Welterweight Demian Maia vs. Jake Shields
予想どおり組んず解れずの難戦だったが,予想どおり序盤にジェイク・シールズがいいポジションをとって攻めたのが勝因だったのだろう。まるでフェレットかカワウソみたいに懐が深く腰がやわらかいシールズには,柔術の達人のマイアも思うようにあつかえず苦労していた。
終盤になってマイアが打撃に切り替えて,パンチをよく当てていた。もっと早くにグラウンドをあきらめ立ち技打撃で積極的に攻めていれば,案外シールズをノックアウトできたかもしれない。マイアにとっての敗因は自身の柔術への自信とこだわりだったのかもしれない。彼にとって悔いの残る試合だったのではなかろうか。
Welterweight Erick Silva vs. Dong Hyun Kim
キムが鞭のようなジャブを放って距離をとるかと思いきや,意外にも前へ前へと積極的に出てきた。その序盤のやりとりで疲れたのか早い段階から両選手ともアゴあげて肩で息していた。両手をぶらつかせふらふらとバランスを崩しながら闘う場面が目立ち,いちばん期待していた試合だったのだがとても好試合とは呼べるものではなかった。
たまたま相打ちでキムの左のパンチがシウバのアゴに入って試合が決まったが,あれは交錯時にキムが相手を観ずに放った,いわばめくら打ちのパンチであって,斬れ味抜群のカウンターと呼べるようなものではなかった。
決して見ごたえのある試合ではなかった。
Light Heavyweight Thiago Silva vs. Matt Hamill
これも序盤からダレにダレまくった試合であった。どっちが勝ったところで,どうでもよく,両者ともに確実にこれがUFC最後の試合となるだろう。
それほどお粗末な試合だった。
何度かシウバがいいパンチを当てて,ここぞという場面があったにもかかわらず,何もすることが出来なかった。ドタンドタンとマットを踏み鳴らす音ばかり響き,あきらかに下半身の鍛錬不足であろう。体が重すぎてまるで腰をかがめることすらしんどい老人のようであった。何も語るべきもの無しという見苦しい試合であった。
他の優れた選手達がせっかく高いレベルの試合をしているのに,自身の体重管理すらできない選手がこういうレベルの低い試合をしているようだと,興行者としても困ってしまうだろう。
総合格闘の将来のためにも,こういう選手は追い出した方がいいように思う。
Light Heavyweight Fabio Maldonado vs. Joey Beltran
テシーラに打ち負けたマウドナドとベルトランどっちもガンガン打撃を出してくる選手で壮絶な打ち合いが予想された。
が,大変ダレた見苦しい試合となり,メインにもってくる試合としては質的に物足りなかった。
Welterweight Rousimar Palhares vs. Mike Pierce
顎のもろさが懸念されるパルヤレスに対し,ピアスががむしゃらに闘って優位に立つかと私は思っていたが,パルヤレスが地元ブラジルの期待のなか見事に職人芸的なヒールホールドで勝利をおさめた。
やや古臭い決まり方であったが,他の試合と比べるとかなり良い試合だったといえるだろう。
ピアスがしきりにタップしていたのにパリャーレスがすぐ放さなかったことで,関節技賞はもらえなかったという。しかし柔道などでは審判が声をかけるまでは絶対に技を止めるなという話を聞いたりするだけにパリャーレスにとって酷な気もするが,膝を完全に破壊しかねない危険な技だっただけに難しいところだ。そこらへんしっかりとしたルールの徹底が必要だろう。
Bantamweight Raphael Assunção vs. T.J. Dillashaw
いずれも田村一聖をノックアウトして勝っている,打撃のうまい選手どうしの対戦。
予想どおりの面白い試合であり,アサンカオは頻繁にスタンスをスイッチさせながら相手の出鼻にタイミングよくパンチを当てるのが上手かった。一方,ディラショーも変則的なアッパーを積極的に振ってきて序盤から目をはなせない展開であった。
中盤以降,正確さとタイミングのよさでアサンサオのパンチの方がよく当たるようになり,それが勝負の決め手となったかんじである。
割れた判定ながらアサンサオが勝った。
Welterweight Ildemar Alcantara vs. Igor Araujo
アルカンタラは地味なうごきながら隙の無い,まるで柔道の師範のような老獪な闘い方をする燻し銀のような選手である。上体の力のよく抜けた構えから放つ打撃も地味ながら正確であり,バランスもよく,相手を倒すのもうまい,技巧派の面白い選手である。しかしブラジルの選手らしくカーディオの弱さが課題か。
一方のアラウージョも関節技を得意とする選手のようで,積極的に組みに行きさかんにダブルのテイクダウンを狙うが,アルカンタラことごとく防がれていた。
終始攻めて攻めまくったアラウージョが判定で勝った。
玄人好みな格闘技術も大事であるが,それ以前にいかに体力というものが大事かということであろう。
Welterweight Yan Cabral vs. David Mitchell
カブラルは10戦全勝,全てサブミッション勝ちの30歳。一方,ミッチェルは腰の引けたパンチしか出せない選手のようで,あまり歯切れのよい攻めは見られなかった。
カブラルも打撃でフィニッシュできない選手のようで,いいカウンターを当てておきながら仕留めきれず,もつれてそのままウヤムヤにされてしまう場面もあった。カーディオにも問題があり,詰めも甘く,戦績ほどの選手では無さそうだ。
ダレた判定で,カブラルが勝った。
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