロは、レスリングは五輪メダリストのレベルであり、打撃も申し分ない破壊力があり一発で相手を眠らせられる。現代格闘では引き出しの多いロメロのような選手が活躍する時代ということなのだろう。
マチダも空手に柔術に相撲と多種にわたって玄人であるのだが、組み技は防御にのみ使われるだけで、攻撃はどうしても空手流の打撃だけである。マチダのような選手は、少なくとも男子の現代格闘においては、もはや時代遅れなのでろう。
力のあるロメロがマチダを捕まえて力まかせに倒し、ゴリゴリと削って決着がつくのではないかと予想していたが、その展開は予想以上に速かった。ロメロが強引に力まかせに行ったのだとしたら、相撲上手のマチダならしのげただろう。ロメロが組んでからが猛烈に速かった。組んだとおもったら、一瞬でマチダをマットに倒し、寝かしつけた。こういう流れるような動きが瞬時に出せるというのは、トップレベルのレスリング能力が体にしみ込んで初めてできる芸当なのではないか。
また、レスリングの専門家のロメロだが、序盤から最終ラウンドまでずっと打撃戦であり、組みに行くそぶりすら見せなかった。最後の最後で一気に勝負をつけんとするところまで、レスリングを温存してたかのようであった。マチダはあっさり倒された。倒されると、マチダは弱い。結果は見てのとおりである。
ロメロは運動能力が高い反面、筋肉量が多くスタミナに懸念があると以前より指摘されていた。もちろん年齢的なこともあるだろう。しかし意外なことに最終ラウンドでのTKO勝ちが多い選手でもある。
まるで燃料タンクが二つあるかのようだが、これは自身の運動機能の生理的な違いを体験的にしっかり使い分けている、ということだろう。有酸素運動という持久戦においては人並みな消耗疲弊が目に見えてわかるが、勝機をつかむやいなやいつでも無酸素運動に移行できる選手であり、それがあの特徴的な瞬発力、爆発力となって、相手を圧倒するのだろう。まさに、火事場のクソぢから、である。これがロメロのつよさの一つの大きな特徴だろう。
最後に、ロメロの精神性について触れておきたい。
ロメロは自身を『神に選ばれた兵士』と呼んでいる。そういう精神性がないと、あそこまで狂気じみた攻撃はできないのではないか。執拗な肘によって、マチダの顔面はぐちゃぐちゃにされた。常人にはあそこまで人間の顔面を破壊できるものではない。まるで人間性を失った戦場の兵士ような無慈悲なまでの肉体破壊。もちろんトップランクの選手ならばそういう選手はいくらでもいるが、文明圏でぬくぬくと暮らしている常人にはとても出来ない芸当だとおもうし、そういう部分が傑出している点もロメロのつよさの秘密ではなかろうか。倒した相手へ与えたダメージを心配して駆け寄るマチダとは対照的である。
では、ロメロは無敵なのか、ということになるが、私はそんなことはないとおもう。
今回のマチダの敗北のいちばんの原因は、ロメロのつよさ以前に、マチダの劣化にあるとおもうし、それは年齢的なものだけでなく、前の試合で脳にうけたダメージによるものだとおもう。全盛期のマチダ、エヴァンスを倒した頃のマチダならば、ロメロにもじゅうぶん勝てていたのではないか。
ロメロとジャッカレとの対戦がまた注目されるようになり、おそらく今年中には行われるのではなかろうか。そうなれば私は速さにおいても持ち駒の数でもトップレベルにあるジャッカレの方がつよいとおもう。
2015年6月24日水曜日
UFC Fight Night: Machida vs. Romero 予想
Middleweight Lyoto Machida vs. Yoel Romero
ついこないだルーク・ロックホールドに完膚なきまでノサれたマチダであるが、頭部にかなりのダメージを負っていただけに、再起するにはあまりにも間隔が早すぎるのではないか。
ロックホールドの体重ののった肘を側頭部に受けたマチダは、初回終了後フラフラして、まともに立っていることができなかった。一時的に聴力を失っており、セコンドの言ってることがまったく聞こえなかったという。
そういう選手がロメロのような破壊力をもった百戦錬磨の選手と対峙して、勝てればいいが、もし負けてしまった場合、うけるダメージは尋常ではないだろう。
マチダがとほうもない勇気の持ち主なのか、あるいは無鉄砲なのか。
自信があるからこそ対戦するのだろうが、リョート・ファンの私としてはとても心配である。
マチダはこの試合も距離を大きくとってよくフェイントを出し、ロメロの出鼻に速いパンチや蹴りを当てていくという、いつもの戦法だろう。
力のあるロメロはマチダを捕まえて、力まかせに持ち上げるなりして倒し、ゴリゴリと削っていこうとするのではないか。タヴォーレス戦では陽動的な二段前蹴りで相手を下がらせておいて、そこへ強引に踏みこんでゆくという連続技で、立ち位置のとり方のうまいタヴォーレスを完全に崩し、破壊した。
そういう攻めが果たしてマチダに通用するのか、ということなのだろうが、私は通用するとおもう。マチダは攻められ劣勢になったときに負けん気で我武者羅に盛り返す、というタイプではなく、やや固まってしまう悪いクセがある。一発でもロメロの強打を頭部に受ければ、腰が落ちるだろう。一旦そうなってからマチダが逆転できるとはおもえない。ましてロメロといえば、勝機をつかめば興奮して脱糞してしまうような男であり、鎧のような筋肉は飾りではない。こういう選手に対してひとたび劣勢になると、かなり危険である。
頭部打撃に対するマチダの反応は近年かなり鈍ってきたようにみえるし、度重なる頭部へのダメージからここで一発でも打撃を頭部に受ければ、それで意識は飛んでしまいかねない。相撲上手のマチダだが、ロメロのような怪力の相手に踏みとどまれるのか。
マチダに勝機があるとすれば、距離をとっての根くらべでロメロが疲弊した場合ぐらいしか思い浮かべられない。
残念ながら私はマチダが勝てるとはおもえない。
ロメロによるノックアウト予想。
マチダはこれで引退だろう。
ついこないだルーク・ロックホールドに完膚なきまでノサれたマチダであるが、頭部にかなりのダメージを負っていただけに、再起するにはあまりにも間隔が早すぎるのではないか。
ロックホールドの体重ののった肘を側頭部に受けたマチダは、初回終了後フラフラして、まともに立っていることができなかった。一時的に聴力を失っており、セコンドの言ってることがまったく聞こえなかったという。
そういう選手がロメロのような破壊力をもった百戦錬磨の選手と対峙して、勝てればいいが、もし負けてしまった場合、うけるダメージは尋常ではないだろう。
マチダがとほうもない勇気の持ち主なのか、あるいは無鉄砲なのか。
自信があるからこそ対戦するのだろうが、リョート・ファンの私としてはとても心配である。
マチダはこの試合も距離を大きくとってよくフェイントを出し、ロメロの出鼻に速いパンチや蹴りを当てていくという、いつもの戦法だろう。
力のあるロメロはマチダを捕まえて、力まかせに持ち上げるなりして倒し、ゴリゴリと削っていこうとするのではないか。タヴォーレス戦では陽動的な二段前蹴りで相手を下がらせておいて、そこへ強引に踏みこんでゆくという連続技で、立ち位置のとり方のうまいタヴォーレスを完全に崩し、破壊した。
そういう攻めが果たしてマチダに通用するのか、ということなのだろうが、私は通用するとおもう。マチダは攻められ劣勢になったときに負けん気で我武者羅に盛り返す、というタイプではなく、やや固まってしまう悪いクセがある。一発でもロメロの強打を頭部に受ければ、腰が落ちるだろう。一旦そうなってからマチダが逆転できるとはおもえない。ましてロメロといえば、勝機をつかめば興奮して脱糞してしまうような男であり、鎧のような筋肉は飾りではない。こういう選手に対してひとたび劣勢になると、かなり危険である。
頭部打撃に対するマチダの反応は近年かなり鈍ってきたようにみえるし、度重なる頭部へのダメージからここで一発でも打撃を頭部に受ければ、それで意識は飛んでしまいかねない。相撲上手のマチダだが、ロメロのような怪力の相手に踏みとどまれるのか。
マチダに勝機があるとすれば、距離をとっての根くらべでロメロが疲弊した場合ぐらいしか思い浮かべられない。
残念ながら私はマチダが勝てるとはおもえない。
ロメロによるノックアウト予想。
マチダはこれで引退だろう。
2015年6月20日土曜日
UFC Fight Night: Jędrzejczyk vs. Penne 感想
Women's Strawweight Joanna Jędrzejczyk vs. Jessica Penne
実に見ごたえのある試合だったが、ヨアナが圧倒的なつよさをみせた。
『打撃がナマクラな女子格闘はつまらない』という先入観を根底から覆すような、ヨアナのパンチであった。回転が速く、そして強力で、回を追うごとにその斬れ味は増していったようにみえた。ヨアナはボクシングでも王者になれるのではないか。
パンチだけではない。ジェシカに最大の致命傷を与えたのは離れ際の右肘一閃だろう。鼻骨わきに部分にかなり深い裂傷を与え、別人の鼻のように大きく腫れあがっていた。
ヨアナのパンチばかり気になるが、彼女のフットワークもバランスも、実にいい。相撲もつよく、相手がむしゃぶりついてテイクダウンに手間取っていると、上から鉈のような肘が飛んでくる。
しばらくはヨアナが王者として君臨するだろうが、女子ストローはとにかく層が厚く、粒ぞろいである。ロンダ・ラウジーのような無敵でいられるかどうか今後も注目してみたい。
Featherweight Tatsuya Kawajiri vs. Dennis Siver
川尻は序盤から大きく距離をとって、おもむろに変則的なアッパーカットや、大きな後ろまわし蹴り、パンチとバックブローの連続技などを出したり、あるいは試合中に意図的に目をそらしたり(輪島功一氏がやった作戦)などと様々に攪乱翻弄してみせたが、中盤以降はシーヴァの脚にむしゃぶりつくようにして抱きつきテイクダウンとカウントしてもらえそうなのをいくつか決め、みごとに判定勝利を収めた。
その点、シーヴァはパンチも蹴りもことごとく川尻に誤魔化され、まったく冴えなかった。
川尻の見事な勝利であったが、試合内容は決して見栄えのするものでなく、いくら勝ったとはいえ印象は決して良いものでは無かっただろう。あんなはっきりしない試合ばかりでは、川尻がいくら勝ち星を続けることができたとしてもファンでもなんでもない観客には魅力には映らず、愛想をつかされてしまうのではないか。もっと見どころ多い試合をしないと今後UFCに居続けるのは難しくなってゆくだろう。
さらに言えば、今どきの格闘では打撃をもっていない選手は流行らないのであり、またあれでは上位にもまったく通用しないのではないか。引退前に一花咲かせられればいいんだ、というレベルならそれはそれで結構だが、しかしUFCでもっと上を目指すのなら何かステートメントのある勝ち方ができないと、世界では人気は出ない。
とか書くとまるで川尻選手を嫌っているみたいだが、どんな気持ちで試合をみていたかは私のツィートを参照していただきたい。
実に見ごたえのある試合だったが、ヨアナが圧倒的なつよさをみせた。
『打撃がナマクラな女子格闘はつまらない』という先入観を根底から覆すような、ヨアナのパンチであった。回転が速く、そして強力で、回を追うごとにその斬れ味は増していったようにみえた。ヨアナはボクシングでも王者になれるのではないか。
パンチだけではない。ジェシカに最大の致命傷を与えたのは離れ際の右肘一閃だろう。鼻骨わきに部分にかなり深い裂傷を与え、別人の鼻のように大きく腫れあがっていた。
ヨアナのパンチばかり気になるが、彼女のフットワークもバランスも、実にいい。相撲もつよく、相手がむしゃぶりついてテイクダウンに手間取っていると、上から鉈のような肘が飛んでくる。
しばらくはヨアナが王者として君臨するだろうが、女子ストローはとにかく層が厚く、粒ぞろいである。ロンダ・ラウジーのような無敵でいられるかどうか今後も注目してみたい。
Featherweight Tatsuya Kawajiri vs. Dennis Siver
川尻は序盤から大きく距離をとって、おもむろに変則的なアッパーカットや、大きな後ろまわし蹴り、パンチとバックブローの連続技などを出したり、あるいは試合中に意図的に目をそらしたり(輪島功一氏がやった作戦)などと様々に攪乱翻弄してみせたが、中盤以降はシーヴァの脚にむしゃぶりつくようにして抱きつきテイクダウンとカウントしてもらえそうなのをいくつか決め、みごとに判定勝利を収めた。
その点、シーヴァはパンチも蹴りもことごとく川尻に誤魔化され、まったく冴えなかった。
川尻の見事な勝利であったが、試合内容は決して見栄えのするものでなく、いくら勝ったとはいえ印象は決して良いものでは無かっただろう。あんなはっきりしない試合ばかりでは、川尻がいくら勝ち星を続けることができたとしてもファンでもなんでもない観客には魅力には映らず、愛想をつかされてしまうのではないか。もっと見どころ多い試合をしないと今後UFCに居続けるのは難しくなってゆくだろう。
さらに言えば、今どきの格闘では打撃をもっていない選手は流行らないのであり、またあれでは上位にもまったく通用しないのではないか。引退前に一花咲かせられればいいんだ、というレベルならそれはそれで結構だが、しかしUFCでもっと上を目指すのなら何かステートメントのある勝ち方ができないと、世界では人気は出ない。
とか書くとまるで川尻選手を嫌っているみたいだが、どんな気持ちで試合をみていたかは私のツィートを参照していただきたい。
ラベル:
JędrzejczykJ,
KawajiriT,
PenneJ,
SiverD
UFC 188: Velasquez vs. Werdum 感想
まだ試合を観ていないのだが、結果も状況もだいたい知っている。
―――
一週間たって、ようやく録画を観ることができた。
ヴェラスケスが初回から全開で攻めていってる。ドス・サントス戦では意地の対決という面もあり、両者は初回から全開で立ち向かい、また両者の歯車はよくかみ合ったかんじがした。その上でヴェラスケスの方が力で勝さっていた。
この試合も、前回のドス・サントス戦とよく似た立ち上がりであった。が、なんだか観たかんじ雑なように見える。先入観でそう見えるだけなのかもしれないが。ヴェラスケスはウェルドゥムをやや甘く見ていたのではないか、というかんじさえした。
ヴェラスケスはさほどウェルドゥムを恐れてはいなかったのではなかろうか。ウェルドゥムといえば柔術師であり、過去の試合の録画を見返せばパンチは実にナマクラであった。レスラー出身の格闘家はエリートになればなるほど、レスリングがつよくてその上でボクシングができる選手を恐れるフシがある。コテコテの武道系格闘家なにするものぞという見くびりがあったのではなかろうか。
ウェルドゥムを褒めよう。
ヴェラスケスの突進に対して一歩も下がらなかった。最後は待ってましたとばかりに狙いすましたような絞め技だったが、勝因はそれではなく、むしろ序盤から続いた打撃戦で一歩も下がらなかった点だろう。
いつもの回転の速く相手の中心線に集中するようなヴェラスケスのパンチが、この日はぜんぶ振り回すように外から出ていて、不正確であったようにみえた。それと比べるとウェルドゥムのパンチは小さく、自分の体幹正中線から相手の体幹正中線へと真っ直ぐ正確に飛んでいった。軽く出しても体重が乗っている。ヴェラスケスが強振してきても、まったく恐れをみせず、それによろこんで応じるように相撃ちに出て、また、しっかり先に当てていた。打撃とくにパンチでウェルドゥムの方が上手かった。これがまずヴェラスケス陣営にしてみれば最大の誤算であったろう。
ヴェラスケスの前進に対してはタイ・クリンチで徹底していた。中量級では当たり前の防御であり攻めであるが、ヘビー級では珍しいかもしれない。 膝を突き上げるだけでなく、体重を相手の首に預けるようにして、ヴェラスケスのスタミナを奪っていった。
はっきりと、ヴェラスケスの完敗であった。
高地順応の所為だという声もあるが、高地で生活すれば赤血球の量は増えても、疲労が抜けぬために激しいトレーニングをするのは難しいときく。だから勝因は必ずしも高地のせいだけではないと思う。もちろん、やれることをすべてやりつくしたウェルドゥムの精神面での充実は大きいとおもわれるが。
ヴェラスケスが低地で練習を続けたのは、単に高地を甘くみていたのではなく、それはそれで意味があったのだろうとおもう。打撃にいまいち爆発力の感じられないウェルダムはヴェラスケスの強いプレッシャーを伴った打撃戦では敵わないだろう、と我々ファンが予想していたように、ヴェラスケス陣営も同様な予想をたて短期決戦という意気込みがあったのではないか。それで低地トレーニングによる瞬発力に期待したのではないか。ヴェラスケスの試合展開もそんなかんじであった。
しかし作戦としては、失敗であった。ウェルドゥムの方がよく研究してきており、ヴェラスケスのすべてを正面から封じ、打ち勝って、絞め落とした。見事な勝利であった。
幸い、ヴェラスケスが頭部に受けたダメージは軽微であり、次の試合への影響は少ないであろう。次回のヴェラスケスはもう少し慎重に行くのではないか。
入念に対策を練り人事を尽くしたウェルドゥムがヴェラスケスを見事にギロチン・チョークに極めたとのこと。
―――
一週間たって、ようやく録画を観ることができた。
ヴェラスケスが初回から全開で攻めていってる。ドス・サントス戦では意地の対決という面もあり、両者は初回から全開で立ち向かい、また両者の歯車はよくかみ合ったかんじがした。その上でヴェラスケスの方が力で勝さっていた。
この試合も、前回のドス・サントス戦とよく似た立ち上がりであった。が、なんだか観たかんじ雑なように見える。先入観でそう見えるだけなのかもしれないが。ヴェラスケスはウェルドゥムをやや甘く見ていたのではないか、というかんじさえした。
ヴェラスケスはさほどウェルドゥムを恐れてはいなかったのではなかろうか。ウェルドゥムといえば柔術師であり、過去の試合の録画を見返せばパンチは実にナマクラであった。レスラー出身の格闘家はエリートになればなるほど、レスリングがつよくてその上でボクシングができる選手を恐れるフシがある。コテコテの武道系格闘家なにするものぞという見くびりがあったのではなかろうか。
ウェルドゥムを褒めよう。
ヴェラスケスの突進に対して一歩も下がらなかった。最後は待ってましたとばかりに狙いすましたような絞め技だったが、勝因はそれではなく、むしろ序盤から続いた打撃戦で一歩も下がらなかった点だろう。
いつもの回転の速く相手の中心線に集中するようなヴェラスケスのパンチが、この日はぜんぶ振り回すように外から出ていて、不正確であったようにみえた。それと比べるとウェルドゥムのパンチは小さく、自分の体幹正中線から相手の体幹正中線へと真っ直ぐ正確に飛んでいった。軽く出しても体重が乗っている。ヴェラスケスが強振してきても、まったく恐れをみせず、それによろこんで応じるように相撃ちに出て、また、しっかり先に当てていた。打撃とくにパンチでウェルドゥムの方が上手かった。これがまずヴェラスケス陣営にしてみれば最大の誤算であったろう。
ヴェラスケスの前進に対してはタイ・クリンチで徹底していた。中量級では当たり前の防御であり攻めであるが、ヘビー級では珍しいかもしれない。 膝を突き上げるだけでなく、体重を相手の首に預けるようにして、ヴェラスケスのスタミナを奪っていった。
はっきりと、ヴェラスケスの完敗であった。
高地順応の所為だという声もあるが、高地で生活すれば赤血球の量は増えても、疲労が抜けぬために激しいトレーニングをするのは難しいときく。だから勝因は必ずしも高地のせいだけではないと思う。もちろん、やれることをすべてやりつくしたウェルドゥムの精神面での充実は大きいとおもわれるが。
ヴェラスケスが低地で練習を続けたのは、単に高地を甘くみていたのではなく、それはそれで意味があったのだろうとおもう。打撃にいまいち爆発力の感じられないウェルダムはヴェラスケスの強いプレッシャーを伴った打撃戦では敵わないだろう、と我々ファンが予想していたように、ヴェラスケス陣営も同様な予想をたて短期決戦という意気込みがあったのではないか。それで低地トレーニングによる瞬発力に期待したのではないか。ヴェラスケスの試合展開もそんなかんじであった。
しかし作戦としては、失敗であった。ウェルドゥムの方がよく研究してきており、ヴェラスケスのすべてを正面から封じ、打ち勝って、絞め落とした。見事な勝利であった。
幸い、ヴェラスケスが頭部に受けたダメージは軽微であり、次の試合への影響は少ないであろう。次回のヴェラスケスはもう少し慎重に行くのではないか。
ラベル:
VelasquezC,
WerdumF
2015年6月9日火曜日
UFC 188: Velasquez vs. Werdum 予想
Heavyweight Cain Velasquez vs. Fabrício Werdum
ミノタウロを瞬殺し、レスナーに泣き声をあげさせ、ドスサントスを二度にわたってグロッキーにさせた男が、ようやくオクタゴンに帰ってくる。コンパクトに真っ直ぐ伸びる右ストレートには体重がのっておりその威力は総合格闘一と言われている。全米トップクラスだったレスリング能力もヘビー級において卓越しているケイン・ヴェラスケスの登場である。対戦相手はいわゆる大物食いと呼ばれる曲者ウェルドム。
過去の対戦を思いかえせば、問題なくヴェラスケスの方がつよいだろう。レスナー健在のヘビー級全盛期の頃からドスサントスとヴェラスケスのつよさは抜きんでていたし、その両者は三度にわたって対戦し、二戦目、三戦目でヴェラスケスが完全に圧倒し、ドスサントスを壊してしまった。
一方のウェルドムといえば、ドスサントスの出会いがしらのアッパーで沈んでおり、Strikeforce 時代にオフレイムのようなハートの弱い選手と全く冴えないつまらぬ試合をしての判定負け。終盤に逃げまわって僅差の判定勝ちを得て大喜びしていた試合もあったことから、あまり私の好きな選手ではない。
ウェルドムが勝てるとしたら、何か意表をついた一撃なり絞め技なりで一発逆転できたときだろう。こないだのブラウン戦でみせたようなアウトボクシングをしてもヴェラスケスには通用しないであろうし、組んでもベラスケスに相撲で勝てるとは思えない。また、スタミナを比較したら、両者にはかなりの開きがあり、回を追うごとにウェルドムは下降してゆくのではないか。
ウェルドムによる逆転劇があるのではないか、と PRIDE 時代からのファンの方々は思われているかもしれないが、公平に採点を振り分けていけばヴェラスケスが明らかに実力が上だろうと私はおもう。
どちらが勝つにせよ判定で終わることはなく、私はヴェラスケスが早い回にてノックアウトと予想したい。
Lightweight Gilbert Melendez vs. Eddie Alvarez
強いハートでぶつかり合いにめっぽうつよいアルヴァレスだが、メレンデズもレスリングの専門家であり強打をもっている。これはいい試合になるのではないか。
判定でメレンデズ予想。
Middleweight Kelvin Gastelum vs. Nate Marquardt
ウェルター級ではウェイトが苦しいガステラムが前回は減量に失敗して初の敗北を喫した。いつまでも前へ出続けるつよいカーディオとレスリング力で、このところ明らかに下降線上にあるマーコートを圧倒するだろうとおもう。
ノックアウトでガステラム予想。
Flyweight Chico Camus vs. Henry Cejudo
フライ級王者マイティマウスにとってもっとも危険な男がこのセフードではなかろうか。
レスリング北京五輪金メダリストであるだけにレスリングは無敵であり、歴戦を勝ち抜いたアスリートだけに勝ち気も根性も尋常ではない。パンチを出せば真っ直ぐ相手の中心線にむかって連打が飛んでゆく。
前回、相手を圧倒したにもかかわらず本人にとっては不本意な内容だったらしい。この試合で満足のいく結果を出すだろう。
ノックアウトでセフード予想。
ミノタウロを瞬殺し、レスナーに泣き声をあげさせ、ドスサントスを二度にわたってグロッキーにさせた男が、ようやくオクタゴンに帰ってくる。コンパクトに真っ直ぐ伸びる右ストレートには体重がのっておりその威力は総合格闘一と言われている。全米トップクラスだったレスリング能力もヘビー級において卓越しているケイン・ヴェラスケスの登場である。対戦相手はいわゆる大物食いと呼ばれる曲者ウェルドム。
過去の対戦を思いかえせば、問題なくヴェラスケスの方がつよいだろう。レスナー健在のヘビー級全盛期の頃からドスサントスとヴェラスケスのつよさは抜きんでていたし、その両者は三度にわたって対戦し、二戦目、三戦目でヴェラスケスが完全に圧倒し、ドスサントスを壊してしまった。
一方のウェルドムといえば、ドスサントスの出会いがしらのアッパーで沈んでおり、Strikeforce 時代にオフレイムのようなハートの弱い選手と全く冴えないつまらぬ試合をしての判定負け。終盤に逃げまわって僅差の判定勝ちを得て大喜びしていた試合もあったことから、あまり私の好きな選手ではない。
ウェルドムが勝てるとしたら、何か意表をついた一撃なり絞め技なりで一発逆転できたときだろう。こないだのブラウン戦でみせたようなアウトボクシングをしてもヴェラスケスには通用しないであろうし、組んでもベラスケスに相撲で勝てるとは思えない。また、スタミナを比較したら、両者にはかなりの開きがあり、回を追うごとにウェルドムは下降してゆくのではないか。
ウェルドムによる逆転劇があるのではないか、と PRIDE 時代からのファンの方々は思われているかもしれないが、公平に採点を振り分けていけばヴェラスケスが明らかに実力が上だろうと私はおもう。
どちらが勝つにせよ判定で終わることはなく、私はヴェラスケスが早い回にてノックアウトと予想したい。
Lightweight Gilbert Melendez vs. Eddie Alvarez
強いハートでぶつかり合いにめっぽうつよいアルヴァレスだが、メレンデズもレスリングの専門家であり強打をもっている。これはいい試合になるのではないか。
判定でメレンデズ予想。
Middleweight Kelvin Gastelum vs. Nate Marquardt
ウェルター級ではウェイトが苦しいガステラムが前回は減量に失敗して初の敗北を喫した。いつまでも前へ出続けるつよいカーディオとレスリング力で、このところ明らかに下降線上にあるマーコートを圧倒するだろうとおもう。
ノックアウトでガステラム予想。
Flyweight Chico Camus vs. Henry Cejudo
フライ級王者マイティマウスにとってもっとも危険な男がこのセフードではなかろうか。
レスリング北京五輪金メダリストであるだけにレスリングは無敵であり、歴戦を勝ち抜いたアスリートだけに勝ち気も根性も尋常ではない。パンチを出せば真っ直ぐ相手の中心線にむかって連打が飛んでゆく。
前回、相手を圧倒したにもかかわらず本人にとっては不本意な内容だったらしい。この試合で満足のいく結果を出すだろう。
ノックアウトでセフード予想。
ラベル:
AlvarezE,
CamusC,
CejudoH,
GastelumK,
MarquardtN,
MelendezG,
