Middleweight Chris Weidman vs. Anderson Silva
とんでもない結末となってしまった。アンデウソンの脛がポッキリと折れてしまった。
初回からワイドマンの方がよかった。常にプレッシャーを与え,テイクダウンもとった。
アンデウソンが得意のタイ・クリンチに強引にもっていって膝を出したところへ,ワイドマンが待ってましたとばかりに右のフックを相手の耳の部分に当てて,アンデウソンが一瞬意識を失う,という場面もあった。
グランドでもワイドマンが上になると,やはりワイドマンには上背があり,下から攻めるアンデウソンの手が届かないという場面があった。
初回だけを観るにこのままワイドマンが圧倒するかにみえた。
ところが二回になってアンデウソンの動きがとたんに良くなった。ローキックをよく出して,頭をよく動かし,距離も自ら狭めプレッシャーをかけ始めた。これはやはりアンデウソンか,という気がした。
その矢先であった。
アンデウソンの左のローキックをワイドマンが左足でチェックした際に,当たり所が悪かったらしい。アンデウソンの脛がぽっきりと折れて,まるでゴム人形のようになってしまった。
身をよじりたくなるような痛々しい光景。不運といえば不運であり,ある意味とても残念な結果であった。
思うにアンデウソンはつくづくワイドマンとは相性が悪いようである。
前回の対戦でも,2Rはアンデウソンの方がいい動きをしていた。さあアンデウソンのペースかと思った矢先に,ワイドマンの長い手がアンデウソンの顎まで届いてしまった。
また従来の試合ではアンデウソンがタイクリンチから膝を出せば,大概そこで試合が決まってしまうものだったが,今回の試合ではそうはならなかった。タイクリンチするアンデウソンに対して,ワイドマンが右のフックを耳に当てて,一瞬だがノックアウトしかけた。
アンデウソンの鞭のようなローキックも,多くの選手が苦しめられてきたものであるが,ワイドマンが膝をあわせるようにチェックすることで,あっさり破ってしまった。
これまでアンデウソンの独壇場だった場面が,ことごとくワイドマンによって破られていた。
やはりアンデウソンは今回も負けるべくして負けたように思う。
Women's Bantamweight Ronda Rousey vs Miesha Tate
ミーシャが腕ひしぎを脱したりしてずいぶん善戦したが,やはりオリンピック級の柔道選手相手と組んでは大人と子供であった。ほとんど歯が立たず,定石どおり腕ひしぎで終った。
最後,ミーシャが手を差し伸べたのに,ロンダはシカトしたのが衝撃だった。男子格闘で試合終了後までジトジトした感情が続くことはまずありえないだけに,驚きであった。
ミーシャがロンダの家族について何か言ったことがわだかまりになっているようだが,たぶんロンダの屈折した性格についてとか,親がどうの育ちがどうのとか言ったのだろうかね。あんまりそこらへん読んでないから,憶測しかできないが。
せっかくの好試合だったのに,冷や水をかけられたような気分であった。
Heavyweight Josh Barnett vs Travis Browne
予想ではブラウンはバランスが悪いと書いたが,今日はそれが上体の柔らかさ懐の深さとして見えた。序盤は腰をしっかり落とした構えであった。相手に掴まれれば無造作にいなすようにして距離をとり,ジョシュは攻めあぐねていた。
最後は馬場さんのココナッツ・クラッシュとブッチャーの毒針エルボーを組み合わせたような技だった。以前,ガブリエル・ゴンザガを倒したのと全く同じ体勢で,相手の側頭部に肘を落とす。長身で胴の長いブラウンならではの技といえようか。
ジョシュ・バーネットの今後が心配だ。
Lightweight Jim Miller vs. Fabrício Camões
カモイの方が試合開始早々からパンチをよく当てて押し気味であったが,寝技の展開になってから下になったミラーが一瞬の隙をついてアームバーで極めた。
Featherweight Dustin Poirier vs. Diego Brandao
リミットを大幅にオーバーしたブランダオ,まったく精彩を欠いた試合であった。大振りが目立ち,組んでもいまひとつ,時計を見てる間にパンチをもらったり。
好試合を期待していたのだが,残念であった。
Preliminary card
Middleweight Chris Leben vs. Uriah Hall
ユライヤの独壇場であった。リーベンはユライヤの足に追いつくことが出来ず,パンチのキレにおいても明らかに両者に差があった。クリス・リーベンはもはや格闘家の終焉を迎えたというかんじであった。
最後はチョンとカウンターで当てた右のストレートがリーベンの人中に当たり,尻餅。ブザーに救われたが,重篤なダメージを受けたリーベンはそのまま試合放棄した。本人による賢明な判断だとおもう。
Lightweight Gleison Tibau vs. Michael Johnson
あいかわらず力強いが当たらない倒せないのティボウと,足は速いが打撃の力がいまひとつ足りないかんじのジョンソン。
交錯時にジョンソンの左がティボウの耳に当たり,ティボウはバランスを崩しダウン。すかさずパウンドでジョンソンが一気に試合を決めた。
Featherweight Dennis Siver vs. Manny Gamburyan
タイプこそ違えど実力的によくつり合った好試合であった。
シーバは四肢が短いために,序盤攻勢でも相手が距離をつかみだすととたんに劣勢になってしまう。
Welterweight William Patolino vs. Bobby Voelker
パトリーノは22歳の新星7勝1敗である。どこを観てるのかわからないような小さな目で相手をよく観ている。おもむろに出す右がよく当たるかとおもえば,接近しての交錯時には左の肘を出してくる。かとおもえば,回転しての肘,膝への関節蹴りなど,ジョン・ジョーンズのような攻めをみせる。
Featherweight Robbie Peralta vs. Estevan Payan
ペラルタは力もつよく強引に攻めてくるため,それに押されて後退していまったりすると危険な相手だが,あまり頭の良い格闘家ではないという印象。攻めも守りもがむしゃらな力まかせであり,攻めではつよいが劣勢になるとわりと脆い選手である。疲れてしまうと何のみどころも無い選手である。
一方のパヤンはこれといった特徴のない地味な選手という印象。背中に天使の羽のような刺青がある。ペラルタとは対照的に頭の良さそうな選手である。
ペラルタの爆発をまともに受け止めてしまうとやられてしまう。ペラルタが3Rに見事に爆発力をみせてノックアウトした。
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