Heavyweight Mark Hunt vs. Antonio Silva
やれハントがパンチ当てるだとか,ビッグフットは足が遅いだとか,くだらぬ予想ゴッコなぞしてた自分が恥ずかしくなるような,まったく今年一番の壮絶な一戦であった。男二匹のオクタゴンの中でのやりとり,黙ってみてろ,というかんじであった。語ろうとすれば語るほど何も伝わらない。
プロの格闘家の心意気をとことん観させてもらった,という感じである。
序盤はビッグフットの方がよかった。ガードをしっかり上げ,足をよくつかって距離をとり,パンチは小さくで,明らかにシウバのペースで試合が進んだ。
ただ中盤にハントの右のストレートが人中に入り,ビッグフットは尻餅をついた。
そこから試合の流れが変わった。
今日のマーク・ハントは,肘を多用していたのが印象的であった。しかし肘は相手の皮膚を切り裂くのには有効だが,モーメントが小さいために相手を倒すというふうにはならない。ハントは何度もビッグフットを追いつめたが,ここぞというところで肘を出していた。重量級では肘の一発で相手を倒すことは出来ないようだ。それで判定にもつれたという感じでもあった。ビッグフットはフラフラであり,ガードの上からでも力のあるパンチが一発でも入れば倒れていたんじゃなかろうか。私が悔やんでも仕方がない。
素晴らしい試合であった。
心配なのは,両者が頭部に受けたダメージである。
いくら体が頑丈でも,脳が頑丈とはかぎらない。脳障害というのは個人差も大きい。
ゆっくり静養してほしいものだ。
Light Heavyweight Maurício Rua vs. James Te Huna
ソネンに破れた後,ショーグンの兄弟のニンジャのインタビューを読んだりしたが,周囲は今のボクシング・コーチにはあまり好意を抱いていないようであった。
きっとショーグンは周囲からボクシング・レッスンなんてやめろやめろと言われてきたのではなかろうか。それでも志を変えずにボクシングの練習を続けたのではなかろうか。そんなかんじの,待ってましたと言わんばかりの,ショーグンによる渾身の左の一発であった。
私は馬力のあるテフナが圧倒するのではないかと予想していたが,見事に覆された。
しかし今日のショーグンはパンチだけでなく,試合開始から動きはとてもよかった。テフナが鈍重に見えた。これがどこまで続くかと思っていたが,続くまでもなかった。ショーグンの見事なカウンターの一発であった。
ショーグンもマチダの後を追うようにしてミドル級に移るようだ。
しばらくはミドル級が一番面白い階級になりそうである。
Light Heavyweight Ryan Bader vs. Anthony Perosh
ぺロシュはまるでちょっと格闘をかじったことのある素人のオッサンのようであった。
ベイダーといえば一流のレスラーでありアスリートである。総合格闘という舞台ではちょっとした武術家が敵う相手ではないのは,試合を観る前からわかりきったことであった。
顔面をぐちゃぐちゃにされて,反撃すらできないぺロシュであったが,それでも止めないレフリーは全くどうかしている。
Heavyweight Pat Barry vs. Soa Palelei
湿気た試合が続いて,ここらでパット・バリーが前時代の格闘試合みたいな玉砕劇でもみせてくれるかと期待したら,なんとフルマウントからのパウンドで失神負けという,予想どおりというか予想以上に前時代的な試合であった。体格差もかつてのPRIDEの興行のようであった。
はっきりいって観るべきものは何一つなかった。その点でも予想的中。
Middleweight Dylan Andrews vs. Clint Hester
クリント・へスターはパンチと肘の斬れ味がすばらしい選手であるが,相撲がてんでダメであった。いくら打撃があってもこれでは上へはあがれない。
パンチが交錯した際に不運にもアンドルーズの肩が脱臼してしまった。よくボクシングのコーチが総合格闘の選手をコーチしてて「パンチの打ち方がナッテない」とか言うが,自己流で強振してるとこういう事故にもつながるのだろうか。
Preliminary card
Bantamweight Takeya Mizugaki vs. Nam Phan
水垣のパンチが妙に遅いように見えたが,序盤からクリーンに当てて判定を制した。しかし今日はバランスの悪さ,スタミナの無さが目立った試合となった。
ナム・ファンは打たれ強い選手のようで,後半はケロっとしていたが,いかんせん決め手に欠ける選手であったという印象。
Middleweight Nick Ring vs. Caio Magalhaes
頭の良し悪しがそのままケンカの強弱に反映しているかのような試合であったが,それでもリングは決め手をもっておらず,こんな相手にも負けてしまう。こんな試合ばかりしていてUFCで闘っていられるのがふしぎなくらいだ。この試合で契約切られるのではなかろうか。
どっちが勝ったにせよ,つまらない試合であった。
ニック・リングもつまらない試合の名人だが,マガイェスもそれに輪をかけてつまらない試合をする,あまり頭のよくない選手だという印象。
Flyweight Richie Vaculik vs. Justin Scoggins
スコギンスは21歳で7戦全勝5KO中の新鋭。ヴァキュリクは9勝1敗の30歳で主にサブミッションで勝ってきてる選手。打撃対寝技の対決になるのであろうか。
空手家スコギンスは半身サウスポのかまえから横蹴り中段まわし蹴りなど多くだしてきたが,どれもスピードがあった。組んでも腰がつよく相撲がつよくケンカもつよい。
これはあっという間に上位へ躍り上がるであろう期待の新人だ。
日本期待の堀口選手も同じ空手家でしかも同じ階級だが,正直ちょっとレベルが違いすぎる感じだ。もちろんスコギンスがはるかに上だろう。
Welterweight Ben Wall vs. Alex Garcia
ガルシアのアッパーが初回に当たってノックアウト。
実力差がありすぎてよくわからない試合であった。
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