VelasquezC,
WerdumF
2015年6月7日日曜日
UFC Fight Night: Boetsch vs. Henderson 感想
Middleweight Tim Boetsch vs. Dan Henderson
ボウチは一世一代の試合と、試合前の記者会見からして気合がここまで伝わってくるようであった。私はボウチが圧倒するだろうとおもっていたのだが、ここまでみごとにヘンドが勝つとはおもってもみなかった。
試合前のヘンドのインタビュー映像など見るに、いかにも老けたかんじさえして、目線も焦点が合っているんだか怪しく、言葉の滑舌もわるく、過去の数試合でのノックアウト負けの後遺症がかなり進行しているのではないかとさえおもわせるようなかんじだった。この試合でボウチの強打でもってノックアウトされてしまったら、選手生命どころかこの後の日常生活にさえも支障をきたすのではないかとさえ深読みしてしまった。
が、試合が始まれば、ヘンドのうごきは良かった。自信満々で前進してくるボウチに対して、ちょっと下がって誘い、踏みとどまって、おもむろに右が文字通り、ぱぁん!と真っ直ぐ入った。そしてさらにもう一発、得意のオーバーハンドではなく、真っ直ぐな右。そしてあのヒョードルを倒した場面をソウフツさせる右のアッパーカット。そして機械仕掛けのような無心の連打。ボウチの額が割れ、ヘンドも右こぶしを傷めたらしい。
これまで「よっこらしょ」と野球の投球のように大きく反動をつけて放っていた右のオーバーハンドが H-bomb と呼ばれ、必殺技として恐れられていたわけだが、モーションが大きく相手に読まれ、不発に終わる試合が続いていた。体重の載った右をもっといつでも出せるようにとボクシングの基本に返って右ストレートを練習してきたのだろうか。それくらいコンパクトに中から真っ直ぐ出た、いかにも丹下段平が絶賛しそうな、みごとなパンチだった。
ボウチはずっとランクを登ったり下りたりで、ここでヘンドに勝ってはずみをつけようと自信をもって臨んだだけに、負けたのは残念であったろう。序盤から足をつかったり、相撲をとったりして、老齢なヘンドのスタミナを削ってゆくような作戦でいけば、あるいはボウチが圧倒していたであろう。それをせず、試合開始と同時に真正面から向かっていったボウチは、えらい。
Heavyweight Ben Rothwell vs. Matt Mitrione
私は、総合格闘において腕力やタフネスさほどアテにならないものはなく、とにかくスピードこそが、という信仰をもって観戦しているのだが、この試合でもやはり手の速さに定評のあるミトリオーネが圧倒するだろう、と予想していた。
いくらロスウェルが頑丈な選手とはいえ、重量級のパンチが一発でも先に当たった方が勝つだろうとおもっていた。
実際、試合がはじまってミトリオーネの方がよく足をつかい、ぽんぽんと軽いパンチを当てていた。軽いといってもKO率が9割ちかい選手であり、あたれば確実にダメージがいくだろう。ロスウェルはべた足の仁王立ちで、相手の方を向いて回るだけであった。やはりミネストローネか、とおもっていたところでミトリオーネが組んで中途半端なテイクダウンを試みたのが命取りとなった。ロスウェルがぐいと締め上げるようにしてタップアウト。
試合よりも、試合後のインタビューのロスウェルの「むぁはははは!」という作り笑いの方が印象ぶかかった。会場は一斉にドン引いていたが(笑
Lightweight Dustin Poirier vs. Yancy Medeiros
当てカンがよく打ちあいにめっぽうつよいポリエであったが、今日もまさにそんなかんじの勝ち方だった。リーチあるメデイロに対して踏み込んでみごとに右のクロスを当て、さらに左をアゴにクリーンヒットさせて、メデロは完全に脚にきていた。そこから打撃でたたみかけるかとおもったが、体がもつれて寝技に移行し、メデロはダメージから回復できるかにみえたが立ってからもダメージは残っており、また同じようにポリエの連打が面白いようにあたっていた。
地元で快勝できて気分もよかったであろう。
Featherweight Thiago Tavares vs. Brian Ortega
この試合が今回のベスト・バウトなのではないかとおもっている。
両者ともに柔術を得意としており、絞め技による勝利が多いのだが、タヴォーレスはパンチで勝った試合も多いことで、ここは打撃もできるタヴォーレスが断然有利なのではないかと予想した。
実際タヴォーレスのパンチの方がソリッドであり、序盤からよくプレッシャーをかけて積極的だったのもタヴォーレスだった。タヴォーレスのテイクダウンも何度かきまり、オルテガが腕をつかんで十字や三角締めを狙ってもまったく動じることなく防いでいた。
ポイント的には初回、二回ともタヴォーレスだったのだろうけど、オルテガのグランドでの防御といい、フルマウントされてからのエスケープといい、実に見事だった。タヴォーレスの王道の攻めに対して、オルテガはまさにケンカ上手というかんじで、床を背にしたまま切れ味のある肘や拳のナックルパートでなく剥き出しの指第二関節をを何度かオルテガの額に当て、皮膚を割っていた。
タヴォーレスの出血量は尋常でなく、運動能力を持続する上で無視できぬ量だったのではなかろうか。しだいに反応が鈍っていくようになり、最後はパンチが無いと思われていたオルテガのパンチがまともに入り、いっきにパウンドで試合を決めた。オルテガの見事な勝利であった。
24歳であれだけ辛抱づよい闘い方ができ、まるでケンカの天才と呼びたくなるようなえげつない肘の出せるオルテガという選手、将来有望である。フェザー級は層が厚い。
Bantamweight Joe Soto vs. Anthony Birchak
寝技主体のバーチャク、組んでいくのかとおもいきや立ち技の打撃一本ですばらしい攻めをみせていた。
Bantamweight Francisco Rivera vs. Alex Caceres
両者ともにユライア・フェイバーに倒されているという触れ込みだったが、リヴェラはフェイバー相手にいい試合をしていたのに目を突かれるという実に不運で残念な結果に終わってしまったわけで、決してカセレスのように弱い選手ではない。
リヴェラが勝つだろうとおもって観ていた。
カセレスはパンチにまったく力がこもっておらず、あれでは誰だって喜んで相撃ちに応じるであろう。リヴェラがこれでもかとばかりに踏み込んで右のクロスを当て、左のフォローでカセレスはばったり倒された。その後パウンドまでもつれたが、はっきりとわかるリヴェラの勝利であった。
運気復調のリヴェラの次に注目したい。
Heavyweight Shawn Jordan vs. Derrick Lewis
体躯も大きく12勝のうち11KOというとほうもない強打のルイスであり、ジョーダンのようなアンコ力士体型の選手では敵わないだろう、とおもっていた。
序盤ジョーダンは半端な距離を避け、距離を大きくとるか、おもいきって跳びこむんで倒しにかかるかではっきりしており、じつに良かった。またルイスは倒されてしまうとからっきしダメだった。ジョーダンの肘が何度かルイスの頭部顔面に落とされていたようにみえたが、ルイスはタフでケロッとしていた。ルイスはほんものの黒き野獣のようであった。
二回にジョーダンが踏み込んで何をするかと思いきや、おもむろに上段横蹴りのような後ろまわし蹴りをくりだし、それがルイスの頬ゲタにまともにあたって、それで一気に勝負がついた。
ショーン・ジョーダンのみごとな勝利であった。
Welterweight Brian Ebersole vs. Omari Akhmedov
70戦ちかい戦績のエバーソウル、格闘好きだけどそれに見合うだけの運動能力がいまひとつという印象で、それを知力や作戦で補っているかんじ。しかし現代格闘のレベルには到底達しえないという印象であり、これは運動能力の高いアクメドフが問題なく勝つであろうとおもっていた。
初回のアクメドフの蹴りを膝にうけて、試合放棄。
初回の最後までそれを隠しとおしたのは大したものだ。
アクメドフの強打が目だったが、相変わらずパンチが外からなのばかりで、あのままでは上位には通用しないだろう。
Lightweight Chris Wade vs. Christos Giagos
ウェイドのレスリングのうまさが光ったが、ヒアゴの打撃もよく当たっていた。序盤は両者ともにきびきびとしたうごきをみせ見ごたえがあったが、両者とも決め手を欠いたまま疲れてしまい、試合の印象はパッとしないものになった
Middleweight Ricardo Abreu vs. Jake Collier
コリアーはせっかくのリーチがあるのに、ハエが止まりそうなパンチしか出せない。あれでは上に来るのは難しいだろう。
内容的にはアブレイの方が上手かったようにみえたが、判定はコリアーだった。
Bantamweight José Quiñonez vs. Leonardo Morales
24歳と22歳の活きのいい選手同士によるみごたえある試合だった。
ボウチは一世一代の試合と、試合前の記者会見からして気合がここまで伝わってくるようであった。私はボウチが圧倒するだろうとおもっていたのだが、ここまでみごとにヘンドが勝つとはおもってもみなかった。
試合前のヘンドのインタビュー映像など見るに、いかにも老けたかんじさえして、目線も焦点が合っているんだか怪しく、言葉の滑舌もわるく、過去の数試合でのノックアウト負けの後遺症がかなり進行しているのではないかとさえおもわせるようなかんじだった。この試合でボウチの強打でもってノックアウトされてしまったら、選手生命どころかこの後の日常生活にさえも支障をきたすのではないかとさえ深読みしてしまった。
が、試合が始まれば、ヘンドのうごきは良かった。自信満々で前進してくるボウチに対して、ちょっと下がって誘い、踏みとどまって、おもむろに右が文字通り、ぱぁん!と真っ直ぐ入った。そしてさらにもう一発、得意のオーバーハンドではなく、真っ直ぐな右。そしてあのヒョードルを倒した場面をソウフツさせる右のアッパーカット。そして機械仕掛けのような無心の連打。ボウチの額が割れ、ヘンドも右こぶしを傷めたらしい。
これまで「よっこらしょ」と野球の投球のように大きく反動をつけて放っていた右のオーバーハンドが H-bomb と呼ばれ、必殺技として恐れられていたわけだが、モーションが大きく相手に読まれ、不発に終わる試合が続いていた。体重の載った右をもっといつでも出せるようにとボクシングの基本に返って右ストレートを練習してきたのだろうか。それくらいコンパクトに中から真っ直ぐ出た、いかにも丹下段平が絶賛しそうな、みごとなパンチだった。
ボウチはずっとランクを登ったり下りたりで、ここでヘンドに勝ってはずみをつけようと自信をもって臨んだだけに、負けたのは残念であったろう。序盤から足をつかったり、相撲をとったりして、老齢なヘンドのスタミナを削ってゆくような作戦でいけば、あるいはボウチが圧倒していたであろう。それをせず、試合開始と同時に真正面から向かっていったボウチは、えらい。
Heavyweight Ben Rothwell vs. Matt Mitrione
私は、総合格闘において腕力やタフネスさほどアテにならないものはなく、とにかくスピードこそが、という信仰をもって観戦しているのだが、この試合でもやはり手の速さに定評のあるミトリオーネが圧倒するだろう、と予想していた。
いくらロスウェルが頑丈な選手とはいえ、重量級のパンチが一発でも先に当たった方が勝つだろうとおもっていた。
実際、試合がはじまってミトリオーネの方がよく足をつかい、ぽんぽんと軽いパンチを当てていた。軽いといってもKO率が9割ちかい選手であり、あたれば確実にダメージがいくだろう。ロスウェルはべた足の仁王立ちで、相手の方を向いて回るだけであった。やはりミネストローネか、とおもっていたところでミトリオーネが組んで中途半端なテイクダウンを試みたのが命取りとなった。ロスウェルがぐいと締め上げるようにしてタップアウト。
試合よりも、試合後のインタビューのロスウェルの「むぁはははは!」という作り笑いの方が印象ぶかかった。会場は一斉にドン引いていたが(笑
Lightweight Dustin Poirier vs. Yancy Medeiros
当てカンがよく打ちあいにめっぽうつよいポリエであったが、今日もまさにそんなかんじの勝ち方だった。リーチあるメデイロに対して踏み込んでみごとに右のクロスを当て、さらに左をアゴにクリーンヒットさせて、メデロは完全に脚にきていた。そこから打撃でたたみかけるかとおもったが、体がもつれて寝技に移行し、メデロはダメージから回復できるかにみえたが立ってからもダメージは残っており、また同じようにポリエの連打が面白いようにあたっていた。
地元で快勝できて気分もよかったであろう。
Featherweight Thiago Tavares vs. Brian Ortega
この試合が今回のベスト・バウトなのではないかとおもっている。
両者ともに柔術を得意としており、絞め技による勝利が多いのだが、タヴォーレスはパンチで勝った試合も多いことで、ここは打撃もできるタヴォーレスが断然有利なのではないかと予想した。
実際タヴォーレスのパンチの方がソリッドであり、序盤からよくプレッシャーをかけて積極的だったのもタヴォーレスだった。タヴォーレスのテイクダウンも何度かきまり、オルテガが腕をつかんで十字や三角締めを狙ってもまったく動じることなく防いでいた。
ポイント的には初回、二回ともタヴォーレスだったのだろうけど、オルテガのグランドでの防御といい、フルマウントされてからのエスケープといい、実に見事だった。タヴォーレスの王道の攻めに対して、オルテガはまさにケンカ上手というかんじで、床を背にしたまま切れ味のある肘や拳のナックルパートでなく剥き出しの指第二関節をを何度かオルテガの額に当て、皮膚を割っていた。
タヴォーレスの出血量は尋常でなく、運動能力を持続する上で無視できぬ量だったのではなかろうか。しだいに反応が鈍っていくようになり、最後はパンチが無いと思われていたオルテガのパンチがまともに入り、いっきにパウンドで試合を決めた。オルテガの見事な勝利であった。
24歳であれだけ辛抱づよい闘い方ができ、まるでケンカの天才と呼びたくなるようなえげつない肘の出せるオルテガという選手、将来有望である。フェザー級は層が厚い。
Bantamweight Joe Soto vs. Anthony Birchak
寝技主体のバーチャク、組んでいくのかとおもいきや立ち技の打撃一本ですばらしい攻めをみせていた。
Bantamweight Francisco Rivera vs. Alex Caceres
両者ともにユライア・フェイバーに倒されているという触れ込みだったが、リヴェラはフェイバー相手にいい試合をしていたのに目を突かれるという実に不運で残念な結果に終わってしまったわけで、決してカセレスのように弱い選手ではない。
リヴェラが勝つだろうとおもって観ていた。
カセレスはパンチにまったく力がこもっておらず、あれでは誰だって喜んで相撃ちに応じるであろう。リヴェラがこれでもかとばかりに踏み込んで右のクロスを当て、左のフォローでカセレスはばったり倒された。その後パウンドまでもつれたが、はっきりとわかるリヴェラの勝利であった。
運気復調のリヴェラの次に注目したい。
Heavyweight Shawn Jordan vs. Derrick Lewis
体躯も大きく12勝のうち11KOというとほうもない強打のルイスであり、ジョーダンのようなアンコ力士体型の選手では敵わないだろう、とおもっていた。
序盤ジョーダンは半端な距離を避け、距離を大きくとるか、おもいきって跳びこむんで倒しにかかるかではっきりしており、じつに良かった。またルイスは倒されてしまうとからっきしダメだった。ジョーダンの肘が何度かルイスの頭部顔面に落とされていたようにみえたが、ルイスはタフでケロッとしていた。ルイスはほんものの黒き野獣のようであった。
二回にジョーダンが踏み込んで何をするかと思いきや、おもむろに上段横蹴りのような後ろまわし蹴りをくりだし、それがルイスの頬ゲタにまともにあたって、それで一気に勝負がついた。
ショーン・ジョーダンのみごとな勝利であった。
Welterweight Brian Ebersole vs. Omari Akhmedov
70戦ちかい戦績のエバーソウル、格闘好きだけどそれに見合うだけの運動能力がいまひとつという印象で、それを知力や作戦で補っているかんじ。しかし現代格闘のレベルには到底達しえないという印象であり、これは運動能力の高いアクメドフが問題なく勝つであろうとおもっていた。
初回のアクメドフの蹴りを膝にうけて、試合放棄。
初回の最後までそれを隠しとおしたのは大したものだ。
アクメドフの強打が目だったが、相変わらずパンチが外からなのばかりで、あのままでは上位には通用しないだろう。
Lightweight Chris Wade vs. Christos Giagos
ウェイドのレスリングのうまさが光ったが、ヒアゴの打撃もよく当たっていた。序盤は両者ともにきびきびとしたうごきをみせ見ごたえがあったが、両者とも決め手を欠いたまま疲れてしまい、試合の印象はパッとしないものになった
Middleweight Ricardo Abreu vs. Jake Collier
コリアーはせっかくのリーチがあるのに、ハエが止まりそうなパンチしか出せない。あれでは上に来るのは難しいだろう。
内容的にはアブレイの方が上手かったようにみえたが、判定はコリアーだった。
Bantamweight José Quiñonez vs. Leonardo Morales
24歳と22歳の活きのいい選手同士によるみごたえある試合だった。
2015年6月1日月曜日
UFC Fight Night: Condit vs. Alves 感想
旅行に行ってたためリアルタイムで観れなかったが、なかなか注目すべき若い選手が登場してきた興行であったようだ。
Welterweight Carlos Condit vs. Thiago Alves
ウッドレイ戦で膝の靭帯を傷めてしまったコンディットの再起戦だが、左右の肘をつかった実にえげつない攻撃をみせてくれた。
序盤のコンディットは距離を維持しつつリーチを生かした速いパンチと蹴りのコンボをよく出していた。が、アルヴェスのパンチがタイミングをよくとらえてコンディットの出鼻を制し、また重い蹴りもコンディットの膝によく当たり、アルヴェスが感触を得つつあるようにみえた。
ところが初回中盤あたりからコンディットが奇妙な肘を出しはじめた。オーソドックスでおもむろに右から入りつつ、踏みこんで左肘、そして近距離から右フックもしくは肘で終えるというコンボなのだが、その左肘が、渾身の右とほとんど一緒に出るため、受ける側は防ぎようがない。その肘が二回中盤にアルヴェスの鼻柱をとらえ、それが致命傷となった。アルヴェスはその後もよく耐えて猛然と反撃を試みたが、3回開始前にドクターストップとなったてしまった。
コンディットの踏みこんだ肘は左だけでなく、サウスポのスタンスからも同じように右肘を出したり、組むとみせかけて肘を突き出したりと、実に多彩でえげつなかった。ストレートパンチを直球とすれば、あの肘はまるでキレのいいスライダーのようで、受ける側としてみるとまったくどうしようもない。コンディットがふたたび上位陣にとっての脅威になるであろう。今後のウェルター級戦線が楽しみである。
Featherweight Charles Oliveira vs. Nik Lentz
オリヴィエラが頻繁に出す膝がよく腹部に当たっていた。力の差がかなり歴然としていたにもかかわらず、明らかに試合を決めるべきところでも、すっぱりと勝負をつけようとせず、パウンドを途中で止めたりして、その後はなぶるように相手を傷めつけていた。このオリヴィエラという選手、実はかなりいやな男なのではないか。
Welterweight Alex Oliveira vs. K.J. Noons
とても長いリーチを生かして遠くから切れ味のある打撃を当ててくるオリヴィエラのスタイルは、ちょっとアンデウソンをソウフツさせたが、やや雑で、正確さにおいてまだまだである、という印象。
しかしリーチを生かした打撃で圧倒しつつも、最後はからめ捕るように裸絞めであったのは見事であった。
Welterweight Darren Till vs. Wendell Oliveira
リバプール出身のティルは22歳のサウスポー、体が大きく、安定感があり相撲がつよく、骨太でちからがある。グランドでは相手に上体をあずけてしまうことなく、自身の下肢に体重を残したまま相手をいたぶることが出来、また実にえげつない肘が出せる。相当のポテンシャルを秘めた将来有望な選手である。
Featherweight Mirsad Bektic vs. Lucas Martins
ベクティクという選手は24歳、これまたとほうもない選手である。エネルギーに満ちあふれたようなアグレッシブなうごきで、打撃でも組んでも実に力強いという印象。マーチンスといえば、エルキンス相手にかなりいい試合をした、鋭い打撃をもった選手である。それがべくティスにはまったく相手にならなかった。このベクティクという選手、上位を脅かす存在になるのは必至だろう。
Welterweight Tom Breese vs. Luiz Dutra
イングランドのブリースは23歳、長身のサウスポーで、これもかなりのポテンシャルをもった選手だろう。
Welterweight Carlos Condit vs. Thiago Alves
ウッドレイ戦で膝の靭帯を傷めてしまったコンディットの再起戦だが、左右の肘をつかった実にえげつない攻撃をみせてくれた。
序盤のコンディットは距離を維持しつつリーチを生かした速いパンチと蹴りのコンボをよく出していた。が、アルヴェスのパンチがタイミングをよくとらえてコンディットの出鼻を制し、また重い蹴りもコンディットの膝によく当たり、アルヴェスが感触を得つつあるようにみえた。
ところが初回中盤あたりからコンディットが奇妙な肘を出しはじめた。オーソドックスでおもむろに右から入りつつ、踏みこんで左肘、そして近距離から右フックもしくは肘で終えるというコンボなのだが、その左肘が、渾身の右とほとんど一緒に出るため、受ける側は防ぎようがない。その肘が二回中盤にアルヴェスの鼻柱をとらえ、それが致命傷となった。アルヴェスはその後もよく耐えて猛然と反撃を試みたが、3回開始前にドクターストップとなったてしまった。
コンディットの踏みこんだ肘は左だけでなく、サウスポのスタンスからも同じように右肘を出したり、組むとみせかけて肘を突き出したりと、実に多彩でえげつなかった。ストレートパンチを直球とすれば、あの肘はまるでキレのいいスライダーのようで、受ける側としてみるとまったくどうしようもない。コンディットがふたたび上位陣にとっての脅威になるであろう。今後のウェルター級戦線が楽しみである。
Featherweight Charles Oliveira vs. Nik Lentz
オリヴィエラが頻繁に出す膝がよく腹部に当たっていた。力の差がかなり歴然としていたにもかかわらず、明らかに試合を決めるべきところでも、すっぱりと勝負をつけようとせず、パウンドを途中で止めたりして、その後はなぶるように相手を傷めつけていた。このオリヴィエラという選手、実はかなりいやな男なのではないか。
Welterweight Alex Oliveira vs. K.J. Noons
とても長いリーチを生かして遠くから切れ味のある打撃を当ててくるオリヴィエラのスタイルは、ちょっとアンデウソンをソウフツさせたが、やや雑で、正確さにおいてまだまだである、という印象。
しかしリーチを生かした打撃で圧倒しつつも、最後はからめ捕るように裸絞めであったのは見事であった。
Welterweight Darren Till vs. Wendell Oliveira
リバプール出身のティルは22歳のサウスポー、体が大きく、安定感があり相撲がつよく、骨太でちからがある。グランドでは相手に上体をあずけてしまうことなく、自身の下肢に体重を残したまま相手をいたぶることが出来、また実にえげつない肘が出せる。相当のポテンシャルを秘めた将来有望な選手である。
Featherweight Mirsad Bektic vs. Lucas Martins
ベクティクという選手は24歳、これまたとほうもない選手である。エネルギーに満ちあふれたようなアグレッシブなうごきで、打撃でも組んでも実に力強いという印象。マーチンスといえば、エルキンス相手にかなりいい試合をした、鋭い打撃をもった選手である。それがべくティスにはまったく相手にならなかった。このベクティクという選手、上位を脅かす存在になるのは必至だろう。
Welterweight Tom Breese vs. Luiz Dutra
イングランドのブリースは23歳、長身のサウスポーで、これもかなりのポテンシャルをもった選手だろう。
2015年5月24日日曜日
UFC 187: Johnson vs. Cormier 感想
Light Heavyweight Anthony Johnson vs. Daniel Cormier
やはりコーミエの方がつよかった。開始早々いきなりジョンソンの右が当たり、コーミエがつんのめるようにして倒れる場面があったのだが、コーミエはよくしのいだ。予想どおりコーミエは徹底して前に出て組みに行き、組めば体重をうまく相手に乗せてジョンソンのスタミナをどんどん奪っていった。
初回の終了間際に、コーミエは肘でジョンソンの目の横のあたりを割った。そこからジョンソンの戦意がどんどん減衰していったのがわかった。打撃によるダメージというより、精神的な脆さのようなものが見て取れた。セコンドに「深呼吸をしろ!」と怒鳴られて、はっと我に返るほど、気持ちが動転していたかんじだった。
ジョンソンのような選手は超人的な瞬発力で上り調子で来ればとほうもなく強いが、壁にぶつかったとき、わりあいとあっさり闘志がゆらぐところがある。2R開始のブザーが鳴ったときのジョンソンの表情をみて、コーミエは勝利を確信しただろう。
コーミエが勝つべくして勝った、という感じであった。
緊迫して実に面白い、格闘ファン冥利につきる試合であったが、さらに絞め技で決まっただけに脳震盪など後遺症として残りやすい頭部へのダメージが少なかったことも付け加えておきたい。コーミエの防衛戦、あるいはリマッチにしても、またベストなコンディションで試合が出来るだろう。
Middleweight Chris Weidman vs. Vitor Belfort
ベウフォートの皮膚のたるみが気になった。急激な減量のせいなのだろう。あるいはテストステロン投与を止めたせいなのか、よくわからないが、見た感じ良い状態とは思えなかった。
初回から両者全開でぶつかり合い、最初に当てたのはベウフォートの方だった。右のフックがワイドマンの顔面に当たり、ワイドマンが後退するという場面があった。そこで一気に勝負がつくかとおもったが、ワイドマンはよくしのいだ。
