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2013年6月16日日曜日

UFC 161: Evans vs. Henderson

Light Heavyweight Rashad Evans vs. Dan Henderson
 過去のリョート戦,ショーグン戦を見るかぎり,ヘンドは右手にさえ気をつけてじっくり疲弊を待っていれば決して恐くない選手ともいえ,ラシャド・エヴァンスが距離を上手にとって優位に試合を展開していくんじゃなかろうかと予想していた。

 しかし予想以上にラシャドが慎重であった。
 ヘンドは本腰を入れた右の布石としてか,序盤からわりと変則的な右を出してきていたが,その後,左の踏み込んだジャブがラシャドの出鼻にカウンターで入った。リョートに受けたカウンターのような見事なタイミングで,ラシャドは膝をついていたが,当てたヘンドの方もびっくりしていたようでもあった。あれは狙って当てたというよりたまたま入ったかのようであった。
 序盤はラシャドは明らかに翻弄されていた感じであった。回を追うごとにラシャドの顔には迷いの色が濃くなっていったようにみえた。

 むかしはもっと大胆に踏み込んでパンチを出していたラシャドであるが,このごろは距離をうまく使うようになった感じで,安定感が増した反面,臆病になったようにも感じられる。どうしても勝ちたいというのはわかるし,結果的に勝てて嬉しかろうが,第一級のプロとしてもっと大胆な攻めを見せて欲しいものである。



Heavyweight Roy Nelson vs. Stipe Miocic
 ミオチッチも強い打撃をもっているが自分より強い打撃をもった選手に対してどう対処するかが見所であった。
 一方のビッグ・カントリー,ロイ・ネルソンの右がまた今日も当たるんではなかろうか,という期待をこめて観戦。
 
 試合開始前の自信に満ちたミオチッチの顔を見ていたら,ミオチッチが勝つような気がしてきた。
 野球でも格闘でも,強打者の一発ほどアテにならないものはない。頭のいい選手によってちょっと研究され攻略されれば完全に不発に終ってしまう。今日のロイ・ネルソンの不発っぷりもまさにそんな感じであった。ミオチッチの身体能力と比べると,はんぺんのように太ったロイ・ネルソンは,レベルが一つ二つ下の選手のようにもみえたし,結果もそのとおりとなってしまった。

 打撃を何度もまともに顔面にもらっていたネルソンのダメージが心配である。 
 100kg を超える選手が放つ渾身の打撃を,頭部に百発以上も受け続ければ,脳に後遺症が残らない方がおかしい。この試合以降はどんどん下降していくのではなかろうか。



Light Heavyweight Ryan Jimmo vs. Igor Pokrajac
 カナダの空手家ジモは17勝2敗という華々しい戦績。全体的に筋肉がよく発達しており,ふくらはぎなど卓球選手のようであるが,全体的に動きがなんだか重いかんじがする。

 いくら馬力があっても,ギヤがローで固定されたような選手は速さに欠け,攻撃にキレがない。今日は勝てたが,こんなスピードではLH級の上位にはまず通用しえないのではなかろうか。



Women's Bantamweight Alexis Davis vs. Rosi Sexton
 おふらんす出身でエギリスで学んだロジー・セクストンは頭脳明晰な秀才選手らしい。
 一方のアレクサス・デイビスも日本柔術とブラジリアン柔術の両方を学んだそうで,生粋の格闘家とのこと。

 女子の試合は身体が柔らかいせいで,打撃も関節技もスパっと決まらず,また根性は男子以上で滅多なことではタップしない。時として眼を覆いたくなるような展開になったりする。この試合もそんな展開であった。
 


Heavyweight Pat Barry vs. Shawn Jordan
 相撲っとりみたいな体型の両者だけど,相撲の下手っぴな,ただのぶん殴りあい対決。はっきりいって,前時代の総合格闘であり,暇つぶしにはいいが,面白みはナシかも。
 
 ノックアウトされたパット・バリーは,相手の打撃を受けたあと頭を抱えたまま後ろによたよた歩くだけであった。今時そんな素人みたいな防御反応をしてるのはヘビー級ぐらいなものだろう。
 ノックアウトとはいえ,ブーイングしたくなる最悪の試合であった。
 


Welterweight Jake Shields vs. Tyron Woodley
 ウッドレイの一発に期待したいが,いなし上手なジェイクがまた誤魔化して勝つんじゃないかな,という予想。
 そして予想どおりの結果。つまらん。
 


Lightweight Sam Stout vs. James Krause
 クラウスは頻繁にスタンスをスイッチさせ,長い手足でもって変幻自在のパンチと蹴りをもった選手。カポエラのような変則的なキックを出してきたりもする,面白い選手。
 特徴的なクラウスと比較すると,スタウトの方は真っ正直であまり面白みのない選手になってしまうが,どんなときも下がらずに前へ前へと出てゆく不屈の闘志をもっており,決して悪い選手ではない。
 


Welterweight Sean Pierson vs. Kenny Robertson
 ショーン・ピアソンはもう37歳というベテラン。強い打撃を持つ選手だが,打たれやすい面もあり,ノックアウトによる勝ち負けが多い。見ていて面白い選手ではある。
 ケニー・ロバートソンは前回股裂きという珍しい技で勝っていた。自称レスリング黒帯だそうな。

 ピアソンはサウスポで,右のフックにクロスがソリッドで,見ていて気分がいいが,やはり最大の敵は自身の年齢のようであり,どうしても混戦になれば相手の打撃をもらってしまう。
 一方のロバートソンは,レスリング黒帯と自称しているが,あんましケンカ上手というわけでもなく,さほど将来が楽しみというかんじでもなかった。負けてるし。



Bantamweight Roland Delorme vs. Edwin Figueroa
 11戦して9勝2敗,28歳のムエタイ・キックボクサー,フィガロアと,10戦して8勝1敗1無効試合,地元ウィニペグ出身のカナダ人デロームの対戦。
 デロームは寝技のうまい選手という印象だが,打撃が苦手というのが見ていてわかるところが大きな欠点か。
 フィガロアはマウントから皮膚をかすめるようなエルボーを出してくる,どうやったら人間の皮膚を切り裂けるか熟知しているかのように打撃をくり出す選手である。

 デロームのようにはじめから組みいくことしか考えていないような選手の試合は,私はあんまり好きでない。

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