Middleweight Anderson Silva vs Chris Weidman
私はかなり早い時期からワイドマン予想をしていた一人であり,「初回か早いラウンドでワイドマンによるKO」と考えていたのだけれど,しかしまさかこんなふうな終り方になるとは予想だにしていなかった。
アンデウソンがワイドマンをノーガードで挑発したのだが,そこでまともにパンチをもらってしまい,まさかの失神ノックアウト。
この試合,いろんな受け取り方があるだろうけど,私にはいつものアンデウソンの催眠術が今回の相手には効かず,初回の終盤から少しやぶれかぶれになったようにも思えた。ワイドマンに対してしきりに軽率な挑発的そぶりを見せていたが,デミアン・マイアのときのそれとは明らかに違っていた。ちょっと顔がひきつっていたのが見てとれたし,彼の余裕から出た挑発でないのはなんとなくわかった。
そこで翻弄されたらワイドマンは勝てなかっただろうけど,彼は最後まで相手に呑まれず,自分を失わず落ち着いていた。それが何よりの勝因ではなかろうか。アンデウソンの変なうごきにとまどいを見せつつもも,危険な打撃に大してはしっかり体が反応していた。
そして,ワイドマンのリーチ。
これまでの対戦相手なら届かない距離だったろうけれど,ワイドマンの左手はゆうに届いた。棒出ししたジャブのような左フック。それが当たっただけでアンデウソンは意識が飛んでしまい,すぐにパウンドの連打を受けて完全なノックアウトになってしまった。
いまだに信じられない結末。
試合開始前に,アンデウソンはいつものように汗びっしょりであったけど,顔の表情は涙ぐんでいるように見えた。それがどういう意味なのかはよくわからなかったが,今になっておもえばなんとも暗示的であったのかもしれない。
ワイドマンの王座がどれくらい長続きするのかはわからないが,明らかに総合格闘の新しい時代の幕開けを感じさせる試合であった。
Featherweight Frankie Edgar vs. Charles Oliveira
まだ若くて,総合力の高いオリヴェラだが,前回の試合から打撃の防御カンがいまひとつという印象をもっていた。だからフランキーのパンチがよく当たるだろう,と予想。
で,フランキーの試合らしく押しつ押されつの面白い試合となり,予想どおりフランキーの速いパンチがよく当たり,彼のペースで試合が進んだ。
組んでも元レスラーのフランキーは,慎重だった。グラウンドでも深追いはせず,最後まで上手に対処して,判定勝利。
これまた予想的中。
Middleweight Tim Kennedy vs. Roger Gracie
柔術しかもっていないような選手というのは,ボクシングしかない選手と一緒である。
ようするに,ケンカが弱い。
グレイシーの場合,それに輪をかけてスタミナ不足であった。
相手をやっつけることのみ考えていたケネディーの方が,やっぱりケンカはつよかった。
これまた予想どおりケネディーの判定勝ち。
Middleweight Mark Muñoz vs. Tim Boetsch
はじめはムニョスのテクニックに期待してムニョス予想をしていたが,昨年から今年にかけて激太りしていたという話を聞いて,急遽バウチ予想に変更。
しかし蓋を開けてみればムニョスの調子がすごく良くて,快勝といった感じであった。
Featherweight Cub Swanson vs. Dennis Siver
私は単純にスワンソンの方が持ち駒を多く持っているからスワンソン有利だと思ったが,いざ蓋を開けてみると,打撃の正確さと防御カンのよさで,スワンソンが圧倒していた。序盤はシヴァの強い打撃があったがじわじわと自分のペースにもっていき,最後は連打を当ててノックアウト。見事な試合であった。
Middleweight Chris Leben vs. Andrew Craig
私はクレイグが自分のペースで試合を進めて,判定でリーベンを破ると予想。
そして結果は予想どおり。
強いパンチをかぶせるよに外から撃つ選手と,大きな強打を恐れずに中から小さくまっすぐ出せる選手が対戦したら,かならず後者が勝つ。
この試合もまさにそのとおりであった。
Lightweight Norman Parke vs. Kazuki Tokudome
徳留選手の欠点は前の試合でも指摘していたが,とにかく打撃防御に大きな課題がある。そのことは前の試合でも指摘していたのだが,今回,まったくそれは全く改善されていなかった。頭が止まる,顎が出る,だらだらとまっすぐ下がる。最悪である。
一体トレーナーは何を彼に教えているのか,ふしぎでならない。
結論から言わせてもらえば,序盤からああいう不用意なパンチのもらい方を二試合連続でしているようでは,徳留は岡見のようにはなれっこない。
徳留は,組んだときのねちっこさは一級品だけど,相手のパンチに対して体が全く反応していない。タダで打撃点とダメージをだらだらと献上してる。
まるで彼の頭の中は自分の攻めの流れにもってくことしかないようで,相手の動きが全然見えていない様子であった。日本人にありがちで彼も練習しすぎなんじゃなかろうか。格闘で相手のうごきにしっかり反応することは,試合の流れを組み立てることなどよりもはるかに重要だと思うのだが。
たとえば相手が木人ならばこの選手は滅法強いのかもしれないが,しかし相手は木人でなく自分のうごきにあわせて攻め方をどんどん変えてくる人間である。いっそのことくだらぬパターン化した練習などやめて,自身のケンカのカンを養った方が賢明なんじゃないかな。
Heavyweight Gabriel Gonzaga vs. Dave Herman
右の一発が顎に当たって17秒でKO。まさにねじ伏せるように勝利した。
ハーマンはあの前蹴りで何がしたかったのだろうか。
攻撃は最大の防御というけれど,高いレベルの試合になるとああいう無意味な攻撃はむしろ相手に突破口を与えることの方が多い。
Lightweight Edson Barboza vs. Rafaello Oliveira
12勝1敗のバルボザ,のローキックがよくあたり,オリヴィエラは立てない状態に。
テイクダウン防御も絶対に相手を寄せつけない反応の良さがある。
これは上位に来る選手だろう。
Welterweight Seth Baczynski vs. Brian Melancon
ブライアン・メランソンという選手は足が極端に短くまるで小人プロレスの選手みたいだが,ものすごい打撃を持った面白い選手。
牧草刈りとり機みたいな強打強振する選手の試合てな,やっぱ観てて面白い。
上体のわりに下半身がやや貧弱なメランソン,バランス悪さが弱点になるかもね。
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