両者熱くなったところで、もう一丁ぶつかるか!というところで、レスラーは絶妙なテイクダウンに行き見事に決まる。そこからは体格とパワーで勝るワイドマンの独壇場であった。
終わってみればワイドマンが圧倒したが、あのワイドマンがぐらついて後退した場面があったのが印象に残った。
ワイドマンは次にロックホールドと対戦するのだろう。両者体格的に五分五分だし、打撃の破壊力をもった選手どうし、これは相当なぶつかり合いになるんだろう。負けた方が壊されるのは目に見えている。できればやらせたくない試合であるが、すごく楽しみである
Lightweight Donald Cerrone vs. John Makdessi
序盤からマクデッシがよく足をつかって攻め、左のジャブ、フックがタイミングよく当たり、いい感じであった。百戦錬磨の猛禽のように相手を見据えるセローニはあわてる様子もなかったが、なかなかやるな、とはおもっていたのではなかろうか。あのまま判定になればマクデッシだったかもしれない。が、セローニの攻めは変化に富んでおり、パンチの後に半身で突き出した肘など見事にマクデッシのアゴをとらえ、蹴りもだんだん当たるようになっていった。セローニのパンチも、ボクシングや空手ではあり得ないような前進しながら拳を連続で出すような攻めをみせ、マクデッシはカウンターを合わせきれずに後退していた。
最後は左のまわしげりだったか、マクデッシの顔の側面にあたり、マクデッシはたまらずタイムのポーズをする。アゴが折れたらしい。どの部分が折れたかにもよるが、顎関節部分だと治癒が厄介である。これからが期待できるすぐれた格闘家であるだけに、早期の回復を祈りたい。
Heavyweight Travis Browne vs. Andrei Arlovski
異常人のブラウンが打撃専門家のアロフスキを圧倒するのではないかとおもっていたが、蓋を開けてみれば、打撃の専門家がきれいなフォームで繰り出すパンチの破壊力はすごかった。バスン、バスンと突き抜けるように、アロフスキのパンチがことごとく当たり、ブラウンは棒立ちで足がもつれっぱなしであった。
倒れなかったとはいえ、ブラウンの受けた脳震盪はかなり重そうであり、今後打撃に対する反応と抵抗力はさらに低下してしまうのではなかろうか。
Flyweight Joseph Benavidez vs. John Moraga
くりくり坊主頭で高度経済成長期の日本の地方の少年のような風貌のモラガ、外見だけでなくたたかいぶりにも負けん気が出ていて、積極的に前に出ての打ち合い、とてもよかった。組んだ状態からフロント・スープレクスのような強引な投げ技もみせていたが、これはベナヴィデズがよく対処した。
試合が膠着すれば、変化に富んだベナヴィデズの方がやはり上手であった。結果、つねにベナヴィデズが一歩先んじる形で試合が進み、おわってみれば3-0の判定であった。
Flyweight John Dodson vs. Zach Makovsky
速い出入りのドドソンに対し、マコフスキの左がよく反応してドドソンの顔面によく当たり、意外にもドドソンを苦戦させていた。
ストリーミングが不安定となり、勝敗を決した3Rをよく観戦できなかったのが残念であった。
Welterweight Dong Hyun Kim vs. Josh Burkman
バークマンの豪快なスウィングが当たってキムの足がもつれ、あわやという場面もあったが、キムはよくピンチをしのいだ。組めばキムの方が明らかにうまく、というよりバークマンが下手だった。キムは徹底的に組んで寝技で仕留めた。
これと似た対戦で、岡見=ボウチ戦を思いだしながら見ていた。岡見も明らかにボウチよりうまかったのだが、ジャブでポイントは取れても決め手に欠け、それでもって相手を仕留められるわけでなし、結局ボウチのケンカ式連打を当てられてマットに沈んだ。キムは徹底して相手の下手な土俵で闘って、それをしっかり仕留めにつなげた。キムをほめるべきだろう。
Middleweight Uriah Hall vs. Rafael Natal
ユライヤ・ホールは斬れ味のある打撃主体の全身凶器であるけれど、スパッとした一発を狙ってなのか、攻めが単調で工夫がみられなかった。一方、サポの方が相手との距離をなくそうと積極的に出入りし工夫し変化していた。
最終ラウンドは判定では自分が有利と踏んだのだろうか、ホールはとたんに消極的になり、さらに距離をとるようになった。ああいう一撃をもったオフェンス力ある選手が、カッコばっかりつけたり、あるいは判定勝ちにこだわってセコい試合をすると、実に興ざめである。
割れた判定でサポが勝ったが、ユライヤにとっていいクスリだろう。メイウェザーのこないだの試合がいかに世間で不評だったのか、よく考えるべきだろう。
Lightweight Islam Makhachev vs. Leo Kuntz
クンツもよかったが、マカチェフが圧倒した。マカチェフはサンボの達人らしく、この日も払い腰のような投げ技を見事に決めていた。サウスポのスタンスで踏み込みざまにお辞儀するように大きなオーバーハンドの左を出していた。ストレートより振り回すパンチが多く、どれもナックルが返っていないオープンブロー気味で、むき出しの指関節部分を相手の頭部に当てていたのが気になった。厳密にはあれは反則になるのではないか。
Flyweight Justin Scoggins vs. Josh Sampo
23歳のスコギンスは半身の構えで頻繁にスタンスを変えていたが、中盤以降はサウスポで定着、右足をジャブのように使うために足の位置がかなり極端な半身であった。リーチのある多彩な蹴りがかなり相手にとって煩わしかったようではあるが、それが決め手になったり突破口を開くほどのものでもなかった。
若くして打撃のうまい選手であったが、私の好きな豪傑というより、ちょっとした小細工上手という印象であった。
やはりコーミエの方がつよかった。開始早々いきなりジョンソンの右が当たり、コーミエがつんのめるようにして倒れる場面があったのだが、コーミエはよくしのいだ。予想どおりコーミエは徹底して前に出て組みに行き、組めば体重をうまく相手に乗せてジョンソンのスタミナをどんどん奪っていった。
初回の終了間際に、コーミエは肘でジョンソンの目の横のあたりを割った。そこからジョンソンの戦意がどんどん減衰していったのがわかった。打撃によるダメージというより、精神的な脆さのようなものが見て取れた。セコンドに「深呼吸をしろ!」と怒鳴られて、はっと我に返るほど、気持ちが動転していたかんじだった。
ジョンソンのような選手は超人的な瞬発力で上り調子で来ればとほうもなく強いが、壁にぶつかったとき、わりあいとあっさり闘志がゆらぐところがある。2R開始のブザーが鳴ったときのジョンソンの表情をみて、コーミエは勝利を確信しただろう。
コーミエが勝つべくして勝った、という感じであった。
緊迫して実に面白い、格闘ファン冥利につきる試合であったが、さらに絞め技で決まっただけに脳震盪など後遺症として残りやすい頭部へのダメージが少なかったことも付け加えておきたい。コーミエの防衛戦、あるいはリマッチにしても、またベストなコンディションで試合が出来るだろう。
Middleweight Chris Weidman vs. Vitor Belfort
ベウフォートの皮膚のたるみが気になった。急激な減量のせいなのだろう。あるいはテストステロン投与を止めたせいなのか、よくわからないが、見た感じ良い状態とは思えなかった。
初回から両者全開でぶつかり合い、最初に当てたのはベウフォートの方だった。右のフックがワイドマンの顔面に当たり、ワイドマンが後退するという場面があった。そこで一気に勝負がつくかとおもったが、ワイドマンはよくしのいだ。
両者熱くなったところで、もう一丁ぶつかるか!というところで、レスラーは絶妙なテイクダウンに行き見事に決まる。そこからは体格とパワーで勝るワイドマンの独壇場であった。
終わってみればワイドマンが圧倒したが、あのワイドマンがぐらついて後退した場面があったのが印象に残った。
ワイドマンは次にロックホールドと対戦するのだろう。両者体格的に五分五分だし、打撃の破壊力をもった選手どうし、これは相当なぶつかり合いになるんだろう。負けた方が壊されるのは目に見えている。できればやらせたくない試合であるが、すごく楽しみである
Lightweight Donald Cerrone vs. John Makdessi
序盤からマクデッシがよく足をつかって攻め、左のジャブ、フックがタイミングよく当たり、いい感じであった。百戦錬磨の猛禽のように相手を見据えるセローニはあわてる様子もなかったが、なかなかやるな、とはおもっていたのではなかろうか。あのまま判定になればマクデッシだったかもしれない。が、セローニの攻めは変化に富んでおり、パンチの後に半身で突き出した肘など見事にマクデッシのアゴをとらえ、蹴りもだんだん当たるようになっていった。セローニのパンチも、ボクシングや空手ではあり得ないような前進しながら拳を連続で出すような攻めをみせ、マクデッシはカウンターを合わせきれずに後退していた。
最後は左のまわしげりだったか、マクデッシの顔の側面にあたり、マクデッシはたまらずタイムのポーズをする。アゴが折れたらしい。どの部分が折れたかにもよるが、顎関節部分だと治癒が厄介である。これからが期待できるすぐれた格闘家であるだけに、早期の回復を祈りたい。
Heavyweight Travis Browne vs. Andrei Arlovski
異常人のブラウンが打撃専門家のアロフスキを圧倒するのではないかとおもっていたが、蓋を開けてみれば、打撃の専門家がきれいなフォームで繰り出すパンチの破壊力はすごかった。バスン、バスンと突き抜けるように、アロフスキのパンチがことごとく当たり、ブラウンは棒立ちで足がもつれっぱなしであった。
倒れなかったとはいえ、ブラウンの受けた脳震盪はかなり重そうであり、今後打撃に対する反応と抵抗力はさらに低下してしまうのではなかろうか。
Flyweight Joseph Benavidez vs. John Moraga
くりくり坊主頭で高度経済成長期の日本の地方の少年のような風貌のモラガ、外見だけでなくたたかいぶりにも負けん気が出ていて、積極的に前に出ての打ち合い、とてもよかった。組んだ状態からフロント・スープレクスのような強引な投げ技もみせていたが、これはベナヴィデズがよく対処した。
試合が膠着すれば、変化に富んだベナヴィデズの方がやはり上手であった。結果、つねにベナヴィデズが一歩先んじる形で試合が進み、おわってみれば3-0の判定であった。
Flyweight John Dodson vs. Zach Makovsky
速い出入りのドドソンに対し、マコフスキの左がよく反応してドドソンの顔面によく当たり、意外にもドドソンを苦戦させていた。
ストリーミングが不安定となり、勝敗を決した3Rをよく観戦できなかったのが残念であった。
Welterweight Dong Hyun Kim vs. Josh Burkman
バークマンの豪快なスウィングが当たってキムの足がもつれ、あわやという場面もあったが、キムはよくピンチをしのいだ。組めばキムの方が明らかにうまく、というよりバークマンが下手だった。キムは徹底的に組んで寝技で仕留めた。
これと似た対戦で、岡見=ボウチ戦を思いだしながら見ていた。岡見も明らかにボウチよりうまかったのだが、ジャブでポイントは取れても決め手に欠け、それでもって相手を仕留められるわけでなし、結局ボウチのケンカ式連打を当てられてマットに沈んだ。キムは徹底して相手の下手な土俵で闘って、それをしっかり仕留めにつなげた。キムをほめるべきだろう。
Middleweight Uriah Hall vs. Rafael Natal
ユライヤ・ホールは斬れ味のある打撃主体の全身凶器であるけれど、スパッとした一発を狙ってなのか、攻めが単調で工夫がみられなかった。一方、サポの方が相手との距離をなくそうと積極的に出入りし工夫し変化していた。
最終ラウンドは判定では自分が有利と踏んだのだろうか、ホールはとたんに消極的になり、さらに距離をとるようになった。ああいう一撃をもったオフェンス力ある選手が、カッコばっかりつけたり、あるいは判定勝ちにこだわってセコい試合をすると、実に興ざめである。
割れた判定でサポが勝ったが、ユライヤにとっていいクスリだろう。メイウェザーのこないだの試合がいかに世間で不評だったのか、よく考えるべきだろう。
Lightweight Islam Makhachev vs. Leo Kuntz
クンツもよかったが、マカチェフが圧倒した。マカチェフはサンボの達人らしく、この日も払い腰のような投げ技を見事に決めていた。サウスポのスタンスで踏み込みざまにお辞儀するように大きなオーバーハンドの左を出していた。ストレートより振り回すパンチが多く、どれもナックルが返っていないオープンブロー気味で、むき出しの指関節部分を相手の頭部に当てていたのが気になった。厳密にはあれは反則になるのではないか。
Flyweight Justin Scoggins vs. Josh Sampo
23歳のスコギンスは半身の構えで頻繁にスタンスを変えていたが、中盤以降はサウスポで定着、右足をジャブのように使うために足の位置がかなり極端な半身であった。リーチのある多彩な蹴りがかなり相手にとって煩わしかったようではあるが、それが決め手になったり突破口を開くほどのものでもなかった。
若くして打撃のうまい選手であったが、私の好きな豪傑というより、ちょっとした小細工上手という印象であった。
2015年5月19日火曜日
UFC 187: Johnson vs. Cormier 予想
Light Heavyweight Anthony Johnson vs. Daniel Cormier
上り調子だったアンソニー・ジョンソン、その実力はどうかとおもっている間にフィル・デイヴィスを圧倒し、ノゲイラを倒し、あれよあれよとガスタフソンまでノックアウトしてしまった。まさに波に乗っている選手である。
無敵のジョン・ジョーンズに対しても「この暴れん坊ジョンソンならば」という期待が込められていたわけだが、ジョーンズが交通事故現場でとった軽率な行動は実に残念であった。
で、コーミエである。大変期待のもてる、面白そうな一戦になるだろう。
どちらが勝つにしても、スパッと剃刀で切ったようなハッキリとした決着がつくのではなかろうか。
打撃ではジョンソンの方が殺傷力は大きいだろう。ジョンソンのパンチが一発でも当たり、そこでコーミエが下がってしまえば、一気にジョンソンがたたみかけて勝負を決めてしまいそうだ。
が、おそらくコーミエは強打を恐れて距離をとったりなどせず、積極的に前へ前へと出てゆくだろう。そうすれば私はコーミエの方がつよいのではないかとおもう。組めばどちらもレスリングの実力者であるが、それがとくに格闘の試合で光っているのはコーミエの方だろう。
よって、私はダニエル・コーミエによる判定勝ち予想。
Middleweight Chris Weidman vs. Vitor Belfort
両者長いブランクの末、待ちに待った対戦である。
百戦練磨のベウフォートであるが、ここ数年のキレのよいうごきは薬物によるものだったのではなかろうか、という疑惑がぬぐいきれない。年齢的な衰えも出てきているであろう。
リーチもあり、反応もよく、大きく強いプレッシャーをかけてゆくワイドマンが、ベウフォートを完全に食ってしまうのではないかとおもう。
ワイドマンによるノックアウト勝ち予想。
Lightweight Donald Cerrone vs. John Makdessi
ついこないだ見事な踏み込みで痛快にノックアウトを決めたマクデッシであるが、今回はちょっと相手が悪い、これまた百戦錬磨のケンカ職人、ライト級の門番長セローニである。
組みにくるセローニに対しタイミングよく硬い打撃を当てられればマクデッシにも勝機は大いにあるだろうけど、いくら切れ味あるカウンターが武器とはいえ、セローニのような相手には自分から突破口を開いて行けないと、これまでのように鮮やかには勝つことはできないだろう。
絞め技でセローニ予想。
Heavyweight Travis Browne vs. Andrei Arlovski
前回みごとにビッグ・フットをノックアウトしてみせたアーロフスキーであるが、ビッグ・フットは脳腫瘍をわずらっており、ツワモノらの強打を何度も頭部に受けている。相手のうごきに対する反応はかなり低下しているのが目に見えてわかり、よって彼に勝ったことはあまり参考にならない。
キックボクシングという型にややはまっているアーロフスキーに対して、単につよい異常人であるブラウンの攻めは自然体であり、型にはまっていない。だからどんな試合になるのか予想が難しいのだが、私はブラウンがつかまえ、何かしらの方法でアーロフスキーを破壊するとおもう。
ブラウン予想。
Flyweight Joseph Benavidez vs. John Moraga
私の好きな選手ベナヴィデズが、こんな下にきてしまうほど、この興行はスター選手ばかりである。
ベナヴィデズは格闘の教科書に書いてあるような高いガードで正攻法の攻めをみせる選手であったが、前回のオーティズ戦ではやや強引に行き過ぎたせいか内容はさして良くもなかった。今回の相手モラガは、ライバルであるドドソンにノックアウトされているだけに、負けるわけにはいかないだろう。
ベナヴィデズによる一本勝ち予想。
Flyweight John Dodson vs. Zach Makovsky
デメトリアス・ジョンソンに対する本命対抗馬といえばこの人ドドソンであろう。
いつも陽気に楽しそうに試合をする、私のもっとも好きな選手の一人である。
ちょっとしたブランクがあるものの、超人的なスピードの猿人ドドソンが圧倒して勝つであろう。
ドドソンによるノックアウト予想。
Welterweight Dong Hyun Kim vs. Josh Burkman
韓国のサラブレッド、キム・ドンヒュンが久しぶりに登場する。
相手は根性あれどヘクター・ロンバードにまるで歯が立たなかったバークマンである。
キムがレッスンつけるような形で優位に試合を進め圧倒するとおもう。
キム・ドンヒュンによる判定勝ち予想。
Middleweight Uriah Hall vs. Rafael Natal
一時期は脆さもあったユライヤ・ホールであるが、このごろは完全な全身凶器として波に乗っている。この試合も剃刀のような打撃を当てて圧倒するであろう。
ホールによるノックアウト予想。
Lightweight Islam Makhachev vs. Leo Kuntz
23歳で11戦全勝、ロシアのマカチェフに注目してみたい。
上り調子だったアンソニー・ジョンソン、その実力はどうかとおもっている間にフィル・デイヴィスを圧倒し、ノゲイラを倒し、あれよあれよとガスタフソンまでノックアウトしてしまった。まさに波に乗っている選手である。
無敵のジョン・ジョーンズに対しても「この暴れん坊ジョンソンならば」という期待が込められていたわけだが、ジョーンズが交通事故現場でとった軽率な行動は実に残念であった。
で、コーミエである。大変期待のもてる、面白そうな一戦になるだろう。
どちらが勝つにしても、スパッと剃刀で切ったようなハッキリとした決着がつくのではなかろうか。
打撃ではジョンソンの方が殺傷力は大きいだろう。ジョンソンのパンチが一発でも当たり、そこでコーミエが下がってしまえば、一気にジョンソンがたたみかけて勝負を決めてしまいそうだ。
が、おそらくコーミエは強打を恐れて距離をとったりなどせず、積極的に前へ前へと出てゆくだろう。そうすれば私はコーミエの方がつよいのではないかとおもう。組めばどちらもレスリングの実力者であるが、それがとくに格闘の試合で光っているのはコーミエの方だろう。
よって、私はダニエル・コーミエによる判定勝ち予想。
Middleweight Chris Weidman vs. Vitor Belfort
両者長いブランクの末、待ちに待った対戦である。
百戦練磨のベウフォートであるが、ここ数年のキレのよいうごきは薬物によるものだったのではなかろうか、という疑惑がぬぐいきれない。年齢的な衰えも出てきているであろう。
リーチもあり、反応もよく、大きく強いプレッシャーをかけてゆくワイドマンが、ベウフォートを完全に食ってしまうのではないかとおもう。
ワイドマンによるノックアウト勝ち予想。
Lightweight Donald Cerrone vs. John Makdessi
ついこないだ見事な踏み込みで痛快にノックアウトを決めたマクデッシであるが、今回はちょっと相手が悪い、これまた百戦錬磨のケンカ職人、ライト級の門番長セローニである。
組みにくるセローニに対しタイミングよく硬い打撃を当てられればマクデッシにも勝機は大いにあるだろうけど、いくら切れ味あるカウンターが武器とはいえ、セローニのような相手には自分から突破口を開いて行けないと、これまでのように鮮やかには勝つことはできないだろう。
絞め技でセローニ予想。
Heavyweight Travis Browne vs. Andrei Arlovski
前回みごとにビッグ・フットをノックアウトしてみせたアーロフスキーであるが、ビッグ・フットは脳腫瘍をわずらっており、ツワモノらの強打を何度も頭部に受けている。相手のうごきに対する反応はかなり低下しているのが目に見えてわかり、よって彼に勝ったことはあまり参考にならない。
キックボクシングという型にややはまっているアーロフスキーに対して、単につよい異常人であるブラウンの攻めは自然体であり、型にはまっていない。だからどんな試合になるのか予想が難しいのだが、私はブラウンがつかまえ、何かしらの方法でアーロフスキーを破壊するとおもう。
ブラウン予想。
Flyweight Joseph Benavidez vs. John Moraga
私の好きな選手ベナヴィデズが、こんな下にきてしまうほど、この興行はスター選手ばかりである。
ベナヴィデズは格闘の教科書に書いてあるような高いガードで正攻法の攻めをみせる選手であったが、前回のオーティズ戦ではやや強引に行き過ぎたせいか内容はさして良くもなかった。今回の相手モラガは、ライバルであるドドソンにノックアウトされているだけに、負けるわけにはいかないだろう。
ベナヴィデズによる一本勝ち予想。
Flyweight John Dodson vs. Zach Makovsky
デメトリアス・ジョンソンに対する本命対抗馬といえばこの人ドドソンであろう。
いつも陽気に楽しそうに試合をする、私のもっとも好きな選手の一人である。
ちょっとしたブランクがあるものの、超人的なスピードの猿人ドドソンが圧倒して勝つであろう。
ドドソンによるノックアウト予想。
Welterweight Dong Hyun Kim vs. Josh Burkman
韓国のサラブレッド、キム・ドンヒュンが久しぶりに登場する。
相手は根性あれどヘクター・ロンバードにまるで歯が立たなかったバークマンである。
キムがレッスンつけるような形で優位に試合を進め圧倒するとおもう。
キム・ドンヒュンによる判定勝ち予想。
Middleweight Uriah Hall vs. Rafael Natal
一時期は脆さもあったユライヤ・ホールであるが、このごろは完全な全身凶器として波に乗っている。この試合も剃刀のような打撃を当てて圧倒するであろう。
ホールによるノックアウト予想。
Lightweight Islam Makhachev vs. Leo Kuntz
23歳で11戦全勝、ロシアのマカチェフに注目してみたい。
2015年5月18日月曜日
UFC Fight Night: Edgar vs. Faber 感想
Featherweight Frankie Edgar vs. Urijah Faber
かなり拮抗した試合になるが体格差でエドガー有利か、と予想していた。しかし、蓋をあけてみると、予想が当たったとはいえ、その内容は全然違ったものであった。
まず、フェイバーの打撃がまったくエドガーに通用しなかった。エドガーの方が足も速く、動きも多彩であり、フェイバーのパンチはまったく届かなかった。
組んでからも、エドガーの方がレスリング上手であった。これは体格差もあるのかもしれないが、フェイバーがまったく普通の中堅どころの選手にしかみえないようなエドガーのうまさであった。
エドガーはこれまで過去の試合でわりと顔面に多くの打撃をうけてきた選手だけど、その反応のよさにはまったくかげりが見られない。
実に頑丈な選手である。
彼がアルドーに勝てるかとなると、また難しいところであるが、マッグリガーにならば勝てるのではないか。チャド・メンデズとやらせても面白い試合になるだろう。
Middleweight Gegard Mousasi vs. Costas Philippou
フィリプーには強打があるとはいえ、それが百戦錬磨のムサシにあたるともおもえず、また寝技がからっきしダメというのはわかっていたので、この試合、見る前から結果が見えていたようなものだった。
そして実に予想どおりフィリプーはムサシに倒され床ですりつぶされ、まったくいいところがなかった。終盤はボクシングでもムサシがフィリプーにレッスンつけているような格好になった。
ムサシとしてももっとつよい相手と対戦したいところだろう。
Middleweight Mark Muñoz vs. Luke Barnatt
ムニョスの引退試合であり、彼に勝たせるためのようなカードであった。
バーネットのなかなかやっかいな肘や膝に悩まされる場面がみられたが、ほぼ問題なくムニョスが勝利をものにした。
Welterweight Hyun Gyu Lim vs. Neil Magny
序盤、イムが積極的に強打を当てていき主導権を握りかけたが、マグニーはよくしのいだ。
強打しかとりえのないイムに対し、マグニーは長いリーチを生かしてボクシングもうまく、また寝技もからみつくように上手い。
イムを寝かせて以降は完全にマグニーの試合となり、最後は締め技で一本極めた。
Featherweight Phillipe Nover vs. Yui Chul Nam
序盤ノウヴァが良かったようにみえたが、ナムはよくアジャストして自分のペースをつかんでいき、拮抗した試合となった。が、内容的には特筆すべき点も少なく、ある意味退屈な試合でもあった。
判定に疑問の声もあったが、ノウヴァが僅差で勝った。
Featherweight Mark Eddiva vs. Levan Makashvili
前座の他の試合とくらべて格段にレベルの高い好試合であった。エディヴァもいい選手だが、マカシュヴィルが常にポイントを稼いでいたようにみえたし、結果そのとおりになった。マカシュヴィルは老獪げな試合をするがまだ26歳なのか。中東の選手かとおもったが、レスリングが堂に入っていていかにもアメリカ人らしいかんじであった。
エディヴァはぱっと見が混血のアジア人というかんじで、まるで日本の選手のようだった。
Lightweight Tae Hyun Bang vs. Jon Tuck
