link

ツィッタ―始めました。
Twitter 全身凶器

2012年11月10日土曜日

UFC on Fuel TV: Franklin vs. Le (UFC: Macao)

Middleweight Cung Le vs  Rich Franklin 
 <試合前予想>
 リッチ・フランクリンは, 「カン・リーのうごきのパターン認識に意識を集中して戦う」 と語っていた。なかなか神経科学的にまっとうなコメントであり,この一言からもフランクリンがどれだけカン・リー対策を練り研究してきたかがうかがえた。カン・リーの試合は面白い試合になるのはまず間違いないのだが,これでますます面白そうになった。
 リッチ・フランクリンのニックネームは 『エース』。ジム・キャリーに似てることから,彼の映画の登場人物 『エース・ヴェンチュラ』 からとったもの。

 <試合感想>
 序盤はフランクリンがとてもいい感じであった。カン・リーのうごきをよく研究して練習してきたのがわかる。
 フランクリンが左のミドル・キックを放つと,カン・リーは踏み込んで腰で蹴りを受けた。フランクリンが蹴りとのコンボで大きな右を放とうとする矢先に,カン・リーの右フックが一閃した。それが見事にアゴをとらえ,フランクリンは一発失神KO。こういう芸術的なノックアウトが見たくて格闘観戦しているのである。すばらしい一撃だった。
 試合後にカン・リーはラッキーパンチと謙遜していたが,そうじゃないでしょう,しっかり腰が前に出て全身が一体になって,渾身の右腕であった。

  解説のドミニク・クルーズ氏いわく,足技を出すときはつねに "take your head off the center line" が鉄則と。 カウンターでやられないためには頭を体軸線上からつねにズラすこと。今日のフランクリンの一発負けは,まさにその鉄則を怠ったからだと語っていた。


Light Heavyweight Thiago Silva vs Stanislav Nedkov 
 <試合前予想>
 全勝中で上昇気運な強打のネドコフが,ライトヘビーの上位の一人であるチアゴ・シウバと対戦。シウバはリョート町田と対戦するまでは全勝街道だった実力派だし,ネドコフの実力を測る上でも格好の試合である。これは注目すべき試合であるとみた。


 <試合感想>
  予想どおり両者が序盤から振り回してきて,イッパツでも当たれば・・・ という試合であったが,強打のネドコフに対して巧者のシウバは相手の打撃をを誤魔化しきって,長期戦に持ち込んだ。
 ネドコフは心肺スタミナに問題があるようで,何度かパンチでダウンを奪いつつも徐々にペースダウン。やはりシウバの方がケンカ慣れしてた感じであった。徐々に徐々に自分のペースにもってゆき,最後は肩固めで極めた。
 シウバが安定した強さをみせた試合となった。


Welterweight Dong Hyun Kim vs Paulo Thiago
 <試合前予想>
 実力的にはキム・ドンヒュンが有利と思えたが,前回の肋骨負傷によるTKO負けから精神的にどのていど後遺症があったのか懸念していた。

 <試合感想>
 キムの上手さが目立った試合だった。まるでキムがシアゴにレッスンをつけてるような,まったく寄せつけない強さを見せつけた。
 キムは細身長身ながら下半身がおそろしく安定していて,組み合いになってもめったに倒れない。柔道家というのは相撲が強い。

  キムの試合を観ていて,キムをノックアウトしたコンディットの強さというものを実感した。復帰戦でコンディットと対戦するGSPはかなり危ういと思う。


Lightweight Takanori Gomi vs Mac Danzig
 <試合前予想>
 UFCも常連の五味選手,今回の相手は戦績でも実力でもさほど問題にならない選手であり,絶対に勝たなくてはならない試合であったろう。それも五味選手の持ち味である爽快な打撃によるイッパツ勝利が期待された試合だった。
  相手のダンジグ選手は,熱烈な動物愛護主義者だかで,ベジタリアンだそうな。格闘家でもゲイもいれば,ベジタリアンがいてもおかしくない

 <試合感想>
 デイナ・ホワイト氏によるファイト・オブ・ザ・ナイトにこの試合が選出された。
 緊迫する試合ではあったのかもしれないが,この程度の相手に? という観がぬぐえず,私にとっては印象の薄い試合であった。五味選手の試合内容は決して良いものではなかったと思う。

