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2013年2月3日日曜日

UFC 156: Aldo vs. Edgar

Featherweight José Aldo vs. Frankie Edgar
 初回からホセ・アルドーがボクシングでも蹴りでも完全に優位に立ち,試合の勝敗もほぼ決まったかにみえた。自分の得意なボクシングの土俵で相手にレッスンつけられるというのは,フランキーにとって初めての経験ではなかろうか。
 が,それからがフランキー・エドガーのすごいところで,顔面を腫らしながらも動きがどんどん良くなってくる。最後はどちらが勝ったのかさえ微妙な判定になった。

 アルドーのように目のいい選手は,目線があちこち動かずに,かっと見開いて,どこみてるかわからないような,どこかイッたような目をして闘っている。網膜の焦点でもって相手の一点一点を注視するのでなく,視野全体の中で動くものに対して体が反射的に対応している。目のいい選手の目線とはそんな感じである。


Light Heavyweight Rashad Evans vs. Antônio Rogério Nogueira
 リトル・ノグのボクシング技術が,ラシャドを完全に上まわった感じであった。
 陣営は試合前からラシャドのうごきをよく研究してきたのであろう。
 
 ただ,試合内容としては,つまらなかった。
 ラシャド・エヴァンスは,相手との距離感が最後までつかめず仕舞いで終った感じであった。テイクダウンも決まらず中途半端だった。また,サウスポーのリトル・ノグに対しては右の真っ直ぐを頻繁に出せばよく当たるだろうにと思うのだが,ラシャドは右の真っ直ぐが打てない選手だった。それがこの試合では致命的であった。

 ライト・ヘビー級の上位の一戦であるはずなのに,両選手のこの次の試合に対してまったく興味が抱けないような,そんな試合であった。両者がわりと高齢でこの先の選手生命もさほど長くないことも,いまひとつエキサイト感が欠ける原因だろうか。


Heavyweight Alistair Overeem vs. Antonio Silva
 久しぶりに大いにエキサイトしたこの試合,私の予想どおりビッグ・フットがアリスター・オフレイムを豪快にノックアウトした。見事!

 ビッグ・フットは序盤から脇を締め,ガードを高く,腰を落とした慎重な構えであった。自分からは出て行かず,アリスターの何かを待っているふうでもあったが,あるいは単に緊張して堅かったのか。 私は,ビッグフットが押されて下がったら負けるし,相打ちで一発でもいいから顔面に当てれば必ず勝つと思っていたのだが,試合展開も全くそのとおりになっ た。
 序盤,アリスターのプレッシャーに押されて下がり気味だったが,中盤以降からおもい切って打ち合いに転じたのが良かった。アリスターにはメンタルの脆さが あることは昔から周知のとおりであり,一発でも当てさえすればいいのである。文字どおりビッグフットの一発がクリーンに側頭部に入り,それでアリスターの体は完全に逃げの体勢に入り,そこでビッグフットは見事に仕留めた。
 勝負どころを逃さなかったビッグ・フットを褒めるべきだろう。

 アリスターといえばいつも高々とガードをあげているのが特徴的だが,今日は両腕を低く構えていた。総合が主戦場となりスタイルを変たのかなと思ったりしたが,実はあれは打撃下手のビッグフットを小馬鹿にしたポーズだったらしい。
 アリスターはブロック・レスナーと対峙したときはガードをしっかり固めていた。ということはビッグ・フットをレスナー以下と見なしていたのだろう。レスナーは内臓の重病を繰り返して,腹の手術を二度も経てきていたわけだし,それ以前に格闘に関してはド素人であることは以前から明白であった。そんな相手よりもビッグフットの方を過小評価するようでは本人もコーチ陣営も見る目が無いとしか言いようがない。また,あのレスナー戦なぞを観てそれでアリスターが本当に強いなどと錯覚した人は,格闘がよくワカッテないんじゃないかとさえ思えてしまう。