随所でカウンターを上手に当てていたタックが最後はかかと落としからパンチのコンボという連続技でみごとにヒョアンバンをノックアウトしてみせた。勝利者インタビューでも「おれはスーパーサイヤ人だ、今日の試合ではさらに進化してみせた ( Super Saiyan level 2)。自分は少なくとも世界のトップ10に入る逸材だ」と意気揚々と自賛してた。
タックはグアムのネイティブという珍しい血筋の格闘家である。
かかとを受けてしたりとばかりにとび込んだヒョアンバンが不用意だったか。
Lightweight Zhang Lipeng vs. Kajan Johnson
つよさ比べでなく、よわさ比べのような試合であった。
かなり拮抗した試合になるが体格差でエドガー有利か、と予想していた。しかし、蓋をあけてみると、予想が当たったとはいえ、その内容は全然違ったものであった。
まず、フェイバーの打撃がまったくエドガーに通用しなかった。エドガーの方が足も速く、動きも多彩であり、フェイバーのパンチはまったく届かなかった。
組んでからも、エドガーの方がレスリング上手であった。これは体格差もあるのかもしれないが、フェイバーがまったく普通の中堅どころの選手にしかみえないようなエドガーのうまさであった。
エドガーはこれまで過去の試合でわりと顔面に多くの打撃をうけてきた選手だけど、その反応のよさにはまったくかげりが見られない。
実に頑丈な選手である。
彼がアルドーに勝てるかとなると、また難しいところであるが、マッグリガーにならば勝てるのではないか。チャド・メンデズとやらせても面白い試合になるだろう。
Middleweight Gegard Mousasi vs. Costas Philippou
フィリプーには強打があるとはいえ、それが百戦錬磨のムサシにあたるともおもえず、また寝技がからっきしダメというのはわかっていたので、この試合、見る前から結果が見えていたようなものだった。
そして実に予想どおりフィリプーはムサシに倒され床ですりつぶされ、まったくいいところがなかった。終盤はボクシングでもムサシがフィリプーにレッスンつけているような格好になった。
ムサシとしてももっとつよい相手と対戦したいところだろう。
Middleweight Mark Muñoz vs. Luke Barnatt
ムニョスの引退試合であり、彼に勝たせるためのようなカードであった。
バーネットのなかなかやっかいな肘や膝に悩まされる場面がみられたが、ほぼ問題なくムニョスが勝利をものにした。
Welterweight Hyun Gyu Lim vs. Neil Magny
序盤、イムが積極的に強打を当てていき主導権を握りかけたが、マグニーはよくしのいだ。
強打しかとりえのないイムに対し、マグニーは長いリーチを生かしてボクシングもうまく、また寝技もからみつくように上手い。
イムを寝かせて以降は完全にマグニーの試合となり、最後は締め技で一本極めた。
Featherweight Phillipe Nover vs. Yui Chul Nam
序盤ノウヴァが良かったようにみえたが、ナムはよくアジャストして自分のペースをつかんでいき、拮抗した試合となった。が、内容的には特筆すべき点も少なく、ある意味退屈な試合でもあった。
判定に疑問の声もあったが、ノウヴァが僅差で勝った。
Featherweight Mark Eddiva vs. Levan Makashvili
前座の他の試合とくらべて格段にレベルの高い好試合であった。エディヴァもいい選手だが、マカシュヴィルが常にポイントを稼いでいたようにみえたし、結果そのとおりになった。マカシュヴィルは老獪げな試合をするがまだ26歳なのか。中東の選手かとおもったが、レスリングが堂に入っていていかにもアメリカ人らしいかんじであった。
エディヴァはぱっと見が混血のアジア人というかんじで、まるで日本の選手のようだった。
Lightweight Tae Hyun Bang vs. Jon Tuck
随所でカウンターを上手に当てていたタックが最後はかかと落としからパンチのコンボという連続技でみごとにヒョアンバンをノックアウトしてみせた。勝利者インタビューでも「おれはスーパーサイヤ人だ、今日の試合ではさらに進化してみせた ( Super Saiyan level 2)。自分は少なくとも世界のトップ10に入る逸材だ」と意気揚々と自賛してた。
タックはグアムのネイティブという珍しい血筋の格闘家である。
かかとを受けてしたりとばかりにとび込んだヒョアンバンが不用意だったか。
Lightweight Zhang Lipeng vs. Kajan Johnson
つよさ比べでなく、よわさ比べのような試合であった。
2015年5月14日木曜日
UFC Fight Night: Edgar vs. Faber 予想
Featherweight Frankie Edgar vs. Urijah Faber
これはきわめて予想の難しい一戦であろう。両者ともにレスリングを知っており、両者ともに高いカーディオ能力をもっている。
両者の違いというと、力強く直線的なうごきの多い印象のフェイバーに対し、より左右の動きが多く上体のやわらかいエドガー。
かなり微妙な判定になるとおもうが、私は尻上がりに感触をつかんでゆくエドガーに分があるのではないかとおもう。
エドガーによる判定勝ち予想。
追記(5/15/2015)
両者の体格差を考慮に入れていなかった。エドガーはライト級から落としてフェザーに、一方フェイバーはバンタムから上げてフェザーにであり、計量の両者を比較すると体格差がかなり顕著である。
となるとやはりエドガーが断然有利であろう。
Middleweight Gegard Mousasi vs. Costas Philippou
強打のフィリプーであるが、相撲はよわいし、倒されると何もできないという大きな弱点をもっている。オールラウンドなムサシに敵うとはおもえない。
ムサシによる絞め一本勝ち予想。
Middleweight Mark Muñoz vs. Luke Barnatt
若いバーナットであるが、打撃がナマクラという印象であった。
テコンドが黄帯というので、始めたばかりなのかとおもいきや、少年時代にちょっとかじって辞めたんだそうな。
ムニョスがタックルを決めて、久しぶりに快勝するのではないか。
ムニョスによる判定勝ちもしくは絞め一本勝ち予想。
Welterweight Hyun Gyu Lim vs. Neil Magny
ファイティング・スピリッツあふれる韓国のリムは、とにかく前に出て打ちあい観客を喜ばせてくれるタイプである。根性も申し分なく、かなり劣勢でも盛り返すことがある。が、疲れてくると目に見えて攻めも防御も雑になってゆくのがわかり、課題も多い。
対するマグニーはリーチを生かした長いジャブ、ストレートがとても有効で、試合の組み立てもゆるぎないクレバーな選手である
マグニーの距離で彼にとって有利に試合が進むだろうけれど、リムもあわやという場面をつくるだろう。そこをしのいだ方が勝つわけで、私はマグニーをとる。
マグニーによる判定勝ち予想。
これはきわめて予想の難しい一戦であろう。両者ともにレスリングを知っており、両者ともに高いカーディオ能力をもっている。
両者の違いというと、力強く直線的なうごきの多い印象のフェイバーに対し、より左右の動きが多く上体のやわらかいエドガー。
かなり微妙な判定になるとおもうが、私は尻上がりに感触をつかんでゆくエドガーに分があるのではないかとおもう。
エドガーによる判定勝ち予想。
追記(5/15/2015)
両者の体格差を考慮に入れていなかった。エドガーはライト級から落としてフェザーに、一方フェイバーはバンタムから上げてフェザーにであり、計量の両者を比較すると体格差がかなり顕著である。
となるとやはりエドガーが断然有利であろう。
Middleweight Gegard Mousasi vs. Costas Philippou
強打のフィリプーであるが、相撲はよわいし、倒されると何もできないという大きな弱点をもっている。オールラウンドなムサシに敵うとはおもえない。
ムサシによる絞め一本勝ち予想。
Middleweight Mark Muñoz vs. Luke Barnatt
若いバーナットであるが、打撃がナマクラという印象であった。
テコンドが黄帯というので、始めたばかりなのかとおもいきや、少年時代にちょっとかじって辞めたんだそうな。
ムニョスがタックルを決めて、久しぶりに快勝するのではないか。
ムニョスによる判定勝ちもしくは絞め一本勝ち予想。
Welterweight Hyun Gyu Lim vs. Neil Magny
ファイティング・スピリッツあふれる韓国のリムは、とにかく前に出て打ちあい観客を喜ばせてくれるタイプである。根性も申し分なく、かなり劣勢でも盛り返すことがある。が、疲れてくると目に見えて攻めも防御も雑になってゆくのがわかり、課題も多い。
対するマグニーはリーチを生かした長いジャブ、ストレートがとても有効で、試合の組み立てもゆるぎないクレバーな選手である
マグニーの距離で彼にとって有利に試合が進むだろうけれど、リムもあわやという場面をつくるだろう。そこをしのいだ方が勝つわけで、私はマグニーをとる。
マグニーによる判定勝ち予想。
2015年5月10日日曜日
UFC Fight Night: Miocic vs. Hunt 感想
Heavyweight Stipe Miocic vs. Mark Hunt
大方の予想どおり、ミオチェチがボクシングでよくパンチを当て、またテイクダウンをいともあっさりと簡単にとり、グランドでは文字通りハントをすりつぶすように破壊した。
ハントはよく最後まで頑張ったが、ときどき思い出したように強振するパンチが風を切るだけで、現役の総合格闘家としてはあまりに鈍重すぎた。
大方の予想どおりといえばそれまでだが、ミオチェチが立っていてもグランドでも圧倒した。
ハントのがんばりは観ていて感動的ではあったが、総合格闘のメイン試合としては残念ながらかなり見どころの少ない試合であった。
ハントは頭部にかなりの数の打撃を受け、顔面がむくんで変形し別人のようであった。
レフリーの判断にかなり問題があったようにおもう。 ハントはこれで引退だろう。いくら彼が頑丈な人間でも、重量級の渾身のパンチや肘を側頭部に受けつづければ、確実に後遺症が残ることになるのではないかと心配である。
Middleweight Brad Tavares vs. Robert Whittaker
タヴォーレスの上手さを予想したが、試合開始早々からウィテカの速く多彩な左がよくポンポンと当たり、感触を得たところで一気に踏み込んで猛烈な左をタヴォーレスの顔面に当てた。尻もちをついたタヴォーレスもよく立ち上がったが、ウィテカはさらに強い左を当てて、一気に連打、圧倒してしまった。
巧者タヴォーレスがあんなふうに失神するほどの負け方をするとはおもっていなかった。衝撃のウィテカの快勝であった。
ずっと期待のホープで上り調子であったタヴォーレス であったが、ボウチに破壊され、今日また破壊され、で、今後どの程度停滞するのか、復調できるのか、注目したい。
Light Heavyweight Anthony Perosh vs. Sean O'Connell
ペロシのパンチも当たってはいたが、ぐいぐい前進したオコネルが猛打を連発して、ペロシは立ったままグロッキーであった。
これは大方の予想どおりであったろう。
Lightweight Jake Matthews vs. James Vick
少年の顔をした弱冠20歳のマシューズのかまえの雰囲気がいかにもつよそうであり、速いパンチもシャーッとカメレオンの舌のように異様に遠くにまで伸び、また有効であり、また目もよく反応も速く、これは相当な選手だろうという感じがした。
しかしいくら優勢でも同じ攻めが有効でも、それで勝負のつかなかった技を何度も何度もくり返していては、ゲームでは勝てても、人間が相手ではそう簡単には勝てない。
辛抱づよく慎重に勝機をうかがい、上に下に多彩な技を出して変化しつづけたヴィックの方がつよかった。
Preliminary Card Featherweight Hatsu Hioki vs. Dan Hooker
入場する日沖は表情もよく、調子も良さそうであったし、実際動きもよかったようにみえた。序盤のパンチもよく当たり、明らかに試合の主導権をとりつつあり、打撃戦が続いた後のタックルから寝技戦でも相手を明らかに圧倒していた。
が、序盤は相手の打撃に対して慎重な心くばりであったのに、中盤になり相撲や寝技が多くなるにつれて打撃への細心さがみられなくなり、ガードがら空きで棒立ちのまま相手との距離をつめたりと、傍から観ていて実に危なっかしい場面が多くなった。
そして、あろうことか相手のフェイントに対して目をつぶってしまい、その直後の左の上段まわし蹴りをまともに側頭部に受けた。初回からフカーが再三くり出していた蹴りである。それをまともにもらってしまい、ぐらついたところをパンチの連打で、勝負がついた。
相手のフカーは日沖に対してあきらかな格下であり、寝技でもジャブの応酬でも日沖の方が一枚上手であったが、それでもフカーは最後まで工夫し続け、変化し続け、みごとに日沖から勝利をもぎとった。大したものである。
勝負を決めたのは、日沖の側頭部をとらえた上段蹴り一閃のようだが、むしろ注目すべきはその後のパンチの連打だろう。ああいう、勝機と見るやなりふりかまわぬガムシャラな攻めが、クリーンすぎる日沖からは一切みられなかった。日沖は練習したとおりに寝技を攻め、絵に描いたようにパンチを出していた。
日沖の完敗であり、フカーは見事であった。
日沖はおそらくこれでUFCはおわりだろう。
Middleweight Dan Kelly vs. Sam Alvey
サム・アルヴィーの強打がさく裂といったかんじであった。
相手の出鼻に合わせてであったが、決して大振りでなく大変コンパクトな連続パンチであったのが印象的であった。
大方の予想どおり、ミオチェチがボクシングでよくパンチを当て、またテイクダウンをいともあっさりと簡単にとり、グランドでは文字通りハントをすりつぶすように破壊した。
ハントはよく最後まで頑張ったが、ときどき思い出したように強振するパンチが風を切るだけで、現役の総合格闘家としてはあまりに鈍重すぎた。
大方の予想どおりといえばそれまでだが、ミオチェチが立っていてもグランドでも圧倒した。
ハントのがんばりは観ていて感動的ではあったが、総合格闘のメイン試合としては残念ながらかなり見どころの少ない試合であった。
ハントは頭部にかなりの数の打撃を受け、顔面がむくんで変形し別人のようであった。
レフリーの判断にかなり問題があったようにおもう。 ハントはこれで引退だろう。いくら彼が頑丈な人間でも、重量級の渾身のパンチや肘を側頭部に受けつづければ、確実に後遺症が残ることになるのではないかと心配である。
Middleweight Brad Tavares vs. Robert Whittaker
タヴォーレスの上手さを予想したが、試合開始早々からウィテカの速く多彩な左がよくポンポンと当たり、感触を得たところで一気に踏み込んで猛烈な左をタヴォーレスの顔面に当てた。尻もちをついたタヴォーレスもよく立ち上がったが、ウィテカはさらに強い左を当てて、一気に連打、圧倒してしまった。
巧者タヴォーレスがあんなふうに失神するほどの負け方をするとはおもっていなかった。衝撃のウィテカの快勝であった。
ずっと期待のホープで上り調子であったタヴォーレス であったが、ボウチに破壊され、今日また破壊され、で、今後どの程度停滞するのか、復調できるのか、注目したい。
Light Heavyweight Anthony Perosh vs. Sean O'Connell
ペロシのパンチも当たってはいたが、ぐいぐい前進したオコネルが猛打を連発して、ペロシは立ったままグロッキーであった。
これは大方の予想どおりであったろう。
Lightweight Jake Matthews vs. James Vick
少年の顔をした弱冠20歳のマシューズのかまえの雰囲気がいかにもつよそうであり、速いパンチもシャーッとカメレオンの舌のように異様に遠くにまで伸び、また有効であり、また目もよく反応も速く、これは相当な選手だろうという感じがした。
しかしいくら優勢でも同じ攻めが有効でも、それで勝負のつかなかった技を何度も何度もくり返していては、ゲームでは勝てても、人間が相手ではそう簡単には勝てない。
辛抱づよく慎重に勝機をうかがい、上に下に多彩な技を出して変化しつづけたヴィックの方がつよかった。
Preliminary Card Featherweight Hatsu Hioki vs. Dan Hooker
入場する日沖は表情もよく、調子も良さそうであったし、実際動きもよかったようにみえた。序盤のパンチもよく当たり、明らかに試合の主導権をとりつつあり、打撃戦が続いた後のタックルから寝技戦でも相手を明らかに圧倒していた。
が、序盤は相手の打撃に対して慎重な心くばりであったのに、中盤になり相撲や寝技が多くなるにつれて打撃への細心さがみられなくなり、ガードがら空きで棒立ちのまま相手との距離をつめたりと、傍から観ていて実に危なっかしい場面が多くなった。
そして、あろうことか相手のフェイントに対して目をつぶってしまい、その直後の左の上段まわし蹴りをまともに側頭部に受けた。初回からフカーが再三くり出していた蹴りである。それをまともにもらってしまい、ぐらついたところをパンチの連打で、勝負がついた。
相手のフカーは日沖に対してあきらかな格下であり、寝技でもジャブの応酬でも日沖の方が一枚上手であったが、それでもフカーは最後まで工夫し続け、変化し続け、みごとに日沖から勝利をもぎとった。大したものである。
勝負を決めたのは、日沖の側頭部をとらえた上段蹴り一閃のようだが、むしろ注目すべきはその後のパンチの連打だろう。ああいう、勝機と見るやなりふりかまわぬガムシャラな攻めが、クリーンすぎる日沖からは一切みられなかった。日沖は練習したとおりに寝技を攻め、絵に描いたようにパンチを出していた。
日沖の完敗であり、フカーは見事であった。
日沖はおそらくこれでUFCはおわりだろう。
Middleweight Dan Kelly vs. Sam Alvey
サム・アルヴィーの強打がさく裂といったかんじであった。
相手の出鼻に合わせてであったが、決して大振りでなく大変コンパクトな連続パンチであったのが印象的であった。
2015年5月7日木曜日
UFC Fight Night: Miocic vs. Hunt 予想
Heavyweight Stipe Miocic vs. Mark Hunt
こないだドス・サントスといい試合をしてトップ選手としての実力を証明したミオチェチが、強打のマーク・ハントを迎え撃つ。
ハントとしては距離を一気に詰め豪快な一発でもってノックアウト、といきたいところであろうが、ミオチェチは足があり、速いジャブが打てるし、キックもある。これまでハントが対峙した中堅重量級のようにはいかないだろう。
私はミオチェチが足とジャブを巧みにつかってハントを翻弄し、最終的には連打を当ててノックアウトするのではないかとおもう。
ていうか、しなくてはならないだろう。
壮齢で脂ののったミオチェチのような本格派が、強打しか決め手のない老齢なハント相手に微妙な判定勝ちなどしてしまうようだと、せっかく盛り上がった総合格闘の熱が最重量級から冷めていってしまうのではないか。
ミオチェチによるノックアウト予想。
ハントはこれで大敗すれば引退するのではなかろうか。
Middleweight Brad Tavares vs. Robert Whittaker
24歳というわかさのウィテカは空手とハプキ道の達人という打撃に切れ味のある選手で、なかなか緊張感のある試合をみせてくれる。が、やや一発を浴びやすい選手であり、浴びれば効いてしまう脆さのある選手でもある。いぶし銀のうまさをもったタヴォーレス相手にどこまで通用するか。
タヴォーレスを高く評価する私としては、今回もタヴォーレスのうまさが勝るのではないかとおもう。
タヴォーレスによる判定勝ち予想。
Light Heavyweight Anthony Perosh vs. Sean O'Connell
なぜこういう選手がメインのカードにいるのかよくわからない。
会場がオジーであるペロシュの地元であるからということだろうが、UFCが将来ボクシングにとってかわろうと考えるならば、興行地選手を優先した見世物的興行よりも実力重視で高いクオリティーの試合をもっと上にもてくるべきだとおもう。
かつてハーンズやレナード、デュランらがボクシングを牽引してきたのは、なにも地元で試合をしたからではなかろう。歳くって実力のない選手はどんどん下げて、もっと若い選手をメインにもってきた方がよいだろう。
Lightweight Jake Matthews vs. James Vick
ジェイク・マッシューズのような若い選手を、どんどんメインにもってくるべきだ。
オーストラリアのマッシューズはなんと20歳で、八戦全勝の注目すべき選手である。どんな選手なのかじっくり観させてもらう
対するヴィックという選手は派手な技を出すわりによくパンチをもらい、判定で勝っているとおもうと最終ラウンドは露骨に逃げまわるような選手、という印象であった。私はあまり好印象をもっていない。
地元で奮起するであろうマッシューズが勝つのではないか。
マシュー予想。
Featherweight Hatsu Hioki vs. Dan Hooker
実力があるのになかなかUFCとは相性の悪い日沖選手であるが、今回の相手フッカーも実力的には格下であろう。すでに31歳中堅どころである日沖にとって絶対に落とせない試合である。
ただしニュージーランド人のフッカーは25歳と若く、オーストラリア興行は地元のようなものであり、奮起して試合に臨むであろうし、好試合になるのではないか。
日沖が順当に勝つのではないかと思う。逆にこの試合を落としてしまうようだと今後日沖選手がUFCで試合することは無いだろう。
日沖による判定勝ち予想。
こないだドス・サントスといい試合をしてトップ選手としての実力を証明したミオチェチが、強打のマーク・ハントを迎え撃つ。
ハントとしては距離を一気に詰め豪快な一発でもってノックアウト、といきたいところであろうが、ミオチェチは足があり、速いジャブが打てるし、キックもある。これまでハントが対峙した中堅重量級のようにはいかないだろう。
私はミオチェチが足とジャブを巧みにつかってハントを翻弄し、最終的には連打を当ててノックアウトするのではないかとおもう。
ていうか、しなくてはならないだろう。
壮齢で脂ののったミオチェチのような本格派が、強打しか決め手のない老齢なハント相手に微妙な判定勝ちなどしてしまうようだと、せっかく盛り上がった総合格闘の熱が最重量級から冷めていってしまうのではないか。
ミオチェチによるノックアウト予想。
ハントはこれで大敗すれば引退するのではなかろうか。
Middleweight Brad Tavares vs. Robert Whittaker
24歳というわかさのウィテカは空手とハプキ道の達人という打撃に切れ味のある選手で、なかなか緊張感のある試合をみせてくれる。が、やや一発を浴びやすい選手であり、浴びれば効いてしまう脆さのある選手でもある。いぶし銀のうまさをもったタヴォーレス相手にどこまで通用するか。
タヴォーレスを高く評価する私としては、今回もタヴォーレスのうまさが勝るのではないかとおもう。
タヴォーレスによる判定勝ち予想。
Light Heavyweight Anthony Perosh vs. Sean O'Connell
なぜこういう選手がメインのカードにいるのかよくわからない。
会場がオジーであるペロシュの地元であるからということだろうが、UFCが将来ボクシングにとってかわろうと考えるならば、興行地選手を優先した見世物的興行よりも実力重視で高いクオリティーの試合をもっと上にもてくるべきだとおもう。
かつてハーンズやレナード、デュランらがボクシングを牽引してきたのは、なにも地元で試合をしたからではなかろう。歳くって実力のない選手はどんどん下げて、もっと若い選手をメインにもってきた方がよいだろう。
Lightweight Jake Matthews vs. James Vick
ジェイク・マッシューズのような若い選手を、どんどんメインにもってくるべきだ。
オーストラリアのマッシューズはなんと20歳で、八戦全勝の注目すべき選手である。どんな選手なのかじっくり観させてもらう
対するヴィックという選手は派手な技を出すわりによくパンチをもらい、判定で勝っているとおもうと最終ラウンドは露骨に逃げまわるような選手、という印象であった。私はあまり好印象をもっていない。
地元で奮起するであろうマッシューズが勝つのではないか。
マシュー予想。
Featherweight Hatsu Hioki vs. Dan Hooker
実力があるのになかなかUFCとは相性の悪い日沖選手であるが、今回の相手フッカーも実力的には格下であろう。すでに31歳中堅どころである日沖にとって絶対に落とせない試合である。
ただしニュージーランド人のフッカーは25歳と若く、オーストラリア興行は地元のようなものであり、奮起して試合に臨むであろうし、好試合になるのではないか。
日沖が順当に勝つのではないかと思う。逆にこの試合を落としてしまうようだと今後日沖選手がUFCで試合することは無いだろう。
日沖による判定勝ち予想。
ラベル:
HiokiH,
HookerD,
HuntM,
MatthewsJ,
MiocicS,
O'ConnellS,
PeroshA,
TavaresB,
VickJ,
WhittakerR
2015年5月3日日曜日
Floyd Mayweather, Jr. vs. Manny Pacquiao 感想
メイウェザーはいつものメイウェザーであったが、パッキャオはいつもより馬鹿正直にみえた。それだけメイウェザーの方が上手かったということだろう。
パッキャオのいつものうごき、おもむろに左から入って、相手の左側面にまわりこむように抜ける動きがこの日は観られなかった。それがメイウェザーによって防がれていたのか、あるいはそれがパッキャオの作戦だったのか、シロウト目にはよくわからない。
とにかくパッキャオは頭を振って前に前にと出るしかなかった。
試合前、パッキャオは右の強いフックを何度も何度も確かめるように練習していた。
それが作戦なのかとおもって観ていたが、たしかに試合中もパッキャオはロープに詰めた後で、メイウェザーが左へ移動するのを迎えるように右を出す場面が多かった。
が、まともに当たることはほとんどなかった。
初回はメイウェザーはガードを高くあげて、いつものように王道の慎重さであった。
初回から三回までメイウェザーのペースである。
中盤あたりからパッキャオがメイウェザーの王道的な慎重さを見切ってか、パンチが当たるようになる。何度かいいパンチがメイウェザーの顔面をとらえ、後退させるシーンがあった。この試合で一番盛り上がった場面だろう。
メイウェザーも言っていた。パッキャオが有利になる場面もあるだろうというのは最初からわかっていたことだ、と。
しかし、それからがメイウェザーのつよさの真骨頂である。