 むしろ水垣選手の試合,あるいは張鉄泉の試合をベスト試合として選出すべきではなかったか。


Lightweight Jon Tuck vs Tiequan Zhang
 <試合前予想>
 まるで少林寺から出てきたかのような張鉄泉は珍しい中国の選手だが,残念ながら相手が悪い。グアム出身のタックはプロフェッショナル柔術の世界チャンピオンで,6戦全勝,28歳。柔軟性のなさそうで老いた(34歳)中国選手がタックに翻弄されるだろうと思った。

 <試合感想>
 グアムのプロ柔術家より,最後まで根性を見せた張鉄泉の方が好感がもてた。負けん気も強く,撃ち合いにも応じ,足を止めて力のある左右のフックをくり出してくる。いい選手であった。尻すぼみだったタックよりも張鉄泉の次の試合が観たいと感じた。
 張鉄泉という選手,私は好きである。
 
 
Bantamweight Takeya Mizugaki vs Jeff Hougland
 <試合前予想>
 水垣選手もいつのまにかUFC暦がずいぶん長くなったね。交互に勝ったり負けたりしてきたが,その順番に従えば今日は勝つ日だね。日本人が5人登場なんて,まるで埼玉でやってるみたいだ

 <試合感想>
 水垣選手の安定した強さが際立った試合であった。もはや安心して観ていられる。もともとガッツのある選手だが,ラフファイトも随所に披露して観客を沸かせていた。ユライヤ・フェーバーと初対戦したときは相手の派手さに完全に押され隠れてしまった感じだったが,今やUFC軽量級を代表する選手になりつつあるようだ。
 帰りの花道で涙を流す水垣選手の姿が印象的であった。


Preliminary Card
Bantamweight Alex Caceres vs Motonobu Tezuka
 <試合前予想>
 アレックス・カセレスの愛称の Bruce Leeroy というのは 『くろんぼブルース・リー』 というようなニュアンスか。まだ23歳。手足が長い,米国人。 なかなか独創性のある選手なのだが,タフネスさにやや欠ける。 ジークンドーをやってたらしくどきどきブルース・リーのようなカンフーのポーズを見せたりする。打撃だけでなく寝技も結構いやらしい。弱点は骨細くてタフネスさに欠けるほかに,ややバランスの悪さが目立つ。腰が高い点か。
 手塚選手に関しては何も知らなかったが,木数珠を首からさげ,変なマスクをかぶり,なかなか不敵な面構え。チャック・リデルのようなヘアスタイル。カメラにもガンつける。こういう選手は私は好きである。できれば手塚選手に勝って欲しい。この男の次が観たい,とおもった。

 <試合感想>
 手塚選手の,まるですっぽんのような執拗さには好感がもてたが,やはり速い打撃への対応がいまひとつであった。グラウンドで手塚選手に有利な展開な場面がいくつかあったが,あそこで絞め技関節技ばかり狙うのでなく,肘打ちやパウンドのチャンスを生かせるようになればもっといやらしい強くなるだろう。

 いまいち二流な選手というのは,テイクダウンを狙って組みに行っても,その先の目的というか頭の中のイメージがひとつふたつぐらいしか無く,攻めの流れのなかで技の選択枝が派生していかないように感じる。だからどこかの段階で相手に対処されてしまうと,それだけでもう先に進めなくなる。
 手塚選手を観ていてそう感じた。


Flyweight John Lineker vs Yasuhiro Urushitani
 <試合前予想>
 ベテランの漆谷選手はブラジル人相手には強く全部勝ってる。しかし中途半端な蹴りが目立つ選手で,強打の22歳リネカーに通用するかどうかは疑問だった。

 <試合観想>
 やはり漆谷のバランスの悪さが目立つ試合であった。カウンターはタイミングよく相手を脅かすものであったが,下半身がふわふわしていて,いまひとつどの打撃にも力が入らない。とくに自分から出向く打撃は力がなく相手に何の脅威も与えていなかった。やたらぴょんぴょん飛びはねてばかりいる選手だと思って観ていたが,リネカーの左ボディーがミゾオチに当たって以降は明らかに足が鈍った。
  3R以降,リネカーは突如右を出し始め,これがまたよく当たった。判定であったが,漆谷は完敗である。


Middleweight Riki Fukuda vs Tom DeBlass
 <試合観想> 
 この試合の終盤から観始めたのだが,福田がいい感じで試合を進めてきたことがうかがえた。あそこまで一方的ならだらだら判定勝ちなど狙わず,倒して存在をアピールしてほしかった。

0 件のコメント:

コメントを投稿