 アリスターは,あれだけの強い打撃を頭部にまともに何発も受けて崩れるようにその場に倒れたわけで,そのダメージは確実に脳に及んでいるであろう。これから動体視力の低下や反応が鈍るなど身体能力は下降線の一途をたどることはほぼ間違いないと思われる。
 今後は日本のバラエティー番組でボブ・サップ氏とともに腕相撲だとか筋肉番付なんかに出たりするのだろうかね。


Welterweight Jon Fitch vs. Demian Maia
 私の予想は外れてデミアン・マイアが勝った。
 マイアが勝ってもなんとなく面白くないのは,かのアンデウソン・シウバが一度マイアを徹底的に小馬鹿にした試合をしたことがあり,その試合ではマイアは何も出来なかったことがあったからである。


Flyweight Joseph Benavidez vs. Ian McCall
 古典的なボクサーのように上体を直立させて脇を絞めた独特のスタイルのサウスポー,ベナビデスが初回に打撃戦で終始優位に立っていたが,それが結局勝敗の決め手になったようだ。
 マッコールも悪くなかったが,大きく開いたガードの構えであり,これが打撃戦において彼我との優劣を分けたようにおもえた。パンチが交錯すれば,教科書どおりに脇をしめたベナビデスのパンチは中から中からと出てくるわけで,これが相打ちになったときの威力の差になる。
 
 中盤からベナビデスの上体がやや前傾して,ガードも下がり気味になったが,そのとたんに相手の打撃をもらっていた。やはり序盤と終盤のベナビデスの構えは意識してそういう構えをしてるようであり,またそういう構えをしているときの方が動きがいい。
 両者スピードが最後まで落ちず,判定ながら締まった好試合であった。


Lightweight Gleison Tibau vs. Evan Dunham
 タイミングのいいパンチを的確に当てていたダナムが終始優位に試合を進めていた。
 29歳のティーボウはバランスもいいサウスポーだが,すごく力強そうな筋肉をもっているのにパンチの威力があまり相手に伝わらない。殺傷力のあるパンチというのは全身の骨格とタイミングでがつんと当てるようなパンチであり,ティーボウのようにどんなに筋力があっても打撃時に体全体の調和が悪いために一発で決められる武器にはならない。

 

Welterweight Tyron Woodley vs. Jay Hieron
 ウッドレイが豪快にTKOで勝ったが,子供のハミガキ指導をしていたら見そびれた。


Lightweight Jacob Volkmann vs. Bobby Green
 元レスラーのヴォルクマンと対戦する26歳のグリーンは最近ではJZと競った試合してたらしい。
 頻繁に左右スイッチするグリーンは足をそろえたまま相手と対峙したりするなかなかユニークなスタイルだったが,はたしてそのユニークなスタイルに自身の才能が追随できるかどうかは疑問を感じた。 
  序盤はヴォルクマンの方が良いかんじに見えたが,中盤以降グリーンがポイントを重ねて判定で勝ち。しかし全体的にダレた試合で,あまり感心できるような内容ではなかった。


Lightweight Yves Edwards vs. Isaac Vallie-Flagg
 36歳のエドワーズと34歳のフラッグの年増対決。
 エドワーズはとてもいいパンチも蹴りも足ももってるが,バランスが悪いように見えた。また,それが戦績に反映されているかんじであった。
 いまひとつ緊迫感の欠けた中年どうしの対決,どっちが勝ってもいいやという感じで見ていたが,試合展開もそんな感じであった。

 当事者同士は頑張っているのはわかるが,興行としての試合を評価するのは私のような視聴者であるべきで,また総合格闘の全体的なレベルがあがればあがるほど,こういう高齢でパッとしない選手は自然に淘汰されていくだろうと思う。よほどの天才選手でないかぎり。


Bantamweight Chico Camus vs. Dustin Kimura
 23歳で10戦全勝中のハワイアン,キムラがまったく危なげなく安定したつよさを見せた。これで11戦全勝。これは期待のもてる選手。
 キムラ選手は,なかなかのキャラクターのようで,話しぶりなどは若い頃の田原俊彦さんのようである。私は気に入った。次の試合が楽しみである。
 

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