中盤あたりに対戦相手のパンチがメイウェザーをとらえ始めるのは、ある意味いつものことである。それからメイウェザーがアジャストして、変化してくるのだ。
そのアジャスト能力こそがメイウェザーの一番のつよさだろう。
後半になると、歴然とした差が出てくる。
アジャスト後のメイウェザーのうごきを見切れる選手は、今のところ誰もいないのではなかろうか。
やはりメイウェザーはつよい。
もちろん、パッキャオも上手かった。
ロープ際にメイウェザーを追い詰めた後、不用意に飛び込まず、フェイントでもってメイウェザーのカウンターを誘い、それに合わせる、という場面が、中盤よく見られた。
あわや、という場面もあった。
後で聞くところによるとパッキャオは右肩を傷めていたそうな。
ちょっと残念な話であるが、しかしパッキャオが完全な状態であっても、やはりメイウェザーが勝っていたのではなかろうか。
それくらい歴然とした差があったようにおもう。
パッキャオのいつものうごき、おもむろに左から入って、相手の左側面にまわりこむように抜ける動きがこの日は観られなかった。それがメイウェザーによって防がれていたのか、あるいはそれがパッキャオの作戦だったのか、シロウト目にはよくわからない。
とにかくパッキャオは頭を振って前に前にと出るしかなかった。
試合前、パッキャオは右の強いフックを何度も何度も確かめるように練習していた。
それが作戦なのかとおもって観ていたが、たしかに試合中もパッキャオはロープに詰めた後で、メイウェザーが左へ移動するのを迎えるように右を出す場面が多かった。
が、まともに当たることはほとんどなかった。
初回はメイウェザーはガードを高くあげて、いつものように王道の慎重さであった。
初回から三回までメイウェザーのペースである。
中盤あたりからパッキャオがメイウェザーの王道的な慎重さを見切ってか、パンチが当たるようになる。何度かいいパンチがメイウェザーの顔面をとらえ、後退させるシーンがあった。この試合で一番盛り上がった場面だろう。
メイウェザーも言っていた。パッキャオが有利になる場面もあるだろうというのは最初からわかっていたことだ、と。
しかし、それからがメイウェザーのつよさの真骨頂である。
中盤あたりに対戦相手のパンチがメイウェザーをとらえ始めるのは、ある意味いつものことである。それからメイウェザーがアジャストして、変化してくるのだ。
そのアジャスト能力こそがメイウェザーの一番のつよさだろう。
後半になると、歴然とした差が出てくる。
アジャスト後のメイウェザーのうごきを見切れる選手は、今のところ誰もいないのではなかろうか。
やはりメイウェザーはつよい。
もちろん、パッキャオも上手かった。
ロープ際にメイウェザーを追い詰めた後、不用意に飛び込まず、フェイントでもってメイウェザーのカウンターを誘い、それに合わせる、という場面が、中盤よく見られた。
あわや、という場面もあった。
後で聞くところによるとパッキャオは右肩を傷めていたそうな。
ちょっと残念な話であるが、しかしパッキャオが完全な状態であっても、やはりメイウェザーが勝っていたのではなかろうか。
それくらい歴然とした差があったようにおもう。
ラベル:
Boxing,
MayweatherF,
PacquiaoM
2015年4月26日日曜日
UFC 186: Johnson vs. Horiguchi 感想
今回はロンバードのドーピングやディラショーの怪我のせいで二試合つぶれ、興行的にも難しい大会だったろう。
Flyweight Demetrious Johnson vs. Kyoji Horiguchi
堀口がとてもよく頑張って、膝がデメトリアスの顔面をとらえあわやという場面もあった。が、大方の予想どおり、マイティマウスの引き出しの多さであった。
堀口はキックボクシングでは相手をよく研究してきたし、逃げ足の速さも、出鼻にあわせるタイミングも申し分なかった。しかし、テイクダウン防御はどうしても弱点であり、弱点とわかれば王者は当然そこを攻める。ジョンソンに腰をつかまれると足の力が抜けてゆくように、いとも簡単に尻もちをつかされていた。それでも最終ラウンドの最後の最後までよく動きよく耐えよく闘ったとおもう。
最後はグランドで堀口の右腕を股に挟んだデメトリウスが堀口の顔面を嫌というほど叩き、「セコンドが十字十字とうるさいから仕方なく」十字固めに移行、堀口からタップアウトをとった。5Rの4分59秒だったそうな。
堀口は明らかな完敗であったが、とくに頭部に大きなダメージを負ったわけでなく、まだ24歳である。ブラジルのアルメイダが若い若いと騒いでしまっていたが、堀口も同じくらい若いのだ。
またさらに強くなって戻ってくるであろう。
Catchweight (215 lbs) Quinton Jackson vs. Fábio Maldonado
ランペイジのちょっとわざとらしい表情や大げさなスピーチなど、観衆をつねに意識していたのはよくわかったし、自分が試合をするのは観客のため、というサービス精神を明確にもった、優れたファイターだとは思うが、相手も自分も練習で研ぎ澄まされた状態には程遠く、試合そのものはさほど面白くなかった。予想どおりといえばそれまでだが、興行的にも苦しい本大会を少しでも盛り上げてやろうという彼の心意気に、ファンはもっと敬意を示すべきだとおもう。
Middleweight Michael Bisping vs. C.B. Dollaway
強振するダラウェイのパンチが何度かビスピンの鼻や頭部をとらえ、あわやという場面があったが、ビスピンはいつも一生懸命であり、つねに相手にアジャストし続け、最後まで休むことなく動いていた。それが彼の持ち味であり、強みだろう。決して悪い試合ではなく、みごとなビスピンの勝利であった。
Catchweight (160 lbs) John Makdessi vs. Shane Campbell
キックボクサーで鳴らしたキャンベルであったが、いざ蓋を開けてみたらマクデッシの方が相撲も打撃も上手だった。ていうか、キャンベルがあまりにも弱かった。バランスが悪いし、パンチのキレもいまひとつ。
キャンベルがキックボクシングでどれだけの強さだったのかは詳しく調べたわけではないのだが、キックボクシングはキックボクシングが好きな人が参加するスポーツであるのに対し、総合格闘はレスリングや柔道などより競争の激しいスポーツを勝ち抜いた一流のアスリートが多く参加するだけに、やはりスポーツとしての技術・才能のレベルは総合格闘の方が高いように感じる。
もともとマクデッシという選手はカウンターが上手く、パンチの切れ味は抜群なのだが、今回はとくにそれが顕著で、ズバッズバッと小気味よくパンチが当たっていた。会心のノックアウトであったろう。
Bantamweight Yves Jabouin vs. Thomas Almeida
アルメイダというオシャレな髪型をした少年、いや格闘家は、まだ23歳だという。実に生意気げな顔をしているが、試合になると、とても精悍な闘う男の顔になる。
パンチが速く、真っ直ぐに伸び、また的確で、相手の血の匂いを嗅ぎとるやいなや、一気に猛攻する獰猛さも申し分なかった。才能はホンモノっぽい。はやくこの坊やの次の試合が観てみたい。
Women's Bantamweight Alexis Davis vs. Sarah Kaufman
序盤からコーフマンが良かった。デイヴィスが出てくれば、タイミングよく、力強いパンチを当て、予想どおり立ち技において圧倒していた。また、スタンスも従来のような腰高なものでなく、腰をしっかり落とし、より重心を前に置いて、踏ん張りの効く構えで、ぐいぐいプレッシャーをかけていた。また頭もよく動いていて序盤はコーフマンが実に良かった。
これは予想通りコーフマンが打ち勝つか、とおもっていたが、引き出しの多さをみせようとしたのか、相手と組んでしまい、それが失敗だった。デイヴィスのズブなトラップにかかり、腕ひしぎ十字固めにやられてしまった。
打撃で圧倒していたのと、全身にみなぎる力強さのようなものがコーフマンにみられただけに、ここで打撃がからっきし弱かったデイヴィスに対してああいう逆転負けを喫してしまったのは、やや残念である。
Flyweight Demetrious Johnson vs. Kyoji Horiguchi
堀口がとてもよく頑張って、膝がデメトリアスの顔面をとらえあわやという場面もあった。が、大方の予想どおり、マイティマウスの引き出しの多さであった。
堀口はキックボクシングでは相手をよく研究してきたし、逃げ足の速さも、出鼻にあわせるタイミングも申し分なかった。しかし、テイクダウン防御はどうしても弱点であり、弱点とわかれば王者は当然そこを攻める。ジョンソンに腰をつかまれると足の力が抜けてゆくように、いとも簡単に尻もちをつかされていた。それでも最終ラウンドの最後の最後までよく動きよく耐えよく闘ったとおもう。
最後はグランドで堀口の右腕を股に挟んだデメトリウスが堀口の顔面を嫌というほど叩き、「セコンドが十字十字とうるさいから仕方なく」十字固めに移行、堀口からタップアウトをとった。5Rの4分59秒だったそうな。
堀口は明らかな完敗であったが、とくに頭部に大きなダメージを負ったわけでなく、まだ24歳である。ブラジルのアルメイダが若い若いと騒いでしまっていたが、堀口も同じくらい若いのだ。
またさらに強くなって戻ってくるであろう。
Catchweight (215 lbs) Quinton Jackson vs. Fábio Maldonado
ランペイジのちょっとわざとらしい表情や大げさなスピーチなど、観衆をつねに意識していたのはよくわかったし、自分が試合をするのは観客のため、というサービス精神を明確にもった、優れたファイターだとは思うが、相手も自分も練習で研ぎ澄まされた状態には程遠く、試合そのものはさほど面白くなかった。予想どおりといえばそれまでだが、興行的にも苦しい本大会を少しでも盛り上げてやろうという彼の心意気に、ファンはもっと敬意を示すべきだとおもう。
Middleweight Michael Bisping vs. C.B. Dollaway
強振するダラウェイのパンチが何度かビスピンの鼻や頭部をとらえ、あわやという場面があったが、ビスピンはいつも一生懸命であり、つねに相手にアジャストし続け、最後まで休むことなく動いていた。それが彼の持ち味であり、強みだろう。決して悪い試合ではなく、みごとなビスピンの勝利であった。
Catchweight (160 lbs) John Makdessi vs. Shane Campbell
キックボクサーで鳴らしたキャンベルであったが、いざ蓋を開けてみたらマクデッシの方が相撲も打撃も上手だった。ていうか、キャンベルがあまりにも弱かった。バランスが悪いし、パンチのキレもいまひとつ。
キャンベルがキックボクシングでどれだけの強さだったのかは詳しく調べたわけではないのだが、キックボクシングはキックボクシングが好きな人が参加するスポーツであるのに対し、総合格闘はレスリングや柔道などより競争の激しいスポーツを勝ち抜いた一流のアスリートが多く参加するだけに、やはりスポーツとしての技術・才能のレベルは総合格闘の方が高いように感じる。
もともとマクデッシという選手はカウンターが上手く、パンチの切れ味は抜群なのだが、今回はとくにそれが顕著で、ズバッズバッと小気味よくパンチが当たっていた。会心のノックアウトであったろう。
Bantamweight Yves Jabouin vs. Thomas Almeida
アルメイダというオシャレな髪型をした少年、いや格闘家は、まだ23歳だという。実に生意気げな顔をしているが、試合になると、とても精悍な闘う男の顔になる。
パンチが速く、真っ直ぐに伸び、また的確で、相手の血の匂いを嗅ぎとるやいなや、一気に猛攻する獰猛さも申し分なかった。才能はホンモノっぽい。はやくこの坊やの次の試合が観てみたい。
Women's Bantamweight Alexis Davis vs. Sarah Kaufman
序盤からコーフマンが良かった。デイヴィスが出てくれば、タイミングよく、力強いパンチを当て、予想どおり立ち技において圧倒していた。また、スタンスも従来のような腰高なものでなく、腰をしっかり落とし、より重心を前に置いて、踏ん張りの効く構えで、ぐいぐいプレッシャーをかけていた。また頭もよく動いていて序盤はコーフマンが実に良かった。
これは予想通りコーフマンが打ち勝つか、とおもっていたが、引き出しの多さをみせようとしたのか、相手と組んでしまい、それが失敗だった。デイヴィスのズブなトラップにかかり、腕ひしぎ十字固めにやられてしまった。
打撃で圧倒していたのと、全身にみなぎる力強さのようなものがコーフマンにみられただけに、ここで打撃がからっきし弱かったデイヴィスに対してああいう逆転負けを喫してしまったのは、やや残念である。
ラベル:
AlmeidaT,
BispingM,
CampbellS,
DavisA,
DollawayCB,
HoriguchiK,
JabouinHY,
JacksonQ,
JohnsonD,
KaufmanS,
MakdessiJ,
MaldonadoF
2015年4月22日水曜日
UFC 186: Johnson vs. Horiguchi 予想
UFCの番号シリーズはタイトルマッチがあるだけでなく興行カードも粒ぞろいという印象であったのだが、今回注目すべき試合はあんまりない、という印象。
堀口がマイティマウス相手にどこまで頑張れるかというのと、ブラジルの若武者アルメイダがどれだけの選手かという、この二試合に注目してみたい。
が、そのために高いペーパービュー料金を払うのかとおもうと、ちょっともったいないような気になってしまう。
Flyweight Demetrious Johnson vs. Kyoji Horiguchi
広いスタンスでぴょんぴょんと跳びはねるようなフットワークの堀口は、ジョー・ローガン氏に言わせると「速い!」とか宣伝されているけれども、実際この階級の他の上位選手、ドドソンやベナヴィデズらと比較しても、お世辞にも速い方だとはいえない。ジョンソンはその中でもぬきん出ている。足の速さも、手の速さも、タックルの鋭さも、すべてにおいてジョンソンの方が精錬されており、一枚どころか二枚三枚は上手なのではなかろうか。
堀口に勝機があるとすれば、相撃ち狙いしかないとおもうのだが、目のいいマイティマウス相手では相撃ちすらできないのではないかとおもう。初回もてば、それだけで拍手だ。
マイティマウスによる初回ノックアウト予想。
Catchweight (215 lbs) Quinton Jackson vs. Fábio Maldonado
今さらどうして36歳のランペイジを呼びもどすのか意味がよくわからない。そしてなんでこんなOB戦みたいな試合がセミファイナルなのか、全くわからない。マルドナドはヘビー級で試合をしたりしたが、前回はライトヘビーであった。キャッチウェイトなのは、減量ぎらいのランペイジのためだろう。
両者とも強振していくので見ごたえのある試合にはなるのかもしれないが、一時代前の格闘試合のようになるのではないか。
どっちが勝とうとあまり興味ない。
Middleweight Michael Bisping vs. C.B. Dollaway
両者ともに昇ってゆく選手というより、ここで落ちずに踏みとどまるための試合というかんじである。ダラウェイという選手は一生懸命に試合をする姿には好感がもてるが、いまいちバランスの悪さが気になるところ。攻め方も工夫があまりなくいまひとつガツガツしたイヤラシさが足りないという印象の選手。
ビスピンはついこのあいだ解説していたのを観た気がするが、顔が丸々としていた印象があった。きっちりウェイトを落としてくるだろうとはおもうが、日頃からガツガツと練習をしているような感じではなかったが、これも試合を観てみないとわからない。
ビスピンの方がつよいのではないかとおもう。
Catchweight (160 lbs) John Makdessi vs. Shane Campbell
キックボクサーのキャンベルという選手の戦績をみると、打撃だけでなくサブミッションで勝っている試合もわりと多いのが印象的である。
カウンターのうまい空手家マケデッシと打撃戦になるのであろうかとおもうが、試合を決めるのは案外キャンベルの寝技なのではないかという気がする。
キャンベル予想。
Bantamweight Yves Jabouin vs. Thomas Almeida
ブラジルの23歳アルメイダは18戦全勝で13KOという、戦績だけ見るととほうもない選手のようであり、注目である。
ジャボインは、ノックアウトされた試合しか観たことがないだけに、印象的にこの若い強豪に勝てるとはおもえない。
アルメイダによるノックアウト予想。
Women's Bantamweight Alexis Davis vs. Sarah Kaufman
柔術の達人とストライカーの対戦だが、両者顔つきがなんとなく似ていて、ときどき間違えてしまう。コーフマンは Twitter でもフォローさせてもらっていて、実に的を得た格闘解説がすごく参考になるのだが、試合はというと、ストレートがきれいに真っ直ぐ伸びる印象で、実際KO率も高い。
女子ストロー級選手らの速い打撃や、ロンダ・ラウジーの猛烈な試合を見た後では、両者ともレベル的にガクッと落ちる感じが否めず、どうしても見劣りしてしまう。わるいんだけど。
コーフマンの打撃をとって、コーフマン予想。
堀口がマイティマウス相手にどこまで頑張れるかというのと、ブラジルの若武者アルメイダがどれだけの選手かという、この二試合に注目してみたい。
が、そのために高いペーパービュー料金を払うのかとおもうと、ちょっともったいないような気になってしまう。
Flyweight Demetrious Johnson vs. Kyoji Horiguchi
広いスタンスでぴょんぴょんと跳びはねるようなフットワークの堀口は、ジョー・ローガン氏に言わせると「速い!」とか宣伝されているけれども、実際この階級の他の上位選手、ドドソンやベナヴィデズらと比較しても、お世辞にも速い方だとはいえない。ジョンソンはその中でもぬきん出ている。足の速さも、手の速さも、タックルの鋭さも、すべてにおいてジョンソンの方が精錬されており、一枚どころか二枚三枚は上手なのではなかろうか。
堀口に勝機があるとすれば、相撃ち狙いしかないとおもうのだが、目のいいマイティマウス相手では相撃ちすらできないのではないかとおもう。初回もてば、それだけで拍手だ。
マイティマウスによる初回ノックアウト予想。
Catchweight (215 lbs) Quinton Jackson vs. Fábio Maldonado
今さらどうして36歳のランペイジを呼びもどすのか意味がよくわからない。そしてなんでこんなOB戦みたいな試合がセミファイナルなのか、全くわからない。マルドナドはヘビー級で試合をしたりしたが、前回はライトヘビーであった。キャッチウェイトなのは、減量ぎらいのランペイジのためだろう。
両者とも強振していくので見ごたえのある試合にはなるのかもしれないが、一時代前の格闘試合のようになるのではないか。
どっちが勝とうとあまり興味ない。
Middleweight Michael Bisping vs. C.B. Dollaway
両者ともに昇ってゆく選手というより、ここで落ちずに踏みとどまるための試合というかんじである。ダラウェイという選手は一生懸命に試合をする姿には好感がもてるが、いまいちバランスの悪さが気になるところ。攻め方も工夫があまりなくいまひとつガツガツしたイヤラシさが足りないという印象の選手。
ビスピンはついこのあいだ解説していたのを観た気がするが、顔が丸々としていた印象があった。きっちりウェイトを落としてくるだろうとはおもうが、日頃からガツガツと練習をしているような感じではなかったが、これも試合を観てみないとわからない。
ビスピンの方がつよいのではないかとおもう。
Catchweight (160 lbs) John Makdessi vs. Shane Campbell
キックボクサーのキャンベルという選手の戦績をみると、打撃だけでなくサブミッションで勝っている試合もわりと多いのが印象的である。
カウンターのうまい空手家マケデッシと打撃戦になるのであろうかとおもうが、試合を決めるのは案外キャンベルの寝技なのではないかという気がする。
キャンベル予想。
Bantamweight Yves Jabouin vs. Thomas Almeida
ブラジルの23歳アルメイダは18戦全勝で13KOという、戦績だけ見るととほうもない選手のようであり、注目である。
ジャボインは、ノックアウトされた試合しか観たことがないだけに、印象的にこの若い強豪に勝てるとはおもえない。
アルメイダによるノックアウト予想。
Women's Bantamweight Alexis Davis vs. Sarah Kaufman
柔術の達人とストライカーの対戦だが、両者顔つきがなんとなく似ていて、ときどき間違えてしまう。コーフマンは Twitter でもフォローさせてもらっていて、実に的を得た格闘解説がすごく参考になるのだが、試合はというと、ストレートがきれいに真っ直ぐ伸びる印象で、実際KO率も高い。
女子ストロー級選手らの速い打撃や、ロンダ・ラウジーの猛烈な試合を見た後では、両者ともレベル的にガクッと落ちる感じが否めず、どうしても見劣りしてしまう。わるいんだけど。
コーフマンの打撃をとって、コーフマン予想。
ラベル:
AlmeidaT,
BispingM,
CampbellS,
DavisA,
DollawayCB,
HoriguchiK,
JabouinHY,
JacksonQ,
JohnsonD,
KaufmanS,
MakdessiJ,
MaldonadoF
2015年4月18日土曜日
UFC on Fox: Machida vs. Rockhold 感想
メインイベントのマチダ対ロックホールド以外はすべての予想が当たり、ある意味わかりやすい大会だったわけだが、内容的にも実に良い試合の多かった興行であった。
ダナ・ホワイト氏も実に満足げな顔をしていた。とくにロックホールドとジャッカレという二人の好選手が実に素晴らしい試合をしたことは、次の挑戦者を決める上でも嬉しい悲鳴であったろう。
ここでジャッカレイに次の王座挑戦権を与えたとしたら、ホワイト氏は選手おもいの信頼できるボスだとおもうし、口達者なロックホールドを贔屓して彼に挑戦権を与えるようだと、私はあまり彼のことを好きにはなれないだろう。
試合後の会見ではロックホールドに質問が集まり、置き忘れられたかのようであったジャッカレは口を真一文字に結んで仏頂面であった。
が、ある時点でふっ切れたさわやかな表情になっていた。
「相手が誰だろうと、何度でも勝てばいい、さすれば結果は必ずついてくる」
と、自分自身に言い聞かせたかのようであった。
Middleweight Lyoto Machida vs. Luke Rockhold
ロックホールドのつよさもであるが、私的にはむしろマチダの脆さが出たという印象であった。
試合を決めたのは初回のロックホールドの右のクロスのフックだったろう。ショーグンがマチダを倒したときと似たカウンターのパンチであったが、ショーグンのほど絶妙なタイミング、というわけではなく、マチダの踏み込みをよく見たロックホールドがやや遅れ気味にオーバーハンド気味にかぶせるように出した右のフックが頭部のどこかに当たり、それでマチダがバランスを崩してあっさり転んでしまった。そこでロックホールドがすかさず攻め勝敗を決定的なものにした。初回終了時点で、もはや勝負があったようにみえた。
マチダにはガラスのような脆さがあり、劣勢から奮起してがむしゃらに勝つということは少ない選手である。序盤にタイミングよく入っていたマチダの打撃に対して、ロックホールドはまったく慌てることがなかった。また、マチダの打撃がほとんど効いてなかった、というのもあるだろう。そういえばワイドマンにも効いてなかった。私の予想は大きくはずれ、マチダの完敗であった。
試合前に気合いの入った顔をしていたマチダに対し、ロックホールドは不敵なほどに落ち着いていたようにみえた。自信があったのだろう。また、「マチダがおもったほど速くなかった」としきりに言っていた。ここまで完敗してしまうと、もう36歳のマチダは引退を考えるのではなかろうか。
初回終了間際、ロックホールドの全体重ののった肘がマチダの側頭部に当たり、ものすごい音をたてていた。マチダの頭蓋は大丈夫であろうか。試合後、病院に直行したそうである。ダメージが心配である。
Middleweight Ronaldo Souza vs. Chris Camozzi
まず予想通り、ソウザがあっさりと勝負を決めた。
言うまでもなくジャッカレの圧倒的な強さであったが、次の試合のロックホールドの勝ちっぷりの方があまりに見事で印象ぶかく、また興行的にも魅力的なだけに、ジャッカレが順番をすっとばされることになりそうである。となると、かなりジャカレかわいそうである
Featherweight Cub Swanson vs. Max Holloway
予想通り本大会一番の好試合になったわけだが、強振を狙ってくるスワンソンに対し、ホラウェイの距離の取り方に出入りのタイミングが絶妙で、相手に最後まで強振させなかった。
二十代前半のとろんとした目のかわいい顔したホラウェイだったが、歳とともに殺気ある脂ののった強い格闘家の顔になってきた、というのが最初の印象だった。
強打のスワンソンに対して恐れることなく積極的に踏み込み、また攻めも上に下にと多彩で、まさに殊勲の勝利だった。
Women's Strawweight Felice Herrig vs. Paige VanZant
ペイジ・ヴァンザントは単純につよい、という印象であった。この選手も上位に登ってくるだろう。最後までペースがまったく落ちぬカーディオに、ケンカ流のがむしゃらな首投げ。華奢な上体に比してしっかりした足腰。手足は終始休むことなくいつも何かしらをして攻めていた。実にケンカのつよい選手である。
ロンダ・ラウジーひとりが抜きんでた女子バンタム級とはちがい、女子ストロー級は粒ぞろいで面白い。
Lightweight Jim Miller vs. Beneil Dariush
接近してのぶつかり合いではやはり力強いミラーに分があるようにみえたが、ダリウーシも誤魔化すどころか負けることなくよく打ちあい、耐えしのぎ、みるみると自分の土俵に引きずり込んでいた。25歳とは思えない老獪な闘い方をする選手である。
Light Heavyweight Ovince Saint Preux vs. Patrick Cummins
型にはまらないセイントプルーが、ボールをトスするような無造作なアッパーをカミンスの出鼻に当て、それが突破口となり見事にノックアウトした。
が、内容的には必ずしもよくなかった。初回の見事な体のキレは二回から見られなくなり、バランスも悪く、カーディオに懸念アリな選手というのがよくわかった。
Light Heavyweight Corey Anderson vs. Gian Villante
