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2014年2月23日日曜日

UFC 170: Rousey vs. McMann

Women's Bantamweight Ronda Rousey vs. Sara McMann
 五輪柔道 vs 五輪レスリング,メダリスト対決。勝敗の決め手は組み技でなく打撃であった。
 ラウジーがケージ際で執拗に出していた左足の膝がマクマンの右腹部にまともに入り,たまらず膝をついた。その見た目の印象が悪く,レフリーがすぐに止めに入ってしまった。

 序盤のパンチの交錯では,かなりきわどいパンチが両者の顔面をかすめていて,マクマンの方が体重のよくのった綺麗なパンチでタイミングも良かったように見えた。組み技で膠着するであろう両者,今回は打撃で決着がつきそうな予感が開始早々からしていたのだが,これはマクマンが勝つのではないかとさえ思った。が,がむしゃら打撃の応酬になると,明らかにロンダ・ラウジーの方が勝ち気であり,肘を含めた手数で上回っていた。

 試合には負けたけど,マクマンはラウジーの腰投げをしっかり対策してきてた感じだった。マクマンの二の腕の筋肉をみるに,組んで抱きつくように両差しにとらえたらラウジーはなすすべがないのでは,とさえ思わせるものがあった。相手との間隙がないと腰を回転させられず柔道技というのはかけづらい。
 一方,ラウジーはラウジーで肝臓を狙った膝の練習をしてたようで,それはマクマンにとっては想定外だったようにみえた。ラウジーのように柔道投げや腕ひしぎなど必殺の技をもつことは,格闘において確かに有利である。対戦相手はその対策に忙しいために,膝のようにまったく想定外の攻め方をされると,この日のマクマンのようにやられてしまう。

 ロンダ・ラウジーのもうひとつの強みは,まだ27歳という若さ。28歳のサイボーグが階級下げてきてのスーパーファイトがとても楽しみである。


Light Heavyweight Daniel Cormier vs. Patrick Cummins
 コーミエは相手のパンチを避けようともしなかった。コーミエらしくもなく,強引に強引に殴って早々と勝負を決めた。

 柔術の専門家やレスリングの専門家で,独自の専門を行かして闘う選手もつよいはつよいが,さらに上のレベルに行ける選手というのはそういうバックグラウンドをもちながらさらに打撃だけでもって相手を倒せる選手だろう。

 エヴァンス欠場となって急遽決まった相手だけに,注目を集めるために試合前からかなりの舌戦が繰り広げられていた。それは演出としてそれでよかったのだが,その舌戦によるネガティブな感情は試合直後も尾をひいたようで,なんとも後味の悪いかんじがした。負けたカミンスも,コーミエに執拗にああいう言われ方をされ続けたのでは,心にしこりが残るのではないか。


Welterweight Rory MacDonald vs. Demian Maia
 序盤からマクドナルドは低く構えから鋭いジャブを放ってきて,打撃において圧倒していた。ところがマイアが相手の片足をとってひねるようにあっさりとマクドナルドを倒し,がぜんマイア有利な展開になった。
 マイアはせっかくいいポジションをとりながら,肘もパウンドも出さずで,まったく攻めにえげつなさが見られなかった。何か職人芸的な柔術的勝利を狙っていたかのようにみえたが,どうであろう。結局,二回あたりから早々とマイヤのスタミナが切れ,マクドナルドのパンチがタイミングよく顔面に入ったかしたらしくバランスも悪くなり,立っているのがやっとな状態で闘っていた。

 グロッキー寸前のマイヤに対して,じっくりにらめっこしてるローリーもいまひとつな印象であった。相手が立ってるのがやっととなれば,がぜん猛攻してはっきりと勝敗をつけてほしいものだ。
 ローリー・マクドナルドが完全復活という言葉が飛び交ってるが,私にはそうは見えなかった。あれはマクドナルドがよかったというより,むしろ打撃が弱く心肺能力に問題アリのマイヤが弱かったのではないか。


Welterweight Mike Pyle vs. TJ Waldburger
 両者ともに相手のパンチをよくもらう将来の脳障害が心配になるよな選手どうしの対戦。
 そういう懸念どおりの試合となった。

 まるで互いに打撃で勝負と申し合わせたかのように,グラウンドの展開になっても詰めが甘いのか,両者すぐ立ち上がっていた。ウォルドバーガーの右のクロスがよく当たっていたが,いかんせん両者して無防備の闘いであり,ウォルドバーガーの攻めは正直すぎで,経験豊富なパイルの方に分があった。最後はウォルドバーガーの将来が心配になるような肘とパウンドによるTKOであった。
 内容は前時代の格闘試合であり見世物としては面白かったが,内容的にはレベルが低く見所に欠けたいまひとつな試合であった。
 

Welterweight Robert Whittaker vs. Stephen Thompson
 ウィテカは空手だけでなく韓国の新興武道ハプキ道でも達人らしい。23歳という若さで将来性もある。両者打撃の専門家であり,これは面白い打撃戦になるだろうと思っていた。

 予想どおり緊張感のある試合であったが,トンプソンの蛇みたいに伸びてくるストレートパンチがガードの間を縫ってウィテカの鼻柱を見事にとらえ,それが効いた。そこでトンプソンは一気にたたみかけた。見事なノックアウトであった。
 

Preliminary card
Women's Bantamweight Alexis Davis vs. Jessica Eye
 アイが頭をよく動かして積極的に打撃で攻めていたが,組めばデイビスの方が上手かったか。割れた判定であり,初回のテイクダウンを審判がとるかとらないかが勝敗の決め手だったようだ。
 
 デイビスが勝ったが,さて彼女のいぶし銀的な上手さが果たしてラウジーに匹敵するか,となると,やはりまだまだ敵わないのではないか,という気がする。
 

Bantamweight Raphael Assunção vs. Pedro Munhoz
 柔術の専門家同士の対決であったが,最後まで両者立ってのキックボクシング試合であった。互いに斬れ味のよさげなローキックを出していたが,速いコンビネーションで出てくるパンチがよく当たっていたアサンサオが内容で明らかに勝っていた。

 これでアサンサオは六連勝で王座挑戦も見えてきたが,さて果たしてアルドーに対してどこまでやり合えるかとなると,なかなか難しいのではないか。


Bantamweight Cody Gibson vs. Aljamain Sterling
 26歳と24歳の若いどうしの対戦。とくにスターリングはやや決め手に欠けるものの,まるで若い頃のジョン・ジョーンズをそうふつさせる独創性をもった面白い選手であった。


Lightweight Rafaello Oliveira vs. Erik Koch
 コークがサウスポーの構えからよく伸びる速いワンツーをくり出してきて,開始早々に一発,そして二回目に最高の左ストレートがオリヴィエラの鼻柱を見事にとらえた。オリヴィエラは真後ろに尻餅。コークは覆いかぶさるようにして真っ直ぐ左右のパンチを落として試合を決めた。
 コークの会心の勝利であった。
 

Lightweight Ernest Chavez vs. Yosdenis Cedeno
 割れた判定でチャベスが全勝を維持したらしいが,年齢も30過ぎており,見た目だらだらとした試合で,さほど特筆するほどの選手ではないように感じた。
 

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