Women's Strawweight Joanna Jędrzejczyk vs. Jessica Penne
実に見ごたえのある試合だったが、ヨアナが圧倒的なつよさをみせた。
『打撃がナマクラな女子格闘はつまらない』という先入観を根底から覆すような、ヨアナのパンチであった。回転が速く、そして強力で、回を追うごとにその斬れ味は増していったようにみえた。ヨアナはボクシングでも王者になれるのではないか。
パンチだけではない。ジェシカに最大の致命傷を与えたのは離れ際の右肘一閃だろう。鼻骨わきに部分にかなり深い裂傷を与え、別人の鼻のように大きく腫れあがっていた。
ヨアナのパンチばかり気になるが、彼女のフットワークもバランスも、実にいい。相撲もつよく、相手がむしゃぶりついてテイクダウンに手間取っていると、上から鉈のような肘が飛んでくる。
しばらくはヨアナが王者として君臨するだろうが、女子ストローはとにかく層が厚く、粒ぞろいである。ロンダ・ラウジーのような無敵でいられるかどうか今後も注目してみたい。
Featherweight Tatsuya Kawajiri vs. Dennis Siver
川尻は序盤から大きく距離をとって、おもむろに変則的なアッパーカットや、大きな後ろまわし蹴り、パンチとバックブローの連続技などを出したり、あるいは試合中に意図的に目をそらしたり(輪島功一氏がやった作戦)などと様々に攪乱翻弄してみせたが、中盤以降はシーヴァの脚にむしゃぶりつくようにして抱きつきテイクダウンとカウントしてもらえそうなのをいくつか決め、みごとに判定勝利を収めた。
その点、シーヴァはパンチも蹴りもことごとく川尻に誤魔化され、まったく冴えなかった。
川尻の見事な勝利であったが、試合内容は決して見栄えのするものでなく、いくら勝ったとはいえ印象は決して良いものでは無かっただろう。あんなはっきりしない試合ばかりでは、川尻がいくら勝ち星を続けることができたとしてもファンでもなんでもない観客には魅力には映らず、愛想をつかされてしまうのではないか。もっと見どころ多い試合をしないと今後UFCに居続けるのは難しくなってゆくだろう。
さらに言えば、今どきの格闘では打撃をもっていない選手は流行らないのであり、またあれでは上位にもまったく通用しないのではないか。引退前に一花咲かせられればいいんだ、というレベルならそれはそれで結構だが、しかしUFCでもっと上を目指すのなら何かステートメントのある勝ち方ができないと、世界では人気は出ない。
とか書くとまるで川尻選手を嫌っているみたいだが、どんな気持ちで試合をみていたかは私のツィートを参照していただきたい。
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