ヴィランテのローキックが序盤からよく当たっていたが、距離のとり方もパンチのタイミングと的確さもアンダーソンの方がうまく。私はアンダーソンが勝つのではないかと思って観ていた。
が、あれだけローキックをもらっていながら、まったく対応せず、もらい続け、最後にパンチの交錯で沈んだのはアンダーソンの方だった。相手の攻めに対して全く学習せずに同じ蹴り技を何度も何度ももらってた。いくら敏捷でいい攻めをしていても、頭を使えずアジャストできない選手はよわいということだ。
ダナ・ホワイト氏も実に満足げな顔をしていた。とくにロックホールドとジャッカレという二人の好選手が実に素晴らしい試合をしたことは、次の挑戦者を決める上でも嬉しい悲鳴であったろう。
ここでジャッカレイに次の王座挑戦権を与えたとしたら、ホワイト氏は選手おもいの信頼できるボスだとおもうし、口達者なロックホールドを贔屓して彼に挑戦権を与えるようだと、私はあまり彼のことを好きにはなれないだろう。
試合後の会見ではロックホールドに質問が集まり、置き忘れられたかのようであったジャッカレは口を真一文字に結んで仏頂面であった。
が、ある時点でふっ切れたさわやかな表情になっていた。
「相手が誰だろうと、何度でも勝てばいい、さすれば結果は必ずついてくる」
と、自分自身に言い聞かせたかのようであった。
Middleweight Lyoto Machida vs. Luke Rockhold
ロックホールドのつよさもであるが、私的にはむしろマチダの脆さが出たという印象であった。
試合を決めたのは初回のロックホールドの右のクロスのフックだったろう。ショーグンがマチダを倒したときと似たカウンターのパンチであったが、ショーグンのほど絶妙なタイミング、というわけではなく、マチダの踏み込みをよく見たロックホールドがやや遅れ気味にオーバーハンド気味にかぶせるように出した右のフックが頭部のどこかに当たり、それでマチダがバランスを崩してあっさり転んでしまった。そこでロックホールドがすかさず攻め勝敗を決定的なものにした。初回終了時点で、もはや勝負があったようにみえた。
マチダにはガラスのような脆さがあり、劣勢から奮起してがむしゃらに勝つということは少ない選手である。序盤にタイミングよく入っていたマチダの打撃に対して、ロックホールドはまったく慌てることがなかった。また、マチダの打撃がほとんど効いてなかった、というのもあるだろう。そういえばワイドマンにも効いてなかった。私の予想は大きくはずれ、マチダの完敗であった。
試合前に気合いの入った顔をしていたマチダに対し、ロックホールドは不敵なほどに落ち着いていたようにみえた。自信があったのだろう。また、「マチダがおもったほど速くなかった」としきりに言っていた。ここまで完敗してしまうと、もう36歳のマチダは引退を考えるのではなかろうか。
初回終了間際、ロックホールドの全体重ののった肘がマチダの側頭部に当たり、ものすごい音をたてていた。マチダの頭蓋は大丈夫であろうか。試合後、病院に直行したそうである。ダメージが心配である。
Middleweight Ronaldo Souza vs. Chris Camozzi
まず予想通り、ソウザがあっさりと勝負を決めた。
言うまでもなくジャッカレの圧倒的な強さであったが、次の試合のロックホールドの勝ちっぷりの方があまりに見事で印象ぶかく、また興行的にも魅力的なだけに、ジャッカレが順番をすっとばされることになりそうである。となると、かなりジャカレかわいそうである
Featherweight Cub Swanson vs. Max Holloway
予想通り本大会一番の好試合になったわけだが、強振を狙ってくるスワンソンに対し、ホラウェイの距離の取り方に出入りのタイミングが絶妙で、相手に最後まで強振させなかった。
二十代前半のとろんとした目のかわいい顔したホラウェイだったが、歳とともに殺気ある脂ののった強い格闘家の顔になってきた、というのが最初の印象だった。
強打のスワンソンに対して恐れることなく積極的に踏み込み、また攻めも上に下にと多彩で、まさに殊勲の勝利だった。
Women's Strawweight Felice Herrig vs. Paige VanZant
ペイジ・ヴァンザントは単純につよい、という印象であった。この選手も上位に登ってくるだろう。最後までペースがまったく落ちぬカーディオに、ケンカ流のがむしゃらな首投げ。華奢な上体に比してしっかりした足腰。手足は終始休むことなくいつも何かしらをして攻めていた。実にケンカのつよい選手である。
ロンダ・ラウジーひとりが抜きんでた女子バンタム級とはちがい、女子ストロー級は粒ぞろいで面白い。
Lightweight Jim Miller vs. Beneil Dariush
接近してのぶつかり合いではやはり力強いミラーに分があるようにみえたが、ダリウーシも誤魔化すどころか負けることなくよく打ちあい、耐えしのぎ、みるみると自分の土俵に引きずり込んでいた。25歳とは思えない老獪な闘い方をする選手である。
Light Heavyweight Ovince Saint Preux vs. Patrick Cummins
型にはまらないセイントプルーが、ボールをトスするような無造作なアッパーをカミンスの出鼻に当て、それが突破口となり見事にノックアウトした。
が、内容的には必ずしもよくなかった。初回の見事な体のキレは二回から見られなくなり、バランスも悪く、カーディオに懸念アリな選手というのがよくわかった。
Light Heavyweight Corey Anderson vs. Gian Villante
ヴィランテのローキックが序盤からよく当たっていたが、距離のとり方もパンチのタイミングと的確さもアンダーソンの方がうまく。私はアンダーソンが勝つのではないかと思って観ていた。
が、あれだけローキックをもらっていながら、まったく対応せず、もらい続け、最後にパンチの交錯で沈んだのはアンダーソンの方だった。相手の攻めに対して全く学習せずに同じ蹴り技を何度も何度ももらってた。いくら敏捷でいい攻めをしていても、頭を使えずアジャストできない選手はよわいということだ。
2015年4月16日木曜日
UFC on Fox: Machida vs. Rockhold 予想
Middleweight Lyoto Machida vs. Luke Rockhold
体を絞ったマチダはスピードもスタミナも申し分ないのだが、ロックホールドもベウフォートに敗れて以降は安定したつよさをみせているわけで、これを実力的にほぼ互角とみるか、やはり戦績的にマチダが一枚上とみるかで予想も分かれるところではなかろうか。
ロックホールドがマチダを明らかに上回っている点はリーチと上背であるが、マチダはこれまで自分より大きな選手と何度も対戦しており、独自の距離感覚をもっているために、あまり体格差は参考にはならない。リーチのあるムサシを完全に圧倒したことは記憶に新しい。またマチダは36歳とやや高齢ではあり、Lヘビー時代はややもすればカーディオに懸念ありなところもあったが、ミドルに落として以降はカーディオも反応の速さもまだまだ大丈夫という印象である。
かなりの好勝負になるとおもうが、これまでの試合結果から類推するに、やはりマチダが距離を支配して試合経験のわりと浅いロックホールドを終始翻弄して勝つ公算の方が高いのではなかろうか。
よって判定によるマチダ予想。
Middleweight Ronaldo Souza vs. Chris Camozzi
カモジはニック・リングに僅差の判定で勝った試合をみた印象しかないが、これといって特筆すべきものをもっているという印象のない選手。
ジャッカレがノックアウトか絞め技であっさり決めるだろう。
Featherweight Cub Swanson vs. Max Holloway
本大会一番の好試合になるのではないか。おもいきり強振してくるスワンソンに対し若き巧者のホラウェイがどうクレバーに攻略するか。
スワンソンのパンチが一発でもあたれば、線の細いホラウェイは窮地に陥るであろうけれど、私は成長中のホラウェイが距離を上手につかって相手にパンチを打たせずに勝つのではないかとおもう。
判定でホラウェイ予想。
Women's Strawweight Felice Herrig vs. Paige VanZant
わりと注目されているペイジ・ヴァンザントの試合である。彼女は美人というわけではないが、コケティッシュな独特の魅力をもった選手である。ロンダ・ラウジーが抜きんでた女子バンタム級にくらべると、女子のストロー級は粒ぞろいといった印象である。ヴァンザントが上位グループの一人としてカウントされうる逸材かどうか、この試合で注目してみたい。
Lightweight Jim Miller vs. Beneil Dariush
イランの貴族格闘家ダリウーシュに、ベテランのジム・ミラーが立ちはだかる。
前回の試合では、ダリウーシュの玄人めいたつよさが印象的であった。
この試合でも、新鋭ダリウーシュが圧倒するのではなかろうか。
ダリウーシュによる一本勝ち予想。
Light Heavyweight Ovince Saint Preux vs. Patrick Cummins
ショーグンをノックアウトしているセイント・プルーは本格的なアスリートである。
カミンスは、エヴァンスに代わってコーミエと対戦したことが話題になってはいたが、実力的にトップクラスからはかなりの開きがあるようにみえた、
セイント・プルーが圧倒するのではないか。
セイントプルーによるノックアウト予想。
Bantamweight Takeya Mizugaki vs. Aljamain Sterling
我らが水垣が前座で登場するわけだが、これは相手が悪いようにおもう。スターリングは四肢が長く、実に独創的なクレバーな攻めをしてくる選手である。飛び込んでは相撃ち、飛び込んでは撃ち、という、やや単調な攻めの水垣は、スターリングの餌食にされてしまうのではないか。
スターリングによる絞め技一本勝ち予想。
Welterweight George Sullivan vs. Tim Means
強打のジョージ・サリヴァンだが、相手と打撃が交錯し接近したときのガードが甘くややアゴが上がり気味になるのが気になるところ。一方のミーンズはいかにもケンカのつよそうなタイプで、パンチも小刻みで正確である。
私はミーンズが的確なパンチを当ててサリヴァンをノックアウトするのではないかと思う。
体を絞ったマチダはスピードもスタミナも申し分ないのだが、ロックホールドもベウフォートに敗れて以降は安定したつよさをみせているわけで、これを実力的にほぼ互角とみるか、やはり戦績的にマチダが一枚上とみるかで予想も分かれるところではなかろうか。
ロックホールドがマチダを明らかに上回っている点はリーチと上背であるが、マチダはこれまで自分より大きな選手と何度も対戦しており、独自の距離感覚をもっているために、あまり体格差は参考にはならない。リーチのあるムサシを完全に圧倒したことは記憶に新しい。またマチダは36歳とやや高齢ではあり、Lヘビー時代はややもすればカーディオに懸念ありなところもあったが、ミドルに落として以降はカーディオも反応の速さもまだまだ大丈夫という印象である。
かなりの好勝負になるとおもうが、これまでの試合結果から類推するに、やはりマチダが距離を支配して試合経験のわりと浅いロックホールドを終始翻弄して勝つ公算の方が高いのではなかろうか。
よって判定によるマチダ予想。
Middleweight Ronaldo Souza vs. Chris Camozzi
カモジはニック・リングに僅差の判定で勝った試合をみた印象しかないが、これといって特筆すべきものをもっているという印象のない選手。
ジャッカレがノックアウトか絞め技であっさり決めるだろう。
Featherweight Cub Swanson vs. Max Holloway
本大会一番の好試合になるのではないか。おもいきり強振してくるスワンソンに対し若き巧者のホラウェイがどうクレバーに攻略するか。
スワンソンのパンチが一発でもあたれば、線の細いホラウェイは窮地に陥るであろうけれど、私は成長中のホラウェイが距離を上手につかって相手にパンチを打たせずに勝つのではないかとおもう。
判定でホラウェイ予想。
Women's Strawweight Felice Herrig vs. Paige VanZant
わりと注目されているペイジ・ヴァンザントの試合である。彼女は美人というわけではないが、コケティッシュな独特の魅力をもった選手である。ロンダ・ラウジーが抜きんでた女子バンタム級にくらべると、女子のストロー級は粒ぞろいといった印象である。ヴァンザントが上位グループの一人としてカウントされうる逸材かどうか、この試合で注目してみたい。
Lightweight Jim Miller vs. Beneil Dariush
イランの貴族格闘家ダリウーシュに、ベテランのジム・ミラーが立ちはだかる。
前回の試合では、ダリウーシュの玄人めいたつよさが印象的であった。
この試合でも、新鋭ダリウーシュが圧倒するのではなかろうか。
ダリウーシュによる一本勝ち予想。
Light Heavyweight Ovince Saint Preux vs. Patrick Cummins
ショーグンをノックアウトしているセイント・プルーは本格的なアスリートである。
カミンスは、エヴァンスに代わってコーミエと対戦したことが話題になってはいたが、実力的にトップクラスからはかなりの開きがあるようにみえた、
セイント・プルーが圧倒するのではないか。
セイントプルーによるノックアウト予想。
Bantamweight Takeya Mizugaki vs. Aljamain Sterling
我らが水垣が前座で登場するわけだが、これは相手が悪いようにおもう。スターリングは四肢が長く、実に独創的なクレバーな攻めをしてくる選手である。飛び込んでは相撃ち、飛び込んでは撃ち、という、やや単調な攻めの水垣は、スターリングの餌食にされてしまうのではないか。
スターリングによる絞め技一本勝ち予想。
Welterweight George Sullivan vs. Tim Means
強打のジョージ・サリヴァンだが、相手と打撃が交錯し接近したときのガードが甘くややアゴが上がり気味になるのが気になるところ。一方のミーンズはいかにもケンカのつよそうなタイプで、パンチも小刻みで正確である。
私はミーンズが的確なパンチを当ててサリヴァンをノックアウトするのではないかと思う。
2015年4月11日土曜日
UFC Fight Night: Gonzaga vs. Cro Cop 2 感想
Heavyweight Mirko Filipović vs. Gabriel Gonzaga
クロコップが見事に起死回生の肘を当てて、ゴンザガを沈めた。見事な試合だった。
対戦カードを聞いたときは、UFCで勝てなくて外へ出た40歳の選手が今更もどってきて、門番長のゴンザガに再戦したって勝てるわけがないとおもった。でも、ゴンザガとて必ずしも安定した強さをみせているわけでなく、わりと打たれ脆いところがある選手である。クロコップが勝つとすれば丁寧に速い真っ直ぐ主体にボクシングした場合であり、イッパツ大蹴りを狙ったり、組まれたりすればゴンザガに分があるだろう、とおもっていた。
いざ蓋を開けてみると、序盤クロコップがすごく悪く見えた。前に出るわけでもなく打撃を出すわけでもなく、何がしたいのかよくわからず、ゴンザガのプレッシャーに押され気味だった。ゴンザガにフルマウントも許してしまい、肘をもらって左目のわきを大きくカットしていた。
後の談話によると、あれは作戦だったらしい。勝負を3R以降に賭け、カーディオに懸念のあるゴンザガの疲労を待つ戦略だったと。
序盤から終始ぐいぐい押して出て調子も良かったようにおもえたゴンザガであったが、今になっておもえば単調な攻めであったということだろう。相撲をとってケージ際にクロコップを追い詰めた際の離れ際、クロコップの左肘がゴンザガの左こめかみにジャストミートした。それが効いた。
勝負師のクロコップがその機を逃すはずもなく、一気に勝負をつけた。まったくもって見事な試合であった。
近頃のUFCのヘビー級の試合レベルの低下が著しく、正直クロコップのような過去の選手がまた戻ってきて活躍されてるようじゃ困る、というような複雑な気持ちで見ていた。できればゴンザガに圧倒して勝ってもらってUFCの層の厚さをみせてもらいたい、というような気持ちで。
でも、いざ試合が始まってみると「クロコップがんばれ、クロコップがんばれ!」とクロコップを応援してしまい、流血したときは涙が出そうになってしまった。久しぶりに熱くなれた、感動した試合だった。やはり、そういう魅力をもったスターな選手なんだろう、クロコップという格闘家は。
Light Heavyweight Jimi Manuwa vs. Jan Błachowicz
ブラハビッチはマヌワの強打対策はしてきたみたいだが、勝つことにおいてはイマイチ決め手のない選手という印象。一方のマヌワも自身の強打頼りだけど、相手と自分の距離が合わないと何も出せずで、結局どっちの選手も二流三流どまりだな、という印象の試合であった。
Heavyweight Anthony Hamilton vs. Daniel Omielańczuk
古代の鈍重な巨獣がモタモタじゃれあってるよな試合であり、小学校の昼休み体育館の相撲の方がはるかに観ていて面白いと感じた。
こんな試合を放映してるようではUFCの先が思いやられる。
Women's Strawweight Aleksandra Albu vs. Izabela Badurek
顔も体型もスタンスもとてもうつくしいという印象のポーランドのイザベラ・バドゥレクであったが、全身から力のみなぎるようなアレクサンドラ・アルブがつよかった。
最後はギロチン・チョークとあるが、実際はイザベラの胸部への猛烈なカニ挟みが効いてたようであった。女子のストロー級も粒がそろってきて面白くなってきた。
Lightweight Stevie Ray vs. Marcin Bandel
スコットランドのスティービー・レイはきびきびとした動きで攻めも多彩でいい選手という印象だが、下の試合を見た直後の試合だからかもしれない。
Featherweight Taylor Lapilus vs. Rocky Lee
若いのに柔術しか決め手のないような選手の試合ほどつまらないものはない。かざりのパンチしか出ず、打つべき時に手が出ず、関節を逆に曲げたり首を絞めたりすることしか頭になく、攻めに広がりが感じられない。まったくつまらない試合であった。
クロコップが見事に起死回生の肘を当てて、ゴンザガを沈めた。見事な試合だった。
対戦カードを聞いたときは、UFCで勝てなくて外へ出た40歳の選手が今更もどってきて、門番長のゴンザガに再戦したって勝てるわけがないとおもった。でも、ゴンザガとて必ずしも安定した強さをみせているわけでなく、わりと打たれ脆いところがある選手である。クロコップが勝つとすれば丁寧に速い真っ直ぐ主体にボクシングした場合であり、イッパツ大蹴りを狙ったり、組まれたりすればゴンザガに分があるだろう、とおもっていた。
いざ蓋を開けてみると、序盤クロコップがすごく悪く見えた。前に出るわけでもなく打撃を出すわけでもなく、何がしたいのかよくわからず、ゴンザガのプレッシャーに押され気味だった。ゴンザガにフルマウントも許してしまい、肘をもらって左目のわきを大きくカットしていた。
後の談話によると、あれは作戦だったらしい。勝負を3R以降に賭け、カーディオに懸念のあるゴンザガの疲労を待つ戦略だったと。
序盤から終始ぐいぐい押して出て調子も良かったようにおもえたゴンザガであったが、今になっておもえば単調な攻めであったということだろう。相撲をとってケージ際にクロコップを追い詰めた際の離れ際、クロコップの左肘がゴンザガの左こめかみにジャストミートした。それが効いた。
勝負師のクロコップがその機を逃すはずもなく、一気に勝負をつけた。まったくもって見事な試合であった。
近頃のUFCのヘビー級の試合レベルの低下が著しく、正直クロコップのような過去の選手がまた戻ってきて活躍されてるようじゃ困る、というような複雑な気持ちで見ていた。できればゴンザガに圧倒して勝ってもらってUFCの層の厚さをみせてもらいたい、というような気持ちで。
でも、いざ試合が始まってみると「クロコップがんばれ、クロコップがんばれ!」とクロコップを応援してしまい、流血したときは涙が出そうになってしまった。久しぶりに熱くなれた、感動した試合だった。やはり、そういう魅力をもったスターな選手なんだろう、クロコップという格闘家は。
Light Heavyweight Jimi Manuwa vs. Jan Błachowicz
ブラハビッチはマヌワの強打対策はしてきたみたいだが、勝つことにおいてはイマイチ決め手のない選手という印象。一方のマヌワも自身の強打頼りだけど、相手と自分の距離が合わないと何も出せずで、結局どっちの選手も二流三流どまりだな、という印象の試合であった。
Heavyweight Anthony Hamilton vs. Daniel Omielańczuk
古代の鈍重な巨獣がモタモタじゃれあってるよな試合であり、小学校の昼休み体育館の相撲の方がはるかに観ていて面白いと感じた。
こんな試合を放映してるようではUFCの先が思いやられる。
Women's Strawweight Aleksandra Albu vs. Izabela Badurek
顔も体型もスタンスもとてもうつくしいという印象のポーランドのイザベラ・バドゥレクであったが、全身から力のみなぎるようなアレクサンドラ・アルブがつよかった。
最後はギロチン・チョークとあるが、実際はイザベラの胸部への猛烈なカニ挟みが効いてたようであった。女子のストロー級も粒がそろってきて面白くなってきた。
Lightweight Stevie Ray vs. Marcin Bandel
スコットランドのスティービー・レイはきびきびとした動きで攻めも多彩でいい選手という印象だが、下の試合を見た直後の試合だからかもしれない。
Featherweight Taylor Lapilus vs. Rocky Lee
若いのに柔術しか決め手のないような選手の試合ほどつまらないものはない。かざりのパンチしか出ず、打つべき時に手が出ず、関節を逆に曲げたり首を絞めたりすることしか頭になく、攻めに広がりが感じられない。まったくつまらない試合であった。
ラベル:
AlbuA,
BadurekI,
BandelM,
BlachowiczJ,
FilipovićM,
GonzagaG,
HamiltonA,
LapilusT,
LeeR,
ManuwaJ,
OmielańczukD,
RayS
2015年3月15日日曜日
UFC 185: Pettis vs. dos Anjos 感想
Lightweight Anthony Pettis vs. Rafael dos Anjos
ペティスもドスアンジョスもどちらも大好きな選手である。相手を潰し壊しあうようなスポーツだけに、こういう対戦カードは観ていてつらい。しかし、いちばん楽しみな試合であり、期待どおりの好勝負であった。
ドス・アンジョス予想をした人は少なかったようにおもうが、私もその一人であった。ただ、私はドスアンジョスの猛烈な蹴りが決め手になるだろうとおもっていたが、この勝敗を分けたのはサウスポーのドスアンジョスの速い左のパンチであった。試合が自分有利になったところで、ドスアンジョスの攻めはますます多彩になり、上に下にテイクダウンにと実力全開となり、ペティスは防戦一方となってしまった。こうなるともはや勝負は一方的である。
初回にドスアンジョスがみせた、右に頭を振りつつ出す左のオーバーハンドが、ペティスの眉間、そして右目にと、クリーンヒットし、ペティスはそれで右目の視力を失ってしまったらしい。ペティスにとっては不運な試合展開となってしまった。ペティスの反応のよさ、打撃の正確さも、優れた視力あってこそのものである。それを失えば、無敵のようなペティス牙城でも崩されてしまう。
ペティスの目に入ったパンチはグラブからむき出しの第二関節部分であり、ペティスは眼球に深刻なダメージを受けたであろう。早い回復を祈るが、視力の完全回復は難しいのではないか。
予想的中。
Women's Strawweight Carla Esparza vs. Joanna Jędrzejczyk
女子バンタムのロンダ・ラウジー選手の試合レベルが突出してるが、他の女子の試合はまだまだセミファイナルでできるようなレベルではないのではないか、と懸念していたが、そんなことは全然なかった。ヨアナ・イオンジェイチェク、「つよい!」とうならせるほどであった。
ジャブの速さと伸び、長いリーチ、小さな連打もでるとおもいきや、おもいきりの強振もできる。女子ボクシング出身の腰の入っていないパンチをみてガッカリさせられることが多いが、この女子ムエタイの世界チャンピオンのパンチは、男子顔負けのキレとスピードがあった。えてして打撃主体の選手てのは相撲が下手だったりするのだが、イオンジェイチェクは長い足を生かして、レスラーのエスパーザに一度もテイクダウンを許さなかった。
女子格闘でもこれからどんどんこういう才能もった選手が参入してくるであろうし、これからもっと面白くなるのであろう。
ブログ予想はしていなかったが、ツィート予想的中。
Welterweight Johny Hendricks vs. Matt Brown
予想に反して、ヘンドリクスが完全に復調していた。
ロビーローラーとの試合では、拳を傷めたりしたせいかパンチに精彩がなく、テイクダウンの力強さも感じられず、育児疲れでこのまま下降してゆく選手なのかとおもわれたが、やはり駿馬は駿馬であった。すばらしい動きであった。さすがにノックアウトできるタイミングではなかったが、左もよく出たし、人並み外れた背筋力を生かしたダブルからの豪快なテイクダウンもみせてくれた。ブラウンの速いワンツーも、鳥肌の立つようなスィングも、しっかり見えてダッキングでかわしていた。あれだけ激しく攻め立ててカーディオも最後まで持続していたし、この調子ならばまた王者に返り咲けるのではないか。うれしい誤算である。
ブラウンは最後まで猛然とブラウンらしい闘志をみせてくれ、期待どおりの好試合にしてくれたが、やはり勝敗を決めたのは文句なしの実力差だったというかんじであった。
予想はずれ。
Heavyweight Roy Nelson vs. Alistair Overeem
もともと慎重な性格だけに、筋力に頼らなくなったオフレイムは憎たらしいくらいに強いだろう、という予想をしていたが、そのとおりであった。
パンチは小さく、ヒザも軽めによく出て、ビッグカントリーを完全に料理していた。惜しむらくは性格的に臆病なせいか、相手を倒してやろうという意気込みが感じられなかったことだろう。終盤、左の上段まわし蹴りがまともにヒットして、ネルソンの足がふらついた場面があったが、オフレイムはそれを静観してるだけで、出ようとはしなかった。そういう勝ち気の感じられない選手というのは、結局このまま中堅どまりだろうとおもうし、だからこそ私はこういう選手があまり好きでない。
