メイウェザーはいつものメイウェザーであったが、パッキャオはいつもより馬鹿正直にみえた。それだけメイウェザーの方が上手かったということだろう。
パッキャオのいつものうごき、おもむろに左から入って、相手の左側面にまわりこむように抜ける動きがこの日は観られなかった。それがメイウェザーによって防がれていたのか、あるいはそれがパッキャオの作戦だったのか、シロウト目にはよくわからない。
とにかくパッキャオは頭を振って前に前にと出るしかなかった。
試合前、パッキャオは右の強いフックを何度も何度も確かめるように練習していた。
それが作戦なのかとおもって観ていたが、たしかに試合中もパッキャオはロープに詰めた後で、メイウェザーが左へ移動するのを迎えるように右を出す場面が多かった。
が、まともに当たることはほとんどなかった。
初回はメイウェザーはガードを高くあげて、いつものように王道の慎重さであった。
初回から三回までメイウェザーのペースである。
中盤あたりからパッキャオがメイウェザーの王道的な慎重さを見切ってか、パンチが当たるようになる。何度かいいパンチがメイウェザーの顔面をとらえ、後退させるシーンがあった。この試合で一番盛り上がった場面だろう。
メイウェザーも言っていた。パッキャオが有利になる場面もあるだろうというのは最初からわかっていたことだ、と。
しかし、それからがメイウェザーのつよさの真骨頂である。
中盤あたりに対戦相手のパンチがメイウェザーをとらえ始めるのは、ある意味いつものことである。それからメイウェザーがアジャストして、変化してくるのだ。
そのアジャスト能力こそがメイウェザーの一番のつよさだろう。
後半になると、歴然とした差が出てくる。
アジャスト後のメイウェザーのうごきを見切れる選手は、今のところ誰もいないのではなかろうか。
やはりメイウェザーはつよい。
もちろん、パッキャオも上手かった。
ロープ際にメイウェザーを追い詰めた後、不用意に飛び込まず、フェイントでもってメイウェザーのカウンターを誘い、それに合わせる、という場面が、中盤よく見られた。
あわや、という場面もあった。
後で聞くところによるとパッキャオは右肩を傷めていたそうな。
ちょっと残念な話であるが、しかしパッキャオが完全な状態であっても、やはりメイウェザーが勝っていたのではなかろうか。
それくらい歴然とした差があったようにおもう。
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