Welterweight Georges St-Pierre vs. Johny Hendricks
待ちに待った久しぶりのGSPの登場である。相手は強打のレスラー,ヘンドリクス。
GSPは靱帯断裂で長い間欠場していたが,コンディット戦ディアズ戦で彼の実力も根性も遜色ないということが示された。
一方のヘンドリクスは,得意の左の強打と過去のアマチュアレスリングの実績が強調されがちだけど,これまでの試合ぶりを観るに一流アスリートらしく実に眼がよくて,反応の速い選手であることがわかる。相手のわずかな一挙一動に必ず反応している。彼の強さの秘密はそこらへんにもあるように思う。ヘンドリクスは顎が頑丈だと言われるが,打たれ強いというのは,とくに首や顎が丈夫であったり三半規管がつよいとかいうのでなく,相手の打撃がよく見えているということであり。パンチが思いもよらぬところから飛んできたとき人はノックアウトされる。
GSPとヘンドリクス,両者ともに打撃をもった選手だが,いずれも相手の出方を待ってカウンターを狙うタイプではなく,先手先手と積極的に攻めて突破口を開いていくタイプである。
ヘンドリクスの一番の武器といえば何といっても左の強打だろう。左を出すとわかっていても,左,左,そして左,と連続して出してくる。その爆発力で相手を圧倒してしまえる強みがある。
打撃といえば,GSPの方がはるかに多彩である。左右のパンチ,蹴りと,どれもフェイントを交えて出てきて,どれがどのタイミングで出てくるかわかりにくく,それがまるでチェスの攻めのように流れるような組み立てで一気に出てくる。
この両者が打撃戦をした場合,当然先手をとった方が有利になるのだろう。ヘンドリクスが勝つためには,捨て身でも先手を取って前に出てゆくことであり,フェイントの応酬でうごきが止まって相手の出方をうかがってしまうようだとGSPのペースとなり翻弄されてしまうだろう。
一方,GSPが打撃で主導権を握るには,真っ直ぐのパンチを小刻みに出してヘンドリクスを前に出させないことだろう。強打に圧されて下がったり,あるいはつけ入る隙を与えるモーションの大きな捨て蹴りなどは禁物である。
組んでグラウンドになったらどうであろう。テイクダウン能力は五分五分か。
ゴリラのような背筋をもつヘンドリクスのはパワーあふれる感じだが,必ずしも力任せという感じでもなく,タイミングよく実に巧い。が,テイクダウンをとろうとする時の動きにややクセがある。やはりGSPの方が相手の出鼻にタイミングよく決める斬れ味があるように感じる。
ヘンドリクスはグランドで良いポジションを取るのも上手な選手だが,四肢が短いがために,ねちっこく相手を虐められるタイプではない。寝技の展開になればGSPの方がはるかに意地悪であり,虐待テクニックも一枚も二枚も上手であることは間違いないようにおもう。
よってヘンドリクスとしてはグラウンドで長居はしたくないであろうし,逆にGSPとすれば相手を寝かしてしまえばぐんと自分に有利な展開になるであろう。
というわけで,私は以前ツィターにおいてヘンドリクス予想,と何度も書いてきたが,じっくり考えれば考えるほどGSPが有利であると言わざるを得ない。
ヘンドリクスの方がイキオイがあるかもしれないし,ヘンドリクスが勝つとしたらそのイキオイに乗った場合であろう。だけどイキオイなんてのでは予想にならない。
よって,これまでの発言を覆して私はGSP予想...
と言いたいところだが,しかし,考えこんで最初の直感予想を撤回してかえって予想をはずす場合も多く,それはクヤシイので,ここは初志貫徹でヘンドリクスでいってみたい。
ヘンドリクス予想。
Light Heavyweight Rashad Evans vs. Chael Sonnen
ともに解説などで一緒になる二人であるが,どちらもレスリングの強い選手である。
ラシャドはリョートにやられて以降,距離をとるようになり,思い切って踏み込むということをあまりしなくなった。
ラシャドが離れて弱いパンチを出し,ソネンは執拗に組みに行き,で膠着した試合になるのではなかろうか。ただレスリング試合になればまだ下半身に力のあるラシャドの方に分があるように思う。
判定でラシャド予想。
Welterweight Rory MacDonald vs. Robbie Lawler
若い強打者どうしの対戦,これは見ごたえのある一戦になるであろう。
いま一番王者に近い存在は私はヘンドリクスでなくて,この若いマクドナルドだと思っている。左のリードブローがよく伸びるし,距離が近ければそれが肘となり,ボディーへのアッパーとなる。相撲もつよい。
よってマクドナルド予想。
Welterweight Josh Koscheck vs. Tyron Woodley
前回ローラーの強打をまともにもらったコスチェックだが,今回の相手も似たような強打者である。
ウッドレイ予想。
Flyweight Tim Elliott vs. Ali Bagautinov
コンバット・サンボの世界チャンピオンであるバガウチノフは28歳。総合格闘で活躍する他のコンバット・サンボの選手をおもうに,これまた強そうな選手がロシアからやってきたものだ。
ティム・エリオットもドドソンに判定で敗れはしたものの,次の試合でファイト・オブ・ザ・ナイトを獲得したこともある好選手である。これは楽しみな一戦となりそうだ。
バガウチノフ予想。
Preliminary card
Bantamweight Will Campuzano vs. Sergio Pettis
まだ20歳ながら全勝中のペティスに期待したい。一方のキャンプザノは日本の所英男選手といい勝負をしたらしい。
ペティス予想。
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