オフレイムは臆病なくせに慢心して相手の一打に沈む、という悪いクセがあるのだが、この試合でもそういう場面があった。ネルソンのストレートが、出てくるオフレイムのアゴを完全にとらえ、マウスピースを吐き出しかけた。が、ネルソンは足が遅すぎて、距離をとるオフレイムに対して追い打ちをかけることができなかった。
私としてはビッグカントリーの豪快な一発を期待していたのだが、彼は右しか決め手がなく、それしか狙っていなかった。あれでは今のオフレイムのように足をつかってコツコツ当ててくる選手には勝てるわけがない。
予想的中。
Flyweight Chris Cariaso vs. Henry Cejudo
五輪金メダリストのセフードはやはりつよかった。
レスリングでトップとって、格闘に転向してから学んだボクシング技術をスポンジに浸み込ませるように会得してゆく選手というのは、まったく無敵である。まるで空手家のように絶妙な場面でごく自然にパンチが出ていたし、速いワンツーパンチは相手の顔の中心めがけて真っ直ぐ集中していた。また、勝ち気、負けん気もすばらしかった。五輪で金をとる男のメンタリティ、メダルをとるかとらないかを決定づけているのは技術この負けん気だろう。
ようやくマイティ・マウスに匹敵できるような好選手が現れた、というかんじである。その前にドドソンあたりと対戦だろう。
予想的中。
Middleweight Elias Theodorou vs. Roger Narvaez
カナダとアメリカの美男子対決であったが、カナダ代表に分があった。
セオドロはさほど打撃のスピードは速くないのだが、予測しにくいパターンのコンボで出てきて、また下半身がしっかりしているだけにどれも体重ののった重い打撃であった。
ナルヴァエズの受け方が悪かったのか、途中セオドロの蹴りを受けた左腕を骨折していた。
勝ったセオドロはさわやか野郎なディズニー王子的笑顔で、そっちの印象の方がつよかった。
ブログ予想していなかったが、ツィート予想的中。
Lightweight Daron Cruickshank vs. Beneil Dariush
クルクシャンクは積極的な出入りでよく攻めたが、ダリウシの方が明らかに上手だった。翻弄してくるような動きのクルクシャンクに対してじっくり落ち着いてコツコツとタイミングよく打撃を当てて、最後は裸絞めであった。
予想的中。
Heavyweight Jared Rosholt vs. Josh Copeland
ヘビーにはもうこんなのしかいないのか、という感じである。豚のじゃれあいというか層が薄いというか、今更になってレスナーだのクロコップだのアラフォーのOBみたいな人たちを呼び戻そうというのもわかる気がする。
ペティスもドスアンジョスもどちらも大好きな選手である。相手を潰し壊しあうようなスポーツだけに、こういう対戦カードは観ていてつらい。しかし、いちばん楽しみな試合であり、期待どおりの好勝負であった。
ドス・アンジョス予想をした人は少なかったようにおもうが、私もその一人であった。ただ、私はドスアンジョスの猛烈な蹴りが決め手になるだろうとおもっていたが、この勝敗を分けたのはサウスポーのドスアンジョスの速い左のパンチであった。試合が自分有利になったところで、ドスアンジョスの攻めはますます多彩になり、上に下にテイクダウンにと実力全開となり、ペティスは防戦一方となってしまった。こうなるともはや勝負は一方的である。
初回にドスアンジョスがみせた、右に頭を振りつつ出す左のオーバーハンドが、ペティスの眉間、そして右目にと、クリーンヒットし、ペティスはそれで右目の視力を失ってしまったらしい。ペティスにとっては不運な試合展開となってしまった。ペティスの反応のよさ、打撃の正確さも、優れた視力あってこそのものである。それを失えば、無敵のようなペティス牙城でも崩されてしまう。
ペティスの目に入ったパンチはグラブからむき出しの第二関節部分であり、ペティスは眼球に深刻なダメージを受けたであろう。早い回復を祈るが、視力の完全回復は難しいのではないか。
予想的中。
Women's Strawweight Carla Esparza vs. Joanna Jędrzejczyk
女子バンタムのロンダ・ラウジー選手の試合レベルが突出してるが、他の女子の試合はまだまだセミファイナルでできるようなレベルではないのではないか、と懸念していたが、そんなことは全然なかった。ヨアナ・イオンジェイチェク、「つよい!」とうならせるほどであった。
ジャブの速さと伸び、長いリーチ、小さな連打もでるとおもいきや、おもいきりの強振もできる。女子ボクシング出身の腰の入っていないパンチをみてガッカリさせられることが多いが、この女子ムエタイの世界チャンピオンのパンチは、男子顔負けのキレとスピードがあった。えてして打撃主体の選手てのは相撲が下手だったりするのだが、イオンジェイチェクは長い足を生かして、レスラーのエスパーザに一度もテイクダウンを許さなかった。
女子格闘でもこれからどんどんこういう才能もった選手が参入してくるであろうし、これからもっと面白くなるのであろう。
ブログ予想はしていなかったが、ツィート予想的中。
Welterweight Johny Hendricks vs. Matt Brown
予想に反して、ヘンドリクスが完全に復調していた。
ロビーローラーとの試合では、拳を傷めたりしたせいかパンチに精彩がなく、テイクダウンの力強さも感じられず、育児疲れでこのまま下降してゆく選手なのかとおもわれたが、やはり駿馬は駿馬であった。すばらしい動きであった。さすがにノックアウトできるタイミングではなかったが、左もよく出たし、人並み外れた背筋力を生かしたダブルからの豪快なテイクダウンもみせてくれた。ブラウンの速いワンツーも、鳥肌の立つようなスィングも、しっかり見えてダッキングでかわしていた。あれだけ激しく攻め立ててカーディオも最後まで持続していたし、この調子ならばまた王者に返り咲けるのではないか。うれしい誤算である。
ブラウンは最後まで猛然とブラウンらしい闘志をみせてくれ、期待どおりの好試合にしてくれたが、やはり勝敗を決めたのは文句なしの実力差だったというかんじであった。
予想はずれ。
Heavyweight Roy Nelson vs. Alistair Overeem
もともと慎重な性格だけに、筋力に頼らなくなったオフレイムは憎たらしいくらいに強いだろう、という予想をしていたが、そのとおりであった。
パンチは小さく、ヒザも軽めによく出て、ビッグカントリーを完全に料理していた。惜しむらくは性格的に臆病なせいか、相手を倒してやろうという意気込みが感じられなかったことだろう。終盤、左の上段まわし蹴りがまともにヒットして、ネルソンの足がふらついた場面があったが、オフレイムはそれを静観してるだけで、出ようとはしなかった。そういう勝ち気の感じられない選手というのは、結局このまま中堅どまりだろうとおもうし、だからこそ私はこういう選手があまり好きでない。
オフレイムは臆病なくせに慢心して相手の一打に沈む、という悪いクセがあるのだが、この試合でもそういう場面があった。ネルソンのストレートが、出てくるオフレイムのアゴを完全にとらえ、マウスピースを吐き出しかけた。が、ネルソンは足が遅すぎて、距離をとるオフレイムに対して追い打ちをかけることができなかった。
私としてはビッグカントリーの豪快な一発を期待していたのだが、彼は右しか決め手がなく、それしか狙っていなかった。あれでは今のオフレイムのように足をつかってコツコツ当ててくる選手には勝てるわけがない。
予想的中。
Flyweight Chris Cariaso vs. Henry Cejudo
五輪金メダリストのセフードはやはりつよかった。
レスリングでトップとって、格闘に転向してから学んだボクシング技術をスポンジに浸み込ませるように会得してゆく選手というのは、まったく無敵である。まるで空手家のように絶妙な場面でごく自然にパンチが出ていたし、速いワンツーパンチは相手の顔の中心めがけて真っ直ぐ集中していた。また、勝ち気、負けん気もすばらしかった。五輪で金をとる男のメンタリティ、メダルをとるかとらないかを決定づけているのは技術この負けん気だろう。
ようやくマイティ・マウスに匹敵できるような好選手が現れた、というかんじである。その前にドドソンあたりと対戦だろう。
予想的中。
Middleweight Elias Theodorou vs. Roger Narvaez
カナダとアメリカの美男子対決であったが、カナダ代表に分があった。
セオドロはさほど打撃のスピードは速くないのだが、予測しにくいパターンのコンボで出てきて、また下半身がしっかりしているだけにどれも体重ののった重い打撃であった。
ナルヴァエズの受け方が悪かったのか、途中セオドロの蹴りを受けた左腕を骨折していた。
勝ったセオドロはさわやか野郎なディズニー王子的笑顔で、そっちの印象の方がつよかった。
ブログ予想していなかったが、ツィート予想的中。
Lightweight Daron Cruickshank vs. Beneil Dariush
クルクシャンクは積極的な出入りでよく攻めたが、ダリウシの方が明らかに上手だった。翻弄してくるような動きのクルクシャンクに対してじっくり落ち着いてコツコツとタイミングよく打撃を当てて、最後は裸絞めであった。
予想的中。
Heavyweight Jared Rosholt vs. Josh Copeland
ヘビーにはもうこんなのしかいないのか、という感じである。豚のじゃれあいというか層が薄いというか、今更になってレスナーだのクロコップだのアラフォーのOBみたいな人たちを呼び戻そうというのもわかる気がする。
ラベル:
BrownM,
CariasoC,
CejudoH,
CopelandJ,
CruickshankD,
DariushB,
dosAnjosR,
EsparzaC,
HendricksJ,
JędrzejczykJ,
NarvaezR,
NelsonR,
OvereemA,
PettisA,
RosholtJ,
TheodorouE
2015年3月13日金曜日
UFC 185: Pettis vs. dos Anjos 予想
Lightweight Anthony Pettis vs. Rafael dos Anjos
ペティスの目の良さ、反応の良さ、パンチの速さ、ポジショニングの上手さをおもうに、ボクシングで対決したらペティスにかなり分があるようにおもう。三角蹴りのような華麗な蹴り技ゆえにか『Show Time』というニックネームだが、ペティスのすごいところは蹴りよりもむしろボクシング能力だとおもう。互いに前に踏み込んでぶつかりあうようなパンチの交錯時でも、ペティスは相手のパンチがしっかり見えているようだし、それらをかわして自分のパンチを当てる技術は、他に例をみない。
が、それでもペティスにとってドスアンジョスは一番の強敵ではなかろうか。ドスアンジョスの卓球選手のような太腿をみれば、いかに移動が速く、蹴りも強烈かがうかがえる。足を狙っての蹴りを主体にドスアンジョスが攻めてきて、それが何度か当たった場合、細い足をしたペティスのフットワークにも大きく影響するだろうし、ましてペティスは膝の靭帯を傷めたことがあるだけに、流れがドスアンジョスにがらっと傾くことも大いに考えられる。
序盤にドスアンジョスが積極的に前に出て彼の力強い蹴りがペティスの脚やあばらに一発でも当たれば、ペティスが後退して案外ドスアンジョスが押しまくって勝ってしまうのではなかろうか。
わたしはドスアンジョス予想でいきたい。
Welterweight Johny Hendricks vs. Matt Brown
登場するたびに試合内容を期待させていたヘンドリクスであったが、ローラーとの二連戦の内容はかなり悪かった。ダイナミックなパンチとレスリング能力が卓越してるだけに、ぜひまた盛り返して王座を狙ってほしい選手の一人である。
一方のブラウンはケンカ上手という印象であり、理知的げな顔をして距離をとるのもうまく、大振りはせず小さなワンツーなどタイミングよく当てるかとおもいきや、ラフファイトも滅法つよかったりする。このごろはいつも必ず期待どおりのいい試合をしてくれる選手でもある。
ヘンドリクスが速い踏込みから左を積極的に出したり、ダブルでタックルしたりと従来のような多彩な攻めをみせれば文句なくヘンドリクス予想であるが、前の試合の終了間際の曇った表情があまりにも印象が悪かった。闘いを終えるときにあんなやる気のない顔をされると、こちらも観ていてがっかりであり、職業格闘家として失格な気がする。
私は安定感があって、いつも期待どおりのファイトをみせてくれるブラウンが勝つとおもう。
Heavyweight Roy Nelson vs. Alistair Overeem
わりと楽しみなこの試合であり、皆がネルソンの豪快な右が当たってノックアウト、というのを期待しているんだとおもう。
しかし薬物を使用しなくなり、筋肉も落ち、強大なパワーに頼れなくなり、距離をとってコツコツ当ててくるようになったオフレイムは、わりとつよい。
右の一発で見せ場をつくろうとするネルソンに対し、オフレイムが膝をよく出し距離をとって小さなセコいパンチをコツコツ当ててというやり方で主導権をとり、蓋を開けてみれば一方的な試合になるのではなかろうか。
オフレイム予想。
Flyweight Chris Cariaso vs. Henry Cejudo
カリアソは前回デメトリウス・ジョンソンとやって、まるで歯が立たなかった。
一方のセフードは北京五輪でレスリング・フリースタイルの金メダリストで注目の28歳である。注目してみたい。
セフードが勝つのではなかろうか。
Lightweight Ross Pearson vs. Sam Stout
豪快なハードパンチャーのピアソンに、不屈の闘志で前に出つづけるスタウト。これはよくかみ合ったいい試合になるだろう。
強打のピアソン予想。
ペティスの目の良さ、反応の良さ、パンチの速さ、ポジショニングの上手さをおもうに、ボクシングで対決したらペティスにかなり分があるようにおもう。三角蹴りのような華麗な蹴り技ゆえにか『Show Time』というニックネームだが、ペティスのすごいところは蹴りよりもむしろボクシング能力だとおもう。互いに前に踏み込んでぶつかりあうようなパンチの交錯時でも、ペティスは相手のパンチがしっかり見えているようだし、それらをかわして自分のパンチを当てる技術は、他に例をみない。
が、それでもペティスにとってドスアンジョスは一番の強敵ではなかろうか。ドスアンジョスの卓球選手のような太腿をみれば、いかに移動が速く、蹴りも強烈かがうかがえる。足を狙っての蹴りを主体にドスアンジョスが攻めてきて、それが何度か当たった場合、細い足をしたペティスのフットワークにも大きく影響するだろうし、ましてペティスは膝の靭帯を傷めたことがあるだけに、流れがドスアンジョスにがらっと傾くことも大いに考えられる。
序盤にドスアンジョスが積極的に前に出て彼の力強い蹴りがペティスの脚やあばらに一発でも当たれば、ペティスが後退して案外ドスアンジョスが押しまくって勝ってしまうのではなかろうか。
わたしはドスアンジョス予想でいきたい。
Welterweight Johny Hendricks vs. Matt Brown
登場するたびに試合内容を期待させていたヘンドリクスであったが、ローラーとの二連戦の内容はかなり悪かった。ダイナミックなパンチとレスリング能力が卓越してるだけに、ぜひまた盛り返して王座を狙ってほしい選手の一人である。
一方のブラウンはケンカ上手という印象であり、理知的げな顔をして距離をとるのもうまく、大振りはせず小さなワンツーなどタイミングよく当てるかとおもいきや、ラフファイトも滅法つよかったりする。このごろはいつも必ず期待どおりのいい試合をしてくれる選手でもある。
ヘンドリクスが速い踏込みから左を積極的に出したり、ダブルでタックルしたりと従来のような多彩な攻めをみせれば文句なくヘンドリクス予想であるが、前の試合の終了間際の曇った表情があまりにも印象が悪かった。闘いを終えるときにあんなやる気のない顔をされると、こちらも観ていてがっかりであり、職業格闘家として失格な気がする。
私は安定感があって、いつも期待どおりのファイトをみせてくれるブラウンが勝つとおもう。
Heavyweight Roy Nelson vs. Alistair Overeem
わりと楽しみなこの試合であり、皆がネルソンの豪快な右が当たってノックアウト、というのを期待しているんだとおもう。
しかし薬物を使用しなくなり、筋肉も落ち、強大なパワーに頼れなくなり、距離をとってコツコツ当ててくるようになったオフレイムは、わりとつよい。
右の一発で見せ場をつくろうとするネルソンに対し、オフレイムが膝をよく出し距離をとって小さなセコいパンチをコツコツ当ててというやり方で主導権をとり、蓋を開けてみれば一方的な試合になるのではなかろうか。
オフレイム予想。
Flyweight Chris Cariaso vs. Henry Cejudo
カリアソは前回デメトリウス・ジョンソンとやって、まるで歯が立たなかった。
一方のセフードは北京五輪でレスリング・フリースタイルの金メダリストで注目の28歳である。注目してみたい。
セフードが勝つのではなかろうか。
Lightweight Ross Pearson vs. Sam Stout
豪快なハードパンチャーのピアソンに、不屈の闘志で前に出つづけるスタウト。これはよくかみ合ったいい試合になるだろう。
強打のピアソン予想。
2015年2月28日土曜日
UFC 184: Rousey vs. Zingano 予想
Women's Bantamweight Ronda Rousey vs. Cat Zingano
無敗で打撃をもったズィンガノが相手ならば、ということで期待が集まっている。
たしかにミーシャ・テイトを打撃で屠った試合は圧巻であったが。が、その次の試合のアマンダ・ヌーンの試合をみたときは、全体的な打撃のナマクラさにむしろがっかりしたおぼえがある。
それと比べるとロンダ・ラウジーがディビスに放った、ガツン!という石の拳のような右、マクマンを沈めた膝の方が、はるかに印象ぶかい。またズィンガノは元レスラーということであるが、柔道で五輪メダリストのラウジーに相撲で太刀打ちできるレベルとも思えず。
というわけで、どう考えても、ズィンガノがラウジーに敵うとはおもえない。
ラウジーによる KO、ないし十字固めによるタップアウト予想。
Women's Bantamweight Raquel Pennington vs. Holly Holm
前回、相手の頭を小脇に抱えるようにしたブルドッグ・チョークという荒技でもってエヴァンス・スミスを絞め落としたペニントンであるが、相手のホーリー・ホームはボクサーとして輝かしい戦績をもっており、総合格闘転向後は7戦全勝6KOというこれまた輝かしい戦績を残している。ラウジーへの対抗馬として筆頭であろう。どんな選手か注目してみたい。
Welterweight Jake Ellenberger vs. Josh Koscheck
一時期はトップクラスの選手だったコスチェックだったが、あきらかに陰りが出ているという印象。タイロン・ウッドレイに壮絶なノックアウト負けを喫しているが、その後遺症も多大であるとおもわれる。一級のスピードと強打をもったエレンバーガーに太刀打ちできるとはとてもおもえない。
エレンバーガーによるノックアウト予想。
コスチェックはこれで引退であろう。
Middleweight Mark Muñoz vs. Roan Carneiro
ここのところ負けがこんでてさっぱり冴えないムニョスだが、レスリングでは全米トップレベルの選手であり、本来実力ある選手である。早いパンチをもった選手と相性のわるいムニョスだが、相手のカーニロは柔術主体の選手であり、そろそろ勝のではないかという気がする。逆にいえばこの試合で負けたら引退なのではないか。
ムニョス予想。
Bantamweight Roman Salazar vs. Norifumi Yamamoto
さて、われらが山本KID徳郁の登場であるが、どうであろう、3年ぶりのオクタゴン。
相手のサラザールは27歳とKIDより十歳も歳が若く、ノックアウトもできる選手のようであるが。
もしふつうに強くて速いパンチの出せる選手なのだとしたら、パンチに対する反応の鈍りが顕著なキッドは負けてしまうのではなかろうか。距離をとって踏み込んだりという全盛期のようなスマートな闘い方にこだわっているようだと、あまり勝ち目がないようにおもわれる。むしろがむしゃらに前に出て捕まえるなりしてドジョウのように泥仕合にもちこめば勝てるかもしれない。
無敗で打撃をもったズィンガノが相手ならば、ということで期待が集まっている。
たしかにミーシャ・テイトを打撃で屠った試合は圧巻であったが。が、その次の試合のアマンダ・ヌーンの試合をみたときは、全体的な打撃のナマクラさにむしろがっかりしたおぼえがある。
それと比べるとロンダ・ラウジーがディビスに放った、ガツン!という石の拳のような右、マクマンを沈めた膝の方が、はるかに印象ぶかい。またズィンガノは元レスラーということであるが、柔道で五輪メダリストのラウジーに相撲で太刀打ちできるレベルとも思えず。
というわけで、どう考えても、ズィンガノがラウジーに敵うとはおもえない。
ラウジーによる KO、ないし十字固めによるタップアウト予想。
Women's Bantamweight Raquel Pennington vs. Holly Holm
前回、相手の頭を小脇に抱えるようにしたブルドッグ・チョークという荒技でもってエヴァンス・スミスを絞め落としたペニントンであるが、相手のホーリー・ホームはボクサーとして輝かしい戦績をもっており、総合格闘転向後は7戦全勝6KOというこれまた輝かしい戦績を残している。ラウジーへの対抗馬として筆頭であろう。どんな選手か注目してみたい。
Welterweight Jake Ellenberger vs. Josh Koscheck
一時期はトップクラスの選手だったコスチェックだったが、あきらかに陰りが出ているという印象。タイロン・ウッドレイに壮絶なノックアウト負けを喫しているが、その後遺症も多大であるとおもわれる。一級のスピードと強打をもったエレンバーガーに太刀打ちできるとはとてもおもえない。
エレンバーガーによるノックアウト予想。
コスチェックはこれで引退であろう。
Middleweight Mark Muñoz vs. Roan Carneiro
ここのところ負けがこんでてさっぱり冴えないムニョスだが、レスリングでは全米トップレベルの選手であり、本来実力ある選手である。早いパンチをもった選手と相性のわるいムニョスだが、相手のカーニロは柔術主体の選手であり、そろそろ勝のではないかという気がする。逆にいえばこの試合で負けたら引退なのではないか。
ムニョス予想。
Bantamweight Roman Salazar vs. Norifumi Yamamoto
さて、われらが山本KID徳郁の登場であるが、どうであろう、3年ぶりのオクタゴン。
相手のサラザールは27歳とKIDより十歳も歳が若く、ノックアウトもできる選手のようであるが。
もしふつうに強くて速いパンチの出せる選手なのだとしたら、パンチに対する反応の鈍りが顕著なキッドは負けてしまうのではなかろうか。距離をとって踏み込んだりという全盛期のようなスマートな闘い方にこだわっているようだと、あまり勝ち目がないようにおもわれる。むしろがむしゃらに前に出て捕まえるなりしてドジョウのように泥仕合にもちこめば勝てるかもしれない。
ラベル:
CarneiroR,
EllenbergerJ,
HolmH,
KoscheckJ,
MuñozM,
PenningtonR,
RouseyR,
SalazarR,
YamamotoN,
ZinganoC
2015年1月31日土曜日
UFC 183: Silva vs. Diaz 予想
Middleweight Anderson Silva vs. Nick Diaz
昨年に足を文字通り折ってしまったアンデウソンの復帰戦であり、下馬評では彼の華麗な復活が予想されているが、どうであろう。
試合中の不運な怪我のせいでワイドマンに敗れたかのような言い方もされがちであるが、内容的にも明らかにあの試合はワイドマンが攻勢であったし、アンデウソンは明らかな劣勢に立っていた。以前のようにアンデウソンが伝説的に強い選手だとは思えなかった。ましてアンデウソンはもうじき40歳である。療養を兼ねた長い休養を経て、全盛期のような体のキレや反応の良さが持続されているとは、とてもおもえない。
アンデウソンに完勝しているのは唯一クリス・ワイドマンだけであるとおもうが、リーチや上背でアンデウソンより上回っているのもワイドマンだけであったことも考えると、やはり総合格闘において体格差というのは大きいようにおもう。
その点、ニック・ディアズはやはりどうしても体がアンデウソンよりも一回り小さい。リーチでは10㎝ぐらいの差があり、ただでさえ打撃が正確なアンデウソンに対して、ディアズにはもはや勝ち目すら無いようにさえおもわれる。
ニック・ディアズは、前に出て相撃ちを狙ってゆく選手である。打撃の正確なアンデウソンに対して前へ前へと出てゆくとなると、かなりの被弾が予想されるし、岡見のように出鼻にタイミングのいい打撃を当てられて沈んでしまうことも大いに考えられる。
しかし、さほど撃たれ強いとはいえないアンデウソンの側からみれば、相手に執拗なまでに相撃ちを狙ってこられるというのは、かなり嫌なはずである。ディアズの前進に対してタイクリンチから膝を出すなど自身の独壇場へともってゆければアンデウソンが圧倒する展開になるとおもうが、万が一に嫌がって後退したりすれば、ノッたディアズが一気に破ってしまうかもしれない。
私は後者に期待して、ニック・ディアズを予想してみたい。
Catchweight (180 lbs) Tyron Woodley vs. Kelvin Gastelum
ガステラムは計量前にインフルエンザか何かを発症したらしく、かなり体調は悪そうである。計量もミスしており、はげしく嘔吐したらしい。
本来なら総合力の高いガステラム予想といいたいところであるが、これはウッドレイが勝つのではないか。
Women's Bantamweight Miesha Tate vs. Sara McMann
ミーシャの方が格闘家としての経験は豊富だがマクマンはレスリングで五輪メダリストであり、化け物のような上腕をしている。前回ラウジーの強烈な打撃に沈んだが、ミーシャは一発で相手を沈めるほどの強力な打撃はもっておらず、組み合になるであろうし、そうなればおそらくマクマンが勝るのではないか。
判定でマクマン予想
昨年に足を文字通り折ってしまったアンデウソンの復帰戦であり、下馬評では彼の華麗な復活が予想されているが、どうであろう。
試合中の不運な怪我のせいでワイドマンに敗れたかのような言い方もされがちであるが、内容的にも明らかにあの試合はワイドマンが攻勢であったし、アンデウソンは明らかな劣勢に立っていた。以前のようにアンデウソンが伝説的に強い選手だとは思えなかった。ましてアンデウソンはもうじき40歳である。療養を兼ねた長い休養を経て、全盛期のような体のキレや反応の良さが持続されているとは、とてもおもえない。
アンデウソンに完勝しているのは唯一クリス・ワイドマンだけであるとおもうが、リーチや上背でアンデウソンより上回っているのもワイドマンだけであったことも考えると、やはり総合格闘において体格差というのは大きいようにおもう。
その点、ニック・ディアズはやはりどうしても体がアンデウソンよりも一回り小さい。リーチでは10㎝ぐらいの差があり、ただでさえ打撃が正確なアンデウソンに対して、ディアズにはもはや勝ち目すら無いようにさえおもわれる。
ニック・ディアズは、前に出て相撃ちを狙ってゆく選手である。打撃の正確なアンデウソンに対して前へ前へと出てゆくとなると、かなりの被弾が予想されるし、岡見のように出鼻にタイミングのいい打撃を当てられて沈んでしまうことも大いに考えられる。
しかし、さほど撃たれ強いとはいえないアンデウソンの側からみれば、相手に執拗なまでに相撃ちを狙ってこられるというのは、かなり嫌なはずである。ディアズの前進に対してタイクリンチから膝を出すなど自身の独壇場へともってゆければアンデウソンが圧倒する展開になるとおもうが、万が一に嫌がって後退したりすれば、ノッたディアズが一気に破ってしまうかもしれない。
私は後者に期待して、ニック・ディアズを予想してみたい。
Catchweight (180 lbs) Tyron Woodley vs. Kelvin Gastelum
ガステラムは計量前にインフルエンザか何かを発症したらしく、かなり体調は悪そうである。計量もミスしており、はげしく嘔吐したらしい。
本来なら総合力の高いガステラム予想といいたいところであるが、これはウッドレイが勝つのではないか。
Women's Bantamweight Miesha Tate vs. Sara McMann
ミーシャの方が格闘家としての経験は豊富だがマクマンはレスリングで五輪メダリストであり、化け物のような上腕をしている。前回ラウジーの強烈な打撃に沈んだが、ミーシャは一発で相手を沈めるほどの強力な打撃はもっておらず、組み合になるであろうし、そうなればおそらくマクマンが勝るのではないか。
判定でマクマン予想
2015年1月4日日曜日
UFC 182: Jones vs. Cormier 感想
Light Heavyweight Jon Jones vs. Daniel Cormier
細長い体を縮めるようにして小さくやや消極的な構えのジョーンズに対して、コーミエが序盤からぐいぐい前に出て積極的大胆に攻め、これは、と思わせる場面もあったが、さすがは巧者のジョーンズ、上に下にと打ちわけて、徐々に徐々にと試合を自分のペースにもっていった。
テイクダウンにこだわり、立てば接近してからの右に頼りがちなコーミエに対して、一方のジョーンズは、パンチありの、上下蹴りありの、肘ありの、ヒザありので、攻めも断然多彩だった。クリンチでコーミエのうごきを完全に封じてしまう上手さもあった。終盤にはコーミエから二度も完璧なテイクダウンをとってみせた。やはりつよい、ジョーンズ。
最終ラウンドの試合終了前なのにジョーンズはおもむろに両手を挙げてみせたかとおもうと、急にコーミエにむかってパンチを出したりしていた。怒ったコーミエが応戦しかけて、試合終了。そこでジョーンズはコーミエに何やら小馬鹿にしたようなしぐさをみせた。インタビューでも「コーミエが大嫌いだ」と言っていた。
なんとも後味の悪い幕切れであった。
ジョーンズはジーザスがどうしただのロードがどうのだのやたら敬虔なこと言うけれど、なんだか人間としてだいぶ問題アリなかんじがする。まあ格闘がつよければ人間性なぞどうだっていいんだが、しかしこの選手が好きか嫌いかと言われたら、はっきりと嫌いになった。
ジョーンズは次にヘビーのウェルドゥムとのスーパーファイトを考えているらしいが、この後味の悪さからして、俄然ウェルドゥムを応援したくなった。
追記:ジョーンズの次はガスタフソンとジョンソンの勝者に照準を合わせているようで、記者会見でウェルドゥムの名前は一切出なかった。コーミエとジョーンズの気分は当人同士にしかわからず、相手を尊敬どうの以前にこれは戦いなんだ、と言っていた。二人の態度だけで安易にどうこうなど言うべきでないとおもった。
Lightweight Donald Cerrone vs. Myles Jury
打撃に切れ味のあるジューリがパンチを当ててセローニを圧倒するのでないかとおもっていたが、ふたを開けてみればセローニの強いプレッシャーで手が出せず、逃げてばかりいる場面が目立った。見たかんじセローニの顔が怖くてビビったかのようであった。
セローニは逃げてばかりいるジューリに対戦相手として不満をかんじたのか、最後は寝そべったジューリの下半身に、まるで「男なら立って向かってこい」でも言わんかのようにサッカーボールキックを無造作に何度も何度も入れていた。
Middleweight Brad Tavares vs. Nate Marquardt
タヴォーレスの左のジャブが実によく当たり、またキックも速く、打撃戦でマーコートを圧倒していた。ボウチ戦と似た展開であったが、今回のタヴォーレスは油断せず最後まで慎重であった。
マーコートは後半になってやや疲れがでてふらつく場面も多かった。
Flyweight Kyoji Horiguchi vs. Louis Gaudinot
堀口が速さで圧倒した。フットワークもよく、踏み込みも速く、パンチもよく当たっていた。惜しむらくは、あまり見栄えのしない試合であったことか。あれだけのスピード差があれば倒して存在感をアピールしてほしかった。
Welterweight Hector Lombard vs. Josh Burkman
ロンバードが圧倒すべき試合であったし、実際圧倒したけれど、私は不本意な試合だったのではないかとおもう。なかばグロッキー状態のバークマンに対して、手が出せずにらめっこをするような不器用な場面が目立った。これでは上位にあがるのは難しいのではないか、という気がした。
Lightweight Danny Castillo vs. Paul Felder
テコンドー二段のフェルダーは、下から上へ突き上げるように実にいやらしいタイミングで膝を出す。蹴りもパンチより速くみえた。流れるようなパンチ蹴りヒザの多彩なコンボで、まるで格闘ゲームをみてるかのような面白さがあった。
最後はめずらしくバックブローがまともに入り、カスティロは完全にのびてしまった。
Bantamweight Marcus Brimage vs. Cody Garbrandt
レスリングで実績があって、天性ともいえる打撃センスもった選手というのは無敵だと常々おもうが、このオハイオ出身の23歳ガーブラントなど、まさにその典型だろう。とても23歳とはおもえない落ち着いた構えで対峙していた。パンチの交錯時に頭をさほどに動かさないのがやや気になったが、ふしぎとブリメジのパンチが当たらない。ブリメジが悪いのか、ガーブラントがよく見えてるのか、よくわからない。また、蹴った後で相手がつけ入ろうとすると、それを迎え撃つパンチが自然に出てくる。
初回にブリメジの前頭部に強烈なの当てており、ちょっと心配したが、案の定あれで右手を骨折してたそうな。でもブリメジをぐらつかせたのも、その後のフィニッシュブローも右で、しかも渾身の振りでもって何度も何度も出していた。闘争心、文句のつけようがない。格闘のために生まれてきたような天才坊やの登場である。
Heavyweight Shawn Jordan vs. Jared Cannonier
見るからに鈍重そうな関取ジョーダンに対して、キャノニエはフットワークも軽快で力を抜いたパンチにキックもよい感じであったが、接近したときの打撃の交換ではジョーダンの方が反応もよく上手であった。決め手はジョーダンの右のクロスで、軽く出したようなパンチであったがキャノニエの耳の後ろにかすめるようにあたって、それが勝負がついた。
Welterweight Omari Akhmedov vs. Mats Nilsson
ニルソンはグラップリングの達人らしいが、どうしても柔術とかグラップリングの専門家と聞くと打撃のない選手という先入観を抱いてしまう。かつてグレイシー一族が一世を風靡してた時代とちがって現代格闘では打撃のない選手はまず勝てない。
ニルセンのパンチは細かく軽快で決して悪くなかったが、なにせ効かなかった。一方のアクメの方がガードの上からたたく強振気味ながら見栄えはよく、それで稼いだポイントは大きい。しかし、いくらパンチ力があろうと、振り回すようなパンチしか出せない選手はダメである。
ふたを開けてみれば強振家のアクメの方がテイクダウンが確実で、打撃よりむしろそっちが勝因となったようだ。
Women's Bantamweight Alexis Dufresne vs. Marion Reneau
37歳のレノー、格闘家としてはかなり高齢なんだけど、フットワークも軽く、パンチはまっすぐソリッドで速かった。体のキレはすばらしかったね。ただ、相手のデュフレインがまるで素人すぎたために、評価が難しいところ
細長い体を縮めるようにして小さくやや消極的な構えのジョーンズに対して、コーミエが序盤からぐいぐい前に出て積極的大胆に攻め、これは、と思わせる場面もあったが、さすがは巧者のジョーンズ、上に下にと打ちわけて、徐々に徐々にと試合を自分のペースにもっていった。
テイクダウンにこだわり、立てば接近してからの右に頼りがちなコーミエに対して、一方のジョーンズは、パンチありの、上下蹴りありの、肘ありの、ヒザありので、攻めも断然多彩だった。クリンチでコーミエのうごきを完全に封じてしまう上手さもあった。終盤にはコーミエから二度も完璧なテイクダウンをとってみせた。やはりつよい、ジョーンズ。
最終ラウンドの試合終了前なのにジョーンズはおもむろに両手を挙げてみせたかとおもうと、急にコーミエにむかってパンチを出したりしていた。怒ったコーミエが応戦しかけて、試合終了。そこでジョーンズはコーミエに何やら小馬鹿にしたようなしぐさをみせた。インタビューでも「コーミエが大嫌いだ」と言っていた。
なんとも後味の悪い幕切れであった。
ジョーンズはジーザスがどうしただのロードがどうのだのやたら敬虔なこと言うけれど、なんだか人間としてだいぶ問題アリなかんじがする。まあ格闘がつよければ人間性なぞどうだっていいんだが、しかしこの選手が好きか嫌いかと言われたら、はっきりと嫌いになった。
ジョーンズは次にヘビーのウェルドゥムとのスーパーファイトを考えているらしいが、この後味の悪さからして、俄然ウェルドゥムを応援したくなった。
追記:ジョーンズの次はガスタフソンとジョンソンの勝者に照準を合わせているようで、記者会見でウェルドゥムの名前は一切出なかった。コーミエとジョーンズの気分は当人同士にしかわからず、相手を尊敬どうの以前にこれは戦いなんだ、と言っていた。二人の態度だけで安易にどうこうなど言うべきでないとおもった。
Lightweight Donald Cerrone vs. Myles Jury
打撃に切れ味のあるジューリがパンチを当ててセローニを圧倒するのでないかとおもっていたが、ふたを開けてみればセローニの強いプレッシャーで手が出せず、逃げてばかりいる場面が目立った。見たかんじセローニの顔が怖くてビビったかのようであった。
セローニは逃げてばかりいるジューリに対戦相手として不満をかんじたのか、最後は寝そべったジューリの下半身に、まるで「男なら立って向かってこい」でも言わんかのようにサッカーボールキックを無造作に何度も何度も入れていた。
Middleweight Brad Tavares vs. Nate Marquardt
タヴォーレスの左のジャブが実によく当たり、またキックも速く、打撃戦でマーコートを圧倒していた。ボウチ戦と似た展開であったが、今回のタヴォーレスは油断せず最後まで慎重であった。
マーコートは後半になってやや疲れがでてふらつく場面も多かった。
Flyweight Kyoji Horiguchi vs. Louis Gaudinot
堀口が速さで圧倒した。フットワークもよく、踏み込みも速く、パンチもよく当たっていた。惜しむらくは、あまり見栄えのしない試合であったことか。あれだけのスピード差があれば倒して存在感をアピールしてほしかった。
Welterweight Hector Lombard vs. Josh Burkman
ロンバードが圧倒すべき試合であったし、実際圧倒したけれど、私は不本意な試合だったのではないかとおもう。なかばグロッキー状態のバークマンに対して、手が出せずにらめっこをするような不器用な場面が目立った。これでは上位にあがるのは難しいのではないか、という気がした。
Lightweight Danny Castillo vs. Paul Felder
テコンドー二段のフェルダーは、下から上へ突き上げるように実にいやらしいタイミングで膝を出す。蹴りもパンチより速くみえた。流れるようなパンチ蹴りヒザの多彩なコンボで、まるで格闘ゲームをみてるかのような面白さがあった。
最後はめずらしくバックブローがまともに入り、カスティロは完全にのびてしまった。
Bantamweight Marcus Brimage vs. Cody Garbrandt
レスリングで実績があって、天性ともいえる打撃センスもった選手というのは無敵だと常々おもうが、このオハイオ出身の23歳ガーブラントなど、まさにその典型だろう。とても23歳とはおもえない落ち着いた構えで対峙していた。パンチの交錯時に頭をさほどに動かさないのがやや気になったが、ふしぎとブリメジのパンチが当たらない。ブリメジが悪いのか、ガーブラントがよく見えてるのか、よくわからない。また、蹴った後で相手がつけ入ろうとすると、それを迎え撃つパンチが自然に出てくる。
初回にブリメジの前頭部に強烈なの当てており、ちょっと心配したが、案の定あれで右手を骨折してたそうな。でもブリメジをぐらつかせたのも、その後のフィニッシュブローも右で、しかも渾身の振りでもって何度も何度も出していた。闘争心、文句のつけようがない。格闘のために生まれてきたような天才坊やの登場である。
Heavyweight Shawn Jordan vs. Jared Cannonier
見るからに鈍重そうな関取ジョーダンに対して、キャノニエはフットワークも軽快で力を抜いたパンチにキックもよい感じであったが、接近したときの打撃の交換ではジョーダンの方が反応もよく上手であった。決め手はジョーダンの右のクロスで、軽く出したようなパンチであったがキャノニエの耳の後ろにかすめるようにあたって、それが勝負がついた。
Welterweight Omari Akhmedov vs. Mats Nilsson
ニルソンはグラップリングの達人らしいが、どうしても柔術とかグラップリングの専門家と聞くと打撃のない選手という先入観を抱いてしまう。かつてグレイシー一族が一世を風靡してた時代とちがって現代格闘では打撃のない選手はまず勝てない。
ニルセンのパンチは細かく軽快で決して悪くなかったが、なにせ効かなかった。一方のアクメの方がガードの上からたたく強振気味ながら見栄えはよく、それで稼いだポイントは大きい。しかし、いくらパンチ力があろうと、振り回すようなパンチしか出せない選手はダメである。
ふたを開けてみれば強振家のアクメの方がテイクダウンが確実で、打撃よりむしろそっちが勝因となったようだ。
Women's Bantamweight Alexis Dufresne vs. Marion Reneau
37歳のレノー、格闘家としてはかなり高齢なんだけど、フットワークも軽く、パンチはまっすぐソリッドで速かった。体のキレはすばらしかったね。ただ、相手のデュフレインがまるで素人すぎたために、評価が難しいところ
ラベル:
AkhmedovO,
BrimageM,
BurkmanJ,
CannonierJ,
CastilloD,
CerroneD,
CormierD,
DufresneA,
FeldP,
GarbrandtC,
GaudinotL,
HoriguchiK,
JonesJ,
JordanS,
JuryM,
LombardH,
MarquardtN,
NilssonM,
ReneauM,
TavaresB
2015年1月1日木曜日
UFC 182: Jones vs. Cormier 予想
Light Heavyweight Jon Jones vs. Daniel Cormier
因縁の対決である。
盟友ヴェラスケスとの対戦を避け、階級をひとつ下げてきたコーミエだが、元ヘビー級とはいえ体格はライトヘビーでも小さい方だろう。それでもヘビー級では向かうところ敵なしであったし、あの巨漢アントニオ・シウバを右一発で沈めるだけの破壊力もある。レスリングのうまさは群を抜いており、元五輪代表だったヘンドや、柔術の専門家で重量のあるロイ・ネルソンなど手玉にとってみせまったく寄せ付けない強さをみせた。
そのコーミエならばジョン・ジョーンズを倒せるのではないか、という期待は大きい。
ジョン・ジョーンズは実にクリエイティブな選手であり、練習してきてないような実にいやらしいことをその場その場で臨機応変で繰り出せる頭の柔軟さがあり、おそらく格闘界随一のケンカ上手であろう。
ジョーンズの視力と反応のよさも群を抜いている。マチダのカウンターを誘ってそれにカウンターを当てられる打撃センスは天才的である。そして何よりの武器は格闘界でいちばん長いリーチだろう。相手が懐にとび込むなどして距離が狭まれば、戦慄の肘が待っている。ジョーンズには全く穴が無いようにさえおもえる。
超一流の両選手だけに、勝敗の決め手は、両者が相手を攻略する上でどういう対策を練り、どういう作戦を立ててきたかによるのではないかとおもう。
レスリングに絶大な自信をもっているコーミエが勝つとしたら、まずテイクダウンをとることだろう。肘撃ちのうまいジョーンズが上になってしまうとかなりヤバいので大きな賭けだけど、ジョーンズの四肢の長さを逆手ににとって横四方から十字架のようにして封じてしまったばあい、そのままパウンドないし肩固めで勝負が決まってしまうかもしれない。
あるいは、テイクダウンにいくと見せかけるフェイントで上へ強いパンチを出すなどしてくるかもしれない。渾身の右がジョーンズの顔面を一発でもとらえれば、それで決着がつくだろう。
ジョーンズにとっての勝機はその長いリーチを生かせた場合ではなかろうか。調子づいたコーミエの出鼻にチョン!とタイミングのいいパンチが当たれば、それが効いてしまい、そこで流れが一方的にジョーンズ優勢になってしまうかもしれない。あるいはコーミエのテイクダウン狙いに対して、膝ないし肘を合わせる練習をしてきているのかもしれない。
やや気になるのは、ジョーンズは踏み込みの速い選手に対して手のひらを前に出して牽制するしぐさをよくすることである。テシーラを悩ませたあのポーズである。最悪の場合、ジョーンズの指がコーミエの眼窩に入ってしまい、それで試合続行不能などになってしまう可能性もあるとおもう。
レフリーが早め早めに注意して、オープンハンドを相手の眼前に置くのはやめさせてほしい。
私はコーミエによるTKO予想で行ってみたい。
Lightweight Donald Cerrone vs. Myles Jury
次期チャンピオン候補の筆頭であるマイルズ・ジューリは目下15戦全勝中。ごく自然体な構えから、相手のうごきによく反応してまさに電光石火のカウンターで、これまでにバッタバッタと相手を倒してきた選手である。相撲もレスリングもつよく、力もある。
ただ、防御が雑なところがあり、不用意な小技をまともに何度ももらい続け、スローダウンしてしまう場合がある。
百戦錬磨で勝負強いセローニが、ジューリのような切れ味ある打撃をもった選手をどう攻略するのか楽しみであり、あるいは天才ジューリがセローニという壁をどう打ち破るか、大変興味ある一戦である。
私はジューリ予想。おそらく判定になるのではないか。
Middleweight Brad Tavares vs. Nate Marquardt
前回、キューバの怪人ロメロに翻弄されたタヴォーレスだが、距離も立ち位置もバランスもよく、打撃のタイミングもいい。格闘センスは群を抜いている。
マーコートが老獪とはいえ、私は間違いなく若き秀才タヴォーレスが勝つとおもう。
タヴォーレスによるTKO予想。
Flyweight Kyoji Horiguchi vs. Louis Gaudinot
注目の空手家対決である。
我らが日本期待の神風小僧、神の子の子、堀口恭司選手がメインに登場できたのは、一重に彼のスタイル、「肉を斬らせて骨を断つ」ようなスリルある面白さがあるからだろう。一発でも当たれば試合の流れが変わる強打も大きな魅力である。
堀口の弱点として相撲が弱いところがおもいつく。
対するルイス・ゴーディノットは空手四段という。
これは見ごたえのある打撃戦になるのではなかろうか。
ゴーディノットが空手を捨てて組んでいけば、相撲の弱い堀口に対して優位な立場となり、案外コーディノットが絞め技で勝ってしまうかもしれない。
が、私は神風野郎の堀口恭司24歳によるノックアウトを期待。
Welterweight Hector Lombard vs. Josh Burkman
UFCでいちばんの嫌われ者だと自嘲するヘクター・ロンバートは上体も見事であるが、柔道の専門家だけあってややガニ股気味な下半身が特徴的である。
草刈機のようなパンチの殺傷能力も高い。
これは問題なくロンバードによるノックアウト予想。
因縁の対決である。
盟友ヴェラスケスとの対戦を避け、階級をひとつ下げてきたコーミエだが、元ヘビー級とはいえ体格はライトヘビーでも小さい方だろう。それでもヘビー級では向かうところ敵なしであったし、あの巨漢アントニオ・シウバを右一発で沈めるだけの破壊力もある。レスリングのうまさは群を抜いており、元五輪代表だったヘンドや、柔術の専門家で重量のあるロイ・ネルソンなど手玉にとってみせまったく寄せ付けない強さをみせた。
そのコーミエならばジョン・ジョーンズを倒せるのではないか、という期待は大きい。
ジョン・ジョーンズは実にクリエイティブな選手であり、練習してきてないような実にいやらしいことをその場その場で臨機応変で繰り出せる頭の柔軟さがあり、おそらく格闘界随一のケンカ上手であろう。
ジョーンズの視力と反応のよさも群を抜いている。マチダのカウンターを誘ってそれにカウンターを当てられる打撃センスは天才的である。そして何よりの武器は格闘界でいちばん長いリーチだろう。相手が懐にとび込むなどして距離が狭まれば、戦慄の肘が待っている。ジョーンズには全く穴が無いようにさえおもえる。
超一流の両選手だけに、勝敗の決め手は、両者が相手を攻略する上でどういう対策を練り、どういう作戦を立ててきたかによるのではないかとおもう。
レスリングに絶大な自信をもっているコーミエが勝つとしたら、まずテイクダウンをとることだろう。肘撃ちのうまいジョーンズが上になってしまうとかなりヤバいので大きな賭けだけど、ジョーンズの四肢の長さを逆手ににとって横四方から十字架のようにして封じてしまったばあい、そのままパウンドないし肩固めで勝負が決まってしまうかもしれない。
あるいは、テイクダウンにいくと見せかけるフェイントで上へ強いパンチを出すなどしてくるかもしれない。渾身の右がジョーンズの顔面を一発でもとらえれば、それで決着がつくだろう。
ジョーンズにとっての勝機はその長いリーチを生かせた場合ではなかろうか。調子づいたコーミエの出鼻にチョン!とタイミングのいいパンチが当たれば、それが効いてしまい、そこで流れが一方的にジョーンズ優勢になってしまうかもしれない。あるいはコーミエのテイクダウン狙いに対して、膝ないし肘を合わせる練習をしてきているのかもしれない。
やや気になるのは、ジョーンズは踏み込みの速い選手に対して手のひらを前に出して牽制するしぐさをよくすることである。テシーラを悩ませたあのポーズである。最悪の場合、ジョーンズの指がコーミエの眼窩に入ってしまい、それで試合続行不能などになってしまう可能性もあるとおもう。
レフリーが早め早めに注意して、オープンハンドを相手の眼前に置くのはやめさせてほしい。
私はコーミエによるTKO予想で行ってみたい。
Lightweight Donald Cerrone vs. Myles Jury
次期チャンピオン候補の筆頭であるマイルズ・ジューリは目下15戦全勝中。ごく自然体な構えから、相手のうごきによく反応してまさに電光石火のカウンターで、これまでにバッタバッタと相手を倒してきた選手である。相撲もレスリングもつよく、力もある。
ただ、防御が雑なところがあり、不用意な小技をまともに何度ももらい続け、スローダウンしてしまう場合がある。
百戦錬磨で勝負強いセローニが、ジューリのような切れ味ある打撃をもった選手をどう攻略するのか楽しみであり、あるいは天才ジューリがセローニという壁をどう打ち破るか、大変興味ある一戦である。
私はジューリ予想。おそらく判定になるのではないか。
Middleweight Brad Tavares vs. Nate Marquardt
前回、キューバの怪人ロメロに翻弄されたタヴォーレスだが、距離も立ち位置もバランスもよく、打撃のタイミングもいい。格闘センスは群を抜いている。
マーコートが老獪とはいえ、私は間違いなく若き秀才タヴォーレスが勝つとおもう。
タヴォーレスによるTKO予想。
Flyweight Kyoji Horiguchi vs. Louis Gaudinot
注目の空手家対決である。
我らが日本期待の神風小僧、神の子の子、堀口恭司選手がメインに登場できたのは、一重に彼のスタイル、「肉を斬らせて骨を断つ」ようなスリルある面白さがあるからだろう。一発でも当たれば試合の流れが変わる強打も大きな魅力である。
堀口の弱点として相撲が弱いところがおもいつく。
対するルイス・ゴーディノットは空手四段という。
これは見ごたえのある打撃戦になるのではなかろうか。
ゴーディノットが空手を捨てて組んでいけば、相撲の弱い堀口に対して優位な立場となり、案外コーディノットが絞め技で勝ってしまうかもしれない。
が、私は神風野郎の堀口恭司24歳によるノックアウトを期待。
Welterweight Hector Lombard vs. Josh Burkman
UFCでいちばんの嫌われ者だと自嘲するヘクター・ロンバートは上体も見事であるが、柔道の専門家だけあってややガニ股気味な下半身が特徴的である。
草刈機のようなパンチの殺傷能力も高い。
これは問題なくロンバードによるノックアウト予想。
ラベル:
BurkmanJ,
CerroneD,
CormierD,
GaudinotL,
HoriguchiK,
JonesJ,
JuryM,
LombardH,
MarquardtN,
TavaresB
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